遊戯王Fool ~バーガー中毒者の黙示録~   作:レルクス

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 ネタ帳を見る気分でよろしくお願いします。


第一話

 壇上で、三十歳くらいの女性が話している。

 

「君たちがこの学校で学び、そして切磋琢磨し、新たなデュエルの世代を担ってくれることを期待している。以上だ」

 

 実際のところ、色々と長いこと話していたが、その言葉を最後に、校長先生の言葉は終わった。

 

(新たなデュエルの世代……か)

 

 編入生の一人、黒髪に青いメッシュを入れた男子生徒、青芝恵遊(あおしばけいゆう)は、それについて深く何かを言うことはしなかった。

 

 ★

 

 デュエルスクール。

 デュエリスト育成学校であり、毎年多くのデュエリストを輩出し、地方、都心部にしろ、多くの場で活躍する実力者を出している。

 整った設備が多い学校で、資料室はかなりの量のデュエルに関する論文が存在するほどだ。

 ただし、編入だけはやりずらいと言う意見もある。

 中高一貫だが、多くの生徒は中等部から入っているようだ。

 

 デュエルスクールの多くでは、クラス替えと言うものが存在しないパターンが多い。

 今通っている『デュエルスクール・ボーダー』も同様だ。

 結果的に、編入してきた生徒には必要なものがある。

 そう、自己紹介だ。

 

「さて、自己紹介よろしく!」

 

 担任教師、上村美冬(うえむらみふゆ)先生からそう言われた恵遊は、内心溜息を吐いていたが、まあいいか。と思うことにした。

 

「青芝恵遊。得意なのはデュエルで、好きなものはハンバーガーだ。よろしく」

 

 左手に持ったパンパンにハンバーガーが詰まった袋を掲げて、恵遊は言った。

 

「うんうん。と言うわけで、皆仲良くしてね。青芝君。授業中は食べないでね」

「さすがにそれは分かってますよ。まあ、三年間宜しく」

 

 三年間。と言う言葉は間違っていない。

 実際にそうだからだ。

 

 さて、面倒なことにならければいいがな。

 

 ……ならないはずがなかった。

 編入生と言うのは、存在自体珍しいが、実際問題。合格することすら珍しいといえるレベルなのだ。

 筆記試験と実技試験の両方を受けて、その実力を測る。

 個人だけではなくチームにおける勝負も求められるこの学校では、そう言った勧誘も大切だが、いろんな意味で、測ることも求められるのだ。

 

「……はぁ。何かと面倒だな」

 

 食堂でハンバーガーを補充して、ほとんど止めることなく食べ続けている恵遊。

 まあ、最初は『ハンバーガーが好きなんだな』と思われる程度だったが、休み時間のたびに食べ続けて、食堂で大量に補充する姿を見て『なんか変』と思われるようになった。当たり前である。

 

「隣いいかな」

 

 振り向くと、濡れ羽色の髪が特徴の女子生徒がいた。

 クラスメイトの幸原茜(さちはらあかね)だ。

 ……胸でけえ。まあいいか。

 きつねうどんがトレイに乗っている。

 

「ああ。いいぞ」

 

 幸原は微笑んだあと座った。

 

「この学校はどう?」

 

 いきなり聞いてきた。

 

「まあ、ほとぼりが冷めるまでは少々面倒になるだろうと思っているよ」

「編入生だもんね。今年は二十人くらいだったかな。この学校は退学していく人もそこそこいるんだけど、私たちのクラスはあまりいなかったからね」

「それだと編入生と言うより補給生だな」

「いえてるね。まあでも、頑張れば大丈夫なのは何処でも一緒だよ」

「……まあ、そうだな」

 

 確かに間違ってはいないだろう。

 報われる努力をしているという確信を持てるものにとっては、と言う条件付きではあるが。

 

 ★

 

 今日はデュエルの実技授業はなかった。

 ので、なんだかんだ言って学校ではデュエルをしていない。

 

「普通科高校とは違った雰囲気だな……まあ、それはいいが、編入生と言うだけでかなりみられるもんだな……」

 

 編入生と言うのが珍しいのだろう。

 結果的に、その属性だけで何かと言われるものらしい。

 

「ここだな」

 

 学生寮の五階。

 全寮制のボーダーでは、本当に様々なことが学校の敷地内で完結している。

 それはそれなりに必要なものがそろった施設ないようなのだそうだ。

 一人部屋だし、もう何日か泊まっているので慣れたものだ。

 

「……」

 

 ドアを開けて中に入った瞬間に目に入ったのは……。

 

「はぁはぁ、これが恵遊君の匂いが染みついた布団。すうううううはあああああ」

 

 知らない女子生徒が恵遊の布団の上でドエライことになっていた。

 

「……おい」

「何よ!恵遊君成分を補充してるんだから邪魔しな……い……で……」

 

 女子生徒はなんていうか……オナっているのを母親に見られた子供のような顔になった。

 驚愕しているが、その顔立ちは整っている。

 長い金髪はきれいなもので、腰まであるだろう。

 年齢不相応の大きな胸も特徴の一つなのだろうか……まあそれはそれとして。

 

 空気が凍り、時間が止まる。

 そんな感じになっていたのだが……。

 

「凛子ちゃん!……ああ、手遅れだった」

 

 幸原が部屋に勢い良く入ってきて、そしてその空気を感じて頭を抱える。

 恵遊は説明を求める視線を幸原に向けた。

 

「ええと、クラスメイトの聖野凛子ちゃん。一応私と友達だよ」

「一応?」

「こんな子だとは昨日まで知らなくて……いやまあ、前々から好きな人がいるっていってたのは知ってるけど……」

「ああ、うん。なんとなく察した」

 

 恵遊も、こんな状況になっても恋愛感情が自分に対して存在することを感じないほど鈍感ではない。

 のだが……重すぎる愛も勘弁してほしいというのが正直なところだ。

 というか、もうこれはどうすればいいのかわからん。

 

「こうなったら……恵遊君!つきあってください!」

「無理がある」

 

 恵遊は即答する。

 さすがになぁ……。

 

「なら、デュエルして私が勝ったらつきあってください!」

 

 デュエルで恋愛を決められてはどうしようもない気がするのだが……。

 幸原は「断らないであげて」という、ある種の懇願のような視線を送ってきた。

 

「……いいだろう」

「よっしゃああ!」

 

 雄叫びを上げる聖野。

 なんというか……凛という文字を名前に持っていても、凛としている訳ではないんだなと思った。

 

 ★

 

 ボーダーでは多数のデュエルコートが用意されている。

 特設アリーナも存在するのだが、基本的にそちらはイベントと、教師を同伴させて行われるデュエルが行われるので、そこまで使用されていないのが現状である。

 基本的に予約が入っているものなのだが、何故か、電話一本でデュエルコートに入ることが出来た。

 

「これに勝ったら恵遊君と……フフフフフフフ……」

 

 デュエルコートの反対側に立つ聖野がちょっとヤバい雰囲気になっている。

 これは……そこそこ本気で戦った方がいいかもしれないな……。

 

「恵遊君。頑張ってね」

「ああ」

 

 幸原が応援してくる。

 こうなる前に何とかできなかったのか。そう思うが、こうなってしまっては何もできない。

 仕方がないと割り切って、恵遊はデュエルディスクを構える。

 あと、ギャラリーがそれなりにいる。

 観戦席で小声で話しているが、恵遊は地獄耳だ。

 

『おい、編入生がデュエルするみたいだぜ』

『誰だ?』

『青芝恵遊だ』

『ああ、ハンバーガー買い占めてたな。相手は?』

『聖野凛子だ』

『それって……』

『中等部二年から腕を上げてきた『暴竜の妄信者』聖野凛子だ』

『好きな人がいるって話だったよな』

『ああ。本人が言ってた』

『本人の目がヤバいことになってるってことは、そう言うことなのか?』

『俺、あんな彼女嫌だ』

『話を戻すぞ。どうやら『プライバシーブレイカー』によると、このデュエルで聖野凛子が勝利した場合、二人は交際するという話だ』

『編入生が勝利した場合は?』

『知らん。編入生が主導権を握れる程度のもんだろ』

 

 なるほど、だいたい状況は分かった。

 しかし……なんというか、世も末である。いろんな意味で。

 

「恵遊君。『恋は盲目』って言葉。知ってるよね」

「当然だ」

「自覚してるよ?私は今のその状態だってこと。でも、そのおかげで私は強くなった」

「そうか」

「もともと、聖野家はデュエルモンスターズの名門。滅私奉公を押し付けられたけど、そんなの無駄だった。恋の魔法で私は強くなった。だから、失望させないでよ」

 

 期待に満ちた瞳でそう言う聖野に対して、恵遊はいいかえす。

 

「とりあえず言うと……ぬかすな」

 

 恵遊はカードを五枚引いた。

 聖野もカードを五枚引く。

 

「「デュエル!」」

 

 恵遊 LP4000

 凛子 LP4000

 

「私の先攻。まずは『BF-朧影のゴウフウ』を特殊召喚」

 

 BF-朧影のゴウフウ ATK0 ☆5

 朧影トークン     ATK0 ☆1

 朧影トークン     ATK0 ☆1

 

「制限カードを普通に初手に持ってくるとは……」

「これくらい普通だよ。ゴウフウとトークン一体を使って、『水晶機巧-ハリファイバー』をリンク召喚。効果で『ジェット・シンクロン』を特殊召喚するよ」

 

 ジェット・シンクロン   ATK 500 ☆1

 

「手札から『レッド・リゾネーター』を召喚。効果にチェーンして『レッド・ウルフ』の効果を発動。レッド・ウルフを特殊召喚して、リゾネーターの効果で手札の『聖鳥クレイン』を特殊召喚。一枚ドロー」

 

 レッド・リゾネーター ATK 600 ☆2

 聖鳥クレイン     ATK1600 ☆4

 レッド・ウルフ    ATK1400→700 ☆6

 

 一気に出してきた。

 

「レベル4の聖鳥クレインにレベル1のジェット・シンクロンをチューニング。『TG ハイパー・ライブラリアン』をシンクロ召喚」

 

 TG ハイパー・ライブラリアン ATK2400 ☆5

 

「これは……しばらく止まらんな」

「その通り。レベル6のレッド・ウルフにレベル2のレッド・リゾネーターをチューニング。『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』をシンクロ召喚」

 

 レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト ATK3000 ☆8

 

「ライブラ効果で一枚ドロー。手札一枚をコストにして墓地のジェット・シンクロンを特殊召喚して、スカーライトにチューニング、『琰魔竜 レッド・デーモン・アビス』をシンクロ召喚」

 

 琰魔竜 レッド・デーモン・アビス ATK3200 ☆9

 

「ライブラで一枚ドロー。まだだよ。デッキトップを墓地に送り、『グローアップ・バルブ』を特殊召喚。アビスにチューニング。『琰魔竜 レッド・デーモン・ベリアル』をシンクロ召喚」

 

 琰魔竜 レッド・デーモン・ベリアル ATK3500 ☆10

 

「ライブラで一枚ドロー。『ポジションチェンジ』を出して、ベリアルを移動。朧影トークンを『リンクリボー』にして、ベリアルの効果でリンクリボーをリリース、アビスを蘇生する」

 

 琰魔竜 レッド・デーモン・アビス ATK3200 ☆9

 

「『貪欲な壺』を使って、ゴウフウ、聖鳥クレイン、レッド・ウルフ、リンクリボー、ミラー・リゾネーターをデッキに戻して二枚ドロー」

 

 ミラー・リゾネーターなんていつ……ああ、ジェット・シンクロンの蘇生コストか。

 

「カードを一枚セットしてターンエンド。さあ、恵遊君のターンだよ」

「……」

 

 手札五枚からスタートして、手札は二枚だ。ここまではいい。

 で、フィールドには、ハリファイバーとライブラリアン。そして、カード効果を無効にしてくるアビスと、なんだかんだ言って攻撃力の高いベリアル。そしてポジションチェンジ。

 あと伏せカードが一枚。

 

「ずいぶんとぜいたくなフィールドだ。俺のターン。ドロー!」

 

 さて、アビスの無効効果をいつ使って来るか……。

 いや、フォーミュラが来るとすればレベル7も行けるからアイツも……ああめんどくせえ!

 

「まずはジャブだ。『手札抹殺』を発動。お互いにカードを捨てて、そして捨てた枚数分ドローする」

「アビスの効果は発動しない」

 

 手札をチラッと見た。

 まあ、墓地に送っておきたいカードがあったのだろう。多分。

 恵遊は五枚捨てて五枚ドロー。

 凛子は二枚捨てて二枚ドローした。

 

「手札から『カードガンナー』を召喚」

 

 カードガンナー ATK400 ☆3

 

「で、手札から『機械複製術』を発動。どうする?」

「アビスの効果で無効にする」

 

 だよな。

 

「だが、カードガンナーの効果発動。デッキトップ三枚を墓地に送って攻撃力を1500ポイントアップさせる」

 

 カードガンナー ATK400→1900

 

「なら、こっちはハリファイバーの効果を発動。『フォーミュラ・シンクロン』をシンクロ召喚扱いで特殊召喚だよ。ライブラとフォーミュラの効果で、二枚ドローする」

 

 フォーミュラ・シンクロン DFE1500 ☆2

 

 相手ターンにカードを動かすだけで手札が増える謎現象である。

 

「そして、レベル5のライブラリアンに、レベル2のフォーミュラ・シンクロンをチューニング。『月華竜 ブラック・ローズ』をシンクロ召喚!」

 

 月華竜 ブラック・ローズ ATK2400 ☆7

 

「レベル5以上が出てきたらそれをバウンスする能力だったな」

「そうだよ」

「なら、『月の書』を発動。悪いが、せっかくのブラック・ローズは裏守備表示にしてもらう」

「む……」

「あいにく、邪魔なんでな。魔法カード『儀式の下準備』を発動して、デッキから『ハンバーガーのレシピ』と『ハングリーバーガー』を手札に加える。『ハンバーガーのレシピ』を発動して、墓地の『儀式魔人デモリッシャー』と『儀式魔人プレコグスター』を除外、『ハングリーバーガー』を儀式召喚!」

 

 ハングリーバーガー ATK2000 ☆6

 

 現れるハンバーガー。

 イラストからすれば完璧に悪魔族だが、何故か戦士族。

 闇属性であり、攻撃力2000と言う初期に登場した誰得カードなのだが、ハンバーガー中毒者である恵遊にとっては最大のフェイバリットカードだ。

 

「は……ハングリーバーガー?」

「そうだ。手札の『最強の盾』をハングリーバーガーに装備させる。攻撃力は3850になる」

 

 ハングリーバーガー ATK2000→3850

 

 構えた。と言うよりは添えられたと言う方が正しいと思われるが、まあそれはいいとして、『青眼の白龍』だろうと『究極完全態・グレート・モス』だろうと、正面から殴れる攻撃力になった。

 

「な……そっか。戦士族」

「そういうことだ。バトル!ハングリーバーガーで、レッド・デーモン・ベリアルを攻撃!」

 

 添えられた盾からエネルギー光線が放射されて、レッド・デーモン・ベリアルを貫いた。

 

 凛子 LP4000→3650

 

「むう……こんな簡単にベリアルが……」

「欲張りすぎだ。あと、プレコグスターの効果だ。手札を一枚選択して墓地に送ってもらう」

「儀式魔人か……厄介だね」

 

 手札を一枚墓地に送った。

 

「カードガンナーで、セットされているブラック・ローズを攻撃。ブラック・ローズの守備力は1800だったはずだ。破壊可能」

 

 カードガンナーの砲撃で、ブラック・ローズが吹き飛んだ。

 

「む……」

「俺はこれでターンエンドだ」

 

 カードガンナー ATK1900→400

 

「私のターン。ドロー!」

 

 凛子はフィールドを見る。

 少々計算外ではあったが、手札は4枚。フィールドにはアビスが残っている。

 攻撃力では負けているが、十分だ。ここから巻き返せる。

 

「『リビングデッドの呼び声』を発動。『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』を墓地から特殊召喚!」

 

 レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト ATK3000 ☆8

 

「そして、『チェーン・リゾネーター』を召喚。効果発動。デッキから『フレア・リゾネーター』を特殊召喚!」

 

 チェーン・リゾネーター ATK100 ☆1

 フレア・リゾネーター  ATK300 ☆3

 

「てことは……」

 

 何故だろうな。凛子の体が燃え上がっているように見える。

 

「私はレベル8のレッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライトに、レベル1のチェーン・リゾネーターと、レベル3のフレア・リゾネーターをダブルチューニング!」

 

 紅蓮の悪魔の竜。

 

「シンクロ召喚!レベル12『スカ―レッド・ノヴァ・ドラゴン』!」

 

 スカ―レッド・ノヴァ・ドラゴン ATK3500 ☆12

 

「スカ―レッド・ノヴァ・ドラゴンの攻撃力は、フレア・リゾネーターの効果で300アップして、さらに、墓地のチューナー一体につき、500ポイント攻撃力を上げる。私の墓地にいるチューナーモンスターは七体!」

 

 レッド・リゾネーター

 グローアップ・バルブ

 フォーミュラ・シンクロン

 ダーク・リゾネーター(手札抹殺)

 バリア・リゾネーター(プレコグスター)

 チェーン・リゾネーター

 フレア・リゾネーター

 

 スカ―レッド・ノヴァ・ドラゴン ATK3500→3800→7300

 

「な、7300だと!?」

「バトル!スカ―レッド・ノヴァ・ドラゴンで、カードガンナーを攻撃!」

「墓地から『超電磁タートル』を除外して、バトルフェイズを終了させる!」

「むう……『マジック・プランター』を発動して、リビングデッドの呼び声を墓地に送って二枚ドロー。カードを一枚セットして、ターンエンドだよ」

「俺のターン。ドロー!」

 

 さて、これは少々計算外だ。

 チューナーたまってるな。まあ、そのうち二枚は自業自得なので何も言えんが……。

 

「まずは『カードガンナー』の効果で、デッキトップを三枚墓地に送って攻撃力を上げる」

 

 カードガンナー ATK400→1900

 

「墓地の『ブレイクスルー・スキル』『ADチェンジャー』の効果を発動。アビスの効果を無効にして、スカ―レッド・ノヴァ・ドラゴンの表示形式を変更する」

「そんな……」

 

 スカ―レッド・ノヴァ・ドラゴン ATK7300→DFE3000

 

「守備力も高いが、俺のハングリーバーガーには及ばん。バトルだ。ハングリーバーガーで、スカ―レッド・ノヴァ・ドラゴンを攻撃!」

「スカ―レッド・ノヴァ・ドラゴンで、攻撃を無効に……」

「デモリッシャーを素材にしたハングリーバーガーは、相手の効果の対象にならない」

「嘘!?」

 

 エネルギー弾がスカ―レッド・ノヴァ・ドラゴンを貫く。

 守備表示なのでダメージはない。

 

「でも、これ以上やることはないね!」

「いや『リミッター解除』を発動する。これで、攻撃力は3800だ」

 

 カードガンナー ATK1900→3800

 

「こんな簡単に……」

「もともと、カードガンナーを主軸にして、墓地のカードで補助しながら、ハングリーバーガーで殴るデッキだからな。『機械複製術』が入っているのはそういう理由だ。カードガンナーでアビスを攻撃!」

 

 カードガンナーの砲撃がアビスを撃ちぬいた。

 

 凛子 LP3650→3050

 

「ターンエンドだ。カードガンナーは破壊される。そして、カードを一枚ドロー」

「私のターン。ドロー!」

 

 凛子は少々焦っている。

 手札は四枚ある。

 ギリギリの手札でやりくりしている恵遊と比べれば余裕はあるが、それでも、いいようにされているのも確かだ。

 異様に隙を突いて来る。

 まあ、儀式魔人とともに、墓地から発動するタイプのカードをそれなりに投入しているデッキなのだ。ある意味当然といえる。

 

「私は『復活の福音』を発動。墓地からスカーライトを復活させる!」

 

 レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト ATK3000 ☆8

 

 何度でも現れる傷ついたレッド・デーモンズ・ドラゴン。

 ドラゴン族ゆえにサポートが多いのは分かるが……。

 

「そして、『スカーレッド・カーペット』を発動。墓地から『チェーン・リゾネーター』と『シンクローン・リゾネーター』を特殊召喚して、スカーライトにダブルチューニング!『レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント』をシンクロ召喚!」

 

 レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント ATK3500 ☆10

 

「今度はタイラントか……」

「効果発動。このカード以外のすべてのカードを破壊する!」

 

 タイラントが掌底を地面にたたきつける。

 ハングリーバーガーは丸焦げになった。

 

「ち……全体除去には勝てんな……」

「バトル!レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラントで、恵遊君にダイレクトアタック!」

「墓地の『クリアクリボー』を除外して、効果発動!一枚ドローして、モンスターなら特殊召喚して、攻撃対象をそのモンスターに変更する」

 

 別にモンスターを引けなかったとしても負けないのだが、引けなかったら逆にまずい。

 

「ドロー!」

 

 ドローしたのは……。

 

「二体目の『カードガンナー』を守備表示で特殊召喚!」

 

 カードガンナー DFE400 ☆3

 

「そのモンスターが出てくるなんて……」

 

 タイラントはカードガンナーをブレスで焼き払った。

 

「破壊されたことで、一枚ドロー!」

「通らない……私はこれでターンエンド!」

 

 さて、そろそろまずいことになってきたな。

 恵遊のデッキは『ハングリーバーガー』を主軸としたもので、確かに『最強の盾』を装備すればそれ相応の攻撃力にはなるが、基本的にはファンデッキの域を出ない。

 言ってしまえば、決定打になるものがほとんどないのだ。あと、防御手段もいろいろと使いすぎている。

 このままではじり貧だ。

 

「俺のターン。ドロー!」

 

 よし!

 

「このターンで決める」

「!」

 

 警戒したような雰囲気を出す凛子だが、もう遅い。

 

「『死者蘇生』を発動。墓地の『ハングリーバーガー』を特殊召喚!」

 

 ハングリーバーガー ATK2000 ☆6

 

「そして装備魔法『魔界の足枷』を発動!タイラントに装備させる!」

「しまった!」

 

 レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント ATK3500→100

 

 【レッド・デーモン】関連のモンスターは攻撃力が軒並み高いので、破壊耐性を付与するだけでそれなりに場持ちがよくなる。

 だが、こうして攻撃力を変えてやると、弱体化にはもってこいなのだ。

 

「ラスト!『アサルト・アーマー』をハングリーバーガーに装備させて、その後墓地に送ることで、二回攻撃を可能にする。バトルだ!ハングリーバーガーで、レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラントを攻撃!」

 

 ハングリーバーガーは自分にはさんでいるトマトをタイラントめがけて飛ばした。

 

「うっ……」

 

 凛子 LP3050→1150

 

「さあ、決闘終了(メインディッシュ)だ。ダイレクトアタック!」

 

 ハングリーバーガーは凛子めがけて、ついている旗(日本の国旗)を飛ばした。

 

 凛子 LP1150→0

 

 

 勝者、青芝恵遊

 

「あー……疲れた……」

「やったね!恵遊君!」

 

 ものすごく空気だった幸原が話しかけてくる。

 デュエルコートから降りた。

 凛子がすごくどんよりした雰囲気で来た。

 

「むう……恵遊君を私のものにできると思ってたのに!」

「知らんわそんなの」

 

 どうしろって言うんだ?俺に。

 

「まあいいよ。次は私が勝つ!」

「はぁ……ぬかすな。次も俺が勝つ」

 

 バーガーが入った袋を拾って、恵遊はデュエルコートを後にした。

 

 ★

 

 恵遊は自分の部屋のベッドに倒れこんだ。

 

「凛子。本気ではなかったな。まあ、『本気で無かったのはお互い様』か。それにしても……どこかであったかな」

 

 凛子に会った記憶がない恵遊。

 自分に対して、まあ、かなり重いが、好意を抱いているのは分かる。

 だが、恵遊の方に記憶はないのだ。

 

「まあいいか。いずれにせよ、俺は市場よりも先行販売されるハンバーガーが多数あるからここに来ただけだ」

 

 周りがそれだけを望むかどうかは関係ない。

 良くも悪くも、ハンバーガーのことだけしか考えていない恵遊だった。

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