遊戯王Fool ~バーガー中毒者の黙示録~   作:レルクス

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遅くなって申し訳ない。
忙しかったのです。いろいろと。


第十話

 綴統一というプロデュエリストと引き分けた恵遊だが、そのデュエルがネット上に拡散している。

 とはいえ、攻撃力2000のバニラである『ハングリーバーガー』をエースとする恵遊と、攻撃力4000で制圧力、耐性、後続召喚と、できることが多い『覇王龍ズァーク』をエースとする統一の引き分けと言うのもなかなか妙な話だが、それでも、お互いにデュエルタクティクスがすぐれていることは否定できない。

 

 その状態になると、青芝恵遊と言うデュエリストが注目されることは避けられない。

 そうなると、困るもの達も存在するのだ。

 

 それが、神代家。

 神代家の人間は、『とある才能』を有しており、それを磨くことでデュエルの世界で栄光を積み上げてきた名家である。

 実力主義ではなく、選民主義。

 圧倒的な実力ではなく、その才能を磨くことのみを貫いている。

 

 恵遊もその才能を有していたが、彼は何時の日からか、その力から離れてしまった。

 そして、離れた末に神代家の当主である父を超えた。

 その結果彼は家を追いだされたわけだが、それでも、彼が神代家であったという事実が消えることはない。

 頭のネジが何本が飛んでいるというより、頭がネジ以外の何かで止まっている恵遊だが、まぎれもない実力者であることは事実。

 ならば、なぜ恵遊を家から追い出したのか。

 そんな声が、神代家の周辺で発生している。

 選民主義である神代家だが、比較的新しい関係を築いた周辺組織の中には、ついでの気分で神代家に近づき、そして、明らかな実績を求めているもの達も多い。

 恵遊のような実力者で、デュエリストとしてキャラの濃い者は、いろいろな意味でプロの世界でも重要なのだ。

 

 だからこそ、それをどうにかしなければならない状況に、彼女(・・)はなってしまう。

 

「美咲様……」

「お父様からの命令ですね」

 

 神代美咲。

 デュエルスクール・ボーダーの序列一位にして、デュエルの名家、神代家の長女。

 神代家としての『教育』を受け、そして、神代家として戦ってきた少女だ。

 

「青芝恵遊を倒し、神代家の最強が伝統を正しく受け継いできたものであることを証明しろ。という命令ですか」

「焦っているのでしょうね。家臣団の中に、噂好きの人間がいたのでしょうか。私もお父様も、兄さんに勝つことができなかったことが知れ渡っているようです」

 

 人の口には戸が立てられない。

 美咲もわかっていることだ。

 どのような権力を用いたとしても、『ここだけの話』と言う言葉でとまるほど、人は甘くない。

 『ここだけの話』というのは、本人の意図を無視して拡散され、何時の日か漏れ出すもの。

 

 だからこそ、スキャンダルを写真に撮って雑誌に載せる記者たちが食いっぱぐれないのだ。

 『報道の自由』と言うのは恐ろしい。

 あとで止めることはできる。

 だが、それは逆に言えば、止めるまで広まり続けるということでもある。

 

「わざわざ私に命令する以上、お父様も、自分の力では勝てないことをわかっているのでしょう。だから、私に命令してきた」

「それはそれとしても……どうするのですか?」

 

 朱里からすれば、恵遊も美咲も、自分より上の実力を持つ者たち。

 はっきり言って、想定することはできない。

 

「デュエルするしかないでしょうね。兄さんがもしも私より弱かったら、どれほどよかったか……」

 

 強者は弱者を守れる。

 だが、逆は不可能だ。

 恵遊が美咲よりも弱いのであれば、強者として、美咲は恵遊を守るために動ける。

 しかし、恵遊は、美咲が本気を出しても勝てるかどうかは分からない相手。

 

「今日の夜までに、証明することになっていますが……」

「……どうなるのかは、私にもわかりません。ただ、答えはデュエルで見つけましょう」

 

 美咲は、そういって微笑んだ。

 

 ★

 

「予想はしていたんだがなぁ……」

 

 朱里からの伝言を受けて、状況を大体察した恵遊。

 美咲に与えられたデュエルコートに向かっているところだ。

 ハンバーガーはもちろん食べながらである。

 

「でも、恵遊君は自重するタイプじゃないよね」

「そうだね。結構やりたい放題だし」

 

 凛子と茜も、恵遊を助けることはない。

 というより、名家である凛子としても神代家は大きい存在だし、茜としてもどうすればいいのか判断に困る。

 

「まあ、後はデュエルすればわかるさ」

 

 向こうのデッキが何を考えているのかは知らないのだが。

 

 デュエルコートにつくと、そこでは美咲が待っていた。

 コートの外では、朱里が静かに待っていた。

 観客も多い中、静かにたたずんでいる。

 

(昔はすぐに泣きついて来る可愛い妹だったが、成長したもんだ。まあ、成長せざるを得なくなったとも言うが……)

 

 恵遊はそう思ったが、口には出さなかった。

 観客席の方を見る。

 そこには、久しぶりに見る実の父、神代豪真(かみしろごうま)が座っている。

 最後に見た時より太ったな……昔はまだ痩せていたのだが……。

 

 まあそれは今はいい。

 恵遊は美咲の方を見る。

 

「兄さん。デュエルを受けてくれてありがとうございます」

「ま、妹からの頼みだからな」

「ある程度、状況は察していると思いますが、私としては、兄さんが相手でも負けるつもりはありません」

「それでいいぞ。かかって来い」

 

 恵遊はハンバーガーをおいてデュエルディスクを構える。

 

「神代家としての、私の本気を出します」

 

 美咲はデュエルディスクを構える。

 先ほどまでは微笑んでいた令嬢という雰囲気だったが、急に空気が変わった。

 美咲は、恵遊を相手に妥協することはない。

 

(さて、試してやるか)

 

 お互いにカードを五枚引いた。

 

「「デュエル!」」

 

 恵遊 LP4000

 美咲 LP4000

 

 ターンランプがついたのは恵遊。

 

「俺のターン。『切り込み隊長』を召喚して『カードガンナー』を特殊召喚。デッキからカードを三枚落として、二体でオーバーレイ。『彼岸の旅人 ダンテ』をエクシーズ召喚。効果発動」

 

 彼岸の旅人 ダンテ DFE2500

 

 すばやく墓地にカードをためていく恵遊。

 

「俺はこれでターンエンドだ」

「先攻ではダンテを置くのが主流になってきましたね。兄さん」

「まあ、別に悪い数値じゃないからな」

「そうですか……私のターン。ドロー」

 

 美咲はドローしたカードを見て、一瞬だけ苦い顔をした。

 

「私は手札から『ドラゴン・目覚めの旋律』を発動。手札の『伝説の白石』を墓地に送り、『青眼の白龍』『青眼の亜白龍』を手札に加えます。そして、伝説の白石の効果で、二枚目の『青眼の白龍』を手札に加えます」

「神代家としてのデュエルか……」

「そう言ったはずです。積み重ねてきた『青眼』の重み、今度こそ、兄さんを倒します。私は『青眼の白龍』を見せることで、『青眼の亜白龍』を特殊召喚!」

 

 青眼の亜白龍 ATK3000 ☆8

 

「オルタナティブの効果発動。ダンテを破壊します!」

「無駄だ『スキル・プリズナー』を除外して、ダンテを対象とする効果を無効にする」

 

 オルタナティブのブレスは無効になった。

 

「……ですが、私は魔法カード『融合』を発動。フィールドの青眼の亜白龍と、手札の青眼の白龍二体で、『真青眼の究極竜』を融合召喚します!」

 

 真青眼の究極竜 ATK4500 ☆12

 

「さらに、手札から魔法カード『魂の解放』を発動。兄さんの墓地にある、カードガンナーとダンテで墓地に送られた五枚を除外します」

「なるほどな……」

 

 五枚のカードが除外されたことを確認する恵遊。

 

「バトル!ネオ・ブルーアイズで、ダンテを攻撃!」

「当然破壊される」

 

 吹き飛んでいくダンテ。

 墓地肥しも意味が無くなり、なんというか、あまり役に立った感じがしないのだが、それを言うのは野暮と言うものである。

 

「ネオ・ブルーアイズの効果に寄り、エクストラデッキから二枚目の『真青眼の究極竜』を墓地に送り、追加攻撃を行います。兄さんにダイレクトアタック!」

 

 この瞬間、多くのデュエリストは、美咲の勝利を確信していた。

 多くのデュエルで、恵遊は墓地のカードに頼った戦術を展開している。

 それを一気に除外する『魂の解放』を美咲が持っていたことも評価すべきだが、このままでは防ぐことはできない。

 

「残念ながら、まだ無理だな。『バトルフェーダー』を特殊召喚して、バトルフェイズを終了させる」

「……私はカードを一枚セットして、ターンエンドです」

「俺のターン。ドロー!」

 

 恵遊は美咲が出したネオ・ブルーアイズを見る。

 神代家にいた時点では、美咲が『使うことを許されていなかったカード』だ。

 これを使うことが出来るということは、それ相応の実力を見に付けたということでもある。

 

(二枚目のネオ・ブルーアイズが落ちた。対象に取っても一回は無効になるな)

 

 そう思いながら、カードを使う。

 

「俺は『儀式の下準備』を発動。『ハンバーガーのレシピ』と『ハングリーバーガー』を手札に加える」

「揃えてきましたか。ですが、素材はあるのですか?」

 

 もちろん。

 

「『異次元からの埋葬』を発動。『儀式魔人プレサイダー』『儀式魔人ディザーズ』『タスケルトン』を墓地に戻して、『ハンバーガーのレシピ』を発動。フィールドのバトルフェーダーと、墓地のプレサイダー、ディザーズを素材にして、『ハングリーバーガー』を儀式召喚!」

 

 ハングリーバーガー ATK2000 ☆6

 

 降臨するバーガー。

 そして、ネオ・ブルーアイズを見て、『よっ。久しぶり!……あれ?何か変わってる』みたいな感じで不思議そうな雰囲気を出した。

 だが、ネオ・ブルーアイズは何も言わない。

 青眼の白龍を束ねた彼だが、何も言わず、表情も変えない。

 ハングリーバーガーはそれを不思議がっていたが、今はそれは置いておくことにした。

 美咲は、勝つことができなかったバーガーを相手にして、歯ぎしりする。

 

「きましたか……」

「ああ。俺は『アームズ・ホール』を使って、デッキトップを墓地に送って、『月鏡の盾』を手札に加える。そして、ハングリーバーガーに装備」

 

 ハングリーバーガーは『お、今回はこっちか』と言いたそうな雰囲気で添えられる盾を見る。

 『最強の盾』ではどう頑張っても無理なのである。

 

「バトル!ハングリーバーガーで、ネオ・ブルーアイズを攻撃!攻撃力は一時的に4600になる」

 

 盾からレーザーが放出され、ネオ・ブルーアイズを貫いた。

 本当にマジで、恵遊が使っている盾系統の装備魔法は何があったのだろうか。

 

 美咲 LP4000→3900

 

「効果で一枚ドローだ。ふーむ……カードを一枚セットして、ターンエンドだ」

「私のターン。ドロー!」

 

 美咲は勢いよくカードを引く。

 

「私は『サイクロン』を発動。『月鏡の盾』を破壊します」

「ライフを500払ってデッキの下に置く」

 

 恵遊 LP4000→3500

 

「私は『命削りの宝札』を発動。デッキからカードを三枚ドロー……すべてセットして、ターン終了です」

 

 セットは四枚。モンスターはゼロ。

 

「俺のターン。ドロー。バトルフェイズ。ハングリーバーガーでダイレクトアタックだ」

「永続罠『リビングデッドの呼び声』を発動。墓地から『真青眼の究極竜』を特殊召喚!」

 

 真青眼の究極竜 ATK4500 ☆12

 

「俺はこのままターンエンドだ」

「私のターン。ドロー!『真青眼の究極竜』で、ハングリーバーガーを攻撃!」

「『針虫の巣窟』を発動……『ネクロ・ガードナー』を除外する」

 

 美咲の攻撃は通らない。

 

「……私はターンエンドです」

「俺のターン。ドロー!」

 

 さてと……。

 

「俺は二枚目の『アームズ・ホール』を使って、デッキトップを墓地に送って『最強の盾』を手札に加える。そして装備だ」

 

 ハングリーバーガーは気合が入ったようで、『よっしゃあ!』と言った感じだ。

 

 ハングリーバーガー ATK2000→3850

 

「そして、デッキトップを墓地に送って『グローアップ・バルブ』を特殊召喚して、『カーボネドン』を墓地から除外して『ハウンド・ドラゴン』を特殊召喚。二体で『アームズ・エイド』をシンクロ召喚する。そして装備!」

 

 ハングリーバーガー ATK3850→4850

 

「――!」

「バトルだ。ハングリーバーガーで、真青眼の究極竜を攻撃!」

「罠カード『ダメージ・ダイエット』を発動します」

 

 美咲 LP3900→3725

 

「一枚ドロー。あと、アームズ・エイドの効果だ。ダメージを受けてもらう」

 

 美咲 LP3900→1475

 

「こ……ここまで私が……」

「なんだ。俺より強くなっていると思ったのか?まあいいけどな。俺はターンエンドだ」

「私のターン」

 

 美咲はデッキトップに指をかける。

 その時、美咲の後ろから怒声が響く。

 

「美咲!何をしている!さっさとその目障りな雑魚を潰せ!」

 

 神代豪真の叫びだった。

 美咲が驚いたように豪真を見る。

 

「お父様……」

「何を躊躇している。そいつは神代家の恥なのだ。そんな雑魚に劣勢など、私は認めないぞ!」

 

 伝統や歴史にすがるしか、方法を知らない男。

 それが、神代豪真と言う男だ。

 だからこそ、他に何も持っていない。

 伝統にすがってきたゆえに、大きな失敗がないし、成功もそれなりにではあるが約束されていた。

 だからこそ、認めないのだ。

 

「私のターン。ドロー!私は『青き眼の乙女』を召喚、『ワンダー・ワンド』を使い、『青眼の白龍』を特殊召喚します。そして、ワンダー・ワンドの効果を使い、二枚ドロー」

 

 青眼の白龍 ATK3000 ☆8

 

「『ハーピィの羽根箒』を発動。兄さんのフィールドの装備カードを全て破壊します」

 

 ハングリーバーガー ATK4850→2000

 

「バトル。青眼の白龍で、ハングリーバーガーを攻撃!」

「……」

 

 恵遊 LP3500→2500

 

「通った……ターンエンドです」

「俺のターン。ドロー」

 

 ドローしたカードを見て、恵遊は溜息を吐く。

 

「『死者蘇生』を使って『カードガンナー』を特殊召喚。『地獄の暴走召喚』を発動だ」

 

 カードガンナー ATK 400 ☆3

 カードガンナー ATK 400 ☆3

 カードガンナー ATK 400 ☆3

 青眼の白龍   ATK3000 ☆8

 青眼の白龍   ATK3000 ☆8

 青眼の亜白龍  ATK3000 ☆8

 

「そ、そのカードを」

「いつもなら『機械複製術』なんだがな。効果発動。デッキから九枚を墓地に送って、攻撃力を上げる。さらに『リミッター解除』だ」

 

 カードガンナー ATK400→1900→3800

 カードガンナー ATK400→1900→3800

 カードガンナー ATK400→1900→3800

 

「!」

「いつもの余裕が崩れてきてるな。俺とデュエルする時は何時もそんな感じだぞ?どんだけ自分の兄を化け物だと思っているんだか……」

「私は『威嚇する咆哮』を発動。攻撃宣言はできません」

「……ターンエンドだ。ターン終了時に破壊される。三枚ドロー」

 

 美咲は焦っている。

 当然ながら、まだ、美咲の中でも迷っているのだ。

 

「美咲。一つだけ言っておく。俺を守れるのはお前だけじゃない」

「……え?」

 

 恵遊が言ったその言葉に、美咲は驚く。

 

「お前は、俺を守れるのが自分だけだと思っているようだが、そんなことはない。確かに神代家は大きいけどな。俺にだっていろいろいるんだ。だからまあ……」

 

 恵遊は何を言うか考えた後、最後にこういった。

 

「お前は、自由にやればいい」

「……はい。私のターン。ドロー!」

 

 ドローしたカードを見て、美咲は微笑む。

 

「私は『青眼の白龍』三体をリリース!」

 

 今までは何も言わず、表情すら変えなかった青眼の白竜たちは、美咲のその宣言で、歓喜の咆哮を上げる。

 そして、飛び立ち、消え去っていくと……。

 

「現れなさい。『オベリスクの巨神兵』!」

 

 オベリスクの巨神兵 ATK4000 ☆10

 

「……」

 

 久しぶりに見るオベリスク。

 恵遊は、美咲がそのカードをドローしただけでも満足だった。

 

「バトル。オベリスクの巨神兵で、兄さんにダイレクトアタック!」

「墓地から『超電磁タートル』を除外して、バトルフェイズを終了させる」

「……私はターンエンドです」

「俺のターン。ドロー。『契約の履行』を発動。戻って来い。『ハングリーバーガー』!」

 

 恵遊 LP2500→1700

 ハングリーバーガー ATK2000 ☆6

 

 ハングリーバーガーが戻って来る。

 ハングリーバーガーは、『再び参じょ……うっは。めっさ久しぶり!』みたいな感じで困惑していた。

 今の美咲では出せると思っていなかったのだ。ちょっと墓地で休憩していたらいつの間にか出てきたのだからびっくりである。

 

「手札の『最強の盾』を二枚装備だ。楽しかったぞ。美咲」

「……はい。お兄ちゃん」

 

 ハングリーバーガー ATK2000→3850→5700

 

決闘終了(メインディッシュ)だ。ハングリーバーガーで、オベリスクの巨神兵を攻撃!」

 

 ハングリーバーガーが、二つの盾にエネルギーを集約させていく。

 オベリスクも、自分の右手にエネルギーを集めていく。

 

 ハングリーバーガーが放った二つの閃光と、オベリスクの拳が激突して、そのまま、オベリスクが消え去っていった。

 

 美咲 LP1475→0

 

 この時、観客は思った。

 

(この……言い表せないもやもやは一体何だ?)

 

 多分ハングリーバーガーのせいだと思うが、何かがもやもやしていた。

 だが、この結果を認めないものもいる。

 とはいえ……。

 

「おい、放せ!私を誰だと思っている!」

「五月蝿いぞ。私のガンドラの餌食にしてやろうか?」

 

 騒いでいる豪真を、学園長が無理矢理に引っ張って退室させていた。

 

「……お兄ちゃん」

「ま、俺は俺で何とかするさ。それじゃあな」

 

 恵遊は美咲に背を向ける。

 

「……ありがとうございます」

「兄として当然だ」

 

 オベリスクが腰を上げる気になったというのなら、たぶん大丈夫だ。

 恵遊はデュエルコートを出て、電話をかける。

 

「もしもし、先生。俺だけど……あ、事情はもうそっちで知ってるのか。ちょっと、頼みたいことがあるんだ」

 

 恵遊を守れる存在は、美咲だけではない。

 恵遊だって、そのままにしておく性格ではない。

 電話の相手から快い返事を受けると、恵遊は満足した顔で、いつも通りハンバーガーを食べ始めた。

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