遊戯王Fool ~バーガー中毒者の黙示録~   作:レルクス

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第十二話

 恵遊  LP4000

 ブープ LP4000

 

 裏路地で始まった恵遊とブープのデュエル。

 いつも通りの雰囲気でかまえる恵遊と、闇の力が溢れるデッキをディスクに装填しているブープ。

 

「先攻は譲ってやろう」

「っていうか。エースを考えると、明らかに後攻のデッキだもんな」

 

 恵遊は微笑む。

 そして、手札からモンスターを召喚した。

 

「俺は『おろかな埋葬』で『カードガンナー』をおとして、『クレーンクレーン』を召喚して釣り上げる。カードガンナーの効果を発動。デッキから三枚を墓地に送る」

 

 クレーンクレーン ATK300 ☆3

 カードガンナー  ATK400 ☆3

 

 現れる潤滑油。

 リロードが行われるが、それもまたいつも通りだ。

 

「二体でオーバーレイ。『彼岸の旅人 ダンテ』をエクシーズ召喚。効果を発動して、デッキから三枚を墓地に送る」

 

 彼岸の旅人 ダンテ DFE2500 ★3

 

「さらに、永続魔法『星邪の神喰』を発動。ターンエンドだ」

「なるほど、ある意味、万全の構えと言うわけか。我のターン。ドロー!」

 

 ブープはドローしたカードを見て微笑む。

 

「我は手札から『高等儀式術』を発動。デッキから『デーモン・ソルジャー』二体を墓地に送り、『闇の支配者-ゾーク』を儀式召喚する!」

 

 闇の支配者-ゾーク ATK2800 ☆8

 

「そして、『闇の量産工場』を発動。墓地に送った『デーモン・ソルジャー』二体を回収。一体を召喚」

 

 デーモン・ソルジャー ATK1900 ☆4

 

 本来ならあり得ない。

 ゾークの効果は、六分の一の確率で自分フィールドのモンスターを全て破壊する。

 普通なら効果を使った後に通常召喚するはずだ。

 

「そして、我はゾークの効果を発動!」

 

 そして出現するサイコロ。

 当然とばかりに、それはすべてが『1』だった。

 

「フフフ。当然、出る目は1だ。貴様のモンスターを全て破壊する!」

「チッ……」

 

 ダンテが破壊される。

 

「バトルフェイズ。ゾークでダイレクトアタック!」

「墓地の『ネクロ・ガードナー』を除外して攻撃を無効にする。そして、『星邪の神喰』の効果で、デッキから『SR三つ目のダイス』を墓地に送る」

「なるほど、そうして防御札を集めるわけか。デーモン・ソルジャーでダイレクトアタック!」

「当然、三つ目のダイスを除外して攻撃を無効にする」

 

 もともと、相性の悪いカードではない。

 少々、デッキの消費が大きくなるが。

 

「フン!我はカードを一枚セット。ターンエンドだ」

 

 手札は三枚残っている。そのうち一枚はデーモン・ソルジャーだ。

 ある意味で余裕があるといえるだろう。

 

「俺のターン。ドロー!『儀式の下準備』を発動。デッキから『ハンバーガーのレシピ』と『ハングリーバーガー』を手札に加える。そして発動。墓地からデモリッシャ-、プレコグスターを除外、『ハングリーバーガー』を儀式召喚!」

 

 ハングリーバーガー ATK2000

 

「クックック。やはりそいつか」

「当然だ。『最強の盾』を装備させる」

 

 ハングリーバーガーに最強の盾が添えられる。

 ハングリーバーガーは上機嫌だ。

 

 ハングリーバーガー ATK2000→3850

 

「そして『カードガンナー』を召喚して、効果を発動する」

 

 カードガンナー ATK400→1900 ☆

 

「『補給部隊』を発動して、バトル。ハングリーバーガーで、ゾークを攻撃!」

「『ガード・ブロック』を発動。ダメージを0にして一枚ドロー!」

 

 ゾークの破壊を許した……。

 だが、恵遊は見た。

 墓地に送られるゾークから、闇の力が抜けだして、デッキに戻っていくところを。

 

「クックック。我の力は基本的に、三枚のゾークに蓄積される。だが、破壊された場合は、すぐにデッキに戻るのだ。そして、墓地にあったとしても、デッキに戻せばまた使うことは可能」

「……三枚を倒す必要があるってことか」

 

 詳細は不明だが、それもそれである意味想定通りだ。

 

「だが、関係はない。カードガンナーでデーモン・ソルジャーに攻撃!」

 

 お互いに破壊される。

 

「カードガンナーと補給部隊の効果で合計二枚ドロー。メインフェイズ2だ。墓地から『ADチェンジャー』を除外して、ハングリーバーガーを守備表示に変更」

 

 ハングリーバーガー ATK3850→DFE3850

 

「『星邪の神喰』の効果で、デッキから『ネクロ・ガードナー』を墓地に送る。ターンエンドだ」

「我のターン。ドロー!」

 

 ドローしたカードを見ていい顔をしている。

 ドロー運がいいな。と思う恵遊だが、人のことは言え無い。

 

「我は手札から『サイクロン』を発動。その目障りな永続魔法を破壊する!」

 

 星邪の神喰が破壊された。

 まあ、嫌いになる理由が分からないわけではないが。

 

「さらに、『儀式の下準備』を発動し、二枚を手札に加える。『闇の支配者との契約』を発動。手札の『青眼の白龍』を墓地に送り、『闇の支配者-ゾーク』を儀式召喚!」

 

 闇の支配者-ゾーク ATK2800 ☆8

 

「懲りないな……それにしてもブルーアイズか……」

 

 持ってきていたみたいだな。まあ、今は置いておこう。

 

「我はゾークの効果を発動!」

 

 またもや出現する全1サイコロ。

 ハングリーバーガーが破壊された。

 

「補給部隊で一枚ドロー」

「構わん。『デーモン・ソルジャー』を召喚する」

 

 デーモン・ソルジャー ATK1900 ☆4

 

 蘇生カードを一枚も使っていないのに、同じフィールドになっている。

 なんだかんだ言って気色が悪いデッキだ。

 

「バトルフェイズ!ゾークでダイレクトアタック!」

「墓地から『超電磁タートル』を除外する」

「硬いな……我はカードをセット。ターンエンドだ」

 

 ブープの手札がなくなった。

 

「俺のターン。ドロー!」

 

 さて、このままだとじり貧だ。

 一発ドカッとやらないとどうにもならない。

 まあそれは向こうも同じだが。

 

「ここまで効果破壊を連発してくるのはなかなか……『真紅眼融合』を発動!デッキの『真紅眼の黒竜』と『ハングリーバーガー』を融合。現れろ。『真紅眼の黒刃竜』!」

 

 真紅眼の黒刃竜 ATK2800 ☆7

 

「そしてバトルフェイズ。黒刃竜で攻撃!この瞬間、黒刃竜の効果発動。墓地のハングリーバーガーを装備する!」

 

 よっこいしょ。と言った感じで装備されるハングリーバーガー。

 そして、その肉の円盤を飛ばす。

 

 真紅眼の黒刃竜 ATK2800→3000

 

「ぐ、ぬう……」

 

 ブープ LP4000→3800

 

「これでターンエンドだ」

「我のターン。ドロー!『契約の履行』を発動。墓地より蘇生せよ『闇の支配者-ゾーク』」

 

 ブープ LP3800→3000

 闇の支配者-ゾーク ATK2800 ☆8

 

 また出てくるのか……ん?

 

「黒オーラがない」

 

 墓地から特殊召喚されたゾークに、あの黒いオーラは乗っていなかった。

 

「我は永続罠『出たら目』を発動」

「それを入れるってことは……」

「当然、墓地から蘇生したゾークのためだ」

 

 なるほどねぇ……。

 ……予定は決まった。

 

「効果発動。む……目は6か。だが、『出たら目』を効果を適用し、1にする!」

 

 黒刃竜が破壊される。

 ここが恐ろしいところだ。

 ゾークの効果は、

 

 1・2   相手全破壊

 3・4・5 相手一体破壊

 6     自分全破壊

 

 であり、出たら目は、

 

 1・3・5→6

 2・4・6→1

 

 となる。しかも、適用するかどうかは自由なのだ。

 実際にサイコロを振った場合。

 

 『1』 適用させずに全破壊

 『2』 適用させずに全破壊

 『3』 適用させずに一体破壊

 『4』 適用させて全破壊

 『5』 適用させずに一体破壊

 『6』 適用させて全破壊

 

 となる。

 相手モンスターを全破壊する確率が三分の一から三分の二になり、自分のモンスターが全破壊される可能性がなくなる。

 ある意味で最高のサポートカードである。永続罠なのでちょっと遅いが。

 

「だが、補給部隊の効果で一枚ドローだ。そして黒刃竜の効果。戦闘、効果で破壊された時、装備していたモンスターを特殊召喚できる。戻って来い。ハングリーバーガー!」

 

 ハングリーバーガー DFE1850 ☆6

 

 恵遊のデュエルで、ハングリーバーガーが守備表示になることはそう多くはない。

 珍しい光景である。

 

「ならば、ゾークでハングリーバーガーを攻撃!」

 

 ハングリーバーガーが消し飛んだ。

 

「我はこれでターンエンドだ。さあ、次はどうする?」

 

 何度でも出してくるのはお互い様か。

 ならば……。

 

「俺のターン。ドロー!『強欲で貪欲な壺』を使って、デッキから十枚除外して二枚ドロー。来た!」

「何?一体何のカードを……」

 

 恵遊は上機嫌だ。

 

「ブープ。お前のデッキに眠っている最後のゾーク。その一枚に、お前の力が全て乗っている。それは間違いないな?」

「その通りだ。我の精霊力が全て乗ったこのカード。出すことが出来れば、相手のドローの下方修正すらも可能となるだろう。素晴らしい力だと思わないか?」

「さすがにすごいな。ただまあ……俺は魔法カードを発動する」

「何?」

「俺は魔法カード」

 

 恵遊は一枚のカードを発動する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『天声の服従』を発動!」

「何!?『天声の服従』だと!?」

「俺はライフを2000支払い、モンスターカードの名前、今回は『闇の支配者(ダーク・マスター)-ゾーク』を宣言。さあブープ。最後の一枚が残っているんだろう。そのカードを、俺の手札に加えるか、俺のフィールドに、召喚条件を無視して特殊召喚するか、選ぶんだな」

「く……手札に加えてもらおう」

 

 ブープのデッキから一枚のカードが出てきて、それが恵遊の手札に来た。

 恐ろしいほど闇にあふれたカードだ。普通のデュエリストなら、持っただけで精神を侵食される可能性もある。

 

 恵遊 LP4000→2000

 

「だが、どうする?貴様のデッキに、『闇の支配者との契約』が入っているのか?貴様のデッキの構築を考えれば、『高等儀式術』を入れる枠など存在しないだろう」

「確かに、俺にはそんなカードを入れる枠はないな。魔法カード『儀式の準備』を発動。デッキの『ハングリーバーガー』と、墓地の『ハンバーガーのレシピ』を手札に加える」

「何?……ん?……ま、まさか……」

 

 ブープの顔が蒼くなった。

 

「俺は『ハンバーガーのレシピ』を発動。リリースするのは、お前のゾークだ!」

 

 闇にあふれるゾークが出現するが、突如出現したおっさんに寄って、ただの食材に変わってしまった。

 黒い肉(焦げてないよ)となって、それを挟み込んで、儀式召喚される。

 

「儀式召喚、『ハングリーバーガー』!」

 

 ハングリーバーガー ATK2000 ☆6

 

 出現したハングリーバーガーだが、何かと黒いオーラにあふれている。

 

「まさか、私のゾークを素材にしてしまうとはな……だが、それに意味はない!貴様のカードに一時的に宿っただけだ。デュエル終了と共に、私のデッキに戻る」

「そのデッキに戻る部分にも条件があるんだろう?」

「そこまで言うつもりはない」

「当然だな。ただ、俺だってここで終わらせるつもりはない」

「何?」

「俺は速攻魔法『神秘の中華なべ』を発動」

 

 時が止まった。

 おっさんがまた出現。

 だが、時が止まったかのような空気に『あれ、今って出てきてよかったの?』と言った感じになる。

 

「おっさん。よろしく」

 

 おっさんは敬礼した。

 ……さすがに、デュエリストである恵遊の方が階級は上のようだ。

 おっさんはハングリーバーガーを見る。

 ハングリーバーガーは頷いた。

 

 おっさんはキッチンを創造する(!?)と、すごく大きな中華鍋をとりだした。

 ハングリーバーガーは、黒い肉を鍋の中に飛ばす。

 

 いろいろな調味料がかけられ、調理され……再びハングリーバーガーのもとに収まった。

 そしてハングリーバーガーがジャンプすると、普通のハンバーガーのサイズになって、恵遊の手に収まる。

 

「名付けて、『中華風ハンバーガー~闇にあふれた精霊仕込み~』だ」

「絶対に体に悪いって!」

 

 恵遊も実はそう思う。

 が、安全なのだ。おっさんが頑張ったからな。

 

「というわけで、いただきまーす!」

 

 ハンバーガーのがぶりとかみつく恵遊。

 そして、目を見開いた。

 

「旨い!めっちゃうまい!うまく説明できないけど!」

「リポーターとしての才能が皆無ではないか!ちょっと期待した我の感動を返せ!」

「知るか!」

 

 どうせみんなギャグ要因。

 この二人にシリアスな雰囲気など到底不可だったのだ。

 

「ふう、ごちそうさま。と言うわけで……お前のすべての精霊力は俺の糧となった」

 

 恵遊 LP2000→4000

 

「精霊力を『食べる』など、まるで意味が分からんぞ……」

「これが、小五のころに神代家を追い出されてから俺が鍛えてきた力だ。実はどんなゲテモノだってオレは食べられるんだよね」

「我の精霊力をゲテモノ扱いする気か貴様!」

「やかましい!もとよりまともな食材なわけないだろ!」

 

 ……正論である。

 

「話がそれた」

「チッ。我としたことが……だが、いいのか?我のフィールドにはゾークが健在、だというのに、折角のモンスターをリリースしてしまうとはな」

「いいのさ……だってもう終わってるようなものだからな」

「どういうことだ」

「お前のライフは残り3000で、ゾークの攻撃力は2800だ。要するに、攻撃力6000以上のモンスターを出して瞬間に俺の勝ちだ。というわけで、『サイバネティック・フュージョン・サポート』『パワー・ボンド』を発動!」

「何!?」

 

 恵遊 LP4000→2000

 

「久々の登場だぜ!パワー・ボンドで、墓地の『ユーフォロイド』と『ハングリーバーガー』を除外、『ユーフォロイド・ファイター』を融合召喚!」

 

 バーガー・オン・ザ・ユーフォー!

 

 ユーフォロイド・ファイター ATK3200→6400

 

「バカな……」

「さあ、決闘終了(メインディッシュ)だ!ユーフォロイド・ファイターで、ゾークを攻撃!」

 

 ハングリーバーガーが射出した肉の円盤が、ゾークを貫き、ブープに直撃する。

 

「ぐ……うおおおおおお!」

 

 ブープ LP3000→0

 

 ブープが吹き飛んでいった。

 そして、ブープを構成していた闇の力が次々と拡散していく。

 

「……なんだあれ」

「わ、我の……我の力が離れていく!今までこのようなことはなかったぞ!」

「そりゃあ……俺の糧になったからな。お前の力」

「ゆ、許さん。許さぬぞ!何時の日か、必ずこの雪辱を晴らす!首を洗って待っていろ。青芝恵遊!」

 

 そういい残すと、ブープは消えて言った。

 

「……また来るんだろうな。まあそれはいいか。全部終わったぜ。父さん」

 

 恵遊はデュエルディスクをしまうと、また、いつもの用にハンバーガーを食べ始めた。

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