「親善デュエル?」
放課後。
恵遊は美咲からそのデュエルの存在を聞いた。
「はい。エキセントリック・テンスは全員が学園対抗戦に参加することになりますが、お互いのことを理解することも含めて、デュエルを行うことになっています」
「エキセントリック・テンス全員か……」
青芝恵遊
神代美咲
久我昇平
猪八重銀二
神楽真司
西条剛毅
PB
「俺三人くらい知らないんだけどさ。なんかギャグ要因しかいない気がするんだけど」
「今更ですよお兄ちゃん」
それを元一位が言うのはどういうことなのだろうか。
まあいいだろう。
「それと、お兄ちゃんは先ほど三人知らないと言いましたが、その三人との顔合わせもありますね」
いろいろ目的はあるようだが、エキセントリック・テンスそのものは義務である。
親善デュエルも当然必要だ。
対抗戦に出場し、界人に挑みたいと考える恵遊にとっては必須である。
「行ってみるか」
「そうですね」
フフッと微笑む美咲。
楽しそうだが、実際楽しいと考えているのだろう。
まあ、いざとなればちょっとO☆HA☆NA☆SHIすればいいと考えているのだ。絶対に父さんは子育ての仕方を間違えている。
★
敷地内に高層ビルがある。
意味が分からないが、エキセントリック・テンス全員がこのビルにお世話になることが多いようだ。
エキセントリック・テンスに必要な施設がそろっていることはもちろん、セキュリティも高い。
通信のための電脳世界には『ファイアウォール・ドラゴン』がいるらしい。意味あるの?あるんです。
そんなビルに連れてこられた恵遊。
警備員がいたのだが、美咲と恵遊を見た瞬間に道を開けた。
これから中で何があるのかを知っている様子である。
中に入っても受付があったり、小さなレストランまでついていることが分かった。
ただ……従業員の動きに隙がないのだ。
「なんか……物騒な雰囲気があるな。スタッフが荒事に慣れてるって言うか……」
「警備が付くのはいつものことみたいですね。すごくひどいことになった経験がある要です」
「聞きたくなかった」
さて、そんなことを言っているうちに目的地に着いた。
デュエルコートが五つ存在する部屋である。
中では全員がそろっていたようだ。
PBに関しては、先日のデュエルの時と同じ服装である。
聞いていたことだが、周辺メンバーというか、側近に当たる生徒はいないようだ。
「む。来たか」
ゲーム端末をスリープモードにして、銀二がこちらを見る。
「これで全員がそろったね」
真司もスマホをポケットに突っ込んだ。
今まで何を見ていたのだろうか。
「まっ、恵遊はエキセントリック・テンスになったばかりだし、そんな感じだと思うゾ」
昇平はいつも通り、からからと笑った。
「……」
PBは沈黙している。
そして、何かを見ているようにも見えない。
本当に何もしていないのだ。子の空気でそれは何かすごいことのように感じる。
「まあいい。全員そろった。これで親善デュエルができる」
剛毅は通常通り済んで問題ないと思ったようだ。
恵遊は残っている三人を見る。
「自己紹介した方がいいかな?僕は
朗らかな笑みを浮かべた男子生徒だ。
黒い髪はやや伸ばしていてボサボサだ。
そして、カメラを首からぶら下げている。かなり本格的なものだ。
「因みに高等部三年で、写真部の部長でもあるんだ。よろしく」
「よろしくです」
次。
「私は
「ええもう本当に……」
部屋に入った時から『!?』という感じに一瞬なったが、姉か。
長い金髪であり、確かに妹の凛子によく似ている。
だが、明らかに別な部分があった。
……胸である。
妹は大きいのだが、この人はその……慎ましいのだ。はい。
あと……少し、PBの体が震えている気がした。
「何か失礼なこと考えてない?」
「いえ、なにも」
外見的な特徴なのだ。恵遊としてはどうしようもない。
次。
「私は
「……え、この学校って生徒会あったの?」
「知らなかったのか?」
「気配なかったです」
黒い髪を切りそろえて、さらに黒縁の眼鏡をかけている。
見た感じは『優等生』と言えるだろう。
「……まあいい。それで、デュエルは実際にどうする?」
「タッグデュエルでいいんじゃないかな。恵遊君は私たち三人をわかってないだろうし、それで十分わかると思うよ」
「僕はそれでいいよ」
「私もそれでかまわないが、恵遊。それでいいか?」
「俺もそれでいいです」
というわけで……。
何故か美咲がくじを持っていたので、チームも決めた。
恵遊&理央
吉野&昴
そのチームでデュエルすることになった。
デュエルコートに立って、全員がデュエルディスクを構える。
ギャラリーでも、いろいろと思うことはあるようで……。
「どういうデュエルになるんだろうね」
「真司。決まっているだろう。恵遊が混ざっている方が大体勝つ」
「デュエルと言うのはそう言うものではないと思うゾ?」
「私もそう思うが、まだ未知数の部分があるからな」
「お兄ちゃんは強いですからね」
「……」
PBが何も言わないのは相変わらずだが、予測として、恵遊がいる方が勝つというのが共通認識のようだ。
(それにしても、聖野家の人間とばかりタッグを組んでいるような……まあいいか)
恵遊は一先ずそう言うことは置いておくことにした。
「「「「デュエル!」」」」
恵遊&理央 LP4000
吉野&昴 LP4000
先攻は吉野。
「私か。まずは『おろかな埋葬』を発動。デッキから『ワイトプリンス』を墓地に送る。効果で『ワイト』と『ワイト夫人』を墓地に送る」
「えぇ!?」
わ、ワイトだと……いや、別に悪いわけじゃないんだけどさ。
デッキを見る。ふむ、カードは多いようだ。今は引いていないようだが『芝刈りワイト』の可能性が高い。
「『ワイトキング』を召喚。カードを一枚セットしてターンエンドだ」
ワイトキング ATK?→3000
降臨するガイコツ。
なんだかんだ言って強いんだけどなぁ……。
「私のターン。ドロー!ふーむ。良い感じかな?まずは『バイス・ドラゴン』を特殊召喚!」
バイス・ドラゴン ATK2000→1000 ☆5
恵遊は出てきたモンスターを見て表情を変える。
もしや……。
「そして、『フレア・リゾネーター』を召喚!」
フレア・リゾネーター ATK300 ☆3
「早速か」
「私はレベル5のバイス・ドラゴンに、レベル3のフレア・リゾネーターをチューニング。王者の鼓動、今ここに列をなす。天地鳴動の力を見るがいい!シンクロ召喚!我が魂、『レッド・デーモンズ・ドラゴン』!」
レッド・デーモンズ・ドラゴン ATK3000→3300 ☆8
フレア・リゾネーターが素材になったことで攻撃力が上昇している。
「スカーライトじゃないのか?」
「聖野家でスカーライトを使っているのは凛子ちゃんだけだよ。まあとにかく、私はレッド・デーモンズを強くなって来たわけだからね。と言うわけで『クリムゾン・ヘル・セキュア』を発動。相手の魔法・罠を全て破壊する!」
「『針虫の巣窟』を発動する。キングとプリンセスが落ちたことで2000上昇だ」
ワイトキング ATK3000→5000
これがワイトの意味不明なところだ。
というより王子がちょっと自重してほしい感じなのだが……そのあたりは言っても仕方がないだろう。
「ここまではほとんどいつも通りだな」
「ワイトキングの攻撃力が確保されているのも、レッド・デーモンズ・ドラゴンが出て来るのも、確かにいつも通りですね」
剛毅と美咲が呟いた。
ほかのメンバーもうなずいている。
PBは沈黙しているので分からないが。
「そして『月の書』を発動。ワイトキングをセット状態にするよ」
瞳はないが涙目になりながらも裏に引っ込んだワイトキング。
とはいえ……こうなってしまうと、レッド・デーモンズ・ドラゴンとの相性は最悪だ。
「そしてバトルフェイズ!レッド・デーモンズ・ドラゴンで、ワイトキングを攻撃。『アブソリュート・パワー・フォース』!」
掌底をワイトキングにたたきつけるレッド・デーモンズ。
ワイトキングは『あれ、ちょっとコーヒーブレイクを……ってギャアアアア!』と言った感じで、コーヒー豆が入った袋を手に散っていった。
「……いや、いいのかあれは」
恵遊でもちょっとへこむ可能性がある。
ちなみに、ワイトキングが自身の効果で復活できるのは戦闘で破壊された時のみ。
レッド・デーモンズ・ドラゴンが守備表示モンスターに攻撃する場合、戦闘破壊の前に効果破壊の効果が適用されるので、丸ごと砕け散るのだ。戦闘破壊に対応するリクルーターの天敵である。
「安心しろ。マロンが慰めているだろうからな」
「目に浮かぶようだよ」
針虫の巣窟で落ちていたのだろうか。
「私はカードを二枚セットして、ターンエンドだよ」
そんなことは丸っとスルーするかのように、リオはカードを伏せてエンド。
デュエルは続行だ。それは間違いない。
「僕のターン。ドロー!」
昴がドローする。
「フフフ……僕は『天帝従騎イデア』を召喚!効果に寄り、『冥帝従騎エイドス』を特殊召喚する!」
天帝従騎イデア ATK800 ☆1
冥帝従騎エイドス ATK800 ☆2
帝?
何か珍しい感じが……。
「クックック……ヒャーハッハッハ!全開で行くぞ!僕はイデアとエイドスをリリース。『The grand JUPITER』をアドバンス召喚!」
The grand JUPITER ATK2500 ☆8
突如降臨するプラネットシリーズ。
あと……。
「……なあ、なんかもう見ていられないくらいイタイ感じになってんだけど」
「生暖かい目で見守ってあげてね。本人はあまり気にしていないんだけど、プラネットシリーズみたいなカードを使った時はあんな感じになるから……」
「もしかして、デッキに大量に投入されているのか?」
「そうだよ」
ちなみに、地球と海王星は入っていないらしい。
地球 →無理
海王星→牢屋
と言った感じだろうか。いずれにせよそれが限界である。
「話はすんだか?ジュピターの効果発動!手札二枚をコストに、レッド・デーモンズ・ドラゴンを装備する!」
レッド・デーモンズ・ドラゴンが吸収されていく。
シンクロモンスターは奪われる運命にあるのだろうか。
まあそれはそれとして……。
The grand JUPITER ATK2500→5500
ちょっとえぐい攻撃力になってきたな。
「バトルフェイズだ!ジュピターでダイレクトアタック!」
「罠カード『ガード・ブロック』を発動。ダメージを無効にして一枚ドローだよ」
「チッ……カードを一枚セットしてターンエンドだ」
プラネットシリーズには驚いたが、手札消費の多いデッキのようだ。
そもそも、プラネットシリーズはそう言うものだが。
「俺のターン。ドロー!」
やっとターンが回ってきた。
「まずは『手札抹殺』を発動して手札交換。『儀式の下準備』『アームズ・ホール』を発動して、デッキからバーガーセットと『最強の盾』を手札に加える」
不自然なほど手札に加わるが、まあ、精霊力込みのデッキだ。
そもそも、ドロー運がないと回らないピーキーデッキである。
ただ、どうせピーキーなデッキを作っても回せる運があるのなら、他のカードを使った方がいいというのが周りの意見なのだが……まあ、それはそれである。
「そして、『ハンバーガーのレシピ』を発動。墓地のプレサイダー、ディザーズ、クリボールを除外、ハングリーバーガーを儀式召喚!最強の盾を装備させる」
ハングリーバーガー ATK2000→3850 ☆6
降臨するバーガー。
『俺、参上!……あれ、攻撃力5500って、ちょっとヤバくない?』と言った感じで、いろいろな意味で危機感を持った状態で登場。
攻撃力3850までなら大体正面から殴り倒す恵遊のハングリーバーガーだが、それ以上の攻撃力は苦手である。
「無駄だぜ!俺のジュピターの前に、そんな攻撃力のモンスターは通用しねえんだよ!」
一人称まで変わるのか。この男。
恵遊はかなり精神的につかれてきた。というか、見ているだけで何か痛々しいので、恵遊の方に耐性がないのである。
「そんな優位は、汎用カード一枚で覆るということを身を持って教えてやるさ。『サイクロン』を発動!」
モンスターカードが効果に寄って装備カードになる場合、その全てはルール上、装備カードとなる。
まあ、ハングリーバーガーに装備カードを付けて何とかしている恵遊が言うのも何だが、パワーだけでは解決できない世知辛い世の中なのだ。
竜巻が発生すると、ジュピターが装備しているレッド・デーモンズ・ドラゴンが破壊される。
The grand JUPITER ATK5500→2500
「何!?」
「バトルフェイズだ。ハングリーバーガーでジュピターに攻撃!」
最強の盾の中央にエネルギーが集約され、放出。
ジュピターは粉々になった。
吉野&昴 LP4000→2650
「効果で一枚ドローする」
「いやー……まさか。こんな簡単に突破されるなんてね。僕としてもなかなかないことだよ」
……戻ってる。
恵遊は何を言えばいいのかわからなくなった。
いや、言いなおそう。最初から分からなかった。
「俺はターンエンドだ」
「私のターンだ。ドロー」
吉野がカードをドローする。
「『馬頭鬼』をコストにして『ワン・フォー・ワン』を発動。デッキから『ワイトキング』を特殊召喚する」
ワイトキング ATK?→6000 ☆1
「そして、『馬頭鬼』を除外することで、墓地から『ワイトキング』を特殊召喚する」
ワイトキング ATK?→5000 ☆1
ワイトキング ATK6000→5000
「……攻撃力5000が二体か」
ワイトというのは、デッキにおける『目標』が定まっている。
即ち、ワイトカードを墓地に送り、ワイトキングを場に出す。それだけだ。
夫人がいればなおさら強い。
「バトルだ。ワイトキングで、ハングリーバーガーを攻撃!」
「『超電磁タートル』を使って、バトルフェイズを終了させる!」
「むぅ……墓地から除外するカードを引けないとあまり意味がないな。ターンエンドだ」
エンド宣言をした瞬間。理央が恵遊を見た。
恵遊はそのアイコンタクトに答える。
「『リビングデッドの呼び声』を発動。墓地から『レッド・デーモンズ・ドラゴン』を特殊召喚!」
レッド・デーモンズ・ドラゴン ATK3000 ☆8
復活するレッド・デーモンズ。
それを見て、吉野は苦い顔をした。
だが、既にエンド宣言は済ませている。
これ以上のことはできない。
「私のターン。ドロー!『紅蓮魔竜の壺』を発動して二枚ドロー。『闇の護封剣』を発動するよ!」
「バカな……」
再び、セット状態になるワイトキングたち。
「確かに相性がいいのは分かるけどさ。ちょっとドロー運がよすぎだゾ?」
「ハングリーバーガーがフィールドにいるからだろう。よくあることだ」
「だな。大体いいカードを引ける」
昇平が苦い顔をするが、身に覚えがある真司と銀二は頷く。
「バトルフェイズ。レッド・デーモンズ・ドラゴン。もう一度全てぶっ壊せ!」
アブソリュート・パワー・フォースを連続で叩きこむ。
二体のワイトキングは『ま、またコーヒータイムが……』『コーヒーサーバーが粉々に!』と言った感じで、コーヒー豆と、粉々になったサーバーを手に散っていった。
なんとも形容しがたい光景である。
「よっしゃ!ハングリーバーガーでダイレクトアタック!」
「まだだ。手札から『バトルフェーダー』を特殊召喚。直接攻撃を無効にして、バトルを終了させる」
バトルフェーダー DFE0 ☆1
上手い。
現在のハングリーバーガーは、ディザーズを素材にしているので罠カードを効果を受けない。
そのため、モンスターか魔法で対応することになるのだが、手札に握っているとは思っていなかった。
「むう……私はターンエンドだよ」
「僕のターン。ドロー!『強欲で貪欲な壺』を使って、さらに二枚ドローだ」
ドローしたカードを見た瞬間、昴の表情が変わる。
「フハハハハ!行くぞ!俺は手札から『ハーピィの羽根箒』を発動だ!」
「嘘……」
ハングリーバーガー ATK3850→2000
ハングリーバーガーは装備魔法に寄って攻撃力が上がっているし、レッド・デーモンズ・ドラゴンはリビングデッドの呼び声によって蘇生している。
この状況においてはかなり刺さるのは間違いない。
「そして、『リビングデッドの呼び声』を俺も発動するぜ。墓地から『ガーベージ・ロード』を特殊召喚し、『タンホイザーゲート』で、バトルフェーダーとガーベージ・ロードのレベルを6に変更し、オーバーレイ!エクシーズ召喚!『No.25 重装光学撮影機フォーカス・フォース』!」
No.25 重装光学撮影機フォーカス・フォース ATK2800 ★6
「……プラネットじゃないのに豹変するのか?」
「まあその……ナンバーズだから……」
もうすでに恵遊もよく分からなくなっている。というか思考を放棄したい。
「バトルフェイズ!フォーカス・フォースでハングリーバーガーを攻撃!」
恵遊&理央 LP4000→3200
防御カードが墓地にたまっていないのは珍しい。
戦闘破壊されるのもそうそうないことだ。
「俺はこれでターンエンドだ」
「俺のターン。ドロー!」
四枚になった手札。
「よっしゃ!まずは墓地の『ブレイクスルー・スキル』を除外して効果発動。フォーカス・フォースの効果を無効にする!」
「チッ……」
「そして、『契約の履行』を使って、墓地のハングリーバーガーを特殊召喚!」
恵遊&理央 LP3200→2400
ハングリーバーガー ATK2000 ☆6
「二枚目の『最強の盾』でも握ってんのか?」
「そうじゃないんだよなあ!手札の『融合』を発動。フィールドのハングリーバーガーと、手札の二枚目のハングリーバーガーを融合!」
手札からもハングリーバーガーが出現して、二体のバーガーがぐるぐると混じりあう。
「融合召喚!レベル10『覇勝星イダテン』!」
覇勝星イダテン ATK3000 ☆10
降臨するイダテン。
無論、二体のハングリーバーガーは肩に乗っている。
本人からすればすごく邪魔だろうが……。
「い……イダテンだと!?だが、俺のフォーカス・フォースはエクシーズモンスターだ。確かに攻撃力は負けているが、フォーカス・フォースの攻撃力を0にすることはできねえ!」
「そうでもないぞ。イダテンの効果で、デッキからレベル5の戦士族モンスター『ターレット・ウォリアー』を手札に加える。そして、二枚目の『融合』を発動!」
今度はイダテンとターレット・ウォリアーがぐるぐる混ざりあう。
「融合召喚!レベル12『覇道星シュラ』!」
覇道星シュラ ATK0 ☆12
もちろんハングリーバーガーは二体ともいる。
「このタイミングで『融合』を二枚も抱えていただと!?」
はっきり言ってちょっとヤバかった。
「バトルフェイズに効果発動。相手モンスター全ての攻撃力を、0にする!」
No.25 重装光学撮影機フォーカス・フォース ATK2800→0
「そして、墓地の『スキル・サクセサー』を除外して、シュラの攻撃力を800ポイントアップさせる!」
覇道星シュラ ATK0→800
「さあ、
覇道星シュラ ATK800→3200
シュラの肩の上にいるハングリーバーガーが、巨大な円盤肉を同時にフォーカス・フォースに叩きこむ。
吉野&昴 LP2650→0
勝者、恵遊&理央
「なんていうか……すごいデュエルだったな」
昇平はそうつぶやいた
恵遊は相変わらずで、ワイトキングはちょっとユーモアにあふれすぎで、昴は痛々しい。
理央が普通に見えるという現状だ。
妹があれなので少々珍しい感じがする。
「まあとにかく、これで恵遊も、今のエキセントリック・テンスのことをわかったわけだ。これからも研鑽しよう」
剛毅の言う通りだ。
もうすぐ始まる学園対抗戦。
そこでおそらく、界人も来る。
恵遊としても、強くならなければならない。
★
「ふむ、私は『アルカナフォースXXI-THE WORLD』で、ダイレクトアタックだ」
白いスタジアム。
界人の命令を受けたアルカナのラストナンバーは、その命令を執行する。
放出された光線は、ステージの反対側に立つデュエリストに直撃し、そのライフを消し飛ばした。
「これで、私も学園対抗戦に参加できるだろうね」
デュエルは終わった。
デュエルディスクを待機状態にして、すべてのカードをデッキに戻しながら、界人はステージを去っていく。
「さて、恵遊。一波乱あるかもしれないが、良い戦いにしようじゃないか」
余裕がありながらも、獰猛な笑みを浮かべる界人。
その顔は、久しぶりに会って確認した好敵手を思いだしていた。