遊戯王Fool ~バーガー中毒者の黙示録~   作:レルクス

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第五話

「生徒指導ごときで諦める私ではない!正面から通っても無駄なら裏から行くまで!今は恵遊君が部屋にいることは把握済みだよ!」

 

 夜遅い時間。

 全寮制であるボーダーでは、基本的に外出届を出さない限り、敷地から出ることはできない。

 しかし、その外出届は案外簡単に発行される。記録には残るが。

 恵遊が『ハンバーガーを買いに行きます』といっても通るレベルだ。

 というより、『恵遊がハンバーガーを買いに行く以外でわざわざ外出するはずがない』とは学校の事務員も思っているのが現状だが。

 で、その生徒が敷地の外にいる場合は、暗証番号さえ知っていればフレンド確認のようなものでわかるのだ。

 

 なお、多くのことが敷地内で完結しており、なおかつ監視カメラも多いので、門限がないのが特徴でもある。

 なので、深夜徘徊も普通にできる。散歩スポットも多いのだ。

 

 ボーダーの夜は星空がきれいなので、天文部がよく校舎の屋上に行っていることもある。

 校舎の屋上から『闇落ちハンドレス』や『盗賊王』がよくやっていたような笑い声が聞こえる時があるが、部長のデッキには『精神浸食惑星(プラネットシリーズ)』と『ナンバーズ(フォーカス・フォース)』が投入されているので、関係がないわけではない……かもしれない。

 

 

 閑話休題(はなしがそれた)

 

 

 現在、恵遊は学校内にいる。

 そして、この時間は、学校内に存在するすべてのハンバーガーを売っている売店は閉まっている。

 確実に、恵遊は部屋にいる。

 

「フッフッフ」

 

 凛子は、『フックが付いたロープ』を手に取り不敵に笑う。

 そして、それをブンブンと音が鳴るレベルで回し始める。

 

「東側から見て、五階の左から三番目!オリャアアアアアアア!」

 

 フックが宙を舞い、ちょっとヤバい音量でベランダの手すりにフックが引っ掛かった。

 だが、恵遊にはあるものを渡しておいたのだ。

 凛子が調合した『遅行性睡眠薬』入りハンバーガーである。ぐっすり眠っているに違いない。

 ハンバーガーを売っている売店が空いているのなら起きている可能性はあるが、今は閉まっているのだ。万が一にもありえない。

 ――それはようするに、売店が空いていたら睡眠薬が効かないということになるのだが、それは今は置いておくとして。

 

「フッフッフ。練習など不要。初見で成功だよ!」

 

 天才である。

 

 ちなみに、セリフには『!』がついているが、小声である。

 

「よっ、ほっ」

 

 訓練された兵士のように、するするとロープを登っていく。

 そして、手すりを右手で握った。

 

「よし。おりゃ!」

 

 右腕に力を入れて、一気に引っ張り、体を持ちあげる。

 

「また会ったな。聖野」

「うげっ!何で先生が!」

 

 ベランダに立った凛子の前にいたのは、生徒指導の先生だった。

 相変わらず、スポーツ刈りと赤ジャージである。

 

「青芝なら寝ているぞ、ただ、今日、部屋に帰る青芝が異常に眠そうだったからな。多分お前が一服盛ったんだろうと思って張り込んでいただけだ」

「ちょっ!生徒指導の先生がそんな理由で生徒のベランダに張りこんでいいんですか!?」

「現行犯で制度指導室に連行されたばかりのお前がそれを言うな。ついでに言えば、こう言うのは捕まえることが出来れば結果的に問題はない」

「職権乱用ですよ!」

「成果主義と言え。それはともかく、現行犯逮捕だ」

「イヤアアアアアアアアア!」

 

 連行された凛子。

 

「zzz……」

 

 恵遊はぐっすり眠っていた。

 

 ★

 

 デュエルスクールと言うだけあって、デュエルモンスターズ専門の授業もある。

 まあ最も、基本は座学だが、実技もデュエルで覆い尽くされているのだ。

 ちょうど今も、赤ジャージを着た生徒指導の先生、赤座風雅(あかざふうが)という先生の講義が行われている。

 ……『チリチリになった頭を無理矢理セットしたような痕』があるのだが、誰もそれについて追及することはなかった。

 

「デュエルにおいて安定した戦績を得るために必要なのは、デッキの構築の段階で安定したレシピを作ることだ。では、その安定した構築と言うのはどういうものなのかと言うと、『サーチ』や『リクルート』に加えて『サルベージ』が豊富なデッキと言える」

 

 風雅先生は、ディスプレイに『HERO』のカードを表示させる。

 

「先生が考えている中で、最もこれらがそろっているのは、『HERO』だと思っている。みんなも知っている通り、エアーマンを中心として、様々なカードをサーチ、それらを用いて展開していくカテゴリだ。シャドー・ミストを墓地に送るギミックを使い、間接的にサーチを行うこともある」

 

 次に『ヒーローアライブ』

 

「このカードは、自分をフィールドに表側表示のモンスターが存在しない場合、ライフを半分払ってデッキからレベル4以下のHEROを特殊召喚できる。HERO使いでドロー運がいいやつを相手にした時はよくドローされる屈辱のカードだ。先生もよくやられた」

 

 実のところこの先生、実体験が多い。

 しかも、やたら怨念に満ちている。

 

「展開力のあるカードは好まれるが、ライフを無駄にしたくないから手札に残すデュエリストはそこそこいる。残しておいて、次の相手ターンに巻き返されたときに、このカード一枚で何とかできるケースは多いからな。別に間違ってはいない。相手によるといっていいだろう」

 

 だろうな。

 

「だが、甘えるな。プロと言うのはこんなカードは初手に使って来るぞ。どうせ、『至高の木の実』一枚で踏み倒せる量のライフだからな。アイツらは容赦がない」

 

 風雅先生、HEROに恨みがあるんだろうな。

 

「ちなみに、セット状態のモンスターが自分フィールドにいても発動できる。あくまでも、表側表示のモンスターがいない場合の話だからな」

 

 活用できる機会があるかどうかは別である。

 

「『ピンポイント・ガード』でわざわざ『メタモルポット』を出してきて、次のターンに『皆既日蝕の書』で私のモンスターごと全部裏側にされて、アライブでエアーマンが飛んできてサーチ、『太陽の書』を『メタモルポット』に使って手札補充、サーチしておいたシャドー・ミストでまたサーチ……と、やりたい放題やりやがったやつもいるけどな。あの時の学園長のドヤ顔は今でも忘れん」

 

 やったのは学園長なのか……。

 

「先生、メタモルポットはその後どうなったんですか?」

 

 凛子が聞いている。

 

「ガイアの融合素材になった。しかも、次の私のターンのバトルフェイズ中に『超融合』まで使って来たんだぞ。あれほど殴りたかったことはない」

「……そうですか」

「腹立ったから『激流葬』を使ってやった」

 

 『超融合』の発動タイミングでは何もできないが、特殊召喚されたモンスターに対しては無防備のようなものなのだ。悲しい現実である。

 

「だが……『魔宮の賄賂』で無効にされた。あのタイミングであのイラストのカードを発動してくるとはな……」

 

 切ない。

 

「話を戻すが、デッキを作る上で、安定するということは、『特定のルート』に乗せることだ。カード一枚で、デッキの中で何が出来るのか、それを考えることを忘れないように……む、授業は終わりか。また明日」

 

 先生はパッパと荷物をまとめて教室を出ていった。

 

 ★

 

「あの先生って怨念が多いよね」

「いろいろあったんだろ。まあ、その色々も局所的だが」

 

 凛子が話しかけてきたので答えておく。

 もちろん、ハンバーガーを食べながら。

 

「そう言えば、この学校では『プライバシーブレイカー』という名前を聞くんだが、これは一体何だ?」

 

 あれから、他のデュエルコートで行われているデュエルに関しても調べた。

 そして分かったのは、ほとんどのデュエルで、『プライバシーブレイカー』による情報提供が行われていたのだ。

 名称からしてあまりいいものではないが、それでも、情報の信憑性があるのは間違いない。

 凛子はうなった後、言った。

 

「私が知っていることだけど、『二つ名』みたいなものなんだよね。エキセントリック・テンスの一人でもあるし」

「ほう」

「でも、その名前は分からないの」

「え、名前は分からないのか?」

 

 不思議なものである。

 

「一応、エキセントリック・テンスに在籍しているけど、そのサービスも全く使ってなくて、二つ名で登録されているんだ」

「……不思議なデュエリストだな」

「一応、身長の低い女の子ではない。と言う情報はあるんだよ」

「……え?」

 

 なにその役に立つのか立たないのかわからない情報。

 

「一体どういうことだ?」

「エキセントリック・テンスの神楽真司が『ロリセンサー』みたいなものがあって、たとえどんな変装をしていても、ロリなら分かるんだって」

 

 そういえば、そんな奴だったな。

 恵遊はそう思った。

 

 ★

 

「ふああ……今日はネットサーフィンでハンバーガーショップを探そうか」

 

 恵遊は学生寮の自室でキーボードをたたいていた。

 さすがの恵遊も、体は一つだ。的くらいは絞る。

 

「……ん?」

 

 扉をたたく音がした。

 誰だろうと思って開ける。

 すると……。

 

「頼む恵遊!かくまってくれ!」

 

 ……引き分けと戦術とするエキセントリック・テンス。昇平が必死の顔つきで飛びついてきた。

 

「……いったい何があったんだ?」

「あのロリコンが……」

 

 真司のことだろうか。それとも別のロリコンだろうか。

 いずれにせよ、なぜ昇平が逃げているのだろうか。

 

「ちょっと説明してくれ」

「今日、真司が僕の部屋に入ってきて、ロリコン対談をしようって言ってきて、最初はよかったんだが、だんだんヒートアップしてきて……僕のほうが途中からおなか一杯になってきて……しかもあいつ止まらないんだよ!」

 

 ……。

 

「最初はよかったってどういうことだ?」

「いいじゃないか!ロリをかわいいと思って何が悪い!」

「思うのはいいが公言するな」

 

 恵遊も、別にロリがかわいいと思っていないわけではない。

 だが、それは巨乳のお姉ちゃんがいたら視線がちらちら向くとか、思春期というより男ならある意味当然の範囲であって、別に公言するほどではない。

 

「しょおおおおおおおおおおううううううううううううううううへえええええええええええいいいいいいいいいい!!!!!」

 

 モンスターの声が聞こえてくる。

 

 

 神楽真司

 レベル12 ATK5000 DFE5000 変態属性 ロリコン族

 ①:ロリコンの話をした場合、相手はトークフェイズ終了時までそれに付き合わなければならない。

 ②:①の効果が適用中、相手は逃げることはできず、逃げても発見される。

 ③:ロリに遭遇した場合、このモンスターの守備力は0になる。

 ④:ロリから「真司さんなんて大っ嫌い!」と言われた場合、このモンスターはしばらくの間攻撃できず、「真司おにいちゃんなんて大っ嫌い」と言われた場合、メンタルが破壊される。

 

 

 クソ情報を流してしまった。失敬。

 

 と思った瞬間、恵遊の扉のドアが開いた。

 しかも、ご丁寧にカギを開けてきた。

 

 入ってきたのは、金髪を短く切りそろえた背の高い男。

 178センチある恵遊より高いだろう。

 だが、その黒い瞳にはよくわからぬ欲望が宿っている。

 

 恵遊はさわやか(?)系と言われ、銀二はワイルド系と言われるなか、この男は貴族系と言われていた。

 高貴オーラがあるにはあるのだが、なんでこうなったのやら。

 

「ちょっと待て、真司。お前なんで俺の部屋の鍵持ってるの?」

「甘いな恵遊。私は常にマスターキーを所持しているのだ」

「いや、なぜ?」

「もしかしたら、今、ロリがどこかの部屋に閉じ込められているかもしれない。そう思うと眠れないのだ。だが、この学校の学生寮の扉は頑丈。おそらく、私の必殺技『ロリ救済拳・零式』をもってしても、貫くことはできないだろうからな。であれば、いつでも助け出すためには、マスターキーを所持するのが手っ取り早い」

「……」

「……」

 

 恵遊と昇平の頭の中は、同じことを考えていた。

 

 『真面目な顔して何言ってんの?こいつ』である。

 

「そのマスターキーはどうやって手に入れたんだ?」

「エキセントリック・テンスの権力を使えば、周辺スポンサーからの圧力でなんとかすることくらいはたやすい」

 

 まさかスポンサーも、こんなことをまじめにいうやつの面倒を見ることになるとは思っていなかっただろう。

 

「マスターキーを持っていて咎められるとか、考えないのか?」

「助け出した功績があるからな」

「……」

「……」

 

 やっぱりこの学校ってロリコン多いな。

 ていうか、その時の犯人にしても、立て籠もる場所がおかしいだろ。

 

「まあいい。恵遊。ほれ」

「おっ」

 

 ハンバーガーだ。

 しかも限定品。

 

 ……これだけで懐柔できるのだ。安い男である。

 

「恵遊の部屋は、ハンバーガーのごみを気にしなければ広いからな。お邪魔するぞ」

 

 そのままズンズンと入ってくる真司。

 恵遊はすでに懐柔済み。

 昇平に味方はいないのであった。

 

「それはそうと恵遊。すでに銀二とデュエルをしたそうだな」

「ああ。まさかダーク・リベリオンを使ってくるとは思っていなかったけどな」

「ふむ、まあそこに興味はない。ところで、あいつのデッキにロリは投入されていたのか?」

「いや、かけらもなかった」

 

 エルフのお兄さんばかりだった。

 超電磁タートルとかも入っていたが、女性カードは皆無である。

 

「お前もだろ」

「もちろん」

 

 真司とは違うのである。

 

「恵遊。次は私とデュエルだ」

「……なんで?」

 

 真司は新しいハンバーガーを取り出して渡した。

 

「いいだろう」

 

 このやり取りを見て、昇平は思った。

 

「僕がおかしいのか?これは」

 

 そんなことはない。安心しろ。

 

 ★

 

 エキセントリック・テンスである真司はデュエルコートを使用可能だ。

 というわけで、来たわけである。

 

 ギャラリーのほうも、恵遊と真司が小学校の頃のクラスメイトだと知っているので静かである。

 で、茜と凛子もやってきた。

 

「恵遊君。いったいどうなってるの?これ」

「ハンバーガーをもらった」

「あ。そうなんだ」

 

 茜と凛子もある程度分かっていたようだ。

 汚染されている証拠である。

 昇平はげんなりしているけど……。

 

「そういえば、昇平はデュエルしないの?」

「別に僕はやるつもりはないゾ。それに、この二人は小学校卒業以来なんだ。さすがに水を差したりしないサ」

 

 空気を一応読む昇平である。

 

「さあ、真司。俺たち三人の中で、二番目だったお前の実力。どれほど上がったか試してやるぜ」

「フン!余裕ぶっていられるのも今のうちだ。行くぞ。恵遊!」

「「デュエル!」」

 

 恵遊 LP4000

 真司 LP4000

 

 先攻は真司。

 

「私のターンだ。私はモンスターをセット、バックに一枚セットして、『強欲なカケラ』を発動。ターンエンドだ」

「俺のターン。ドロー!」

 

 魂が変わっていないのであれば……というか変わりようがないような気がしなくもないが、それはそれとして、行くか。

 

「俺は『カードガンナー』を召喚!デッキトップを三枚落として攻撃力アップ!」

 

 カードガンナー ATK400→1900 ☆3

 

 恵遊おなじみのデッキの墓地肥やし要因。

 こいつがいるからこそ、機械族ギミックを入れているのだ。お気に入りの一枚である。

 しかも、精霊でも宿っているのではないかと思えるほど落ちるカードがいいのだ。ぶっちゃけ茜や凜子も一枚ほしい。特に凜子はそう思っている。カードガンナーは嫌だろうが。

 

「バトル!カードガンナーで、セットモンスターに攻撃!」

 

 一体目のカードガンナーがセットモンスターに対してカードを射出。

 

「セットモンスターは『見習い魔術師』だ。モンスター効果により、デッキから『白魔導士ピケル』をセットする」

「……お前の嫁は相変わらずか」

「当然だ。私の『モノクロシスターズ』の大切な主役の一人なのだからな」

 

 ちなみに、クランが姉。ピケルが妹である。

 

「……」

 

 返答に困る恵遊。

 まあ、そうなるのはいつも通りだ。

 とりあえずターンを進めるしかない。

 

「俺はカードを一枚セットして、ターンエンドだ」

 

 カードガンナー ATK1900→400

 

「ふむ、第二ターンが終了してもハングリーバーガーがいないのは珍しいな」

「イカツイおっさんがちょっと疲れてるだけだ」

「……そう言うことにしておこう。私のターン。ドロー!カケラにカウンターが一つ乗る」

 

 ドローした真司は良い顔でにやりと笑った。

 

「まずはセットしたピケルたんを反転召喚!」

 

 白魔導士ピケル ATK1200 ☆2

 

 そして姿を現すピケル。

 可愛らしいのは認めるが、どうしたものかね……。

 

「私は手札から魔法カード『アームズ・ホール』を発動。デッキトップを墓地に送り、『王女の試練』を手札に加える」

「だと思ったよ」

「『一族の結束』を発動。ピケルたんの攻撃力が800ポイントアップ!」

 

 白魔導士ピケル ATK1200→2000

 

 墓地にいる『見習い魔術師』はこういうところで役に立つのだ。

 ていうか、本当にこの学校。『一族の結束』を効果的に使う奴が多いな。

 え、俺?無理。

 

「そして、『王女の試練』をピケルたんに装備!」

 

 白魔道士ピケル ATK2000→2800

 

 いやちょっと待てや。

 特に見た目は変わらない。

 やる気にはなっている感じがする。

 

「そして、手札の『トーチ・ゴーレム』よ。ピケルたんが活躍するための舞台設定となるがいい!」

 

 トーチ・トークン ATK0   ☆1

 トーチ・トークン ATK0   ☆1

 トーチ・ゴーレム DFE300 ☆8

 

 うわイラネ。

 

「バトルだ!ピケルたんでトーチ・ゴーレムを攻撃!」

「墓地から『ネクロ・ガードナー』を除外!」

 

 ネクロ・ガードナーが、ピケルの杖から出てきた魔力の玉のようなものを防いだ。

 

「何かと防いでくるな……」

「『王女の試練』を使っておいて何を言うか!」

 

 当然である。

 進化した後のピケルはなかなか厄介なのだ。特に、一族の結束がある時は。

 攻撃力という意味ではハングリーバーガーには及ばないにしても、こうなった時の真司は強いのである。いろいろな意味で。

 ぶっちゃけ実用性はあまりないのに結構頑張って来るのだ。勘弁してくれ。

 

「だが……甘いぞ恵遊!罠発動『奇跡の軌跡』!」

「うげ……」

 

 こ……コイツ……。

 

 白魔導士ピケル ATK2800→3800

 

 相手は一枚ドローして、戦闘ダメージも0になるが、攻撃力が1000ポイント上昇し、さらに、二回攻撃が可能となる。

 

「お、お前、無理矢理通す気か!?」

「フン!ピケルたんとクランたんのためならば、相手の手札一枚程度、リスクのうちに入らん!」

 

 すごい言い分である。

 

「もう一度トーチ・ゴーレムを攻撃!」

 

 なすすべもなく破壊された。

 

 白魔導士ピケル ATK3800→3000

 

 トーチ・ゴーレムは悪魔族なので、墓地に送られると種族が混ざる。

 結果として、攻撃力上昇タイムは終わりだ。

 

「メインフェイズ2に入る。ピケルたんと王女の試練をリリースして、特殊召喚!『魔法の国の王女-ピケル』!」

 

 魔法の国の王女-ピケル ATK2000 ☆4

 

「カードを一枚セットして、トークン一体をリンクマーカーにセット、『リンクリボー』をリンク召喚だ」

 

 リンクリボー ATK300 LINK1

 

「ターンエンド。さあ、恵遊。お前のターンだ」

「俺のターン。ドロー!」

 

 だが、ネタデッキは手札の消費が激しい。

 お互いそんなもんだが、真司が0枚なのに対して、恵遊は5枚。

 動こうと思えば普通に動ける。

 のだが……真司のデッキは『トーチ・ゴーレム』が優秀すぎる。

 デメリットもうまいこと潜り抜けてくるからな。

 真司は、ピケルたちが進化した後は、一族の結束の強化をあまり考えないタイプだ。

 準制限のため二枚しか入れていないが、無制限時代は三枚入れていた。

 

「まずはカードガンナーの効果を使い、三枚墓地に送って攻撃力を上げる」

 

 カードガンナー ATK400→1900

 

「そして、『儀式の下準備』を発動。『ハンバーガーのレシピ』と『ハングリーバーガー』を手札に加える。行くぞ!『ハンバーガーのレシピ』を使って、墓地のデモリッシャ-、プレコグスターを除外、『ハングリーバーガー』を儀式召喚!デッキトップを墓地に送って『アームズ・ホール』を発動し、『最強の盾』をサーチして装備させる!」

 

 ハングリーバーガー ATK2000→3850 ☆6

 

 降臨するバーガー。

 

「恵遊。お前相変わらずリリーサーに嫌われてるな」

「でもほかの儀式魔人とクリボーたちには好かれてるもん!バトルだ!ハングリーバーガーでピケルを攻撃!」

「リンクリボーをリリース。攻撃力を0にする!」

 

 ハングリーバーガー ATK3850→0

 

 ハングリーバーガーはやる気がなくなった。

 

「ピケルたんには指一本ふれさせんぞ!」

「ハングリーバーガーは指ないけどな」

「フフフ、恵遊。さあどうする。ターン終了か?」

「……カードガンナーを守備表示に変更して、ターンエンドだ」

 

 カードガンナー   ATK1900→DFE400

 ハングリーバーガー ATK0→3850

 

「私のターン。ドロー!カケラに二つ目のカウンターが乗る。そしてスタンバイフェイズ。ピケルたんの効果でライフが800ポイント回復する」

 

 真司 LP4000→4800

 

 これが続くとまずいかもしれない。

 

「強欲なカケラを墓地に送り、二枚ドロー。『リビングデッドの呼び声』を使い、クランたんを蘇生!」

 

 黒魔道師クラン ATK1200 ☆2

 

 アームズ・ホールのコストで落ちていたのか……。

 

「そして、デッキトップを墓地に送り、二枚目の『アームズ・ホール』だ。墓地から『王女の試練』を手札に加える」

 

 さすがにコンボが成立しないとただの紙になる試練を積んだりはしないか。

 

「そして、クランたんに『王女の試練』を装備!」

 

 黒魔導師クラン ATK1200→2000

 

 クランもやる気になった。

 ……一応、レベル的にはハングリーバーガーを攻撃すれば何とかなるが……どうするつもりだ?

 

「さらに装備魔法『月鏡の盾』をクランたんに装備!」

「なに!?」

 

 驚くが、戦闘破壊する必要があるプリンセスをデッキに投入しているのだ。

 使いまわすためのライフコストも、ピケルの効果である程度カバーできる。

 そう考えると悪いものではない。

 

「バトル!クランたんでハングリーバーガーを攻撃!攻撃力は3950だ!」

 

 黒魔道師クラン ATK2000→3950

 

 発動する効果なので封殺効果に弱いが、それらがない場合はかなり面倒だ。

 しかし、攻撃であることに変わりはない。

 

「墓地から『タスケルトン』を除外!攻撃を無効にする!」

「甘い!『ダブル・アップ・チャンス』を発動!攻撃力は倍になるが、月鏡の盾の盾の効果を使って攻撃力が3950になる。破壊しろ!」

 

 クランが振るった鞭がハングリーバーガーにたたきつけられる。

 

 恵遊 LP4000→3900

 

「むう……」

 

 黒魔導師クラン ATK3950→2000

 

「さらに、ピケルたんでカードガンナーを破壊!」

「効果で一枚ドローする」

「構わん。メインフェイズ2だ。クランたんと王女の試練をリリース。特殊召喚!『魔法の国の王女-クラン』!」

 

 魔法の国の王女-クラン ATK2000 ☆4

 

 並び立つ二人の王女様。

 

「月鏡の盾が墓地に送られたことで、効果が発動。ライフを500払い、デッキの一番上に置く」

 

 真司 LP4800→4300

 

 一番上……次のターンも来るということか。面倒な……。

 

「フフフ……そろったぞ恵遊!」

「ソウデスネー……」

「私はもう一体のトーチ・トークンで二体目の『リンクリボー』にリンク召喚して、ターンエンドだ」

 

 リンクリボー ATK300 LINK1

 

 すごく満足そうである。

 

「俺のターン。ドロー!」

 

 また手札は五枚。

 さて、行きますか。

 

「まずは『封印の黄金櫃』を発動。デッキからカードを一枚除外して、二ターン後のスタンバイフェイズに手札に加える」

「ほう……いつものお前なら『儀式の下準備』だがな」

「俺が除外するのは……『貪欲な壺』だ」

「……まあ、悪い選択ではないか」

 

 それはどうも。

 

「俺は『マンジュ・ゴッド』を召喚して、手札の『カゲトカゲ』を特殊召喚する。マンジュ・ゴッドの効果で『ハングリーバーガー』をサーチ」

 

 マンジュ・ゴッド ATK1400 ☆4

 カゲトカゲ    ATK1100 ☆4

 

「ハングリーバーガーをサーチしてレベル4が二体……」

「そういうことだ。俺はレベル4のマンジュ・ゴッドとカゲトカゲでオーバーレイ。『ズババジェネラル』をエクシーズ召喚!」

 

 ズババジェネラル ATK2000 ★4

 

「エクシーズ素材を一つ使い、手札のハングリーバーガーを装備する!」

 

 ズババジェネラル ATK2000→4000

 

 ズババジェネラルは、地面に突き刺した剣の柄においていた両手のうち、左手を出す。

 すると、そこにハングリーバーガーが出現した。

 ズババジェネラルは決してイラスト的なビジュアルが悪いわけではないのだが、ハンバーガーを持つとなかなかシュールな光景だ。

 しかも、恵遊のハングリーバーガーは変なところで空気を読まないので、すごく大きい。

 持つのにつかれてきたのだろう。ハングリーバーガーは左手で持つのではなく左肩においておくことにしたようだ。

 

「エクシーズ……そして、やはり出しゃばってくるのか、ハングリーバーガー」

「当たり前だ」

 

 この時、凛子、茜、昇平……いや、観客もだが、こんなことを考えていた。

 すなわち、『マンジュ・ゴッドで戦士族儀式をサーチして装備させるのなら、絶対『カオス・ソルジャー』の方がいいと思う』と。

 とはいえ、恵遊が相手だと通じないものではあるが。

 

「バトル!ズババジェネラルで、クランを攻撃!」

「リンクリボーをリリース!」

 

 ズババジェネラル ATK4000→0

 

 だよな。としか言いようがない。

 

「……俺はターンエンドだ」

「先ほどから発動しないそのセットカードが気になるところではあるが……まあいいだろう。私のターン。ドロー!そしてスタンバイフェイズ。ピケルたんとクランたんの効果が発動する!」

 

 真司 LP4300→5900

 恵遊 LP3900→3300

 

 ……ちょっとまずい予感がする。

 恵遊は基本的にフィールドにモンスターを並べないタイプなのでダメージはあまり気にしていない。

 だが……このままだと確実にやばいことが起こる。そんな気がするのだ。

 

「私は『月鏡の盾』をピケルたんに装備。バトルだ!ピケルたんでズババジェネラルに攻撃!」

「墓地から『超電磁タートル』を除外!」

 

 カードガンナーの墓地肥しの数は四回。

 それなりに墓地アドバンテージは稼いでいる。

 

「……仕方がない。ターンエンドだ」

「俺のターン。ドロー!」

 

 三枚の手札を見て、どうしたものかと思った。

 

「800ポイントのライフを使って『契約の履行』を発動。墓地から『ハングリーバーガー』を蘇生。手札の『最強の盾』を装備!」

 

 恵遊 LP3300→2500

 ハングリーバーガー ATK2000→3850 ☆6

 

「バトル!ハングリーバーガーで、クランを攻撃!」

「墓地から『超電磁タートル』を除外する」

「落としていたのか」

「そういうことだ」

 

 アームズ・ホール。優秀である。

 なんだかんだ言って一族の結束が合ってないようなものになっているが、本人は気にしていないようだが。

 

「ターンエンド」

「私のターン。ドロー!」

 

 ドローしたカードを見て、真司は微笑む。

 

「スタンバイフェイズに、ピケルたんとクランたんの効果が発動!」

 

 恵遊 LP2500→1900

 真司 LP5900→7500

 

 あ。ヤバい。

 

「私は『命削りの宝札』を使い、デッキからカードを三枚ドロー。『サイクロン』を使って『契約の履行』を破壊する」

 

 装備していたハングリーバーガーが除外される。

 

「そして、バトルだ。ピケルたんでズババジェネラルを攻撃!」

 

 ピケルの攻撃力が一時的に4100になり、ズババジェネラルを破壊する。

 真司の頬がわずかに動いた。

 

「ふむ……カードを二枚セットしてターンエンド。これで、宝札のデメリットはなしだ」

「俺のターン。ドロー!」

 

 ドローしたカードを見る。

 ふむ……。

 

「そして、このスタンバイフェイズ。除外していた『貪欲な壺』が手札に加わる。そしてメインフェイズ、これをそのまま発動!墓地からマンジュ・ゴッド。ハングリーバーガー。カードガンナー。ズババジェネラル。カゲトカゲをデッキに戻して二枚ドロー!」

 

 まだだ。

 

「伏せておいた『大欲な壺』を発動して、除外されているハングリーバーガー。ネクロ・ガードナー。デモリッシャーをデッキに戻して一枚ドロー」

 

 お前か。

 

「『儀式の準備』を発動。デッキの『ハングリーバーガー』と墓地の『ハンバーガーのレシピ』を手札に加える。そして魔法カード『オッドアイズ・フュージョン』を発動!」

「『オッドアイズ・フュージョン』だと!?」

 

 真司が驚愕する。

 ハングリーバーガーを主体とするのが恵遊のデッキだ。

 エクストラデッキのモンスターも、ユーフォロイド・ファイターやズババジェネラルなど、素材、効果などでハングリーバーガーがかかわることができるカードが多く採用されている。

 だからこそ、こんなカードが入っているとは思いもしなかったのだ。

 

「エクストラデッキの覇王白竜と、手札のハングリーバーガーを素材に、融合召喚!レベル10『波動竜騎士 ドラゴエクィテス』!」

 

 波動竜騎士 ドラゴエクィテス ATK3200

 

 槍を構えた竜騎士が出現する。

 

 そしてその左手にはハングリーバーガーが!

 

(((((やっぱりお前がでしゃばってくるのか!)))))

 

 観客の心が一つになった。

 

「覇王白竜か……」

 

 真司は思うところはあるだろうし、恵遊は何も言わない。

 続けることにした。

 

「『サイクロン』を使って、『月鏡の盾』を破壊!」

「ライフを500払って、デッキの一番上に置く」

 

 真司 LP7500→7000

 

「そうかい……バトルだ!ドラゴエクィテスで、ピケルを攻撃!」

「ダブルトラップ!『アストラルバリア』でダイレクトアタックに変更。そして、『カード・ブロック』でダメージを0にして一枚ドロー!」

「防いできやがって……」

「変にダメージを受けていてもいいことなど一つもないのでな」

 

 それはそうである。

 

「俺はターンエンドだ」

「私のターン。ドロー!スタンバイフェイズに効果が発動する」

「ドラゴエクィテスの効果で、ダメージは相手に反射する!」

「だが、回復量のほうが上だ!それに、クランたんの効果によるダメージなのだ。私にとってはむしろご褒美!」

 

 真司 LP7000→6400→8000

 

 ていうか、何言ってんだろ。こいつ。

 

「『月鏡の盾』をクランたんに装備。バトルだ!クランたんでドラゴエクィテスを攻撃!」

「墓地からネクロ・ガードナーを除外する!」

 

 防いでくれた。

 しかし……ちょっとカードが足りなくなってきた。

 墓地肥しの回数が多いとはいっても、防御を専門とするモンスターはそう多いわけではないし、ハングリーバーガー用のサポートカードは多いのだ。当たり前といえば当たり前である。

 

「『強欲で貪欲な壺』を使い、十枚除外して二枚ドロー。私はカードを一枚セットして、ターンエンドだ」

「俺のターン。ドロー!」

 

 ちょっと面倒なことになってきたな……いや、いつも通りか。

 

「『カードガンナー』を召喚して、効果発動。デッキから三枚墓地に送って攻撃力を上昇させる」

 

 カードガンナー ATK400→1900 ☆3

 

「『スキル・サクセサー』を墓地から除外する」

 

 カードガンナー ATK1900→2700

 

「バトルだ!カードガンナーでピケルを攻撃!」

「『アストラルバリア』で直接攻撃に変換する!さらに永続罠『スピリットバリア』を発動!」

 

 ……これはまずい。

 『アストラルバリア』と『スピリットバリア』のコンボ。

 これは皆さんもご存じだろう。

 アストラルバリアは、相手モンスターが自分モンスターに攻撃してきたとき、それを直接攻撃に変換することが出来る。

 スピリットバリアは、自分フィールドにモンスターが存在する場合、受ける戦闘ダメージを0にできる。

 

 真司のデッキの真骨頂はここだ。

 採用しているカードが『ガード・ブロック』などが含まれているところから何となく想像出来ていた人もいるかもしれないが、ロリシスターズを守るためにいろいろとコンボを考えた結果、この戦術になったようなものである。

 

 しかも……ジンクスなのか、ロリに対する愛がこちらのデッキにも影響しているのかは不明だが、こういうときに限って魔法、罠を破壊するカードが手札に来ないのだ。ふざけるなよ全く。

 

「カードを一枚セットして、ターンエンドだ」

 

 カードガンナー ATK2700→400

 

 のこっている手札は二枚。そのうち一枚はレシピだ。

 お互いにネタデッキと言うこともあるが、何かと手札の消費枚数が多い。

 

「私のターン。ドロー!スタンバイフェイズに効果が発動!」

「ダメージは反射だ!」

「ご褒美だ!」

 

 意味わかんねぇ。

 

 真司 LP8000→6800→8400

 

 ……ん?回復量が……。

 あ、そうか。

 ダメージ反射をするドラゴエクィテスがいるから、こちらのモンスターが多くなればダメージが大きくなるのか。

 

「……」

 

 真司が黙った。

 そして、その眼の先にはドラゴエクィテスがいる。

 

 悟ったのだ。

 

 こいつは邪魔だと。

 

 そして、それを感じ取ったのだろう――

 

 ――ハングリーバーガーが上機嫌だ。

 決してお前の効果ではないぞ。

 

 真司はドローしたカードを見る。

 微笑んだ。

 

「私は手札から『地砕き』を発動。砕け散れ!ドラゴエクィテス!」

 

 本当に砕け散った。

 ハングリーバーガーは『うそやろ……』と言いたそうな表情だった。表情はないが。

 

「バトル!ピケルたんでカードガンナーを攻撃!」

 

 恵遊 LP1900→300

 

「破壊されたので一枚ドロー!」

「構わん!クランたんでダイレクトアタック!」

「直接攻撃宣言時、罠カード『王魂調和』を発動!」

「何!?」

 

 墓地からエネルギーが溢れ出る。

 

「直接攻撃を無効にして、レベル8以下になるように墓地からシンクロ素材を除外して、シンクロ召喚を行う」

「こ……このタイミングで、一体何を……」

 

 恵遊は溜息を吐くと、呟く。

 

「凛子」

「どうしたの?」

「いつ混ぜ込んだ」

「フフフ……さあ、いつだろうね」

 

 凛子は、とても楽しそうな表情になった。

 

「まさか……」

「俺は墓地から、レベル4のデブリ・ドラゴンと、レベル1の儀式魔人ディザーズと、レベル3のカードガンナーを除外!」

 

 ディザーズとカードガンナーが星になり、デブリ・ドラゴンが緑の輪となってそれを包む。

 

「王者の咆哮、今天地を揺るがす。唯一無二なる覇者の力をその身に刻むがいい!シンクロ召喚!荒ぶる魂、『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』!」

 

 レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト ATK3000 ☆8

 

「ば、バカな。それは聖野凛子の……」

「本当にマジでいつ混ぜ込んだんだか……で、どうするんだ?」

「……ターンエンドだ」

「俺のターン。ドロー!『死者蘇生』で『儀式魔人リリーサー』を特殊召喚して、スカーライトの効果を発動。フィールドの、このカードの攻撃力以下のモンスターを全て破壊する!そして、破壊したモンスター一体につき、500ポイントのダメージを与える!」

 

 初登場したリリーサーが吹き飛んだ。

 

 そして、真司の嫁たちが破壊される。

 

 真司 LP8400→6900

 

「く……『月鏡の盾』をデッキボトムに送る」

 

 真司 LP6900→6400 

 

「そして、『巨大化』をスカーライトに装備。『スキル・サクセサー』を除外してドーピング。さあ、決闘終了(メインディッシュ)だ!ダイレクトアタック!」

 

 レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト ATK3000→6000→6800

 

 スカーライトのブレスが真司のライフを焼き尽くした。

 

 真司 LP5900→0

 

 ★

 

 また私とデュエルをしよう。

 

 真司はそう言って、デュエルコートを去っていった。

 ……同志、久我昇平を引きずりながら。

 

 恵遊は溜息を吐きながらコートを降りた。

 そして、スカーライトのカードを出した。

 

「本当に何時混ぜたんだ。俺は全く気が付かなかったぞ」

「愛がなせる技だよ!」

 

 勘弁してほしい。

 凛子はヤンデレとはまた違った方向性で、恵遊のことを過剰に愛している。

 なんとなく、それが分かった。

 

「まあいい。これは返しておくぞ」

「そっか」

 

 凛子はスカーライトのカードを受け取った。

 

「恵遊君が使ったカード恵遊君が使ったカード恵遊君が使ったカード恵遊君が使ったカード……」

 

 ブツブツと、まるで、その『恵遊が使ったカード』という情報などをカードに刻み込むかのように呟く凛子。

 ……なんだろうな。スカーライトの涙目になった表情を察した気がした。

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