遊戯王Fool ~バーガー中毒者の黙示録~   作:レルクス

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※注意!感想欄にあったリクエストのため、アニメオリカの通常モンスターが一枚混入していますが、あくまでも特例です。『この小説ってOCGオンリーじゃないの?』というコメントはしないでください。

 読者の皆さんの中には、『リクエストとはいえ、そんな特例があっていいのか?』と考える人もいらっしゃるかもしれませんが、某ナンバーズハンターの素晴らしい言葉を引用します。

 知らん。そんなことは俺の管轄外だ。


第七話(特例アリ)

 中等部一年生と編入生というのは、デュエルをしてきた年月は違っていても、学校に入ってきたとしは同じだ。

 編入してくることが出来る時点でそこそこの実力を持っていると判断できるが、基本、中等部から努力を積み重ねて強くなったものが、高等部に上がるころ、エリアとしてはプラチナエリア。才能があればエキセントリック・テンスになることが出来る。

 

 なお、神代美咲は中等部一年として入学した次の日に、当時のエキセントリック・テンスの序列一位を倒した化け物として記録に残っているほどである。

 

 ちなみに、当時中等部二年だった真司と銀二だが、

 真司は近くの小学校に望遠鏡をもってかわいい子を探しに行っていた。

 銀二は『ゼルダの伝説』の新作が出たばかりで興味などなかった。

 という、よくわからないというか、片方が犯罪スレスレという、失望されても文句は言えない感じ……というか小学校のころからロリコンっていまいち意味が分からないのだが、それはそれとして、彼らがエキセントリック・テンスになったのはそれよりも後である。

 

 

 閑話休題(はなしがそれた)

 

 

 恵遊は編入してきてから負けなしである。

 一度だけ引き分けだが、まあ、昇平(コイツ)に関しては、クリムゾン・ノヴァとドン・サウザンドの契約の二枚で初手引き分けを狙ってくるような奴なのでノーカンしても大丈夫だろう。

 

 ゴールドエリアだが、実質プラチナエリアで名家出身の聖野凛子。

 プラチナエリアで、序列一位、神代美咲の側近、鹿島朱里。

 マスターエリアで、エルフの剣士とダリべでぶんまわす猪八重銀二。

 マスターエリアで、ロリコンだが高性能の神楽真司。

 プラチナエリアで、エキセントリック・テンスの一人、西条剛毅の側近、宝生来駕と厳島小百合。

 

 全てのデュエルを引き分けにしてきた昇平はカウントしないとしても、好成績にもほどがある。

 

 だが、もし勝ったら、その評価を総取りできる。と言う意味でもある。

 中等部一年の中でも、もしかしたら勝てるのではないか。と言う雰囲気が流れていた。

 エキセントリック・テンスに勝ったとしても、即座にその称号が移動するわけではない。

 これは、挑戦を強制はさせないが、逆に拒否させないためで、あくまでも成績やタクティクスで判断する。

 運で勝ったとしても、一応書類にはあげられるがたいした評価にはならない。

 ジャイアントキリングは話題になるだけで、勝つべき時にしっかりと勝てる人材でなければ、エキセントリック・テンスの称号を渡すわけにはいかないのだ。変なのが多いが。

 

 だが、現在好成績の青芝恵遊なら、戦うことは別にためらいはないと考えるものは多い。

 エキセントリック・テンスの称号を持っていないからだ。

 『持っていてもおかしくはない実力』であることと、『持っている』と言うのは、いろいろな意味で差があるのだ。

 

 話が長くなった。

 

 要するに、中等部一年の主席入学。みたいな奴は調子に乗るのである。

 

 ★

 

影森(かげもり)。お前なら青芝恵遊に勝てるんじゃないか?」

 

 中等部一年。主席入学者は影森辰巳(かげもりたつみ)

 自分に酔った印象がある男子生徒だ。

 確かに、この学校で主席入学と言うのは素晴らしい成績だ。

 自分に酔うのも悪くはないし、学校側も期待しているのは間違いない。

 

「フフフ。そろそろ僕も挑もうと思っていたんだ」

「今日の放課後にでも行ってみようぜ。アイツ、エキセントリック・テンスを二人も倒してるんだ。勝ったらお前もなれるんじゃないか?」

 

 中等部一年では、そんな空気が流れていた。

 とはいえ、中等部と高等部は、校舎がそもそも違う。

 恵遊の『強さ』というのは、伝わる部分が微妙なのも事実だった。

 

「宣言しよう。今日、僕は青芝恵遊に勝利する」

 

 指を突き上げ、そう宣言する辰巳。

 ……ナルシストとはよく言ったものだが、こんな変態だからこそ、この学校(ボーダー)ではかなりの実力を持っているのかもしれない。

 そろそろ、この空気をどうにかしたいと思っている学校側からすれば、たまったものではないが。

 

 まあそれはそれとして、影森辰巳は挑む予定のようだった。

 

 ★

 

「青芝恵遊。僕とデュエルしろ」

「嫌です」

 

 この安定感である。

 安いわりにかっちりしているのだ。

 

「ていうか誰だ?」

「僕を知らないのか?今年度の主席入学者。影森辰巳だぞ!」

 

 だが、恵遊からすれば知らないものは知らない。

 というより興味がない。

 そもそも、デュエルで強くなろうとしてこの学校に来たのではない。

 ただし、恵遊がハンバーガーについていろいろ考えたとき、なんとなくハングリーバーガーを使った方がいいということ。

 あと、一応、名門・神代家の出身で、デュエルについてはなんだかんだで興味があるから強くなっただけなのだ。

 デュエルの優先順位が低いわけではない。

 デュエルで勝ったらクーポンをもらえるところもあるので。

 

 だが、何もなしにする理由にはならないのだ。

 

「あ、これ」

 

 先ほどから、辰巳のすぐ後ろで控えている男子生徒が、恵遊にハンバーガーを渡した。

 

「……いいだろう」

 

 ……これ、毎回やるのだろうか……。

 そんな雰囲気が流れていた。

 

 ★

 

 主席入学者と、好成績の編入生の二人だが、どちらも学校内では大した称号も権限も持っていないので、普通にデュエルコートを使うことにした。

 

『で、今回はどんな状況なんだ?』

『プライバシーブレイカーから情報が来た。エキセントリック・テンスを何人も倒して、さらに好成績の恵遊を倒せば、早くも次期エキセントリック・テンスの候補に乗るんじゃないか。みたいな感じらしい』

『実際どうなんだ?』

『いや、エキセントリック・テンスの選定項目なんて知らねえよ。ただ、戦績はかなり必要だから、試合数はある程度必要なんじゃないかって聞いてるくらいだ』

 

 なんともまあやふやな……。

 

 辰巳は自信満々。といった表情でデュエルディスクを構える。

 

「フフフ。青芝恵遊。貴様のようなふざけたデッキを使うデュエリストなど、僕の敵ではないことを教えてやろう」

「まあいいけどさ。デュエリストならカードで語ろうぜ」

「……いいだろう。叩き潰してやる」

 

 ずいぶん自分を過剰評価するタイプの人間だな……。

 ここまで公言する人間は珍しい。

 

 恵遊はカードを五枚引いた。

 辰巳もカードを五枚引く。

 

「「デュエル!」」

 

 恵遊 LP4000

 辰巳 LP4000

 

「僕の先攻だ。『終焉の焔』を使ってトークンを生成。『冥界の宝札』を発動して、トークンを二体リリース。モンスターをアドバンスセットだ。カード二枚ドロー。僕はカードを二枚セットして、ターンエンドだ」

 

 ふむ、『冥界の宝札』を軸にした【アドバンス召喚】だろうか……。

 

「俺のターン。ドロー!」

 

 あのトークンを使ったということは、あのモンスターは闇属性だ。

 該当するモンスターは多いが、守備表示である以上、一定以上の攻撃力で殴れば戦闘の破壊ができないわけではないだろう。

 

「俺は『カードガンナー』を召喚。効果を発動して、デッキからカードを三枚墓地に送る」

 

 カードガンナー ATK400→1900 ☆3

 

 おなじみの潤滑油だ。

 まあ、装填したカードを使わずに終わることも多いのだが。

 

「さらに、『儀式の下準備』を発動。デッキから『ハンバーガーのレシピ』と『ハングリーバーガー』を手札に加える」

 

 定番カードである。

 

「そして、『ハンバーガーのレシピ』を発動。墓地のディザーズ、プレサイダー、手札の『サクリボー』を除外して、『ハングリーバーガー』を儀式召喚。効果で一枚ドロー」

 

 ハングリーバーガー ATK2000 ☆6

 

 ハングリーバーガーは恵遊の方を見ると、『盾ちょうだい!』と言った雰囲気で恵遊を見る。

 

「手札から『最強の盾』を装備させる」

 

 ハングリーバーガー ATK2000→3850

 

 ハングリーバーガーのそばに最強の盾が添えられる。

 もはや見慣れた光景である。

 ハンバーガーへの愛ゆえであり、ばかばかしいにもほどがあるが、侮るなかれ、このばかばかしい愛に寄って、攻撃力3800以下のモンスターは無に帰するのだ。

 

「バトルだ!ハングリーバーガーでセットモンスターを攻撃!」

 

 盾を飛ばすと、セットカードが開いた。

 

「破壊されたのは『堕天使アスモディウス』だ。二体のトークンを特殊召喚する」

 

 アスモトークン  DFE1300 ☆5

 ディウストークン DFE1200 ☆3

 

「アスモディウスだったのか……だが、プレサイダーによって効果を付与されたハングリーバーガーの効果で一枚ドロー。カードガンナーでアスモトークンを破壊する」

 

 守備表示だったのでダメージはない。

 ただ……恵遊のデッキは、攻撃力においては4000が普通になるようなデッキを相手にしない限り、ほぼ上に立てるのだが、貫通能力を付与するカードが少ないという構築だ。

 戦闘では破壊されないディウストークンは、正直厄介である。

 とはいえ、それを残しておくことはしないと思うのだが。

 

「俺はカードを一枚セットして、ターンエンドだ」

 

 カードガンナー ATK1900→400

 

「僕のターン。ドロー!」

 

 さあ、どう来る?

 

「フフフ、青芝恵遊。いくらハングリーバーガーの攻撃力が高いとはいえ、所詮、効果耐性のない雑魚カードだ!僕は『フォトン・サンクチュアリ』を発動して、トークンを二体特殊召喚し――」

 

 フォトントークン DFE0 ☆4

 フォトントークン DFE0 ☆4

 

 二体のモンスターが出現した瞬間、上から滝のような量と勢いの水が降り注ぎ、フィールドを飲み込んで行く。

 

 収まった時、フィールドにいたのはハングリーバーガーだけだった。

 持っていた盾を構えて、『危ねぇ……』と言った雰囲気を出している。

 

「な……何が……」

「俺が発動した『激流葬』が発動しただけだ」

「な……『激流葬』だと!?」

「カードガンナーが破壊された。俺はカードを一枚ドローする」

 

 恵遊はカードを一枚ドローした。

 それと同時に、辰巳は騒いだ。

 

「だが、それならなぜ、ハングリーバーガーが破壊されないんだ!」

「忘れたのか……それとも知らないのか……ディザーズを素材にして儀式召喚されたモンスターは罠の効果を受けない。当然、俺が発動したカードもな」

 

 もちろん、罠カードの効果を受けない以上、罠カードの効果で攻撃を無効にすることすらできない。

 銀二や真司が罠カードを用いた防御手段をとらないのは、それが効かない可能性があるということも含まれる。

 とはいえ、真司に関していえば、『スピリットバリア』と『アストラルバリア』が理想形であるということもあるのだが……。

 

「それにしても……」

 

 恵遊は辰巳の残った二枚の手札を見る。

 

「俺のハングリーバーガーに効果耐性がないということを言ったうえで、自信満々に『フォトン・サンクチュアリ』を発動したな。【アドバンス召喚】に入れるとなるといろいろ候補はあるが、光属性の最上級モンスターであることは確定だ」

「く……ターンエンドだ」

「俺のターン。ドロー!」

 

 恵遊は六枚になった手札を見る。

 そして、辰巳のフィールドを見る。

 モンスターはいない。手札のうち一枚は光属性最上級モンスター。

 フィールドに伏せカードが二枚あるが……一枚はトークン生成カードだろう。

 

 とはいえ、恵遊の手札には墓地で活用するカードがたまっている。

 このターンでは動けない。

 

「バトル!ハングリーバーガーでダイレクトアタック!」

「『スケープ・ゴート』を発動して、トークンを生成する」

 

 羊トークン DFE0 ☆1

 羊トークン DFE0 ☆1

 羊トークン DFE0 ☆1

 羊トークン DFE0 ☆1

 

「……なら、羊トークンを攻撃する。そして、ハングリーバーガーに付与された効果でドローだ」

 

 お、来た。

 使っておいて損はないか。

 

「『手札抹殺』を発動。俺は六枚捨てて六枚ドローだ」

「僕は一枚捨てて一枚ドロー」

「ふーむ……ターンエンドだ」

「僕のターン。ドロー!」

 

 恐る恐る、と言った様子で、ドローしたカードを見る辰巳。

 そして、笑顔になった。

 

「どうやら、このデュエルは僕の勝ちのようだ。僕は三体のトークンを使って、『リンク・スパイダー』と『プロキー・ドラゴン』をリンク召喚して、伏せておいた『リビングデッドの呼び声』で、『ギルフォード・ザ・ライトニング』を特殊召喚。そして、この三体をリリース!」

 

 三体をリリース……。

 神獣王か?

 

「フフフ、君が考えているような従属神ではない。みせてやる。現れろ『邪神アバター』!」

「な……アバターだと!?」

 

 黒い何かが溢れたと思ったら、そこに現れるのは黒い太陽。

 そして、全てを上回るために、この場にいる最強の姿となり、闇に染まった姿を現す。

 

 そう――

 

 ――恵遊のフィールドにいる『ハングリーバーガー』である。

 

 邪神アバター ATK0→3950

 

「……」

 

 アリーナに静寂が訪れる。

 太陽がうにょうにょと変形し、そして現れた『黒いハンバーガー』

 

 全てのモンスターのなかからもっとも高い攻撃力+100という、一対一(サシ)だとドレッド・ルートくらいしか倒せないド鬼畜なモンスターである。

 だが、その、なんというのだろう。

 

 おそらく邪神アバターも、もうちょっと強いモンスターに化けるつもりだったかもしれない。

 ほら、最近、レベル10以上になって来るとヤバいのがいろいろいるだろ?あんな感じ。

 だが……これは……。

 

 とはいえ、使っている辰巳は邪神アバターを出せたことで上機嫌になっており、そのあたりの部分を気にしないタイプのようだ。

 とはいえ、ガチバトルでは必ず勝つが、ダメージは少ないゆえに『ジャンク・アタック』『メテオ・ストライク』『心眼の鉾』など、色々サポートが必要になるが、それ以上に厄介なのは、もうひとつの効果だ。

 

 こいつが召喚されてから、相手ターンだけで数えて二ターンの間、相手は魔法、罠カードを発動出来ない。

 

 こっちがかなり刺さるのだ。

 

「冥界の宝札の効果で二枚ドローする。フフフ、アバターがいれば、どんなモンスターであろうと倒せる!バトルだ!邪神アバターで、ハングリーバーガーを攻撃!」

 

 真っ黒な肉が宙を舞い、ハングリーバーガーを襲う。

 

「手札の『クリボール』の効果で、邪神アバターを守備表示にする!」

「む……」

 

 邪神アバター ATK3950→DFE3950

 

「魔法、罠以外で対応してきたか。だが、僕の邪神アバターに隙は無い!」

 

 そんなことはないと思う。

 

「で、ターンは終了するのか?」

「そうだな。『マジック・プランター』を使い、『リビングデッドの呼び声』をコストにして二枚ドロー。カードを一枚セットして、ターンエンドだ」

 

 さてと……。

 

「俺のターン。ドロー!ハングリーバーガーを守備表示に変更する」

「今更守備表示にしたところで……」

「この瞬間、『最強の盾』が参照する数値と、上昇する数値が変更される」

 

 ハングリーバーガー ATK3850→DFE3850

 

「よって、攻撃力しか参照しない邪神アバターは、攻撃力が下がる」

 

 邪神アバター DFE3950→2100

 

「バカな……だが、邪神アバターを破壊することができるわけでは……」

「魔法、罠が発動出来ないってだけで、モンスター効果は無効になっていないし、効果耐性も持っていないだろうに……カードを二枚セットしてターンエンドだ」

 

 ま、こんなものだ。

 とはいえ、『最強の盾』を使うことくらいは分かっているはず。

 それくらいのことは予想してほしいものである。

 

「僕のターン。ドロー!」

 

 さて、どう出て来る?

 『冥界の宝札』を軸にしている、していないにかかわらず、【アドバンス召喚】というのは、フィールドが豪華になる代わりに、攻撃力3000以上のモンスターが出てきたときは攻撃力的に苦労するのだ。

 

「手札から『迷える子羊』を発動して、トークンを生成、アドバンスセットをして二枚ドローする。ターンエンドだ」

 

 ふむ、また増えたか。

 

「俺のターン。ドロー!」

 

 このターンも魔法、罠を発動出来ない。

 だが、発動出来ないとここまで妙なことになるとは……ある意味、これからのカード選出も考えて行く必要があるな。

 

「俺は『デブリ・ドラゴン』を召喚して、『カードガンナー』を特殊召喚。効果は無効になるが発動はできる。デッキから三枚墓地に送る」

 

 デブリ・ドラゴン ATK1000 ☆4

 カードガンナー  ATK 400 ☆3

 

「そして、レベル3のカードガンナーに、レベル4のデブリ・ドラゴンをチューニング。シンクロ召喚、現れろ。『ブラック・ローズ・ドラゴン』!」

 

 ブラック・ローズ・ドラゴン ATK2400 ☆7

 

「な……ブラック・ローズ・ドラゴンだと!?」

「俺のデッキなら、デブリ・ドラゴン一枚から出せる優秀なカードだ。効果発動。フィールドのすべてのカードを破壊する!」

「1500のライフをはらい『神の通告』を発動!その効果を無効にして破壊する!」

 

 辰巳 LP4000→2500

 

 ふむ……神の通告か。

 

「俺はターンエンドだ」

 

 これで、魔法、罠を発動出来ないターンは終わった。

 

「僕のターン。ドロー!」

 

 ハングリーバーガーが、『ほらほらかかって来いよ』と言いたそうな顔で、盾に隠れたり、チラッと出てみたり、を繰り返している。

 辰巳はイラッとした。

 

「モンスターを反転召喚する。『禁忌の壺』だ!」

 

 禁忌の壺 ATK2000 ☆9

 

 ハングリーバーガーは『うっは。やべぇ!』と言った感じで盾の奥に引っ込んだ。

 

「リバース効果発動。相手モンスターを全て破壊する!」

「永続罠『スキルドレイン』!」

 

 恵遊 LP4000→3000

 

「あ……」

 

 禁忌の壺の効果が無効になっただけではない。

 

 邪神アバター DFE2100→0

 

 邪神アバター(ブラックハンバーガー)の攻撃力も0になった。

 そう、こういったカードを使うのにためらいなどないのだ。

 恵遊の基本戦術は、ハングリーバーガーに儀式魔人で効果を付与して、最強の盾をつけてぶん殴ること。

 ハングリーバーガーは効果モンスターではないのだ。

 

 結果的に、こうなる。

 

「く……ターンエンドだ」

「俺のターン。ドロー!」

「くそ。なぜ僕のカードが、こうも役に立たないんだ!」

 

 辰巳が悔しがる。

 だが、恵遊はその理由をなんとなく理解していた。

 

「そりゃ当然だ。俺のデッキが変態だからだろ」

 

 普通が通用しない。

 いわゆる、恵遊のデッキはネタデッキやファンデッキだ。

 実用性を考えると真司のピケクラも大した差はないのだが、マストカウンターがほぼ確定しているゆえに、それを止められないと対抗できなくなる。

 『マジック・プランター』のコストにもできて、止めるうえでも有名なカードとしては『デモンズ・チェーン』があげられると思うが、そういったカードも、効果モンスターではないハングリーバーガーには通用しない。

 

「自分を出すのは構わんが、もうちょっと調べて来いって……」

「だが、頭の中がハッピーセットになったような、こんなバカに僕が……」

「先輩のことをグチグチ言いすぎだ。ハッピーセットは嫌いか?なら全力でハッピーセットしてやる。俺は『ポテトマン』を召喚!」

 

 ポテトマン ATK900 ☆3

 

「ぽ……ポテトマン?」

「そうだ」

 

 恵遊は指をパチンと鳴らした。

 すると、ハングリーバーガーを作っているあのイカツイおっさんが出現。

 ポテトマンの背後に忍び寄り、すごく大きな包丁で細め……いや、サイズ的に何か太いけどカット。

 そして、それをフライヤーの中にどんどん放り込む。

 

 揚げている間に、おっさんはせっせと紙を組み立て始めた。

 だが、うまくいかない。

 仕方がないので恵遊が手伝った。

 

 おっさんは揚げたポテトを火傷しながら紙に詰め込み。完成。

 

「というわけで、ポテトマン改め、フライドポテトマンだ」

「ふざけてるのかお前は!」

「別にふざけてはいない。マイナス方向に全力なだけだ」

 

 観客からは『それを世間では『ふざけている』というのでは?』と言う雰囲気が流れたが、恵遊は気にしない。

 

「というわけで、ハングリーバーガーを攻撃表示に変更」

 

 ハングリーバーガー DFE3850→ATK3850

 

「さらに魔法カード『ユニオン・アタック』を発動!」

 

 魔法カードの発動と共に、ハングリーバーガーと(フライド)ポテトマンが頷き合う(なお、顔はありません)。

 

「バトルだ!」

 

 ハングリーバーガー ATK3850→4750

 

「俺はハングリーバーガーと(フライド)ポテトマンで、邪神アバターを攻撃!『ハッピーセット・コンビネーション』!」

 

 言っているが、ただの突撃である。

 とはいえ、守備力0の邪神アバターに対していえば、明らかにオーバーキルなほどボコボコにしているが。

 ちなみに、もともとユニオン・アタックのデメリットでダメージはない。

 

「ば……バカな……こんな頭のおかしい攻撃で、僕の邪神アバターが……」

 

 悲壮感が漂うのだが、観客は納得して、コンボを決めた恵遊は上機嫌である。

 ハングリーバーガーと(フライド)ポテトマンは頷き合い……お互いに手がないことを思いだした。

 ポテトマンには手足が存在するが、フライドポテトマンにはないのである。

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

 ハングリーバーガー ATK4750→3850

 

「僕のターン。ドロー!くそ……かみ合わない……『禁忌の壺』を守備表示にしてターンエンドだ」

 

 禁忌の壺 ATK2000→DFE3000

 

「俺のターン。ドロー!さっさと決めるぞ。『シールド・クラッシュ』で禁忌の壺を破壊!」

 

 禁忌の壺が砕け散った。

 

「というわけで、アンコール。決闘終了(メインディッシュ)だ!ハングリーバーガーとフライドポテトマンで、攻撃!『ハッピーセット・コンビネーション・パート2』!」

 

 とは言うが、ただの突撃である。

 

「う、うわあああああああ!!!!」

 

 辰巳 LP2500→0

 

 ライフを消し飛ばしていく。

 観客は思った。

 『ドンマイ』と。

 

「よし、俺の勝ちだ」

「ば、バカな。僕がこんな奴に……くそ、これで終わったと思うなよ!次は必ず勝つ!」

「ま、かかってきな……次があるうちにな」

 

 最後に小さな声で言った言葉は、誰にも届いていなかった。

 

 ★

 

「恵遊君。あのコンボ、何?」

「ハッピーセット・コンビネーションのことか?」

「うん」

「だって、ハンバーガーと言えばフライドポテトだろ?」

「……納得しそうになっている私はおかしいのかな」

「凛子ちゃん。汚染が進んでるね」

 

 とは言うものの、茜もあまり気にしていないのだった。

 だって……恵遊なんだもの。

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