ボーダーはデュエル専門学校だが、体育の授業は存在する。
デュエルは精神をいろいろな意味で使うのだが、体育の授業を意図的に設けているのだ。
ちなみに、いろいろな意味で派手に動くものが採用されている。
今日は、バスケだ。
「おい昇平!お前この試合引き分けにしようとか考えてんじゃねえだろうな!」
試合中、恵遊が叫び声をあげる。
チームメイトの昇平はニヤッと笑った。
「あ、やっぱりわかるか?」
「お前デュエルだけじゃなくてスポーツでも同点にしたがるのか!」
「あたりまえだゾ」
「当たり前なのかよ!おい銀二、ぬかせるかテメエ!」
ドリブルをしているエネミーチームである銀二の前に立つ。
お互いに汗をかいているが、体格的にはほぼ互角だ。
「フン!デュエルでは負けたが、スポーツでは負けんぞ!」
「正直、体のリミッターがないお前をスポーツで相手にしたくないんだけどなぁ……」
銀二は何かと全力で動くのだ。
小学校の時のクラスメイトの変人三人(恵遊、銀二、真司)の中で、恵遊はハンバーガーコンプレックス、真司はロリータコンプレックスだが、銀二は特にそういったものはない。
ただ、全力で動くのだ。しかも全くそういう部分を気にしない。
罠があろうと罠ごと踏み抜いていくタイプだ。たぶん早死にする。
「フン。抜く必要はない。ここから入れればいいのだ!」
銀二は若干距離をとると、そのままシュートフォームに入る。
「な……おりゃ!」
シュートしたボールをジャンプして叩き落す。
「なに!?」
落ちたボールを取って、そのままゴールまで行くと、ダンクを叩き込んだ。
この瞬間、みんな思った。
『お前って身長百八十未満だよな』
と。
バネがありすぎである。
まあ当然だ。デュエリストなのだから。
「ッシャアアアアアア!」
ちなみに、試合そのものは引き分けだった。
昇平が何かと手玉に取ってきたのである。
策士なのはいいが……面倒だこの男。
★
放課後。
「……何してんだ?凛子」
恵遊は愕然とした。
今日は放課後になると特別なバーガーが売られるということで、真っ先に向かったのだ。
そして、戻ってきたら……。
「見てのとおり、恵遊君の体操服のにおいを嗅いでいるんだよ!」
そう、凛子は恵遊の汗のにおいがしみ込んだ体操服のにおいをかいでいた。
しかも、体操服を入れていたエナメルバッグから取り出すのではなく、自分の顔をエナメルバッグの中に突っ込んで、ある意味、密閉空間でダイレクトに嗅いでいるのだ。
信じられない。
ちなみに、頭をバッグの中に突っ込んでいるからだろう。すごく声がくぐもっている。
「……」
恵遊が絶句していると、凛子は顔を出した。
そして、いう。
「恵遊君!この体操服ちょうだい!新しいの買ってあげるから!」
「嫌です」
即答である。
当然だ。
というか、その、なんていうんだろう。恵遊の名前を連呼するわけでもなければ、恵遊にいきなり抱き着いてくるわけではないのだが、何かと面倒な方向性を持つヤンデレである。
いや、ヤンデレというより……いろんな意味で既成事実を作ろうと奮闘している感じか。
「どうして!?新しいの買ってあげるんだし、恵遊君にとってマイナスなことはないはずだよ!」
「どうしてもです」
そうとしか言いようがない。
いったい何に使う気だ。
「なら……デュエルで決めよう!私が勝てば体操服をもらって、交際しよう!恵遊君が勝ったら、私は恵遊君の彼女になってあげるよ!」
「……」
恵遊は言葉を失った。
そのとき、教室のドアが開いた。
「おい、聖野。何をしている」
「うげっ。赤座先生!」
入ってきたのは生徒指導の赤座先生だ。
「なんど生徒指導室に放り込まれれば気が済むんだ?」
「先生に勝てば問題ないからです!」
「よし、よく言った。問題児粛正用の『積み込みディスク』をもってこよう」
そんなデュエルディスクがあるのか!
「な……ずるいですよ!そんなワンキルしますっていうかのような……」
「ワンキルではない。『初手エクゾ』でスタートキルだ」
教育現場というのは非情である。
「鬼!悪魔!邪神!」
「なんとでもいえ」
「独身!童貞!チキン野郎!」
「私は妻子持ちだ!」
教室の空気が変な感じになった。
先生、子供いたんだ。
まあ、デュエルは強いらしいし、ボーダーの教師試験は門が狭い。
若い時代でも給料はそこそこ多いと聞く。
有望株といえば有望株である。
冗談に付き合ってくれるし、基本まじめな先生だ。
大学時代くらいに彼女ができていそうな人である。
「むうう……今日のところはあきらめるよ!」
「……はぁ、なんでこんなバカばっかりこの学校に来たんだろうな……」
「先生大変ですね」
「バカの一人にお前も含まれているんだがな」
「え、俺も?」
何かしたっけ?
聞こうと思ったが、赤座先生は溜息を吐きながら戻って行った。
「アハハ……そう言えば、恵遊君はエキセントリック・テンスに自分から挑んだりしないの?」
茜が聞いてきた。
「俺から?」
「うん。一応非公式に分類されてるけど、既に二人のエキセントリック・テンスを倒してる。もう学校内でもかなりの実力者とされてるよ。雑誌にものってるし」
「雑誌って何だ?」
「新聞部が逐次出してるものだよ。部長が輪転機持ってるからそう言うのが強いんだ」
「いや、それは異常じゃね?輪転機って、新聞社とかが持ってるようなものじゃなかったか?」
この学校すごいな。
「で、その雑記に書かれてたんだよね。もうすでに、神代美咲よりも強いんじゃないかって。どうなの?」
「……どうだろうな。負けたことはないけど、長いことデュエルしてないからなぁ」
とはいっても、デュエルするようなことにはならないと思うがな。
「まあ、俺の方から挑むことはないよ。興味ないし」
「だよね」
茜は頷いた。
そう、興味がないのだ。
……買収は簡単だが。
「青芝恵遊はいるか?」
その時、誰かが教室に入って来た。
ムキムキのスキンヘッドだった。
え、誰?ていうか、その筋肉は何処で使うの?
いろいろ思うことはあったが、その前に茜が反応した。
「西条剛毅……エキセントリック・テンスの一人よ」
「さいですか」
剛毅はこちらに気が付いたようで、歩いてきた。
近くまで来るとすごく大きく感じる。
「青芝恵遊だな。私と一戦、デュエルをしてほしい」
そう言うと同時に、剛毅はハンバーガーが大量に入った袋を恵遊に差し出す。
恵遊はそれを笑顔で受け取る。
「いいだろう」
(((でしょうね)))
もう、周りもなんとなく分かっていた。
そんな雰囲気だった。
とはいえ、デュエリストに言葉は不要。
恵遊にハンバーガーを渡せばデュエルしてくれるのだから、タイムパフォーマンスがこれほどいいやつはいない。
★
エキセントリック・テンスはデュエルコートが常備されているが、西条剛毅というデュエリストを慕うものが多いので、言ってしまえば『剛毅グループ』でデュエルコートを使っているような雰囲気だ。
まあそれはそれとして、いろいろ考えるものも多いようだ。
『お、今度は西条剛毅本人が出てきたのか』
『側近二人が出てきたのってちょっと前だろ。もう本人が出て来るなんて……』
『それにしても、青芝恵遊のエキセントリック・テンスとのデュエル回数がすごいな。これで四回目……』
『昇平を除いてあとは勝ってるもんな』
『まあ仕方ねえだろ。昇平はやろうと思えば先攻引き分けなんだからな。使用カード二枚で……』
『話を戻そう。西条剛毅とのデュエルか。どうなると思う?』
『分からん。ただ、渡してるハンバーガーはどれも学校の外でしか買えないうえに、値段が高いものを選んでるらしい。恵遊のそこそこの本気が見られると思うぞ』
いろいろ言っているが、大体正しい。
「さて、それでは始めようか」
「ああ。良いハンバーガーだったからな。まあ、そこそこ本気でやってやるよ」
「今までは本気ではなかったのか?」
「真面目ではあるぞ。ハンバーガーもらってるしな。ただまあ、頭の中のエンジン的な意味ではそうでもないって言うだけの話だ」
「ならば、本気を出さざるを得なくしてやろう」
お互いのカードを五枚引いた。
「「デュエル!」」
恵遊 LP4000
剛毅 LP4000
デュエルディスクが決めた先攻は恵遊。
「お、珍しいな。それなら俺は『切り込み隊長』を召喚して、『カードガンナー』を特殊召喚だ」
切り込み隊長 ATK1200 ☆3
カードガンナー ATK 400 ☆3
フィールドに並ぶ隊長と潤滑油。
切り込み隊長。最近出はデッキでは見なくなったが、戦士族デッキならよく引っ張ってきてくれたり(増援)、ボロボロになりながら帰ってきてくれたり(戦士の生還)する働きものであり、近年では、ゴブリンたちの中でも彼の真似をする(ゴブリン切り込み部隊)など、モンスターたちの間でもかなり有名なモンスターと言えるだろう。
恵遊のデッキでは……カードガンナーを特殊召喚するか、墓地にいた方がいいが手札に来てしまったモンスターを壁として出す感じだろうか。
「カードガンナーの効果で、デッキから三枚を墓地に送って攻撃力をアップさせる」
カードガンナー ATK400→1900
カードを三枚装填しはじめるカードガンナー。
とはいえ、彼がリロードしてもそれを発射する機会は少ない。
そもそも今は先攻である。
「そして、レベル3の切り込み隊長とカードガンナーでオーバーレイ。『彼岸の旅人 ダンテ』をエクシーズ召喚!」
彼岸の旅人 ダンテ DFE2500 ★3
現れる潤滑油その……何番だろう。
とりあえず潤滑油だ。
ちなみに、精霊カードであるカードガンナーを素材にしているので、墓地肥しとしてかなり優秀です。
「ダンテの効果発動。エクシーズ素材を取り除いて、デッキからカードを三枚墓地に送り、攻撃力をアップさせる」
先攻では攻撃力アップは、攻撃力を参照する効果を使わない限りあまり意味はないのだが、単純に考えてレベル3が多い恵遊のデッキでは、ダンテのこの効果は活躍できるだろう。
「俺はこれでターンエンドだ」
あまりカードを伏せることが無い恵遊。
剛毅は頷く。
「うむ。私のターンだ。ドロー」
剛毅は冷静にカードを引く。
「私は『トレード・イン』で、『銀河眼の光子竜』を捨てて二枚ドロー。手札から『銀河眼の雲篭』を召喚、そしてリリース。墓地から『銀河眼の光子竜』を特殊召喚する!」
銀河眼の光子竜 ATK3000 ☆8
「な……【ギャラクシー】だと!?」
「私は『銀河遠征』を使って『銀河騎士』を特殊召喚し、レベル8の光子竜と銀河騎士でオーバーレイ。『No.62 銀河眼の光子竜皇』をエクシーズ召喚!」
No.62 銀河眼の光子竜皇 ATK4000 ★8
「プライム・フォトンだと……」
「バトルだ。光子竜皇でダンテを攻撃!」
「墓地から『ネクロ・ガードナー』を除外する!」
光波竜のブレスに包まれるネクロ・ガードナー。
まあ、大体こうなると剛毅も思っていた。
「カードを二枚セット、ターンエンドだ」
「俺のターン。ドロー!」
さて、どうするかな。
それはそれなりに考えられている布陣だ。
何より、普段の恵遊のハンバーガーの射程距離、3850よりも高いというのが重要とも言える。
ていうか、プライム・フォトンはまだ上がる。
「ダンテを攻撃表示に変更して、効果を使う。デッキトップ三枚を墓地に送って攻撃力を上げる」
彼岸の旅人 ダンテ DFE2500→ATK1000→2500
「『アームズ・ホール』で、デッキトップを墓地に送って『最強の盾』を手札に」
「ほう……」
「手札から『儀式の下準備』を発動。デッキから『ハンバーガーのレシピ』と『ハングリーバーガー』を手札に加える」
さて、やりますか。
「『ハンバーガーのレシピ』を使って、墓地のプレサイダー、ディザーズ、クリボールを除外、『ハングリーバーガー』を儀式召喚!」
ハングリーバーガー ATK2000 ☆6
そして降臨するバーガー。
「だが、どうする?ダンテが存在することで、合計のランクは11だ。光子竜皇の攻撃力は、6200まで上がるぞ?」
「『最強の盾』をダンテに装備させて、『ユニオン・アタック』を発動。攻撃力をダンテに集約させる」
彼岸の旅人 ダンテ ATK2500→5000→7000
「な……何!?」
まあ、実際問題、ダンテと『最強の盾』は相性がいい。
自身の効果で攻撃力を2500まで上げられるうえに、最強の盾があれば攻撃力を5000まで上げられるのだ。
しかも、攻撃後に守備表示になってくれるし、そうなれば参照する攻撃力が変わって、その守備力が3500となる。
あと……これは観客側の意見だが、ハングリーバーガーに添えられているより、ダンテが構えている方が様になる。
ただ、これをすると若干ハングリーバーガーが不機嫌になる。
今も、『あっ!それ俺の!』と言いたそうに怒りマークを発現中だ。
ダンテは『何時も使っているんだからいいじゃないか……』と言いたそうな顔である。
「……いいのか?何やら怒っているようだが」
「まあ今はいいのさ。バトル!ダンテでプライム・フォトンを攻撃!」
効果を使っても意味はない。
ので、攻撃力的にはダンテの方だけでも勝っているのだが、ユニオン・アタックの演出と言うことで、ハングリーバーガーは円盤肉を飛ばした。
ダンテが盾を構えると、盾の中央部分にエネルギーが集中して、ビームが発射される。本当にこれどういう構造なのだろう。
とはいえ、プライム・フォトンが破壊されたことは事実。
「ダンテは守備表示になる。それにより、参照される数値も変更される。カードを一枚セットしてターンエンドだ」
彼岸の旅人 ダンテ ATK7000→DFE2500→3500
「む……こんな簡単に突破されるとはな。私のターン。ドロー!『リビングデッドの呼び声』『復活の福音』を使い、『銀河騎士』『銀河眼の光子竜』を特殊召喚し、二体でオーバーレイ。『神竜騎士フェルグラント』をエクシーズ召喚!」
神竜騎士フェルグラント ATK2800 ★8
「お次はフェルグラントか……」
恵遊のような『装備カードで低い攻撃力を強化して殴る』デッキには刺さるカードだ。
もちろん、自分のカードを守ることもできる。
攻撃力も悪くない。ランク8では安定したモンスターだ。
手札が多少事故っていても、このモンスターを出せるのならある程度耐えれる状況はそれなりに……多いのか?まあ多いだろう。多分。
「バトルだ!フェルグラントで、ハングリーバーガーを攻撃!」
「何かを焦ったか?墓地から『タスケルトン』を除外して、攻撃を無効にする」
「無駄だ。フェルグラントの効果を使い、攻撃を無効にする効果は受けなくする」
タスケルトンが出て来るが、スルーしてこっちに向かってくる。
「なら、それにチェーンして、『移り気な仕立屋』を発動。ダンテに装備されている最強の盾を、ハングリーバーガーに装備させる」
それを聞いたハングリーバーガーは、『ヘイッ!パース!』と言いたそうな雰囲気でダンテを見る。
ダンテは最強の盾をハングリーバーガーの方に投げると、ハングリーバーガーはうまく受け止める。
そして、自分に刺さっている旗を飛ばして、フェルグラントを倒した。
盾は使わないようである。
ハングリーバーガー ATK2000→3850
剛毅 LP4000→2950
「む……むう。私はこれでも堅実な方だと言われるのだが、どうも調子が出ないな……」
「テンポもルートもいろいろ異なるからな。プレサイダーを素材にしたハングリーバーガーの効果で一枚ドロー」
剛毅は頬を動かす。
もともと、プレサイダーを素材にした時点で、相手モンスターを戦闘で破壊する気満々だったのだ。
それを察知すればよかったと思っているのだろう。
まあ、色々遅いけどな。
「私はリビングデッドの呼び声をコストに、『マジック・プランター』を発動。カードを二枚ドロー。『銀河零式』を使って、『銀河眼の光子竜皇』を復活させる」
銀河眼の光子竜皇 ATK4000 ★8
また出てきたか。
素材が無いのでパワーアップはしないが、それでも面倒な攻撃力である。
「さらに、光子竜皇でオーバーレイ。『ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン』をエクシーズ召喚だ」
ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン ATK4000 ★8
「効果発動。ハングリーバーガーを破壊する」
「墓地の『スキル・プリズナー』を除外しようか」
通らない。
と言うより、墓地肥し効果を通しすぎたのだ。
「ターンエンドだ」
「俺のターン。ドロー」
とはいえ、攻撃力4000のモンスターを何度も戦闘で処理するのがしんどいのは変わらない。
墓地発動のカードが多いし、そういったカードはあまり相手フィールドのモンスターをフィールドから放すものが少ないのだ。
とはいえ……。
「俺は『RUM-レイド・フォース』を発動。ダンテを『RR-ライズ・ファルコン』にランクアップだ」
RR-ライズ・ファルコン ATK100 ★4
「ライズ・ファルコンだと……」
どうしても突破できない時はこうするのだ。
ランク3のダンテを無理なく投入できるので、こういったカードも入れている。
大体は『シャッフル・リボーン』でデッキに戻すのだがな……。
「ライズ・ファルコンの効果発動。エクシーズ素材を使って、フォトン・ドラゴンの攻撃力を加える」
RR-ライズ・ファルコン ATK100→4100
「バトル!ライズ・ファルコンで、フォトン・ドラゴンを攻撃!」
ライズ・ファルコンがぶち抜いた。
「『復活の福音』を除外して、破壊を無効にする」
剛毅 LP2950→2850
そう言えば使っていたな。
「メインフェイズ2。カードを一枚セットしてターンエンドだ」
「私のターン。ドロー!」
「ライズ・ファルコンをリリースして『ゴッドバードアタック』を発動!対象はフォトン・ドラゴンとセットカードだ」
「む……」
だが、まだ焦ってはいない。
「私は二枚目の『銀河零式』を使い、墓地の光子竜皇を特殊召喚する」
銀河眼の光子竜皇 ATK4000 ★8
また来るのか!
なんていうか……光子竜皇が過労死気味になるデッキってすごい。
「そして、光子竜皇でオーバーレイ。『No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン』をエクシーズ召喚だ」
No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン ATK4000 ★9
「効果発動。私はデッキから『伝説の白石』『エクリプス・ワイバーン』『銀河眼の光子竜』を墓地に送る」
「俺は『ユーフォロイド』『真紅眼の黒竜』『E・HERO ネオス』を除外する」
恵遊が除外したそのラインナップに、客席にいる生徒たちがこけそうになった。
内容としては『え、ネオス!?』と言った感じだが、ちょっと後に、『ああ、ネオス・ナイトか』と分かってしまったのだが、もうそこまで行くと、彼らも彼ら、と言いたくなるような雰囲気である。
「『伝説の白石』の効果で『青眼の白龍』を手札に、『エクリプス・ワイバーン』の効果で『限界竜シュヴァルツシルト』を除外する」
カードを整えていく剛毅。
若干疲れているような感じだ。
「そして、『おろかな埋葬』で『カーボネドン』を墓地に落として除外、『ギャラクシーサーペント』を特殊召喚し『戦線復活の代償』を発動。ギャラクシーサーペントをコストに、『ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン』を墓地から特殊召喚」
ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン ATK4000 ★8
「そして、フォトン・ドラゴンは、装備魔法をエクシーズ素材にできる。そして、効果を使い、ハングリーバーガーを破壊する!」
消し飛ぶハングリーバーガー。
「バトルだ。ダークマター・ドラゴンでダイレクトアタック!」
「『超電磁タートル』で無効にする」
タートルの効果で止まってしまった。
「ぐ……私はターンエンドだ」
「俺のターン。ドロー!」
ドローしたカードを見る。
ふむ、お前か。
「俺は『竜の鏡』を発動。墓地の『虹彩の魔術師』と『ハングリーバーガー』を除外、『ブレイブアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』を融合召喚!」
ブレイブアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ATK3000 ☆8
「な……ブレイブアイズだと!?」
「効果に寄り、攻撃力を0にする」
ブレイブアイズの背中からハングリーバーガーがひょこっと出てきて、肉とトマトを飛ばして二体のドラゴンの攻撃力を0にした。
(((お前かよ!)))
生徒達の心は一つになった。
No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン ATK4000→0
ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン ATK4000→0
「さあ、
ブレイブアイズのエネルギーを受けたハングリーバーガーのキャベツは、ダークマターをぶち抜いた(どうやって?)。
剛毅 LP2850→0
このデュエルを見て、皆は思った。
(こいつを相手に攻撃力で勝負するのは止めた方がいいな。と)
★
疲れたような表情をした剛毅が帰った後、茜と凛子が来た。
「恵遊君って、ブレイブアイズを入れてるんだ」
「まあな。戦士族との融合だから、こういった召喚もできるし」
多分、ブレイブアイズをデザインした人達は、そんな使われ方をするのは想定外だったと思うが……。
とはいえ、青芝恵遊はそういう男なのだ。
周りがあきらめるしかないことと言うものも、あるにはある。
少なくとも、デュエルが終わると同時にハンバーガーを食い始めるようなバカに、何を言えばいいと言うのだろうか。
不思議なものである。まる