カズマとめぐみんをいちゃいちゃさせる小説   作:リルシュ

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めぐみんお誕生日おめでとう!!!
このすば新作ゲーム発売決定祝いも少し絡めて、前作に当たることになるパンツ裁判ゲーのネタもちょびっと仕込んでいます!
でも読み返してみたら中身あんまり誕生日と関係ねぇ!!!
最後の部分以外はいつも通りカズめぐがグダグダイチャイチャベタベタチュッチュしてるだけです。
糖分高め。
物語の都合上、誕生日前日の話から始まってます。

あと僕が前に書いたカズマの風邪ネタの話の直後みたいなノリになってますが、そちらの続きというわけではございません。
読んでくれた方には時系列がややこしく感じるかもしれないですが…


この爆裂娘の生誕に祝福を!

「こほっこほっ…ううっ…なんで今日に限って…」

 

我が名はめぐみん!

明日誕生日を迎えし者!

 

…なのだが…

 

「…だるいです…」

 

最悪なことに、私は風邪を引いてしまったのだ。

みんなが色々とお祝いの準備をしてくれているのは知っている。

ダクネスはなにやら実家と連絡を取り合って物凄いものを準備してるみたいだったし、ゆんゆんも誕生日プレゼントあげるからってやたらしつこく宣言してきてた。

ついこの間親から届いた手紙にも、今年はプレゼントを用意してあるから楽しみにしててという内容が記載されていたし…

あ…アクアはなにやらアクシズ教団がどうのこうのと嫌な予感しかしないワードを連発していたので、少し不安かもしれない。

 

でもなによりも楽しみなのは…

 

「うぅぅ…かずまぁ…」

 

熱く火照る頬を枕にぎゅぅぅっと押し付け、私は愛する男の名前を口に出す。

 

彼は私が絶対に喜ぶものを用意しておいてやるから楽しみにしてろという宣告を、先週あたりから会う度に言ってくれていたし、誕生日が本当に合っているかどうかもしつこい程確認してくれるのが、寧ろたまらなく愛おしかった。

 

「……へへへっ……」

 

こうして体調が優れないときですら、彼のプレゼントは何かを考えるだけで顔がにやけてしまう。

ホワイトデーの時なんか本当に嬉しすぎて気絶するかと思ったし。

 

「なんとか明日までにこの風邪を治して最高の誕生日を迎えたいものですが…」

 

朝ごはんは食べた。薬も飲んだ。

あとは早く寝て休んで、体調を万全に回復しておいた方が良い。

うん。そうしよう。

 

興奮冷めやらぬまま瞼を閉じて、私はなんとか夢の世界へ旅立つことにした。

 

………

……

 

 

「…んんっ」

 

…あれからどれくらいたったのだろう。

現実世界への帰還と共にチラリと窓へ視線を向けると、カーテンの隙間から夕焼け色の光が差し込んでいた。

寝起きの脳がその鮮やかな色を認識し、意識がハッキリと覚醒してくる。

 

「お腹すきました…」

 

食欲があると言うことは、そこまで重症ではないのかもしれない。

ポジティブ思考で私はまだ少しふらつく身体を動かして、ベッドの上から移動する。

熱があるせいで肌寒いと感じる空気の中、パジャマだけでは風邪が悪化してしまいそうなので、いつものローブを手に取り部屋を出た。

 

 

--------------------

 

 

「なるほど。パジャマントか…中々マニアックな格好だな」

 

何か食べるものは無いかとリビングに向かった私を出迎えた言葉は、カズマのその一言だった。

 

「…他にかける言葉はないんですか?」

 

体調を崩した恋人を前に、第一声がマニアックな格好してるとか言う人はそうはいないだろう。

言うほど変な格好もしていないはずだ。

…たぶん。

 

「えーっと…いつもと違う姿のめぐみんに見惚れてました」

 

「はいはい。ありがとうこざいます。…ところで、もう既に料理が出来ているようですが」

 

せっせと机の上に出来たてだと思われる料理を並べていくカズマの姿を見ながら、私はその匂いにつられて近づいて行った。

油断したらお腹なりそう。

 

「そりゃー夕飯の時間だからな」

 

そうか。

もうそんな時間だったのか。

 

「アクアとダクネスにはもう声をかけてあるから、少ししたら来るはずだぞ。めぐみんの事も呼ぼうと思って部屋に行ったんだけど、幸せそうな顔して気持ちよさそうに寝てたからな。後で直接持って行ってやろうと思ってたんだよ」

 

ある程度の準備は既に済ませのか、ズラリと並ぶ料理たちを見てうんうんと頷きながら、彼は私の方に振り返ってそう言った。

 

「ところでお前、体調まだ回復してないみたいだけど皆と同じもの食えるか?しんどいなら簡単な別メニューを作ってもいいけど。もしくは俺がアーンして食わせてやってもいいぞ」

 

冗談なのか本気なのか私にも判断が難しいカズマのニヤケ顔が、心無しかいつもより心配気な影を含んでいるように見えるのは、流石に願望のせいだろうか。

 

「では、別メニューをアーンで食べさせてください」

 

「…言い出しっぺはこっちだけど、両方要求されるとは思わなかった」

 

正式な恋人に昇格する時にもう遠慮しないでカズマに甘えまくってやるって決めたのだから、そこは欲望のままになってしまっても許して欲しい。

 

「ま、いいけどさ。それじゃー冷えないようにして待ってろよー。なんなら部屋に戻って横になっててもいいぞ。全部完成したら迎えに行くから」

 

ヒラヒラと手を振りながら再び背を向けるカズマの優しい言葉に、既に胸中はポカポカとあったかくなり始めてきていたが、

 

「いえ。カズマの傍を離れたくないので、ここで待ってます」

 

だからこそ自然と口をついて出たその言葉に、彼はピクリと動きを止めてこちらには振り返らずに頭をかき始めた。

…それがカズマの照れ隠しの動作であるということを、私はもう知っている。

 

「流石にそう何度も直球をくらうと恥ずかしいんだが…」

 

「いい加減慣れてくだs…いえ、慣れないなら慣れないで面白いので、やっぱりそのままで良いですよ」

 

「よし。絶対慣れてやる。次にお前から甘い言葉を囁かれても、俺はクールに切り返してやるからな。リアクションがあっさりすぎて泣いたりするなよ」

 

「そうですか。それは楽しみです」

 

耳元で好きですと言うだけで、未だに頬を真っ赤に染めてろくな返事が出来なくなるカズマがどこまで対応できるのか…

私の楽しみが、こうしてまたひとつ増えた。

 

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結局彼が簡単な別メニューを完成させた頃にダクネスとアクアはやってきて、二人の目の前でアーンを強請ったら恥ずかしそうに俯きプルプルしていたカズマに完全勝利したことを噛みしめながら夕食を終え、私は自室へ退散していった…のだが。

 

「…で、どうして貴方が着いてくるんですか」

 

「そりゃーめぐみんに用事があるからだが?」

 

私の後ろを一定の距離を保ったまま、カズマが付いてきていたのだ。

てっきりさっきの復習で何か企んでいるのかとも思ったが、表情を見る限りそんな雰囲気は感じ取れない。

となると…

 

「あの、言っておきますけど、流石に今夜カズマの相手をしてあげるのはしんどいのですが…」

 

「誤解を招いているみたいだから一応断っておくが、別にエロいことが目的じゃないぞ」

 

「え…そうなんですか…?」

 

「待って。なんでしんどいとか言っときながら若干残念そうなの?そんな風に反応されると、やっぱりその気になってきちゃうんですけど」

 

「…体調が万全に回復したらまたいくらでも相手してあげますよ」

 

「うわっ、でた。魔性のめぐみん。期待だけさせやがって!」

 

「魔性言うな!」

 

「しかし、これは尚更めぐみんには早く良くなってもらわないとな」

 

鼻息をふんふん荒くして欲望丸見えの分かりやすいカズマの言動に頬が緩んでしまうあたり、私は本当にこの男を心の底から愛してしまっているのだろう。

 

「それで、結局どうしてついてきたんですか」

 

「ん?ほら、お前せっかく誕生日前日なのに、体調崩しててかわいそうだと思ってな。大サービス。俺だけ前日からプレゼントをあげようかなと」

 

カズマからのプレゼント…

その言葉だけで、足の動きがピタリと止まる。

 

「そ、それはもちろん嬉しいのですが、少し複雑でもありますね…。た、誕生日プレゼントというものは、当日にもらってこそですから!」

 

期待で裏返る声がバレないよう早口になってしまったが、吃ったし逆に勘づかれたかもしれない。

 

「まぁそう言うなって。内容を知ったらお前も涙を流して喜ぶはずだ」

 

背後から聞こえたきた声に笑いが含まれてるのを感じながら、私はやはり嬉しく思っているのがバレたことを確信する。

…ちょっぴり悔しいけど、カズマからのプレゼントが嬉しくないわけないのだから仕方ない。

 

「前例があるので泣くのを否定はできないですし、ここまで来たら気になってしまいます。何をくれるのか、教えてもらってもよいですか?」

 

となればあとはとことん素直になるだけだ。

ゆっくりと振り返った私の目に映ったのは、ニヤニヤとイタズラに成功した子供のような笑顔を見せるカズマの姿だった。

 

「もちろん。プレゼントはな…これだぁ!」

 

私へのプレゼントを取り出してここまで嬉しそうにしてくれるカズマを見ていると、彼と恋人になれたんだなという実感を改めて感じ、とても幸せな気持ちに…ん?

 

「『カズマが一日なんでも言う事聞いてくれる券』…なんですかこれは?」

 

手書きの文字が記された1枚の小さな紙。

それをドヤ顔で目の前に突き出してきた。

 

「おっと心配するな。一日っていうのは明日のことも含んでるからな。その辺は大丈夫だ」

 

「聞きたいところはそこじゃないですよ!…えっとその…ほ、本当ですか?なんでもって…」

 

「うん。エロみんのどんな願い事でも誠心誠意叶えるよ」

 

「その呼び方はやめてください!あと、今のでカズマの意図が分かったんですが!本当にエッチな人ですね!」

 

しかも自分は受け身で、あくまで私からの要求に応える形にするのが彼らしいというかなんと言うか…

最早それじゃーカズマへのプレゼントになるじゃないですか!

と突っ込みたい。

 

「そうなるかどうかはめぐみん次第!」

 

「ちょっと黙っててください」

 

「はい」

 

やけに素直だけれど、これはもうこのプレゼントが効力を発揮し始めていますよということなのだろうか。

 

「ふむ…」

 

受け取った瞬間は頭にハテナが飛び交ったこのプレゼントだが、よくよく考えてみると…とても…

 

「ありですね」

 

「ん?」

 

実は先程のアーンしてもらう作戦はいつぞやの変態指輪事件の時に、カズマがおしおきを受けることになったらやってもらおうと思っていた事のひとつだったのだ。その他にも、色々として欲しい事を当時は考えていたのだが…

 

これを使えば全て実現できる!

 

こんなもの無くても大抵のお願いなら、なんだかんだ優しいカズマは最終的に折れて聞いてくれそうだという考えは口に出さないことにした。

 

「でも今日はもう遅いですし、明日たっぷり…」

 

「明日たっぷり…?なんだろう。すごく甘美な響きがする」

 

この欲望に忠実な男がどんな妄想をしているのかはあまり詳しく知りたくない。

けど…

少しぐらいなら、カズマが喜んでくれることをしてあげてもいいかもしれない。

私だって別に嫌というわけではないのだから。

むしろこの前は…

 

「めぐみーん。そのプレゼントの活用法に思考を凝らすのもいいけど、そろそろお前の部屋に着くぞ」

 

「はっ!…あ、そ、そうですね」

 

いつの間にか自室の前まで辿り着いていたようだ。

カズマの事になると夢中になりすぎて周りが見えなくなるのがいけない。

…治せる気はしないのだけれど。

 

「さて、まずはどうしようか」

 

「ちょ…!何で上着を脱ぎ始めてるんですか!私はまだ何も言ってないですよ!それどころか今晩はしんどいってちゃんと言いましたよね!」

 

部屋に入って扉を閉めた瞬間、早速ガサゴソし始めるカズマから慌てて距離をとる。

 

「えー。だってさっきは残念そうにしてたじゃん」

 

「…体目的だと思われて嫌われたくないと言っていたカズマは、どこに行ってしまったんでしょう…こほっこほっ!」

 

彼の突拍子もない行動に体調が悪いことを忘れそうになっていたが、そう言えば私は風邪を引いていたのだ。

唐突にイガイガとした違和感を喉に感じて漏れだした咳に、カズマが慌てて駆け寄り背中をさすり出してくれた。

 

「だ、大丈夫かめぐみん?ごめん。ふざけすぎちまったか。ただの風邪だって悪化したら大変だもんな」

 

やっぱりふざけていただけだったのか。

それはそれでなんとなく寂しい気もするけど、心配してくれるのは素直に嬉しかった。

彼の手を借りながらベッドにポスンと腰掛けて、ダルさを感じる身体を横たわらせないように踏ん張りながら、私はベッド端に置かれていた籠から1枚のタオルを手に取る。

お風呂に入れなくても、汗をかいた身体を清潔にはしておきたい。

カズマがいる前なんだし。

 

「あの…身体を拭きたいのですが」

 

「よし任せろ」

 

案の定ノリノリでそっちの方向に勘違いする彼がなんとも予想通りすぎて、ここまでくると焦りすら感じなくなってしまう。

 

さっきの真面目な心配ぶりを見る限り、これも演技なのかもしれないが。

 

「違いますよ。カズマに拭いてほしいという意味ではないです。ちょっと…そ、そっぽを向いていてください」

 

「…裸見るぐらい、今更じゃないか?」

 

「そ、それはそれ!これはこれです!身体を拭いてるところをじっと見られるなんて、なんか…は、恥ずかしいじゃないですか!」

 

「ふーん…そういうものなのか…?」

 

彼はまだ納得いかないようだったが、深く追求してくるつもりも無いようだ。

 

「ま、嫌なら仕方ない。部屋からも出た方がいいか?」

 

「あ、そこまではしなくていいです。傍にいてください」

 

ポンポンとベッドを叩いて、あなたの座る場所はここですと知らせる。

 

「ほう。傍にいろと言うくせにこっち見るなとかいう生殺しプレイを要求するなんて、やっぱりお前悪女だな」

 

「悪女呼ばわりはやめて欲しいのですが!それにどうせ見ても良いと言っても、そんな度胸なんてないくせに!」

 

「おいおい。俺を以前のようなヘタレだと思ったら大間違いだぜ!めぐみんがあの時もう遠慮しなくて良いと言ってくれたんだから、ガン見してやr」

 

「そうですか。じゃー別に見てても構いませんよ」

 

バサッ!

 

「!!!」

 

わざと音が出るようにパジャマをはだけさせた瞬間に、バッとそっぽを向くカズマにニヤリと口元が綻ぶ。

 

「おや?どうしたんですかカズマ?ガン見するのでは無かったのですか?」

 

「…お前の風邪が治ったら、絶対今までで1番すごい事してやる」

 

「ふふふ…それは楽しみですね」

 

結局私の隣に座って明後日の方向を向いたまま、彼は静かにしていた。

やっぱり何も変わっていないカズマが微笑ましくて愛おしくて、居心地の良い空気の中、手に持っていた乾いたタオルで………あ

 

「あの…カズマ」

 

「ん?今度はどうした?」

 

「すいません。水を用意するのを忘れてしまったので、このタオルを濡らしてもらえませんか」

 

 

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「あのさめぐみん。…もしかして、誕生日プレゼント不満だったか?」

 

「え?」

 

ドジっ娘属性なんていつの間に身につけたんだという訳の分からない事を言うカズマに即席のあったかい濡れタオルを用意してもらってから体を拭いて、2人でベッドに横になってから数分。

天井を見上げたままだった彼が唐突にそんな事を言って私の方に振り向いた。

 

「めぐみんに何をあげようか迷った結果がこれだったんだが…ほら、もう婚約指輪も渡しちまったし、他の人には絶対無理なことでなおかつお前が喜んでくれるようなものと言ったら…俺自身かな…って…」

 

流石に自意識過剰だったかとぼそっと付け足すカズマに、私は思わず吹き出してしまった。

この男は本当に何度こちらの気持ちを告白しても自信を無くすのだから…。

 

「他の人には無理で、カズマに貰うからこそ嬉しいプレゼントという条件だったら、すべてクリアしていますが」

 

「本当?」

 

「本当です」

 

「証拠は?」

 

不安そうな顔で私と目を合わせた彼の頭をよしよしと撫でてあげながら、にっこりと微笑んで

 

「証拠ですか…分かりました。プレゼントのお礼に思いっきりぎゅーってしてあげましょう!」

 

「えぇ…」

 

「ちょっと!なんですかその不満げな態度は!恋人にぎゅーっとされるのが嬉しくないのですか!?」

 

膨らんだカズマの頬を指でグイグイ押しながら、私はむすっと顔を近付ける。

 

「いやもちろんそれはそれで嬉しいけど…もっとすごいことを期待してました」

 

「む」

 

まったく…

遠慮する必要ないですよとは言ったけど、本当に素直な男だ。

最近は二人っきりの時なんて特にベタベタ甘えてくる気がする。

もちろんそれは私にとっても嬉しいことなのだが…。

カズマには好きな人にハグされるのがどれだけ嬉しいことか、身をもって思い出してもらうとしよう。

 

というわけで、私はまだふくれっ面をする彼の身体に素早く腕を回して、ぎゅっとおもむろに引き寄せる。

 

「私からしてみれば、好きな人に抱きしめてもらうのは十分凄くて嬉しいことなのですが…カズマは違うのですか?」

 

「っ!…あ、あぁ…そうだな。俺が間違ってたごめんなさい」

 

そう言うカズマの腕も恐る恐る私を抱きしめ始めて、そっと体を密着させてきた。

 

…あったかい。

 

「ふふっ…強いて言うなら、カズマがこうして近くにいてくれるだけでも私は嬉しいんですよ」

 

「お、おぅ…」

 

胸元に額を密着させながら告げた私の想いに、カズマは抱きしめる力を少しだけ強めて応えてくれた。

チラリと視界の端に映る彼の耳がほんのりと紅く染まっているのが分かって、私もドキドキしてきてしまう。

 

「その…俺もめぐみんが傍にいてくれるだけで…う、嬉しいからな」

 

彼なりに頑張ったセリフなのだろう。

指先で髪の毛も撫で始めてくれた。

優しく梳いてくれる感触が心地よい。

 

私の髪が大好きだと言ってくれたカズマのために例え風邪の時でもそこだけは手入れを欠かしていないし、髪を彼に撫でてもらえるのは心身ともに物凄い満足感を得る事が出来る。

それこそ、風邪を引いていることなんて忘れそうな勢いで。

 

「カズマ…今夜はそのまま、離れないで抱きしめてて下さい」

 

「うん。それは頼まれないでもそうするつもりだった」

 

「…あの、ならもうひとつ…おねだりしていいですか?」

 

私もカズマの髪に指を突っ込んで撫でながら、更に密着しつつ聞いてみる。

 

「ん?いくらでも言ってくれ、こんな大サービスは誕生日の時だけだぞ。今のうちに俺にやってほしいことは全部…」

 

「貴方とキスをしながら日付を超えたいです…つまり、誕生日を迎えたいという事なのですが…」

 

私の発言に、瞳を閉じてキメ顔を見せつけていたカズマの動きがまるで時を止められたかの如く静止した。

 

「えっと…しちゃっていいの?」

 

「さっきからそれ以上に凄いことを求めていたカズマが、今更何を言っているんですか」

 

ここまでベタベタ密着しておいて今更かもしれないけど、ちょっとだけ心配な事があるのでそこだけ確認を…

 

「まぁその…風邪を移してしまっては申し訳ないなと思いますので…」

 

「いや、それこそもう今更だろ。これだけイチャイチャくっついてるんだし」

 

あ、やっぱり突っ込まれた。

でもカズマに移してしまっていたら、私がまた責任もって看病しなくては。

 

「だからその…キスするか」

 

「はいっ!」

 

横になったまま、髪に絡められていたカズマの手にクイッと少しだけ顔を引き寄せられる。

そのまま彼に身を任せてじっと瞳を覗き込むと、ワクワクした表情の自分と目が合った。

 

「「……………」」

 

……えっと?

 

「…カズマ?どうしたのですか?」

 

「いや、分からん」

 

「はい?」

 

「タイミングだよ…その、いつガッといけばいいの?」

 

「ぷっ…ふふっ!本当に面白いですねカズマは。そういう変に慎重なところ、すごく好きですよ」

 

眉を顰めて真剣に悩むカズマを見て、声を出して笑ってしまった。

本当に、彼と一緒だと私の笑顔が絶えない。

 

「そんな事言われても、いざやるぞとなると…いつもめぐみんの方から唐突にちゅっ、とくるかその場の流れというか勢いでとか…だったからさ、ほら…」

 

「そう言われてみればそうだったかもしれませんね。でも今日は…」

 

カズマから受け取った誕生日プレゼントをヒラヒラと振って、その存在を示す。

 

「私の言うことを聞いてもらいましょう。カズマの意思と任意のタイミングで、私にキスしてください。タイムリミットは日付が変わるまでです」

 

「うっ…!なるほど…そういう使い方もあったか…」

 

自分からグイグイいくように仕向けられるのは想定外だったのか、まいったと言わんばかりの苦笑いをするカズマの顔をニコニコと見つめて、私はその時が来るのを待った。

バッチリと目を見開きながら。

 

「あの…せめて目を閉じてくれないか?」

 

「嫌です」

 

「…あああぁぁぁ!わかったよ!キスぐらい余裕だし!覚悟しろよ!」

 

彼の要求を即否定したら、やけくそ気味に叫ばれてグイッと顔を更に抱き寄せられた。

 

それでもそっと優しく触れたあたたかい感触を唇で感じながら、頬を染め瞳を固く閉じるカズマの表情を脳裏に焼き付け、私もゆっくりと瞼を下ろす。

 

静かに口付けを交わし合いながら、私は希望通りに最高の誕生日の始まりを迎えていたのだった。

 

 

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「「「めぐみん誕生日おめでとう!!!」」」

 

「わっ!な、なんですか!?」

 

翌朝、珍しく早起きしていたらしいカズマに起こされて、絶対に何かを企んでると分かる顔の彼に腕を引かれて屋敷のリビングにたどり着いた瞬間、数多の歓声が震わせてきた。

部屋を見渡せばアクアやダクネスはもちろん、ゆんゆんに私の家族までその場にそろっていた。

 

「実はな…今日サプライズをしかけておくっていうのは事前からみんなで打ち合わせしておいたんだ。本当はクリスとかアイリスとか…あと、お前がちょくちょく一緒にいるって言うプリーストのお姉さんとかにも声かけようと思ったんだけど、みんな色々事情もあるしあんまり人数が多すぎても大変だからってことで」

 

唖然として屋敷にいるメンバーを見渡す私の背後から、カズマがその理由を説明してくれた。

誕生日プレゼントを用意してくれていることは知っていたが、事前に連絡をくれていた全員が朝からこの場に集まるとは思っていなかった。

 

「びっくりしすぎて声も出ないみたいねめぐみん!」

 

こういう事に参加するのは慣れていないであろうゆんゆんが、何故か得意げに言い放つ。

 

「そうですね。あなたがこの場に居ることが1番の驚きですよ」

 

「え…それってやっぱり…私邪魔だったかな…」

 

私の発言をどうネガティブに捉えたのか知らないが、キョロキョロと周りを見渡す彼女にやれやれと首をふる。

邪魔ならそもそも最初から誘われていないだろうという事を、言ってあげるべきなのだろうか。

 

「ねーちゃんの男は料理が上手い!」

 

「むむ…確かに…これだとうちの娘は食べる専門になってしまうな」

 

「まぁまぁ。料理ができる旦那さんなんて、羨ましいですね」

 

…そして私の家族は何をやってるいるのだろう。

朝食にしては張り切って用意してある食事に釘付けになっており、主役がまだ席に着いてもいないのにこっそりつまみ食いをしていた。

しかもねーちゃんの男だの料理ができる旦那だの聞こえてきているんだが。

 

「ねぇねぇめぐみんめぐみん!プレゼント楽しみでしょ!?そうでしょ!」

 

身内の行動を苦笑して眺めていたら、アクアが隣からゆっさゆっさと肩を揺さぶってきた。

 

「え、えぇ…まぁ…」

 

「じゃーほら、これをあげるわね!」

 

私が一番乗りと張り切りながら、アクアが後ろ手に持っていた梱包もされていない剥き出しのプレゼントを手に取らせ押し付けてきた。

 

「おいおい。めぐみんはまだ完全回復してないんだから、あんまり無茶させんなよ」

 

「大丈夫大丈夫。風邪なんて嬉しさで吹き飛んじゃうわよ」

 

というより、実はもう今朝の時点でだいぶ体調は回復していた。

今は特にだるさや熱も感じないし。

…昨日のカズマのおかげだと言ったら、またバカップルだのなんだの言われるのは目に見えているので、私の心の中だけに秘めておいた。

 

「心配ありがとうございますカズマ。でも、私なら大丈夫です」

 

「そうか?お前が大丈夫だって言うなら良いけどさ」

 

カズマが少し離れながらアクアが押し付けた手の中のプレゼントを見ていることに気がついて、私もそちらに意識を移す。

 

そこにはキラキラと光る蒼い石…いや宝石?のようなものがピッタリと収まっていた。

 

「アクア、これは?」

 

「ふふん!聞いて驚かないでよ!それはね…持ち主の最大保有魔力を底上げする、貴重なアイテムなの!しかも1度使っても暫く時間がたてば魔力が充填されて、何回でも使えるお得仕様よ!」

 

「えぇ!?」

 

驚きすぎて思わず地面に落としてしまいそうになったプレゼントを慌てて掴む。

正直、そんな貴重品だとは思っていなかった。

 

「アクシズ教の子達に用意してもらってたのよ。まぁ、間に合わなかったら別の物にする予定だったんだけどね。女神アクアに捧げる物だと言ったらあっという間に…流石は私の可愛い信者達…優秀すぎてめぐみんが羨ましいぐらいよ!」

 

そうか…前からアクシズ教がどうのこうの言っていたのは、このためだったのか。

変なプレゼントじゃないかと疑ってしまっていた自分が恥ずかしい。

 

「ありがとうございますアクア!すごく嬉しいですよ!これで爆裂魔法が1日2回ぐらいは撃てるということですか!?」

 

「あ…えーっと…そんなには…増えないんじゃないかしら…」

 

え?

 

「でも、私は爆裂魔法しか使えないんですが…」

 

「うん…そう…ね…」

 

「「………」」

 

「えっと…あ!余剰分の魔力をつぎ込めば、威力を更に底上げする事が出来るかもしれませんね!あ、ありがとうございますアクア!」

 

「え、えぇ!どういたしまして!」

 

そこまでは考えていなかったのか、ソワソワと視線を泳がせるアクアにそう伝えてあげると、慌ててうんうんと頷いて便乗してくれた。

何より私が喜ぶであろうプレゼントを彼女なりに選んでくれたのが本当に嬉しかったので、感謝の気持ちが本物であることは伝わって欲しい。

 

「あはは…私のプレゼントも、アクアと似たような感じになってしまったんだがな」

 

私たち2人の様子を隣で眺めていたダクネスが、アクアがくれた手乗りサイズの宝石よりも一回り大きいサイズの箱を、料理に挟まれていた机の上から持ってきた。

 

「さぁ、開けてみてくれ」

 

「はい…お?…こ、これはっ!」

 

丁寧に梱包を解いていくと、眩いばかりの紅い光を放つ宝石がそこに…!

 

「ま、マナタイトじゃないですか!しかもかなりデカい!」

 

ダクネスからのプレゼントは、私が今まで見たこともないような超極大サイズのマナタイトだった。

めちゃくちゃお金がかかってそうで、少しだけ受けとるのが怖くなってしまうほどの。

 

「喜んでくれたようで何よりだ。アクアのものとは違って消耗品だから、使ってしまえば形が残らないのが少し残念だが…それでも1日2回…いや、もしくは3回ぐらいなら爆裂魔法を…!」

 

「本当にありがとうございますダクネス!これで日課の爆裂散歩がさらに楽しみになってきましたよ!ね!カズマっ!」

 

「え…そ、そうだな…やっぱりクエストの時に使おうとは思わないのか…」

 

カズマがため息を吐いて何か言ったみたいだが、きっと気のせいだろう。

 

そしてダクネスが実家と何やらやり取りしていたのは、これを用意するためだったのか。

アクアもそうだが、私のためにそこまでしてくれていたのが本当に心底嬉しかった。

 

「えーっと…めぐみん。今大丈夫かな?」

 

パーティーメンバー全員でガヤガヤしていたからだろうか。

ゆんゆんが背後から遠慮がちに袖を引っ張り声をかけてきた。

 

「ゆんゆん。あなたはもっと堂々としてても良いと思いますよ。無理やり来てるわけじゃないんですから」

 

「そ、そうかな…」

 

「そうなんです!まったく!なんで今日の主役である私にこれだけ言われて自信を持てないんですか!それより、あなたもこのタイミングで声をかけてきてくれたということは、プレゼントをくれるという解釈でいいんですよね?」

 

「う、うん。そうよ。これ、あげるわね」

 

そう言ってカチャカチャと金属音を響かせながらゆんゆんが取り出したものは、装飾がやたら豪華な一本の短剣だった。

 

「…武器…ですか?」

 

私が爆裂魔法しか使えないアークウィザードだという事は、もはや言うまでもないことだと思うのだが…

 

「ほら、私だっていざという時のために一本持ってるし!結構役に立つときあるし、ライバルが同じ武器を持っているっていうのも…紅魔族的には燃えるんじゃない?」

 

なんで最後が疑問形なのだろう。

自分も紅魔族だろうに。

でも…まぁ…

 

「確かに私はステータスだけ見ればカズマより力もありますし、武器があればあの男が…いえ、パーティーメンバーが危ない時助けてあげられるかもしれないですね。ありがとうございますゆんゆん」

 

「良いのよ別に!ライバル兼…し、親友の誕生日だもの!」

 

当のカズマが見たら、爆裂魔法使わないでそれで戦ってくれとか言われかねないので、本当にいざと言う時だけ使おう。

という私の考えは、親友親友と嬉しそうに表情を崩しながら静かに連呼するゆんゆんには黙っておいた。

 

「皆さんからのプレゼントはもう貰ったみたいね」

 

短剣を装備していたら、ゆんゆんの背後から入れ替わるような形で我が母ゆいゆいが顔をのぞかせる。

父の方は、放っておくと食べ物を食い尽くしかねない妹を何とかなだめようとしているようで、こちらに手だけ振っていた。

 

「私たち家族からは…報告のプレゼント、という感じかもしれません」

 

「報告…ですか?」

 

なんだろう?

私にとって嬉しい情報という事だろうか?

そう疑問に思っていると、カズマの時と同じように1枚の紙をペラリと渡された。

彼の時と違うのは、そこに文字が結構ぎっしりと書かれているという点だ。

私がそれらの内容を詳しく読み取ろうとする前に、母が言葉を発する。

 

「あなたとカズマさんの結婚式を、私たちの里で開くという手続きがほぼ完了しました。あとはあなたのサインだけです」

 

………え

 

「えええぇぇぇ!?」

 

結婚式ってそんな急に!?

大体カズマと相談すらしていないのに!

 

「カズマさんになら前々から話を通して、許可ももらってますよ。その時に婚約指輪は渡してあるだのという類の話も聞いていますので、めぐみんが嫌がることはないと思うという意見も彼から言われてます」

 

いつの間にそんな!

 

少し離れているところでアクアやダクネスと話をしていたカズマの方に視線を向けると、わざとらしく背を向けられる。

正直、彼がこの手のことでまったくそんな素振りを見せなかったことに凄く驚いた。

 

「えっとそれはその…日程とかは…」

 

「ある程度自由にしていいけど、来年のあなたの誕生日までには式を見たいわね」

 

むしろそんなに猶予期間があるのか。

確かに心の準備をする時間は欲しいけど。

 

「これがプレゼントってことでいいかしら…?」

 

実家が裕福でないことは知っているので、プレゼントと聞いてもむしろそんな余裕あるのかと心配してしまったがこれは…

 

「はい…最高の誕生日プレゼントですよ…ありがとう。お母さん」

 

「ふふふ…あとでお父さんとこめっこにもお礼を言ってあげてね。あの二人も色々と手を回してくれたんですから」

 

こめっこまで協力してくれていたのか…!

私が彼女の方へ視線を向けると、ニコニコと口周りを食べ物で汚したまま笑顔を向けてくれた。

 

「本当にありがとうございます…みんな!」

 

私の大きな声に、集まってくれたメンバーが全員こちらに視線を向ける。

その中で代表するようにカズマが一歩私の方へ踏み出してきた。

 

「めぐみんも本当に…」

 

背後の人の方へ振り向き、何やら合図を送ると一斉に祝福の声が聞こえてきた。

 

「「「誕生日おめでとう!!!」」

 

 

END

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