どうもお久しぶりです。雪宮春夏です。
新作ではありますがこちらの作品はそれほど広大な物語とするつもりはありません。
どうぞ軽い気持ちで読んで下さい。
「よっ! 鶴丸国永だ!! 俺みたいなのが来て驚いた……か……?」
勢いよく口上を述べたその刀は、目のあたりにした光景に、思わず末尾で首を傾げていた。
彼の目に映った白い塊……白い布を目深く被った一振りの刀は、自嘲の色濃く彼を迎えたが。
「何だその目は……写しで木偶の坊でしかない俺しかいなくて不満なのか……」
意気消沈の刀……山姥切国広に慌てて首を振るも、彼はそんな己の様子など気にもしていないかのように、無言で障子を開ける。
次いでこちらへ視線を向けられたことで、漸くその意図を察して、慌てて立ち上がり、先へ歩き出す彼の後へと続いた。
ここまでが一言の会話もなく、無言による進行……端から見れば顕現されたばかりの刀に対し、あまりにも不親切である。
どうやらこの本丸は少し変わっているらしい。
それがここに顕現された鶴丸国永が抱いた第一印象だった。
この本丸を束ねる
まず刀剣男士に周知されているパーソナルデータは以下の通りである。
審神者名は
年はまだ十代半ば。
稲穂を思わせる様な金髪に、炎の様な赤い瞳。
注がれる霊力も、炎の様な暖かみがある。
そこまでは話を聞いている限り普通であったが、次に続いた言葉に鶴丸は目を丸くした。
この本丸の主は、自らの顕現した刀剣男士の誰をも……初期刀である彼を含めて、名前を呼ばないのだという。
「会話が無いわけでは無い。ただ……主はかなり
まず、初期刀である眼前の彼……山姥切国広。
「デク……と呼ばれている。おそらく、木偶の坊と言う、侮蔑の言葉から取られている」
そして、初錬刀の薬研藤四郎。
「彼は「チビメガネ」だ。……機嫌が悪いと「クソメガネ」と言われることもある」
そして、短刀の一振りである乱藤四郎は……。
「女顔。加州清光が「赤目」、大和守安定が「ポニーテール」やら……まぁ、他の奴らも……色々だな」
最後には目を逸らす山姥切に、鶴丸も頬を引き攣らせてしまった。
これから対面するその当人に、己がどのように呼ばれるようになるのか、少し恐ろしくもあった。
そして彼、鶴丸国永の不安は悪い意味であたってしまう。
「白いな。……「白いの」か」
チラリとこちらを一瞥して、言い放った主である
希ってこちらへ顕現させ、己を呼び出したはずの当人がこちらに、何の興味も示していない様子には、不満を覚えるが、それを綺麗さっぱりに隠せる程度には、鶴丸の意識をもった時間は長い。
人の身をもったのは初めてとは言え、付喪神としての意識自体は、もう長いことあるのだ。
子どもと思えば尚のこと。
小さな事には目を瞑る事もあろう。
「改めて、だな。……主殿」
停滞しかけていた空気を振り払うように言葉を紡いだ鶴丸としては、こちらに興味を失せてしまったように見える彼の人に、視線を向けて貰う……事は難しくても、聞いて貰うだけでよいという感覚で放った言葉だった。
しかし鶴丸が改まって決まりの口上を述べるよりも遙かに早く、
ピリリと迸った殺気。それと同時に主である
「……!? ……っ?!! ………っ?!!?」
主である筈の
遅れながらもそう認識した鶴丸は、次の行動が取れなかった。
かく言う主の青年も、本気で己を折るつもりはないのか、己の腰元にある刀本体には見向きもしない。
「主っ! 一体何……っ!? あっ……!」
急いで止めに入ろうとした山姥切だったが、しかし、思い当たる何かがあったのか、小さく声を上げてからフルフルと、小刻みに震えながら
「デェッッックゥゥゥゥ………!!」
真横で首を固定されながら聞かされている鶴丸でさえ、そこに宿る憤怒に背筋を凍らせた。それはまるで、地獄の底から響くような声であった。
「ヒッ…………!!」
それを直に当てられた山姥切は、顔を青ざめるを通り過ぎて蒼白になっている。
しかし青年はそれを構う様子も無く言葉を続けた。
怒りが抑えきれないのか、ブルブルと、震動を与えられているかのように体さえも小刻みに震えていた。
「俺はっ……! 言った……!! よなぁ………っ!!?」
何が
腰を抜かしている山姥切に、ぐわっと目を向けた
「主やら……
その内容のくだらなさに……少しだけ驚いた。
薄々と、この
ここまでお読み下さり、ありがとうございました。
それではまた、次の機会に。