刀剣乱舞・焔   作:雪宮春夏

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 昨日ほとんど書き上がっていたにも関わらず、投稿していませんでした。申し訳ありません! 雪宮春夏です。

 お詫びに同時刻で二話分投稿させて頂きます。

 しかし、二話目は人によっては批判が来そうな内容になっておりますが……取りあえずこちらは一話目です。

 どうぞご覧下さい。


白き鶴は漸く名乗りを上げる

 これから厨当番だという燭台切について、鶴丸は厨へ向かっていた。

「え? 鶴さんまだ本丸の中案内して貰ってないの?」

 燭台切曰く、いつもは山姥切が一通り、案内をしてから私室まで連れてくるらしい。

「あぁ……俺が審神者(さにわ)を主と呼んだせいで、怒りを向けられたからなぁ……怖くなってついつい置き去りにしてきてしまったのだが」

 無事だろうか。

 思わずそう思ったのは、主である(ほむら)から向けられた視線が殺気まで帯びていたからだ。

 怒りの原因は(言い分としては甚だ不本意な物であるが)己であり、それを理不尽に山姥切に向けられていたのを逃げ出してきたというのは、告げている己でもあまり褒められた行動ではないという自覚があった。

「成る程ねぇ」

 その両者の状態は想像に難しく無いことなのか、しみじみとした様子で合いの手を入れる燭台切を見るに、そこまでの流れが、もしや新しく刀剣が顕現される度に起きる通過儀礼では無いのかと疑いたくなる。

 答が怖いので実際に聞きたいとは思わないが。

「でも困ったな。僕はこれから厨当番だから、鶴さんの案内をすることは出来ないんだけど」

 顎に手を当てて考え込み始めようとした彼を慌てて鶴丸は制した。この本丸の広さがどれほどかは知らないが、鶴丸からすればそこまで急がなければならない火急の要素はない。

 取りあえずは己の私室まで来られたのだし、後はこのまま彼に付き従う形で、私室から厨までの道さえ分かれば他は追々で十分とも思っていたのだ。

 その考えを何とか伝えた所で、燭台切も漸く納得してくれたのか、笑顔を見せる。

「皆で集まってご飯を食べるところは大広間だから、そこまで案内するね。場所も私室から厨までの通り道の途上にあるし、枝分かれが多いけれど慣れれば目印とかで見分けがつくから大丈夫だよ。それに大概暇をもてあましている刀の多くはそこに集まるから、多分鶴さんに本丸の案内をしてくれる人も捕まえられると思うよ?」

 鶴丸の前にあった問題への打開策まで投じてくれた燭台切には、先刻から世話になってばかりだ。

 改めて、道を進みつつ礼を述べれば、気にしないでというように手を振りつつ、一つの襖の前に止まった。

 確かにそこは一目で分かるだろう。一つの部屋に使われている襖の数が、私室の物と比べてかなり多い。

 名称で、大広間と呼ばれるのも納得である。

「開けるよ~? 大丈夫?」

 燭台切が気負いの感じさせない声音で呼びかけると、何人かの返答が聞こえた。

 集団生活においての最低限の礼儀と言うものだろう。

 音をたてずに襖を開ける燭台切に、感心していると、幾つもの視線を感じて、そこで漸く、鶴丸がまだまともな自己紹介の一つもしていないことを自覚した。

「よっ! 鶴丸国永だ! 俺みたいなのが来て驚いたか?」

 意気揚々と名乗りを上げて、そう言えばまともに名乗りを挙げられたのはこれが初めてだと自覚する。

 顕現直後は顕現された場に審神者(さにわ)はいなく、山姥切しかいなかった為、自ら驚きのあまり名乗りを止め、審神者(さにわ)に名乗りを上げようとした時は、鶴丸の不注意で審神者(さにわ)の怒りに触れ、そのゴタゴタでうっかりと。

(おいおいこれ……契約はしっかり結べているんだよなぁ?)

 思わず鶴丸がそう考えてしまっても仕方ないと言うものだ。

 一方、そんな鶴丸の心情など知る由も無い広間にいた刀達は皆次々に、声をかけてきた。

「じゃあ鶴さん。また後でね」

 背後からかけられた声に振り向いて手を振ると、燭台切も嬉しそうに手を振り返してくれる。

 それにほっこりと周囲の刀剣達でも分かるほどに表情を緩ませていた鶴丸は、次いで聞こえてきたあまりにも懐かしい声に、喜びの声を上げることとなった。

「ひさしぶりですね! つるまるっ!!」

 それは、己がまだ付喪神としても生まれたばかりだった平安の昔にであった、彼の刀匠である五条の、その師匠筋、三条に作られた、一振りの短刀……。

「お前……今剣か!?」

 

 




 ……さて、鶴丸の疑念には暫し目を瞑っておきましょう。
 取りあえずこれで鶴丸視点は終了です。
 二話目は初めての別視点になっております。

 それではまた、機会があればよろしくお願いします。
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