刀剣乱舞・焔   作:雪宮春夏

5 / 7
 はい、本日前話と同時投稿となっております、雪宮春夏です。

 出来れば前話からお読み下さい。

 前話の前書きでも触れましたが、今回の話の内容は、人によっては批判が来るかも知れません。

 春夏は原作のゲームについては未プレイですので、実際はどうなのか分かりませんが、あくまでこれはこの「子ども」の率直な意見でもあります。


 批判はご遠慮下さい。
 お願いします。



同時刻 ある子どもの思案すること

 本日の錬刀の成果だと、連れて来られたその刀剣を見たとき、真っ先に覚えた感情は何故か苛立ちだった。

 理由は分からない。

 ただ……何故こんな所にいるのか、真っ先にそう考えてしまった己に、小さく舌打ちした。

 何故か……そんなことは、もう飽きるほど考えている。

 何故……己はここにいるのか。

 それは俺が審神者(さにわ)だからだ。

 過去を変えようとするバカども、歴史遡行軍を倒すために、政府が承諾を得た刀剣の付喪神達から与えれる分霊を自らが錬刀した刀を依り代に、己の霊力を糧として顕現させる、霊力の高い人間しか出来ないからこそ、俺もその役目に就いている。

 では何故俺がその役目に就くことになったのか。

 そのきっかけ、それを決意することになった何らかの転換点を、俺は覚えていない。

 役目は知っていて、その術を具体的に分かっているのに、その原動力となる動機が俺の中には最初から無かった。

 ただ、やらなければならないという、おかしな義務感だけが、俺の中に居座っている。

 それでも、気が付けば俺はいつの間にか、また、答えが出ないと分かりきっているその疑問を考えていた。

「下らねぇ」

 吐き捨てて、俺はそのまま執務室としている部屋を出た。

 本日の日課は既に終了している。おさまらない苛立ちを抑える方法は、俺の中では一つしかなかった。

 めいっぱい動けば、この苛立ちは程よい疲れと共に消えて無くなるのだ。

 ただ、そうなるまでどれだけかかるかは日によって異なるが。

 もうすぐ刀剣達の方は夕餉の時間になる。

 その間に道場で一暴れしようか。

 はたまた裏山の方で走り込むか、季節によっては野生動物が出ることもあるが、それは稀だ。あまり期待はできない。

 グルグルと頭の中で思考を遊ばせながら通路を進んでいると、独特の機械の作動音が耳に届く。それは出陣の際に使われる、時間を移動するための装置の音だと、チラリと、その装置の置かれている一画に目を向ける。

 どうやら昼間に出陣命令を出した六人が帰還したらしい。

 光は直ぐさまおさまり、がやがやと賑やかな声が聞こえてきそうだった。

(……あぁ)

 その声を聞くと無しに捕らえながら、俺はふっと息を零した。

 普通の審神者(さにわ)ならば、出陣した刀剣達の無事を確認するのだろうか、しかし俺は審神者(さにわ)となってから今まで、彼らを心配したことはなかった。

 まず、心配することは彼らへの侮辱ではないかと思ってしまう。

 彼らはその精神だけならば、今を生きる人間の誰よりも長命な存在なのだ。そして、それに見合うだけの強さもある。

 分霊であるが故に、練度を上げなければ同じ神から生まれた分霊同士でも差が出てしまうが、それでも人間である自分達とは比べものにならない力を持っている。

 そんな彼らを心配、庇護したいと思う感情は、彼らに対しての侮辱では無いのかと思う。少なくとも俺は。

(大体……心配したところで俺達は、戦場へ出ることは出来ない)

 それ故に、心配など無駄だ。

 正確に言えば、仮にその部隊で勝てない状況に陥ってしまえば、どれほど心配したところで手遅れなのだ。

 たとえ増援を送ろうとも、支度をさせ、実際に装置を起動させるまでにかかる時間、それを逆算すれば、とてもではないが間に合わない。

 その時間分部隊を持ち堪えられるだけの余裕があるのならば、まず援軍を待つよりも先に撤退するだろう。

 だからこそ、俺は心配などしない。する必要がないように、全ての可能性を考慮に入れ、策を練る。

 彼らが無事に帰れるように。

(手入れ……必要か確かめねぇと……会うか? いや……もし必要なら、デクあたりが探しに来るか……となると本丸の中からは出ねぇ方が良いな)

 思案すること一秒、道場へ向かうべく、踵を返した。帰還した彼らに会おうとは思わない。

 彼らに嫌われているだろうという、自覚はある。

 初期刀であるデクを始め、己は刀剣達に怒り以外の表情はほとんど見せた事は無い。

 笑顔など、最後に浮かべたのは何時だったかなど、思い出せもしない。

(……あぁ、でも)

 本丸に来てから一度だけ、笑ったことはあった。

 クソ髪……和泉守と、道場で鉢合わせたことが一度だけあったのだが、その時、何がどうしてそうなったのか、刀剣の神である彼と徒手空拳のやり合いをしたのだ。

(確か最後は闇討ち野郎……堀川とデクの奴に止められたんだったか)

 あの時ほど、一気に気分が急降下したことはなかった。まるでお気に入りの玩具を奪われたガキみたいに泣きそうになった記憶がある。涙目にこそなったが、絶対に泣かなかったが。

(確かその時に……言われたんだ)

『あんた……そんな顔で笑うんだな』

 あの時俺は、なんと返しただろう。

 考えてみたが、結局思い出せなかった。

 




 ……本文よりも長いような、気のせいかな?(苦笑)
 最早クロスオーバー先の題名をタグに加えた方が良いだろうかと真剣に考えかけています。

 あの人の視点でみると、何やら色々見えそうですけど……次回からはまた鶴丸です。

 それでは、ここまでありがとうございました。
 それではまた。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。