是非,読んでいただければと思います.
外伝 僕が出会った勇者達
神世紀301年
天の神との戦いが終わり,新樹様が最後の力を振り絞り,世界を元の状態とは言えないが戻した.
世界が元に戻り,大赦は四国の民へ,今まで隠していたことを発表.
混乱も起きたが,それもすぐに収まった.
簡単な話をしてしまえば,大赦をクビになりました.
新樹様が消え,新樹様と同化していた妖怪,僕が使役していた式神達は元の住処に帰っていき暮らしています.
そして,今日は讃州中学校卒業式.
教師として生徒達を見送るのは悲しい.
しかし,それは時間の問題というのもある.
勇者部の顧問として本日卒業する三年生「犬吠埼 風」を送り出さなければならない.
一応,卒業式だからためになる話にしよう.
そうだ,あの話にしよう.
この話なら,勇者部五箇条.....今は勇者部六箇条だったな.これに関係する話でもある.
卒業式が終わり,勇者部部室に全員が集まり,卒業パーティをしている途中で話を始めた.
「さて,これから,皆に語るのは僕が三年前.当時大学一年生の時の話で,君たちとは違う意味での勇者ともいえる二人の話をしよう」
当時の僕は大学に行きながら,ボランティア活動やら,色々な事をしていてね.
病院へ慰安訪問をした時,僕と同年代の男性と知り合ったんだ.
なぜかわからないけど,彼と意気投合してね.
一か月間,ほぼ毎日,彼と遊んでたんじゃないかな.
ただ,彼との待ち合わせはいつも病院だった.
そこで,僕は彼に尋ねたんだ.
「いつも,待ち合わせが病院だけど,病気か」
って
そしたら,彼は僕に着いてくるように言ったんだ.
僕は彼の後に続いて,一つの病室に入った.
病室にいたのは,一人の女性だった.
とても綺麗で見入ってしまったよ.
まぁ,すぐに彼に叩かれて現実に返されたんだけどね.
で,彼は彼女を紹介してくれたよ
「俺の彼女でお嫁さんだ」
僕はそれを聞いた時,病院だっていうのに声を上げてしまって,看護師の人にも叩かれたよ.
彼は僕のことを彼女に紹介してくれた.
病気自体はそんな悪いものではなくて,持病でよく入院しているということも聞いた.
ここから,僕と二人の付き合いが始まったよ.
今まで,彼女のお見舞いの後の僕と遊びに行っていた時間を僕も一緒になって,病室で遊んだり,話したりするようになった.
楽しかったよ.ほんとに楽しかった.
時々,彼の家に彼女が帰れる日もあった.
そんな日は僕は敢えて予定を入れて,二人きりにするようにしていたよ.
まぁ,二人にはバレバレだったようだけどね.
彼らと関わりだして,分かったこと.
彼らはまだ,婚姻届を出したり,結婚式を上げたりはしていない.むしろ,予定に入れてなかった.
これは彼女の希望で体調が良くなってから行いたいそうだ.
僕は結婚式を行う際は是非,参加させて欲しいっと言った.
二人は笑いながら,笑顔で
「勿論!!」
と返してくれた.
本当にこの二人と会えて,幸せだ.
僕まで元気や勇気をもらうようだった.
けど,僕達が仲良くなって三か月経った時だった.
ちょっとずつ,眠る時間が長くなっていき,面会出来る時間が少なくなっていった.
その頃から,彼は彼女の病気について僕に話すようになってきた.
彼女は中学生の頃に肺ガンが発病したんだ
その時はガン細胞も発達が収まったらしいんだけど,経過観測ということで,時々,検査入院をしていたんだ.
けど,彼女の容体が突然,悪化したんだ.
いや,悪化していたんだ.....
ちょうど,僕が二人と出会った時辺りから.....
僕は彼の胸倉を掴んで,問い詰めたよ.
彼は泣きながらも,僕に話してくれた.
中学生の時に発病した肺ガンが再び活動を始めた.
むしろ,ガンの進行が三年以上,止まっている方が奇跡だった.
それを聞いた僕はその場で膝から崩れ落ちたよ.
彼の方が悔しいのにね.
ただ,まだ,治る希望はあって,五分五分だって,彼も担当の医師から聞いたんだ.
それを聞いた日から,僕は二人が幸せに過ごせるような手を探したよ.
僕が出来うる全ての手段を使った.
けど,見つからなかった.
数日間,二人の前に姿を現さなかったから,久しぶりにあった時は彼に殴られる.彼女には打たれる.
二人とも本気でやってくるんだから痛かったよ.....
久しぶりに会った日,彼女は早めに寝てしまったので,早めにその日は退散して,夜,彼と連絡を取っている時に言われたよ.
「余命はあと一カ月もない」
って
僕は再び怒鳴り声を上げたよ.
「どうゆうことだ!五分五分だったんじゃないのか!」
って
聞いていたことが二転三転するものだから,僕も混乱していたんだ.
僕が顔を出していなかった数日間,彼は担当医師が落とした彼女のカルテを偶然拾ってあげたんだ.
そこで余命が一カ月もないこと,彼女が既に抗がん剤治療を止めていたことを知ってしまったんだ.
彼も彼女と過ごしている時に抜け毛が少なくなっていることに気が付いてはいたが気にはしていなかったんだ.
そして,彼女はこのことを彼に話していない.
そのまま,隠し通すつもりらしい.
彼女は僕たちが居ない時はいつも,同じ曲を口にしている.
彼は担当医師から全てを聞いた.
全てを理解した上で僕にも打ち明けてくれた.
それを聞いた二日後くらいに,僕はあまり使いたくない手ではあるが,実家の力を使い,二人を出来る限り一緒に過ごせるようにと,僕の実家の事情も話して提案をした.
けどね,二人とも揃ってね,なんて言ったと思う?
「いつも通りでいい」
だよ.
それから,僕は二人と「いつも通り」を演じて過ごしていったんだ.
彼との約束で一カ月切っていることは本人が言うまで言わないことにした.
彼曰く,言ってしまったら,彼女と喧嘩になってしまう.
喧嘩したままで終わりたくない.
喧嘩するくらいなら言わない.
彼の決意は固かったから,これ以上は言わなかった.
それから時間が経つに連れて,彼女が眠る時間が長くなっていった.
彼は仕事を休み,ずっと病院にいるようにし,僕は授業が終わり次第,急ぎで来るようになった.
しかし,僕が来る時間には彼女は寝ており,大抵,伝言として,ボイスレコーダーにお互い声を残すようにした.
彼もボイスレコーダーに声を残している彼女も同じことを言っている.
似た者同士なんだよね,二人とも.
久々に外出許可が出たので彼は彼女を連れて,家に連れて帰ったんだけど,先生からね
「絶対にやらないようにね」
って,念を押されるように.....東郷さんに風さんも抑えて,抑えて!!
ゴホンッ.話を戻すよ.
念を押されてるせいもあるから,彼も先生の言う通りにしたんだ.
(絶対に言えない.本人達から実は.....なんて話.....)
これが彼女が彼の家で過ごした最後の日になるとは,誰も.....いや,彼女以外は予想していなかったんだと思う.
サプライズで結婚式をやろうと,彼に提案した.
彼は少し悩んだが,頷いてくれた.
僕は少しずつだけど,準備を始めた.
会場を取って,盛大にやりたかったが,彼女の体力の問題もあり却下.
そこで担当医師に相談して病室で出来るようにしたんだ.
形式は体力的の問題があるので省ける所は省いた簡略式.
来賓については彼らの家族,担当医師,看護師,僕となった.
本来であれば,彼らの友人を呼びたかったのだが,友人たちにこのことを話していなかったんだ.
式は一週間後と決まった.
この日程は彼にも伝えていない.
指輪に関してはずっと彼が持っているという話を彼の両親から聞いたため,当日に持ってきてもらう手はずにした.
当日の手配も済ませて,一安心した時だったよ.
突然,携帯が鳴りだしたんだ.
彼の名前が表示された瞬間,嫌な予感がした僕は病院へ駆けつけたよ.
病院へ駆けつけた僕は彼を見つけて,彼女が昏睡状態になったことを聞いた.
二日後,彼女が昏睡状態から目が覚めたと彼から連絡が入ったため,再び病院へ駆けつけたんだ.
すると,彼は彼女の病室前のベンチに涙を流しながら,座っていたんだ.
理由を聞いた.
今日,起きていることが奇跡だ.
次に眠ったら,もう目覚めない.と
それを聞いた僕は電話を始めた.
計画していた結婚式を前倒しにして行うため,関係各所に電話をした.
僕は彼に部屋に待って,彼女と話しながら待ってろ
って言った.
一時間もしないうちに,準備が整った.
準備が出来たので,彼女の部屋には着付けの担当と看護師が入り,彼は入れ違いになるように部屋を出された.
何事かと,叫んでいる彼を僕は病院側に借りた更衣室に彼を入れ,白いタキシードに着替えるように促した.
彼にはこれから結婚式を行うということを伝えた.突然のことに混乱したようだが,すぐに理解し,着替えを始めた.
僕は着替え始めたのを見届けて,行動を次に移した.
さらに一時間後,両者の準備,会場の準備が出来たと連絡を受けた僕は彼を連れて,病室.....会場へ戻った.
扉の近くで僕は止まり,彼に部屋に入るように言った.
彼は頷いて,部屋に入った.
そのあとに続いて,僕も部屋の中に入った.
部屋の中は煌びやかに装飾されており,いつでも始められる状態だ.
彼の隣には車いすに乗ったウエディングドレスを着た彼女がいる.
来賓の席にはそれぞれの家族,担当医師,看護師が座っている.
そして,神父役は院長だ.
式は簡略式だったのをさらに簡略し,指輪交換,誓いのキスとなった.
誓いのキスの場面では,彼の兄と僕が興奮しまくって,煽ったよ.
簡略式のため,ここで終わりだが,彼に彼女の車いすを押して,部屋の外に出るように言った.
部屋の外.
廊下で待っていたのはレッドカーペットとこの病院の患者の人々だった.
僕は二人の準備が出来るまでの間,看護師に頼んでこの日,病院に居た患者の人々に声をかけた
「二人の初めで最後の共同作業.門出を一緒に祝ってはくれないか」と頼んで回った.
患者の人々は喜んで協力をしてくれた.
数人の患者の手には青いバラを持ってもらっている.
花言葉は「奇跡」
彼らがエレベーターホールに向かっていく中,患者の人々は彼女の膝に青いバラを置いていき,祝いの言葉をかけていく.
一階に着くころには沢山のバラが彼女の膝に置かれており,それを使い,一つの大きな花束が作られた.
病院の入り口には動ける患者の女性や看護師,女性医師が集まっていた.
彼女は何をするか分かったのか,車いすから降り,自分の足で立って,ブーケトスを行った.
彼女のブーケは一人の少女の手に落ちた.
それを見た彼女は少女の元へ,彼と向かって
「幸せになってね」
といった.
少女は満面の笑みを浮かべて頷いた.
その後は,その少女を彼女の膝上に乗せた状態で記念撮影を行い,無事に終了.
ドレスは着替えるかと思ったが,彼女の希望もあり,着たままとなり,夜になった.
話をしていた彼女の呼吸がだんだんと薄くなっていく.
彼以外は泣き始めていた.
僕も我慢したけど,無理だった.
けど,彼は最後まで笑顔で彼女と話していたよ.
そして,日が変わって,少ししたくらいに笑顔のまま眠りについたよ.
以上で僕の話は終わりだよ.
どうだったかな.....って,やっぱり泣いちゃうか.
こんな祝いの席でなんでこんなことを話したか,っていうとね.
勇者部六箇条に関係している部分があったからなんだ
悩んだら,相談!
は,彼は悩んだ時に僕に相談をしてくれたこと.
神婚の件で結城さんは皆にも言われたけど,相談ではなく報告になっていたこと.
話の中でも僕も彼らに対して,報告になってしまっていた.
なるべく諦めない!
なせば大抵なんとかなる!
無理せず自分も幸せであること!
この三つは彼らの生きざまに綺麗に当てはまっている.
あの二人はどんな絶望が相手であっても諦めることをせず,幸せであろうとしていた.
だから,僕は違う意味で勇者だって言ったんだ.
最後に彼女が亡くなってから、彼が言った言葉も教えておこう.
「人を愛し,自らも愛すべし」
大切な人を亡くした.けど,前を向いて生きていきたい.
たぶん,そういった願いから思いついた言葉なんだろうな
ん?乃木さんどうしたの?
青いバラの少女についてかい?
写真撮ったあとはそのまま別れちゃったから分からないなぁ.....
写真?
これって!?
あの時の少女って,乃木さんだったのか.....
確か,乃木さんの改良する前のシステムのモチーフって,青バラだったね.
ほんとに奇跡が起き続けてたのかな.
男性の方はどうなったか,だって?
彼はね,彼女が居たことを忘れずに,自分の出来ること探すってことで,外への調査隊の第一陣として,四国の外に向かったよ!
これは僕から彼らへ祝いのメッセージであるとともに,彼女への追憶のメッセージとして,自分なりに書きました.
彼とは一カ月の絡みしかない.彼女とは半月も満たないくらいの絡みしかない.
それでも,僕にとっては大切な友人.勇者達です.
彼から知らせを受けた瞬間,現実味が全くありませんでした.
彼女が亡くなる前夜,彼とずっとDMをしあって,終わった一時間後.....彼女は沢山の友人達に囲まれて旅立ったと知らせを受けました.
僕は前日の彼との約束もあって,いつも通り過ごすことにしましたが,時間が経つにつれて我慢が出来なくなりました.
彼の方が大変なのに,僕は耐えられなかった.
だからこそ,彼に許可を頂き,この話を書きました.
最後は明るく行きたいと思います!
お二人とも,結婚,おめでとうございます!!
2018年3月3日 23:50 向上
彼が考えた七箇条目を乗せさせていただきました.
彼女がどんな困難にも諦めずにいたこと.
彼は意思を引き継いで生きていきたい
と言っていたので,書き終わった後ですが,加筆しました
2018年3月5日 17:02