the_Great_Days   作:光るメロン
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HLのジョルジュ・ジョースターその③

 ゴゴゴゴゴ……!

 

 レオは『ある事件』で会得してしまった『能力』がある。否、与えられた『道具』とでも言うべきか。

 妹の視力を犠牲にして得た『目』は『神々の義眼』といい、シンプルに言うと『見ることに限れば何でもできる』特別製である。

 そんな『目』を普段は自分の利益の為に使うことは決してないのだが、ジョルジュの背後に立つ『それ』を見ようと目を凝らすと、その姿はレオにだけ視認できることから特別な『能力』だと理解できる。

 秘密結社ライブラは、リーダーのクラウスをはじめ、特別な力を者を持った者たちの集まりだ。

 

 どんな場所をも通り抜けられる者。

 血液の形を自在に操り、風は舞い上がり、対象を燃やせる者。

 気づかぬ間に凍りつけることのできる者。

 血界の眷属を唯一封印することができる十字架を生み出せる者。

 

 etc……。

 

 自分はその中で役に立てるのかと悩んだこともあったが、レオ自身もまた本人は気づいていないだけで特別な力を持っていた。

 けれど、『ジョルジュ・ジョースター』の力は今までに見たことがない不思議なものであった。

 『暖かさ』を感じ、パワーを秘めていることは伝わるが、決してギラギラと眩しい真夏の日差しのようなものではなく、心地よい春の陽気のような『暖かさ』。

 ジョルジュのように体格が良く、獅子のような鬣が見られること、『線』が何箇所かに走っているのが見られ、まるで向日葵のような印象を与える。

 

「え、ああ、僕はレオナルド・ウォッチ。ジョルジュくんは、年下なんだっけ?」

 

「ああ、年上だったんスか。そう見えなくてつい、タメ口で話してました。すんませんっス!俺のことはジョジョと呼んで欲しいっス。みんなにもそー呼ばれてるし。もしかして、レオナルドさんがスティーブンさんの言ってた?」

 

「年は近いし、そんなに堅苦しい感じじゃなくてもいいよ。俺のことはレオでいいし、君のことはジョジョって呼ばせてもらうから。友達も世話になったみたいだし」

 

「あ、じゃあ、お言葉に甘えて!いやあ、気さくな人で助かったなあ。え、ネジと知り合いなんスか?」

 

 『黄金の人』に見惚れていると、ジョルジュの問いに答えるのを忘れていたのに気がつき、あわててレオは名乗った。

 不良に絡まれているにもかかわらず、なんでもないように自己紹介ができるのは胆力があるというか、さすがはライブラの一員と言うか。まあ、ジョルジュの体格がいいことから、異界(ビヨンド)の住人でなく、人間の一人二人くらいどうにかなりそうなのは間違いないが。

 人懐こい様子、ハンバーガーが大好きなレオの友人、ネジが食べているハンバーガーはおそらくジョルジュに譲ってもらったものだろう。

 体格が良く、その頭に乗っているだけのような旧ニューヨークの野球チーム、ニューヨーク・ヤンキースの帽子はガタイのよさから違和感を隠しきれていないが。

 

「おい!兄ちゃんの知り合いってことは、お前が代わりに金払ってくれんだよなァ?」

 

 ジョルジュがチンピラ二人を無視していたこともあったからか、機嫌は余りよろしくない様子。一人であれば、適当に口八丁で逃げ出すことができれば幸いといったところだが、彼らの怒りっぷりからそれが叶うことはなさそうだ。

 よくみると、彼らは人間に擬態していた異界(ビヨンド)の住人の姿へと変化していた。異形の姿は直視すると生々しく、見るものをその場から逃げ出したいと思わせるような恐怖感を与える。

 レオはここに来て日が浅くないこと、ジョジョはこのヘルサレムズ・ロットと呼ばれる以前の名前であった頃の街に暮らしていたこともあって、既に慣れっこだった。

 

「頭下げてなァ!濡れたくねえだろ!」

 

「えっ?」

 

 ジョジョの言葉にレオはしばらく口を開く。

 ジョルジュが手にしていたのはジャック&ロケッツのロゴの入ったLサイズの紙コップ、しゅわしゅわと炭酸の音が耳を澄ませば聞こえてくるだろうか。

 それをジョルジュは紙コップの底をつまむように持っている。日本で一般的に見られるハンバーガーのドリンク用のコップと言うのは、欧米では小さな部類に当たる。

 ジョルジュはたっぷりと中身にコーラがなみなみと満たされているのを確認している。これは、ハンバーガー大好きの異界人(ネジ)が飲み物のほうまで欲していたら、できなかったことだ。

 遠い昔、ジョルジュの父親が若い頃にやっていた、ジョセフはジョルジュとは違うものを『使()()()』からこそできた手品のようなもの、ジョルジュのこれはあくまでもジョセフのオマージュに過ぎない。

 

 

 『ステイ・ゴールド』ォッ!

 

 

 それこそ、ジョルジュの背後から現れている『人型』の名前なのだろうか。ジョルジュの『()』から生えるようにして出ている、金色の『』はその指を器用に動かし、『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』。

 

「べ、べたべたじゃね~かよォッ!どうしてくれんだ!」

 

 触手をうねうねさせながら、ジョルジュに文句を言うチンピラ。

 

「よォし!いっちょやっか!」

 

「ジョジョ!なにか手でもあるのか!?」

 

 レオがこれ以上、どうするつもりなのかとジョルジュを見上げるが、ジョルジュは二人の間をネジを抱えてすり抜けてきた。

 それから、ひょいっとレオを持ち上げ、走り出した。

 

 

 

逃~げるんスよォ~~ッ!

 

 

はぁ!?

 

――――ハロー、ミシェ―ラ。兄ちゃん、どうやら、年下も個性的なのと縁が深いみたい。

 

 

 妹に思いを馳せながら、そして、妹に強く叱られそうな予感もしながら、まるで蒸気機関車のように進むジョルジュは安定感があるが、なんせ前を直進してばっかりなので、ハラハラが止まらない。

 通行人に当たらないよう、気配りはしているようだが、それでも、危なっかしいことこの上ない。突然、つかんで走り出されたこともあってか、後ろのほうで声がしたものの、しばらく行ったところで声は聞こえなくなった。

 

「ジョジョ、もう降ろしてくれない?」

 

「おっと、もう撒けたか」

 

 けろっとした顔でレオとネジを降ろすジョジョ、未だに気分が悪いのを隠せないレオは顔が青ざめている、しかし、ネジのほうはと言うと。

 

「いやぁ~、ハンバーガー美味しかったなあ。ジョハンルバジュガー・ジョバーガースターくん、ありがとう!」

 

「おう、気にすんな。なんか悪いッスね、食ってるところ邪魔した感じになって」

 

 ジョルジュが気まずそうに笑うと、ネジはううんと頭を横に振った。なんでも、本人曰く、ハンバーガーをくれる友達と言うのは、これで二人目らしい。

 

「……まあ、できたら、普通に売ってほしいよなぁ」

 

「こんにちは、レオくん!お元気そうで!」

 

「本当、お前ってハンバーガー好きだよなあ」

 

 出会ったときから、たまにネジにハンバーガーを買ってきてやっているレオとしては、異界の住人と言うだけで定価以上の値段を吹っかけられていることを知っており、切実な呟きを漏らした。

 それでも、能天気にハンバーガーを愛している友人の幸せそうな表情、もとい様子は見ていて癒されるものがある。そこで鳴る腹の虫、誰かと思えば、その主は。

 

「いやあ、腹減っちゃって。なんかキンチョーしたっていうんスかね?」

 

「その割には、あんまりビビッてなかったけど……。まあいいや、ダイナー行かない?」

 

「おお!それはぜひ!」

 

 くすぐったそうに笑うジョルジュは人懐こさが隠しきれていない。嘘つけ、と言いたかったが、自分に代わってハンバーガーをネジにくれたのであれば、自分の食事よりも優先させてくれたということでなにか礼でもしようかと思った。

 しかし、その前に気になることが一つ。

 

「……野暮なこと聞くんだけど、先に自分で食べておくようだったりしたの?あのハンバーガーってさ」

 

「そうじゃないッスよ、昼飯時だし、レオとお喋りでもして食えたらなって」

 

「そうだったんだ。じゃあ、俺が奢るよ」

 

 野球帽を被りなおし、腹減った、と言うジョルジュのことが少し分かったような気がしたレオだった。

 

――――この一連の出来事こそ、レオナルドと背が高く、大柄で人懐こい笑みを浮かべる青年、『ジョルジュ・ジョースター』との出会いだった。

 




スタンドのお披露目と言うことで。
別にステイ・ゴールドの能力が物を飛ばす、とかそういうのではないので。
能力はまだ次の回






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