ギンさんじゃなくて銀さんだった件   作:くずのは@

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十一話

とある無人島で二人の男が睨みあっていた。白髪に死んだ魚の様な眼の男は木刀を腰に指し純白のコートには正義の文字が刻まれている。黒髪に鷹の目の様な男は漆黒のコートを羽織り十字架を模した黒刀と呼ばれる長刀を背負っている。

 

動くことなく睨みあっていた二人、その均衡を崩すように最初に動き出したのは鷹の目の男だった。するりと背中に背負った黒刀を抜き挨拶代わりと言わんばかりに斬撃を飛ばしてきた。昔の人は言った、剣士あるいは侍とは間合いが全てであると。侍には居合いと呼ばれる抜刀術がある。達人クラスになるとその神速で真空波を生み出し間合いが倍以上には広がると言われている。

 

しかし、鷹の目の男が繰り出したソレは一線を超える。地面は割れ威力は弱まることもなく島の先端まで届きあまつさえ海まで割れた。だが、そんな攻撃を白髪の男は見切り紙一重で交わすと腰に指した木刀を抜き目に留まらぬ速さで接見し木刀を振りかざした。それに対して鷹の目の男は黒刀で迎え撃ちそのぶつかり合いの衝撃は雲を、いや天を割った。

 

戦いは拮抗していたが徐々に崩れていった。接近戦しか出来ない白髪の男に対して鷹の目の男は射程範囲が広く白髪の男よりも優位に立ち振る舞う回数が増え少しずつ、確実に白髪の男を追い詰めていった。そして、均衡が崩れ決着の瞬間が訪れた。

 

 

「貴様に敬意を称して俺の奥義を見せてやる。次の一撃でこの戦いは決着するだろう」

 

 

そう言って鷹の目の男は右足を前にだし抜刀の構えをした。

 

 

「ま、まさか…その構えはーーーー」

 

 

白髪の男が言い切る前に鷹の目の男は動き出していた。そして…。

 

 

天翔龍閃(あまかけるりゅうのひらめき)!」

 

 

「ぐはああああああああ!」

 

 

一閃。鷹の目の男が繰り出した斬撃は白髪の男を切り伏せた。

 

 

 

 

 

「って夢をみたんだけどさ」

 

 

「なんつー夢だよ」

 

 

「俺、気づいちゃった訳よ」

 

 

「何がだ?」

 

 

俺はばったりクザンと遭遇し今朝の夢を語っていた。

 

 

「俺には必殺技がない」

 

 

「はぁ?」

 

 

「と言う訳で俺の必殺技を一緒に考えよう」

 

 

「解散」

 

 

「待って!解散しないでええええ!煎餅あげるからあああああああ!!」

 

 

そう言って俺は手持ちの煎餅をクザンに渡し繋ぎ止めた。

 

 

「まあ、あれだ。現状考えられるのは二つだ」

 

 

「おお!流石クザンいいぞ!」

 

 

「一つは悪魔の実を食べる。もう一つは六式を極めて派生技を身に付けるかだな」

 

 

「却下」

 

 

「帰っていいか?」

 

 

それからあーでもないこーでもないと数時間たちいよいよ行き詰まっていたらクザンが思い出したかのようにとある話を切り出した。

 

 

「そう言えばスモーカーが前に軍に武器を作らせた話知ってるか?」

 

 

「いや、知らねえな。上司に頭突きかましてどっかに左遷された話は聞いたが」

 

 

「まあ、その話は置いといてだ俺も詳しくは聞いてねえが凄い武器らしい。試しに作らせてみたらどうだ?と言うかもうこれしかねえ」

 

 

「現状それしかねえか」

 

 

話が纏まってからは早かった。俺達は内容をまとめた紙を握り締めセンゴクさんの元へ向かった。

 

 

 

 

 

センゴクが自室で仕事をしていたら扉を叩く音が鳴り響いた。

 

 

「誰だ」

 

 

「クザンとギントキです」

 

 

センゴクはその組み合わせに嫌な予感しかなかった。流石に用件も聞かず帰れとは言えず渋々入室を許可した。

 

 

「失礼します~」

 

 

「どうもーセンゴクさん」

 

 

「…用件はなんだ」

 

 

用件を言ってさっさと帰れ。センゴクは目でそう語るが二人がそれを察することはない。

 

 

「センゴク元師これを見てください」

 

 

そう言ってギントキから手渡された紙を見てセンゴクは思った。なんだこのこどもが書いた様な落書きはと。いや、軍に武器を注文しているのは分かる。分かるし軍の技術力なら出来ないこともないがなんだコイツら。仕事をしてないでこれ書いてたのか?あ?ぶち殺すぞ天パー共と言いたい処だがギントキの武器に関しては複数の奴等から苦情が来ている。そもそもなんでこいつお土産屋に置いてる木刀使ってるんだと。

 

正直、金額的に問題しかない武器だがこれを機にまともな武器に目を向けてくれるなら良いだろうと受理した。ギントキと言う男は間違いなく近い将来に海軍の最高戦力の一角になる程の人物だと確信している。そう、これは未来への先行投資だ。センゴクは自分にそう言い聞かせ机の中から最近常備している胃薬に手を出した。

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