気分次第です、私は。
何が正しいのかなんて分からなくて。
例えるなら、敵を選んで戦うみたいに、何に基づいて生きればいいのか分からなかった。
そんなだから、叶えたい未来も無くて、夢に描かれるのを待ってた。
そのくせ未来が怖くて、明日を嫌って過去に願って。
だけど嫌でも今日は昨日になって、明日は今日になった。
そして、もう如何しようも無くなって叫ぶんだ。
明日よ、明日よ、もう来ないでよって。
そんな私を置いて、月は沈み陽は昇る。
「う〜さっむ〜い……」
「流星群が見えるから見に行こうって言い出したのモカでしょ、我慢しなよ」
「ら〜んー、あっためてー」
「ひゃっ?!ちょ、冷たいから首触んないで!」
「え〜、いいじゃん減るもんじゃないしー。……じゃあ、えい」
「……やっぱり冷たい」
「首じゃなく手で満足してあげてるモカちゃんに感謝するのだー」
「なんで私が感謝する側なの……」
本当ならこの日も、何も無い普通の日になるはずだった。
けどその夜は違ったんだ。
君は私の手を引いた。
珍しくモカの方から「流星群を見に行こう」と誘われた。私はもともと星を見るのは好きだったけど、モカはあまり興味がないものだと思っていたから、誘う事も無かった。それだけに意外だった。
二人で見つけておいた秘密の場所、屋上に出られる雑居ビルを上って行く時は、とてもワクワクしていた。
空は生憎の曇り模様だったけれど、予報では少し晴れてくるらしかったので、二人でしばらく待つことにした。
寒がりのモカの手はやっぱり冷たかったけど、だんだん私の体温が伝わって暖かくなっていくのが分かった。
寒空の下、二人手を繋いでいる間、まるで世界には私達しか居ないような気がしていた。
今日はもう見えないかもね、なんてモカに言おうとしたところで、手を握る力が強くなった。
「蘭、あれ……」
そこで私の目が捉えたのは、空へ舞う世界の彼方と。
それを瞳に写す彼女の姿で。
まるでそれは、闇を照らす魁星の様だった。
「綺麗……」
「だねー……」
「……ありがと、モカ」
「わ、蘭が素直だ。こわ〜い」
「もう……」
「……よかった」
「え?」
「……最近さー、蘭、あんまり笑ってなかったから。こうして寒い中頑張った甲斐があったなーって」
「……モカ……その、心配かけて、ごめん」
「いいってことよー」
「…………モカと私もさ」
「んー?」
「また、明日へ向かっていこう」
「……んー」
もし明日が夢で終わってしまうならば、『昨日を変えさせて』なんて言わないから、せめて。
また明日も、君とこうやって笑わせて。
あれから世界は変わったって本気で思ったって、期待したって変えようとしたって、未来は残酷で。
毎日毎日、今日が終わると明日がやって来てしまった。
それでもいつだって、君と見ていた。一人ならきっと飽きていただろうけど、君と見るこの世界は本当に綺麗だった。
忘れてない、忘れることなんてきっとない、だって思い出せるように仕舞ってるから。
君がいてもいなくても翔べるなんて妄想だってことは、自分がよく分かってる。
もしモカがいなくて独りじゃ、歩くことさえ私はしないまま、藍色の風に幻想を吐いていたかもしれない。
そしてきっと、そんな幻想を壊してくれって願って踠くだろう。
こんなことをモカに言うと、なんて返されるだろう。きっと「願ったんなら叶えてしまっちゃえ」なんて君は言ってくれるかな。
明日はまた流星群らしい。
だから、また明日の夜に逢いに行こうと思うが、どうかな、君はいないかな?
もし、君がいなくても。
それでもいつまでも私達は一つだから。
今日はまたねって言って笑いたい。
未来を少しでも君といたいから、今日も私は叫ぼう。明日が来ないうちに。
今日の日をいつか思い出せ、未来の私達。