幼馴染みだけど疎遠だった北条加蓮と久々に再会したら、アイドルになっていた。 作:高波
やばい。なにがやばいって俺の心臓がやばい。加蓮ほどのかわいい女子が俺に寄りかかってるのだ。
めっちゃいい匂いする…じゃない!とにかく俺の理性を七時まで持たせなければ…!
あとどれくらいだ?今が六時だから…一時間か…。
「心頭滅却…」
「何か言った?」
「ナンデモナイデスヨ…」
これまでの人生でトップ5に入る長い一時間だった。
さすがに三つしかクエストがないので交代しながらやっていたけど、正直何をやっていたかも覚えていない。
「終わった…」
「………」
「ふぅ…夜食ってくか?そんなら作るけど」
「…ちょっとこっち見ないで」
「ひどっ」
ふと加蓮を見ると顔をそらしている。心なしか耳が赤い。
恥ずかしいならやらないでよ…。
お互い恥ずかしさで少し間が空いて、このままでも仕方ないので口を開くことにした。
「ええっと、夜ごはんどうされますか」
「作ってくれるの?」
「あ、ああまあ簡単なものなら」
こう見えて一人暮らし中の高校生だ。料理にはそこそこ自信がある。
「何がいい?」
「あんたが作ってくれるんだったらなんでもいいけど…」
さらっと恥ずかしいこと言うな。
「んーと、フライドポテト?」
「なぜ…マックで食べてこい」
結局俺のお任せということに決まった。
冷蔵庫には…あ、そういや今日はカレーにしようと思ってたんだっけ。
それでもルーが足りないか………あ、そうだ。
少しした後。
「これ何?」
「ドライカレーだよ。カレーのルーがちょっと足りなかったから水分を飛ばしてみた。ルーが固形だったからかなり苦労したけど」
「…いただきます」
「…どう?」
「おいしい。ちょっとムカつく」
「なんで!?」
一応出来は良かったらしい。レシピとか知らなかったから見よう見まねだったけど。
「あんたも食べれば?」
「あ、うんそうするよ」
「はい、あーん」
「うおおい!」
「?」
なぜ食べるだけなのにそんな恥ずかしいことをしないといけないんだ。カップルかよ…。
「はい」
本人は止めるつもりはないらしい。
仕方ない。
「ん…」
あ、美味い。これはルーの節約にもなるし今後もレギュラー入りするかも。
「これ案外恥ずかしい…」
「だからやってから恥ずかしくなるのやめて…」
こっちまで恥ずかしくなってくるんだよな。
恥ずかしかったりめんどくさいしでその後は普通に食べた。
器のカレーもなくなったところで。
「ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした」
「そういや、今日はいつ帰るんだ?」
俺の理性的にも早めに帰ってくれると助かります。
というか普通に考えてこの時間まで男女が一緒の部屋にいるとか…。
「うーん九時?」
「いやいやいや…」
「………マジ?」
「…?そうだよ」
加蓮は昔から決めたことを曲げないので恐らく九時までやっていくんだろう。
今日ゆっくり寝れるかすら怪しい。むしろ夕方のことを考えると目が冴えて眠れないまである。
「モンハン飽きたし、別のゲームやろ?」
「あっはい…」
俺の明日はどっちだ!?(遅刻or欠席)
結局その後もEDFやらパワプロやらをやり続けた…のだが。
事件発生。
時計は八時半を指そうかというところで、急激な眠気が襲ってきた。
昨日六時間ほどしか寝てなかった罰がここにきて。
パワプロをやっている加蓮の姿が徐々に暗くなっていく。
「……早く投げて……あれ?」
―――――――――――
自分に寄りかかって寝ている幼馴染みを起こさないように、北条加蓮はそーっと彼を横にさせる。
さすがに自分に男の子を持ち上げる力はないので、寝室から毛布を探すことにした。
「全く…ゆーくんは昔からいっつも眠そうにしてるよね…」
それにしても幸せそうに寝ている。
正直今日は自分にとっても恥ずかしいことをした。思い返すと今でも顔が赤くなる。
さすがに彼も動揺していたようだが、思ったより効果がなかったのが悔しい。
もっと何かやってやろう。
「…あ」
思いついた。時刻は九時。今から帰るのもめんどくさいし、明日のこと…はまた明日にでも考えればいい。
思い立ったが吉日。
「お風呂借りまーす」
加蓮は小声でそう呟くのだった。
――――――――――
「朝だよー。起きてー」
「ん…」
「遅刻するよー」
いつもより硬い背中に触れる感覚。
どうやらあのまま床で寝ていたらしい。
……あれ?俺目覚ましそんな音にしてなかったような…。
まさか。
「はっ!」
急激に意識が覚醒する。見慣れた朝の部屋の中に一人、いるはずのないやつがいる。
「起きた?コーヒーでも飲む?」
「なんでお前がいるんだああああああ!?」
完全にカップルですよこいつら。幼馴染みだから少し壁が薄いというのもあります。
おかしな点が少しありますけど次話で合わせます。