幼馴染みだけど疎遠だった北条加蓮と久々に再会したら、アイドルになっていた。 作:高波
ちょっと待て。状況を整理しよう。
まず、俺は昨日寝落ちしたらしい。そのまま床で寝ていたようだが、起きたら毛布が掛けられていて、そして台所には幼馴染みの姿があった…。
うん、さっぱりだ。
「いくつか質問いいか?」
「う、うん」
「どこで寝た?」
「あんたの寝室で」
うーん。最初からツッコミどころが多すぎる。
「着替えは?」
「バッグの中に入れてあったよ?私服でも寝れるし」
「今日の学校の荷物はどうするんだ」
「今から取りに行くよ?そのために早く起こしたんだし」
時計はまだ七時。学校が九時から始まることを考えれば早すぎる時間帯だ。
「風呂は?」
「借りました☆」
☆、じゃねえよ…。
「落ち着くためにもコーヒー飲も?はい」
いや多分コーヒーで落ち着くのは無理だと思うぞ?
「うめえ…」
落ち着いた。ていうかなんで俺の好み把握してんだ…そんな話したこともないのに…。
「とりあえず今からお前ん家に行くってことか?」
「そう。まずは私の荷物をとりに行かなきゃだからね」
「了解っと。そんじゃあ軽く準備して行くか」
「あれ?朝ごはんは?」
「いや、普段は抜いてるけど…」
主に時間がないからだけど。
「それじゃだめだよ?まだ時間もあるし食べていかないと」
「いや、でも…」
「昨日は作ってもらったし今日は私が作るね」
まあたまには朝食べるのもいいか…。健康に悪いともいうしな。
加蓮って料理はどうなんだろう…?中学の頃はやりたいとよく言っていたけど。
「はい。とりあえず冷蔵庫の中から朝食っぽいもの作ったよ」
「おお…!」
普通に美味かった。
「さてと、じゃあ行きますか」
いつもより早い時間。朝の風がちょっと気持ちいい。
たまにはこういうのもいいな。早起きは三文の得ともいうし。
一人は私服、一人は制服のはたから見れば奇妙なコンビが朝の住宅街を歩く。
比較的人は少ないものの、片方は超美少女で人目を集める。
できれば早く加蓮の家に行って早く学校に到着したい…。学校の生徒に会うのだけは避けたいもんだ。
「はい、着いたよ」
「あれ、近いな…」
徒歩三分ぐらいか?そんなに離れてない。
「というかマンションなんだな」
「うん。まあそっちよりかは広くないけどね…」
「ほい、それじゃ俺は待っとくから。行ってらっしゃい」
「え、なんで?」
……え、なんで?
「入っていいよ?寒いでしょ?」
「いや、そうでもないし別に着替えて荷物取ってくるだけでしょ…?」
「とにかくいいの!入って!」
引っ張られるようにしてラウンジに入る。そのまま加蓮が住んでいるらしい四階へ。
「ここが私の家だよ」
俺のには及ばないとは言ってたけどなかなか広そう。玄関しか見れないけど。
「…入って?」
待ってなんか怖いんですけど…。というか女子高生が付き合ってもない男を家に入れるとか大丈夫なの…?
「お、お邪魔しま~す」
「その辺適当に座ってていいよ、私着替えてくるね」
さて精神集中の時間だ。
隣のおそらく加蓮の部屋であろう場所から衣擦れの音が聞こえる、
さて、耳ふさぐか…。
――――――――――
「終わった…よ?」
北条加蓮は制服に着替え終わると、耳を塞いで後ろを向いている幼馴染の姿があった。
「む~」
加蓮としては別に誘ってるわけでもなんでもないのだが、何の興味も持たれていないと、それはそれで悔しい。
ここは思い切って。
――――――――――
肩に触れる感覚。
「お、終わったのか…?」
「うん、終わったよ」
返ってくる声がやけに近い…?
そして何かが覆いかぶさっているような感触。
振り返ると。
「ちょっ…加蓮さん!?」
あ、これはやばい。半ば抱きしめられているような構図だ…!
さすがにそれは倫理的に大丈夫なんですかね…!?
加蓮さんは驚かすのがお好きなようで。