幼馴染みだけど疎遠だった北条加蓮と久々に再会したら、アイドルになっていた。 作:高波
ちょっと待て。なんでもう広がってんだ?
まあ確かに一人の生徒には見られたけど…。あの生徒が発端だとしたらなんという拡散力…あなどっていたぜ。
「それで、どうなんだ?」
「まあ、本当だよ」
「なん…だと…」
目を見開くクラスメイト。
オーバーリアクションすぎやしないか…。
「どういう関係なんだ!?」
「どういうも何も…ただの幼馴染みだよ」
「幼馴染みだとォ!?」
だからオーバー。
こうなるからバレたくはなかったんだけど…まあ警戒してなかった俺が悪い。
こりゃめんどくさいことになりそうだ…。
「疲れた…」
予想通り主に男子生徒からの質問攻めにあって、それはもう本当に疲れた。
というかやっぱり加蓮は人気者だったんだな。学年が違うのに聞いてきたやつまでいる。
「どしたの?」
噂をすれば元凶の加蓮がやってきた。向こうも少し疲れたような表情を見せている。
「加蓮とどんな関係なんだって一日中質問攻めにされたからな…こっちはただの幼馴染みだっつーのに」
「ふーん…まあ、私もそんな感じだったかな。多分あんたよりかは少ないだろうけど」
ちょっと不機嫌そう。まあ俺が原因だからなあ…。
「怒ってる?」
「朝」
朝…?
「あ」
「私置いて行ったでしょ」
「申し訳ありませんでしたあああ!」
ひとしきり謝り倒した後。
「ま、とりあえず文化祭のとこに行くか」
「そうだね」
今日はそれぞれの役回りについて教えてもらって、それぞれの日程やら動きを確認する日とのこと。
「ん、まあまあ人集まってるな」
加蓮と会話しながら理科室に入ると、すでにいた生徒たちの視線が一斉にこちらを向く。
さすがに午前中の間で一気に広まっただけあってもう大体の生徒には話が伝わってるらしいな…勘弁してくれ。
一つ幸いなのは俺と加蓮の幼馴染みの関係も広まってるってこと。質問攻めにされることがなくてちょっと安心した。
「大体揃ってるなーじゃあ始めるぞー」
俺と加蓮が席についたあたりで先生が教室に入ってきた。どうやら最後のほうだったらしい。
「んじゃまずは、係ごとに…もう座ってるな、じゃあ各係にプリントを配布する」
先生が順々に回っていく。俺らの方に回ってきたときに、少しだけ俺に先生が目を向けた。
「な、なんです?」
「仲良くするのはいいが、自重しろよ」
先生まで俺たちをそういう風に見てるのか…そんなに仲がいいように見えるのか?極力トラブルは避けたいから抑えてるつもりなんだけど…。
「なんか勘違いされてないか?」
「……」
ノーコメント。あなたはそれでいいんですかね…?
「んじゃ、とりあえず係ごとに確認しろー今日はそんだけだ。各自適当に帰ってくれ」
適当すぎる言葉を残して、会議は終了。
周りを見てみると、めんどくさがっている生徒たちはさっさと帰ってしまうようだ。
「俺たちもさっさと済ませるか」
「そうだねー」
結局中身自体は、至極簡単なもの。
単純に文化祭期間中のクラスの見回りをして、サボってたりはしゃぎまくってるクラスを注意する。
まあどっちみちサボってても注意できるわけじゃないし、結局特にやることはなさそうだけど。
「あんなんでいいのか…」
「まあ、委員全員にきっちり割り振れるわけじゃないんだと思うけど?」
「それもそうか」
時刻は五時少し回ったところ。
案外早く終わったな…………早く…終わった…?!
「今日どうする?来る?」
ソウデシタ。完全に忘れてた。
「い、いやまあ一回朝行ったし?」
不本意ではあるけど。
「ふーん。来たくないんだ?」
「い、いやまあそういうわけではないんだけど…」
逃げ場ナシ。
「……まあ用事あるとかならいいや。」
……あれ?許された?
「その代わりまた今度来てもらうからね?」
「アッハイ」
とりあえずひと時の休息を得られそうです。
週一投稿になりつつあるのでもっと早めていきたい。
というかこの頻度なのに文字数がそこまでなのが申し訳ないです。