幼馴染みだけど疎遠だった北条加蓮と久々に再会したら、アイドルになっていた。 作:高波
「アイドル……だと…?」
北条加蓮。346プロ所属。参加ユニット、『トライアドプリムス』『シンデレラドリーム』『モノクロームリリィ』。
…人違いじゃないよな…?でも写真がある。これは間違いなく加蓮だ。
そもそも加蓮ってアイドルとかやるような奴だっけ?
「………いや」
確か加蓮がまだ病院にいた頃だ。あの時。
「そういやそんなことも言ってたな…」
思わず笑ってしまう。
未だに頭の整理が追い付いていないけど、一つだけ思い出したことがある。
―――――――――――
「加蓮は、何か夢とかないの?ほら、退院した後とかさ」
「何?目途すら立ってないのに嫌味?」
「あ、そういうわけじゃないよ。ごめん」
「私の夢はね、みんなに夢を与えられるようになることだよ」
「加蓮がか?」
「失礼な」
今思い起こすと、加蓮は憧れていたのだと思う。
希望すら見えない状況で、夢を与えてくれた存在に。
「みんなに夢を……そうだな、アイドルとかか?」
「ふふっ」
「な、なんだよ」
「いや、まさかゆーくんからそんな言葉が出るとは」
そういや、この頃はゆーくんと呼んでいたっけ。
「いいだろ、別に。最初に思い浮かんだのがそれだったんだから」
「アイドルかあ…ゆーくんは私がアイドルになったらどうする?」
「どうするも何も、精一杯応援するよ」
「ふふっ。ありがと」
そんなところで俺の記憶は終わる。
―――――――――
翌日。
いつものように学校へ向かう。
今日は金曜日で、一週間の終わり。文化祭の実行委員の仕事も特になく、精神的にはかなり楽だ。
「おはよー」
「あ、ああおはよう」
朝から加蓮と遭遇。そういや家はかなり近かったか。そのまま学校へ行くことになった。
まあ前みたいに見られても別に何かあるわけではないし、気兼ねなく話せる。
「そういやモン○ン発売されたの?」
「そうだね。軽くやってみたけどほんの数クエストでHR上がるのがなんか変だった」
「そんなことになってるんだ…全体のボリュームが損なわれなければいいんだけどね」
「その通りだ」
大半の話はやっと発売されたモン○ンの新作についての話だった。
加蓮も楽しみにしていたらしく、色々聞いてきた。
「今日モ○ハンしに行っていい?文化祭もないことだし」
「え?ま、まあいいけど…」
「んじゃ、一回家帰った後行くね」
「了解」
加蓮からの誘いを自然に受けてしまっている自分が怖い。
まあ楽しいからいいんだけど…。
「あ、もう着いたか」
「それじゃあ放課後にねー」
時は過ぎ去り放課後。
一週間の疲れを早く癒そうと、家までの道を歩いていた。
「そういやなんか忘れてることある気がする…あ、スーパー行かないと」
確か食材のストックが切れてるんだよな…。休日は家でまったりしてたいし買いだめとかないと。
加蓮との約束は…まあスーパー行って帰るぐらいなら間に合うだろ。女の子は着替えとかに時間がかかるともいうし。
「ふう…思ったよりも時間がかかったな」
それでもまだ許容範囲内ではあると思うけど。
マンションのエレベーターで部屋まで上がっていくと、俺の部屋の前に人影が見えた。
誰だろう…あんまり俺の家に用事がある人はいないはずだけど…。
「あ」
「何やってんの?早く開けて?」
「ちょっと早くないっすかね…」
予想よりも早く到着していたようだ。
ちょっと時間かかったとはいえさすがに早すぎるでしょ…。
少し息上がってるしそんなにモン○ンがやりたかったのか?
「はい、どうぞ」
「おじゃまします」
「あ、そうだ」
「なんだ?」
「合鍵ちょうだい」
「いやいやご冗談を…」
そんな簡単に合鍵なんて渡していいもんだろうか…。
いやまあ加蓮は信用できるけど…。そもそも鍵ってまだあったっけ?
「えーと…使ってんのとスペアとで…あともう一個か……あ」
余ってた。
みんなは合鍵を簡単に人に渡さないようにね!