Fate/Grand Order-双子のマスター-   作:通りすがりのぬかりゴハン

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プロローグらしいよ?


プロローグ-ようこそ!人理保障機関カルデアへ!- Ⅰ

プロローグ

 

 「―――塩基配列  ヒトゲノムと確認

  ―――霊器属性  善性・中立と確認」

 

 「ようこそ、人類の未来を語る資料館へ。

  ここは人理継続保障機関 カルデア。」

 

 「指紋認証 声紋認証 遺伝子認証 クリア。

  魔術回路の測定……完了しました。」

 

 「登録名と一致します。

  貴方方を霊長類の一員である事を認めます。」

 

 「はじめまして。

  貴方方は本日 最後の来館者です。」

 

 「どうぞ、善き時間をお過ごしください。」

 

 「……申し訳ございません。

  入館手続き完了まであと180秒必要です。」

 

 「その間、模擬戦闘をお楽しみください。」

 

 「レギュレーション:シニア

  契約サーヴァント:セイバー ランサー アーチャー」

 

 「スコアの記録はいたしません。

  どうぞ、気の向くまま、自由にお楽しみください。」

 

 「英霊召喚システム フェイト 起動します。

  180秒の間、マスターとして善い経験ができますよう。」

 

 無機質なアナウンスの音声が終わり、体が何処かに引っ張られるような感覚を覚え、気分が悪くなった。

 幸いにして、吐き出す事はなかったものの食道あたりまで胃酸が上がってきていたのだろう、ちょっと酸っぱい……。

 なんて感想を抱いている間に入館手続きとやらが終わったのだろう、また引っ張られる感覚がした……不意打ちはやめてほしかった。

 

 「はぁ……。」

 

 ちょっと出かかったものを上を向いて無理やり流し込み、ハンカチで口元を拭った。流石に年頃の女の子としては、吐瀉物を公共?の施設にぶちまけるのは憚られた、なにより掃除する人に迷惑をかけてしまうだろう、トラブルは避けたかった。

 

 「お兄ちゃん……?」

 

 自分よりも先に入館手続きをしていた筈の兄、藤丸立香の姿を探す。どうやら近くにはいないようだ、少し胸を撫で下ろす。

 兄とは言え双子だ、生まれてからずっと傍に居た人間の前で醜態を晒すのは気の弱い立花でも憚られた。

 

 「妹を置いて先に行くなんて、お兄ちゃん失格……。」

 

 そう呟いてから歩き出して数分後、しかし、あっけなく兄、立香の姿を発見した。その姿に思わず自分の目を疑って、二、三度見直すぐらいには驚いていた。

 

 「えぇ……?」

 

 なんと彼は床に転がっていた、なんとも気持ちよさそうに。まるで、実家のような安心感とロゴを付けられるのではないか?と思うほどに熟睡している。自分よりも醜態を晒している立香に頭を抱えつつ揺り起こそうとした時、向かい側から人がやってきた。

 

 「どうかされましたか?」

 

 「あ、えっと……」

 

 眼鏡を掛けた紫髪の少女が声を掛けてきた、流石に初対面の人間に身内が熟睡して困っているので助けて下さいなどとは言えず、所在なさげに視線を彷徨わせていると、何やら白いもこもこしたふわふわな生物が気持ちよさそうに寝ている立香の顔を、てしてしという擬音が聞こえてきそうな感じで殴っていた、かわいい。

 

 「フォウさん!?」

 

 自分の視線の先を追っていた眼鏡少女がそれを発見し、慌てて白いもこもこを抱き上げる、あの生き物はフォウと言うのか……どんな生物なのか気になってしまう。後で、この少女に聞いてみようか、そんな事を思っているうちに眼鏡少女は立香の状態を確認していた、口元に手を当て、息をしているかを見ている。

 

 「この方は、眠っていらっしゃるようですが……お知り合いの方ですか?」

 

 「すみません……、私の兄なんです……。」

 

 恥ずかしさが先行してしまっていて言葉尻が萎んでいく、眼鏡少女の方を見る事が出来ない、悪いのはこんな所で寝ている立香の方であって自分ではない。やはり怒られてしまうのだろうか?びくびくしながら眼鏡少女の返答を待っていると

 

 「なるほど、お兄様だったのですね……。しかし、なぜこのような所で眠っていらっしゃるのでしょうか?もしや、硬い床ほどよく眠れるという体質でもお持ちなのでしょうか?」

 

 「……、ここまで熟睡されると否定できませんけど、無いと思います。」

 

 この眼鏡少女は少し天然が入っているのだろうか?斜め上から投げかけられた質問に、少しだけ考えてから返した。まだ少し首を捻っている少女に細かい事が気になるのかな?と思っていると、白いもこもこがやはり、てしてしと、何やら抗議?している、かわいい。

 

 「あ、すみません。まだ、紹介をしていませんでしたね……

  このリスっぽい方はフォウ。このカルデアを自由に散歩する特権生物です。」

 

 「リス……?」

 

 眼鏡少女の腕の中で誇らしげにしているリスっぽいらしい白いもこもこ、改めフォウ。リスを間近で見た事はないが、テレビなどで見る茶色く小さい生き物とは似ても似つかないような気がするが……そこがぽいという曖昧な表現になっているという事だろうか、謎は深まるばかりだ。

 

 「そして、このフォウさんによってここまで誘導されてきたのです、

  そうしたら今尚お休み中のそちらの方と、貴女に出会いました。」

 

 完全にフォウに興味を引かれていたので眼鏡少女の向かった視線の先に気付かず、言葉の意味を反芻して、そういえば、この兄はいまだに寝ていたのだと思い出した。……なんという胆力の持ち主だろうか?途中で存在を忘れていた自分も、悪いと言えば悪いのかもしれないが……健やかに眠りすぎているこの兄も、悪いのではなかろうか……?

 

 「ああ、そこにいたのかマシュ。

  だめだぞ、断りもなしで移動するのはよくないと……」

 

 通路の方から声が聞こえてきたのでそちらを見やると、全身を緑でコーディネートした紳士然とした男性がこちらに歩み寄ってきた、眼鏡少女の後ろ姿だけを確認して近づいてきたのだろう、自分の姿を認めると、少し驚いたようだった。

 

 「おっと、先客がいたんだな。君は……そうか、今日から配属された新人さんだね。

  ……確か、新人は二人来ると聞いていたんだが、もう一人は?」

 

 人当たりの良さそうな笑みを浮かべた緑の紳士はそう聞いてきた、なので乾いた笑いを返しつつ、件のもう一人の新人へと視線を向けた。緑の紳士は笑顔こそ崩さなかったが、僅かに笑みが引き攣った気がした。

 

 「随分と気持ちよさそうに寝ているものだね……。」

 

 「すみません、私の兄が……。

  普段は、ここまで熟睡する事は無いと思うんですけど……。」

 

 顔から火が出そうなほど恥ずかしい、身内の恥をこれ以上広げないように最低限のフォローはしておいた。後で立香には甘いものでも奢ってもらう事にしよう、でなければ、自分が掻いた恥の割りに合わない。フォローを受け取った緑の紳士は顎に手を当て思考している。

 

 「ふむ……、あぁ、もしや入館時にシミュレートを受けたんじゃないかい?

  霊子ダイブは慣れていないと脳にくるからね、表層意識が覚醒せずにここまで歩いてきてそのまま倒れてしまったんだろうさ。」

 

 「あぁ……、なるほど……?」

 

 耳慣れない単語が聞こえてきたので微妙な反応を返してしまったが、何のことはない、所謂夜トイレに起きたはいいけど、眠気が強くて部屋に辿り着けず、そのまま廊下で力尽きた。という状況だろう……、別に実体験ではない、断じて。

 

 「とは言え、困ったな……もうじき所長の説明会が始まるんだ。

  いきなり遅れて目を付けられでもしたら今後が面倒だろう?」

 

 「う……、そうですね……。」

 

 確かに紳士の言う通り、最高責任者であろう所長さんにまで迷惑を掛けるのは良くない。今後の平穏を勝ち取る為にも致し方ないが、立香には痛い目を見てもらおう……。非力な自分では一撃でたたき起こす事などできないが、数十発でも頬を張れば嫌でも目覚めるだろう。

 そう思い、いまだ健やかに眠りこけている立香のもとまで歩み寄り、しゃがんでからおもむろに胸倉を引き寄せた。恐らく、紳士と眼鏡少女は頭に疑問符を浮かべている事だろう、確認できないのが残念だ。

 そして、目を閉じ、一息吐いて呼吸を整え、目を見開くと同時に一つ、返して二つ。この動作を目覚めるまで繰り返す、人はそれを―――――目覚ましビンタと呼んだ。

 

 「ほうほ、ふひはへんへひは……。」

 

 両頬が真っ赤に腫れあがっている立香が頭を下げながら謝罪する、両者共に何を言っているのかは伝わってはいなさそうではあったが、謝罪している事は伝わっているっぽいので良しとしておこう、恐らくあまり時間も残されていない。

 

 「説明会って後どのくらいですか?」

 

 「あー、後3分もないくらいで始まる予定だ。

  中央管制塔室はここからなら、走れば間に合うだろうが……」

 

 ならば急いで向かった方がいいだろう、いまだ頬を擦っている立香の手を引っ掴みながら二人に礼を告げて去ろうとしたのだが、呼び止められてしまった。目を付けられたらまずいのではなかったのか!今の自分なら吠えるくらいはできそうだ。

 

 「ところで、中央管制室の場所は分かっているのかな?」




短くて申し訳ないですが、基本原作沿いです。沿ってるかな?沿ってるよね?
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