第10話 愚かな失態
「「何してくれとんじゃこのエセチート野郎があああああ!!!!!」」
「だから、すまなかったと言っているだろう…?」
俺は今、パーティメンバーに体を勢いよく揺さぶられている。
事の発端は以前のべルディア討伐の時。俺の放った神羅転征がチャクラを限界まで溜めて放ったものだった為、威力が広範囲へと広がってしまった。その影響で、街のの建物のほとんどが破損、5億エリスもの罰金額となり、一文無しとなってしまった。
街の反対側に放ったつもりだったのだが、あまりにも膨大なチャクラを使ったからか威力が溢れてしまったのだろう。
というか、エセチートって何だ?
「すまなかったで済むんだったら5億も払わねえだろうが!あの首無し野郎倒すのに必死だったのは分かんなくもないが、それでもちょっとは自分の術の規模考えろや!!」
「ねえ、私達、今一文無しなのよ!?今まで稼いだお金全部パーになったのよ!?何も買えないし泊まるところも馬小屋しかないし、この罪の重さ分かってんの!?」
「…だが、借金をしなかっただけマシだろう。今までの分はクエストで取り返せばいいんじゃないか?」
「「おい、こいつ反省してねえぞ」」
いや、申し訳ないとは本気で思っているのだが…。
ーーー
現在、ギルドの掲示板の依頼は選び放題な状態である。冬になるとモンスターが活発に活動するそうだ。
俺達は掲示板に近づくと、良い仕事はないか目を通すが、
「…報酬は良いのばかりだが、本気でロクなクエストが残って無いな…」
「そうか?どれも興味深いものばかりだと思うのだが」
牧場を襲う白狼の群れの討伐、百万エリス。
冬眠から覚めてしまった一撃熊が畑に出没。討伐なら二百万、追い払うなら五十万。
「いやいや、狼の群れなんて大型犬よりデカくて速いのが大量に襲ってくるとか無理だから。あと、熊は論外。長門やダクネスならともかく、俺やめぐみんが攻撃を喰らったら、首を撫でられただけで即死だろうが。一撃熊とかそもそも名前が物騒だし関わりたくねえよ」
「…機動要塞デストロイヤー接近中につき、進路予測の為の偵察募集?機動要塞デストロイヤーって何だ?」
「デストロイヤーはデストロイヤーだ。大きくて、高速機動する要塞だ」
「ワシャワシャ動いて全てを蹂躙する、子供達に妙に人気のある奴です」
全くもってイメージが出来ない。
ダクネスやめぐみんの話を聞き流し、再びクエストを読み漁る。
するとカズマがあるクエストに手をやる。
「なあ、雪精討伐って何だ?名前からしてそんなに強そうに聞こえないんだけど」
雪精を一匹討伐する毎に十万エリス。
それが無難だろう。危険ではなさそうだしな。
「雪精はとても弱いモンスターです。雪深い雪原に多くいると言われ、剣で斬れば簡単に四散させることができます。ですが…」
めぐみんの言葉に、カズマはその張り紙を剥がし取る。
「雪精の討伐?雪精は、特に人に危害を加えるモンスターって訳じゃないけども、一匹倒す毎に春が半日早くなるって言われてるモンスターよ。その仕事を請けるなら、私も準備してくるわね」
アクアはちょっと待っててと言い残すとどこかへ向かった。
めぐみんは雪精の討伐のクエストに文句はなさそうだ。
と、ダクネスがぽつりと呟く。
「雪精か…」
「ん、やけに機嫌が良いな。何か思い入れがあるのか?」
「ま、まあ、そうだな…」
ダクネスの様子に違和感を覚えながらも、俺達はアクアを待って、雪精討伐に出発した。
ーーー
「ねーねー、キミとパーティを組んでから一度も実力を見てない気がするんだけど、そろそろ見せたって良いんじゃないかなー?」
「…お前が何時もダンジョン探索に連れ回すからだろう?それに、私の術は見世物ではない」
「うぅ〜、ケチだなあ」
唸りながら私を威嚇する小さな盗賊。
しかし、だからといって見せない訳にもいかない。高難易度のクエストに行く時に上手く連携出来ない等、支障が出てしまう。
「なら、力試しに一撃熊の討伐でもしに行きましょうか。名称的に手強いかもしれないけれど…」
「おぉ、愚痴を吐いた直後に提案してくるとは…。でも、キミの実力が見れるならどんなクエストでも引き受けるよ!」
こうして、私達は準備運動がてら一撃熊一頭の討伐へと向かうのだった。
だが、この後あのような事態になる事に、私は知る由も無かった。
如何でしたでしょうか?
今回から2巻に入るという事で2章と区切りをつけようと思います。
次回は冬将軍戦まで行けたら良いなと。絶対行くと思うけどね。
それでは!