この素晴らしい世界に輪廻眼を!   作:イタチ丸

12 / 14
投稿をサボってしまい申し訳ありませんでしたああああ!!!

それではどうぞ!


第11話 冬の精霊

街から離れたところにある平原地帯。

街にはまだ雪は降っていないはずなのに、そこだけが雪で一面真っ白に輝いていた。

そして、そこかしこに白くてフワフワと浮かんでいる手のひらサイズの丸い塊が漂っていた。

これが雪精なのだろう。見るからに危険は無さそうだ。

 

「……お前、その格好どうにかならないのかよ」

 

背後から呆れたように言葉を発したカズマの声が聞こえた。

見ると、捕虫網といくつかの小さな瓶を抱えた、冬場に虫捕りに行く子供のようなアクアの姿があった。

 

「これで雪精を捕まえて、この小瓶に入れておくの!で、冷蔵庫代わりにして箱の中に入れておけば冷たい飲み物が飲めるってわけ!どう?頭良いでしょう!」

 

「何かオチが読めるんだが……まあいいや」

 

「……で、ダクネス、鎧はどうした?」

 

「修理中だ」

 

アクアに続き、うちのパーティーの壁役、ダクネスが、鎧も着けずに私服姿で、大剣だけ携えていた。

 

「……そういえば、この間何も告げずにクエストに行っていたらしいが、その影響か?というより、その格好で寒くないのか?」

 

「大丈夫だ。少し寒いが、我慢大会みたいでそれもまた……」

 

……興奮で体温を温めているのだろうか。

少しばかり気色悪いが、本人が問題ないのであれば、まあいいだろう。

気を取り直して、俺達は雪精討伐を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『火遁・鳳仙花の術!』

 

雪精の討伐に俺達はかなり手こずっていた。

近づかなければゆっくり漂っているのだが、何か物体が近づくと突然素早い動きで逃げる雪精。

こいつに攻撃を当てるのは困難だ。

これならば1匹十万というのは分かる気もする。

こういう時にイタチの術は本当に便利だな…。

 

「四匹目の雪精捕ったー!やったわ!大漁よー!」

 

嬉々とした表情で雪精を小瓶に詰めるアクア。

 

「私とダクネスで追い回しても、すばしっこくて当てられません……。爆裂魔法で辺り一面ぶっ飛ばしていいですか?」

 

ダクネスと二人で追い回し、杖で叩き、ようやく一匹仕留めためぐみんが、荒い息を吐きながら言ってきた。

 

「おし、頼むよめぐみん。まとめて一掃してくれ」

 

カズマの言葉に頷くとめぐみんが嬉々として呪文を唱える。

 

「『エクスプロージョン』ッッッ!」

 

一日に一度しか使えない、めぐみんの必殺魔法が雪原に放たれる。

冷たく乾いた空気をビリビリと振動させて、轟音と共に、白い雪原のど真ん中に茶色い地面を剥き出させたクレーターを作り上げた。

 

魔力を使い果たしためぐみんが、雪の中にうつ伏せに倒れたまま、自分の冒険者カードを自慢気に見せてきた。

 

「見てください!八匹!八匹もやりましたよ。レベルも一つ上がりました!」

 

これで、カズマが三匹、めぐみんが九匹、俺が十六匹。現在の討伐総数は二十八匹、二百八十万エリス。

一時間近くでかなり稼いだな。

 

「なんだよ、このクエスト美味しすぎるだろ。ほぼ長門のおかげだけど、それでも何でこんな弱くて美味しい雪精討伐を誰もやらないんだよ」

 

そんなカズマの疑問に答えるかの様に。俺達の前に、それは突然現れた。

 

「……ん、出たな!」

 

ダクネスがそいつを見て、大剣を嬉しそうに構えてほくそ笑む。

 

「……」

 

先程まで勝ち誇ってためぐみんは、うつ伏せのまま、無言で死んだフリをしている。

 

「……カズマ。なぜ冬になると、冒険者達がクエストを受けなくなるのか。その理由を教えてあげるわ」

 

アクアが一歩後ずさり、そして、それから僅かにも目を逸らさずに。

俺達の視線を集めるそれは、ズシャリと一歩、前に出た。

 

「あなたも日本に住んでいたんだし、昔から、この時季になると天気予報やニュースで名前ぐらいは聞いたでしょう?」

 

全身を白く染め上げた重厚な鎧姿のそれは、俺達に途方も無い殺気を浴びせつけていた。

 

「雪精達の主にして、冬の風物詩とも言われている...」

 

武士を思わせるような重厚な鎧兜に、同じく真っ白で、素晴らしくキメ細やかな陣羽織。

そして、白い総面を付けた鎧武者が、白い冷気を漂わせる刀を握り立っていた。

 

「そう。冬将軍の到来よ」

 

「バカだ!このクソッタレな世界の連中は、人も食い物もモンスターも、みんな揃って大バカだ〜〜〜!!!」

 

恐ろしく斬れそうな抜き身の刀を煌めかせ、冬将軍が一番近くにいたダクネスに斬りかかった。

 

「くっ!?」

 

ダクネスが、大剣で受けようとするが、キンッと澄んだ音を立てあっさりと真っ二つに叩き折られた。

 

「ああっ!?わ、私の剣が……!?」

 

俺達の中では最も防御に特化しているダクネスですら一瞬で無力化されてしまった。

 

アクアが、冬将軍と、それと、戦うダクネスから距離を取り……

 

「冬将軍。国から高額賞金をかけられている特別指定モンスターの一種よ。冬将軍は冬の精霊……。精霊は元々は決まった実体を持たないわ。出会った人達の無意識に思い描く思念を受け、その姿へと実体化するの。火の精霊は、全てを焼き尽くす炎の貪欲さから、凶暴そうな火トカゲに。水の精霊といえば、清らかで格好良く知的で美しい水の女神を連想して、美しい乙女の姿に。……でも、冬の精霊の場合はちょっと特殊でね?危険なモンスターが蔓延る冬は、街の人間どころか、冒険者達ですら出歩かないから、冬の精霊に出会う事自体が稀だったのよ。……そう、日本から来たチート持ち連中以外はね」

 

「…つまりこいつは、日本から来たどっかのアホが、冬といえば冬将軍みたいなノリで連想して生まれたのか?なんて迷惑な話なんだよ、どうすんだこれ。冬の精霊なんてどう戦えばいいんだよ!?」

 

少なくとも近接戦は避けた方が良さそうだ。

ダクネスの大剣があっさりと破られたのだから、俺のクナイが通じる筈がない。

つまり、この戦いで有利なのは俺とめぐみんだけだ。

だが、めぐみんはご覧の通り魔力を使い果たして倒れている。

 

「お前達、どこか遠くへ離れていろ…。爆裂魔法並の術を放つ…!」

 

『火遁・豪炎球!!』

 

息を思いっきり吸いながら印を結び、吐いた瞬間、豪火球よりも遥かに大きい火の球を冬将軍にぶつける。

雪原地帯を火で埋め尽くすのと同時に、冬将軍に命中。天に届く程の爆炎を巻き起こした。

 

「……へへっ、なーにが冬将軍だよ!お前みたいなのなんて長門がいればイチコロなんだ……」

 

カズマが余裕ぶった発言をした直後、一同は絶望した。

 

「……ぐはっ!!」

 

 

 

 

俺はこの一瞬が訪れるまで倒したという思いしか込められなかった。

 

 

 

だが、

 

 

 

奴はまだ動いていた。

 

豪炎球によって確かに鎧や兜は剥がれていた。

だが、それもほんの僅かだった。奴の防具は俺達の予想を上回る程頑丈だったのだ。

流石は冬の精霊、一筋縄では行かなかったようだ。

 

だが、絶望したのはそれだけではない。

 

「こいつ……俺の傷口を狙って……」

 

冬将軍は爆煙の中で姿や気配を消し、俺を斬り裂いた。

その箇所が、以前のベルディア戦で深傷を負った傷口だったのだ。

まるで俺の弱点を知っていたように……。

俺は過度なダメージでついに気を失ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カズマside

 

「…えっ、ちょっ、長門!?おいどうすんだよ!長門やられちまったんだけど!?」

 

やばいやばいやばい!

長門でも倒せないんだったら俺達じゃ太刀打ち出来ねえよ!?

 

俺があたふたしていると、アクアが急に手にしていた小瓶の蓋を開け、せっかく捕まえた雪精達を解放しだした。

 

「カズマ、聞きなさい!冬将軍は寛大よ!きちんと礼を尽くして謝れば、見逃してくれるわ!」

 

アクアはそう言って、白い雪が積もる雪原に、そのまま素早くひれ伏した。

 

「DOGEZAよ!DOGEZAをするの!ほら、皆も武器を捨てて早くして!謝って!!」

 

ペタリと頭を雪につけ、プライドなどそこらに落としてきた元なんとか様は、見事な土下座を行った。

その影響で冬将軍は、確かに土下座したアクアには目もくれなくなった。

その分、俺とダクネスにその視線が向けられた。

その視線を受け、俺も慌てて土下座を……!

 

…と、俺の隣ではダクネスが、未だに突っ立ったままでいる。

 

「おい何やってんだよ、早くお前も頭を下げろ!」

 

「くっ…!私にだって、聖騎士であるプライドがある!誰も見ていないとはいえ、怖いからとモンスターに頭を下げる訳には……!」

 

「いつもはモンスターにホイホイついて行こうとするお前が、どうしてこんな時だけ下らないプライドを見せるんだ!」

 

面倒くさい事を言い出したダクネスの頭を左手で掴み、そのまま無理矢理下げさせた。

 

「や、やめろぉ!くっ、下げたくもない頭を無理矢理下げさせられ、地に顔をつけられるとかどんなご褒美だ!ああ、雪が冷たい……!」

 

「ていうか、カズマ武器武器!早く手に持ってる剣を捨てて!!」

 

冷たい雪原の上に頭をつけながら、俺は右手に剣を握ったままだった事を思い出す。

俺は慌てて剣を投げ捨てた!

慌てたためか、自然と頭が雪から離れ……

 

頭を下げてしまった俺の目に飛び込んできたのは、鞘に収めた刀のツバの部分に、左手を添えた冬将軍。

視線の先では、冬将軍の左手の親指が刀のツバをそっと押し、白刃を僅かに覗かせていた。

俗に言う居合の構えである。

 

「ギャーーーごめんなさいごめんなさい!違うんです!武器を捨てただけなんです!!本当なんです!!許してくださいお願いします何でもしますから……」

 

刹那

 

 

 

ドゴォォォン!!!

 

 

 

突然、冬将軍が爆破した。

というのも、直前に神のような物が一枚、冬将軍の体内に入っていくのが見えた。

めぐみんは魔力尽きて倒れてるし、一体誰が……?

 

「随分と手こずっているようね」

 

「……えっ?」

 

声がした方を見ると、翼の生えた天使のような美女が俺の目に映っていた。

 

 




いかがでしたでしょうか?
長門が冬将軍を仕留めようとするシーンで「神羅天征使えばいいじゃん」と思った人は必ずいると思いますので、ここで設定等を軽く紹介したいと思います。
まず、神羅天征を使わなかった理由について、長門にとってはデメリットだったから。
神羅天征はかなりの範囲で物体を吹き飛ばします。もしかしたらカズマ達にも被害を受けるんじゃないかということで使いませんでした。
それともう一つ、この作品の冬将軍はチート並に頑丈という設定にしております。
本編の通り、弱点の炎を喰らっても鎧兜には僅かしかダメージを負わない程度。神羅天征で起こる風圧でも耐え切れるほどの耐久力という設定にしました。
以上が今回作った設定です。相変わらずクソみたいな説明で申し訳ないです(笑)
もし「ここの描写ってどういうこと?」などというのがありましたら遠慮なく感想欄にてお願いします!
それではまた次回!
感想・評価・お気に入りよろしくお願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。