この素晴らしい世界に輪廻眼を!   作:イタチ丸

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いつの間にかガルパにfantastic dreamerが追加されたという


第7話 湖の駄女神

 

 

「知ってるか?なんでも魔王軍の幹部の一人が、この街からちょっと登った丘にある、古い城を乗っ取ったらしいぜ」

 

ギルドに併設された酒場の一角。

 

俺は昼間から酒を飲んで駄弁っている、相席している男の話を聞いていた。

 

面白い話を聞くことが出来たが、そろそろ敵サイドも攻め時なのだろうか。どちらにせよ、物騒な話である。

 

「ま、何にせよ。街の北の外れにある廃城には近づかない方がいい。王国の首都でもないこんな所に、何で魔王の大幹部様がやってきたのかは知らないがね。幹部ってからには、オーガロードやヴァンパイア。はたまた、アークデーモンかドラゴンか。いずれにせよ、俺達が出会ったら瞬殺される様な化け物が住んでいるのは間違いない。廃城近くでのクエストはしばらく避けた方が無難だな」

 

「そうか。では俺はそろそろ失礼する。感謝するぞ」

 

この場を後にし、仲間の元へと戻る。

 

「戻ったぞ...どうしたお前たち?」

 

仲間達が一斉に置いてある野菜スティックを齧りながら俺を見ていた。

 

「べっつにー?ナガトが他のパーティに入ったりしないか心配なんてしてないし」

 

アクアが少々不安そうな目でチラチラ見てくる。

 

「...俺は単に情報収集しに行っただけだぞ?」

 

まあ、他を当たりたいという願望はない事はないのだが。

 

「それは良いとして、北の廃城に魔王軍の幹部が住みついたらしい。そこで、このパーティのチームワークや自身の能力を高めるために、これからは俺がお前達に稽古をつけようと思う」

 

絶対やべえ...と一同が第一に恐怖を感じてしまう。

 

「...あの、お手柔らかに頼むよ?長門の稽古とか拷問にしか思えないから」

 

「ご、拷問...長門殿がその人を痛めつけるような目で拷問を...!」

 

カズマの言葉に期待の目で興奮するダクネス。

別の意味で期待されてもな...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早速、俺達は修行する為にお目当てのモンスターを探しに掲示板へと向かったが...

 

「...あれ?何だこれ、依頼が殆ど無いじゃないか」

 

「...これが一番無難だろう」

 

『山に出没するブラックファングと呼ばれる巨大熊を...』

 

「出来るかー!却下だ却下!おい、何だよこれ!高難度のしか残ってないぞ!」

 

その時、ギルド職員がやって来た。

 

「ええと...申し訳ありません。最近、魔王の幹部らしき者が、街の近くの小城に住み着きまして...。その魔王の幹部の影響か、この近辺の弱いモンスターは隠れてしまい、仕事が激減しております。しばらくすれば、国の首都から幹部討伐のための騎士団が派遣されるので、それまでは、そこに残っている高難易度のお仕事しか...」

 

やはり魔王軍が近くに住み着くとなると不便だな...

 

そんな時、アクアがとあるクエストを持ってくる。

 

「ちょっと、これこれ!これ見なさいよっ!!」

 

『湖の浄化。街の水源の一つの、湖の水質が悪くなり、ブルータルアリゲーターが住みつき始めたので水の浄化を依頼したい。湖の浄化ができればモンスターは生息地を他に移すため、モンスター討伐はしなくてもいい。※要浄化魔法を習得済みのプリースト。報酬は三十万エリス』

 

「...お前、水の浄化なんてできるのか?」

 

カズマの疑問にアクアが鼻で笑う。

 

「バカね、私を誰だと思ってるの?と言うか、名前や外見のイメージで、私が何を司る女神かわかるでしょう?」

 

「宴会を司る女神だろ?」

 

「違うわよこのヒキニート!水よ!この美しい水色の瞳とこの髪が見えないのっ!?」

 

確かに、アークプリーストであるアクアにとっては相性の良いモンスターだな。

 

「でもよ、浄化だけならお前一人でもいいんじゃないか?」

 

「えっと...多分、湖を浄化してるとモンスターが邪魔しに寄ってくると思うの。私が浄化を終えるまで、モンスターから守って欲しいんですけど」

 

「あ、そういう事か。ちなみにどれぐらいで終わるんだ?五分くらい?」

 

浄化だけなら短時間に越したことはないだろう。

 

「...半日くらい?」

 

「長えよ!名前からして危なそうなモンスター相手に、半日も防衛なんかしてられるか!」

 

「...なあ、浄化ってどうやってやるんだ?」

 

俺はふと疑問に思った事をアクアに尋ねる。

 

「水の浄化は、私が水に手を触れて浄化魔法でもかけ続けてやればいいんだけど...」

 

「...今、安全に浄化出来る手があるんだが、やってみるか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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街から少し離れた所にある大きな湖。

 

「...ねえ。本当にやるの?」

 

背後から聞こえる凄く不安気なアクアの声。

 

現在アクアは捕獲クエストで使用する檻の中で体育座りをしている。

 

カズマが考えた作戦とは、アクアを檻の中に入れ、そのまま湖に投入すること。

 

檻は鉄鋼製なので浄化中にブルータルアリゲーターが襲ってきても大丈夫らしい。

 

とはいえ、あまりに危険過ぎると俺は思った。しかし、万が一に備えて頑丈な鎖も付けているそうだ。

 

それであれば安心だろうと思うが...

 

「...私、ダシを取られてる紅茶のティーバックの気分なんですけど...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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あれから心がモヤモヤする。

 

会いに行きたければ会いに行けばいい。

 

だが、会いに行ってしまったら、また彼に重荷を背負わせる事になってしまう。

 

いや、彼だけではない。目の前にいる彼女にだって...

 

「...一つ、聞きたい事がある」

 

「ん〜?」

 

「お前は何故、私に付き纏う...?」

 

私と彼女が出会ったのは三日前。

 

きっかけとして偶然、同じダンジョンで探索していた際に「一緒にパーティ組もうよ!」と真っ先に私に勧誘して来たのでつい流れでノッてしまった。

 

出会ってからそんなに時間は経っていない筈なのに、何故彼女は私を親友のように親しんでいるのだろう。

 

「...深い意味はないけど、とにかくキミと一緒にいたいっていうのはダメかな?」

 

「私といても楽しくはないと思うが...?」

 

先程まで彼女を避けようとしていた私だ。絶対に無理をしているのだろう、そう思っていたが...

 

「ううん、楽しいよ。こうやって側に居られるだけでも」

 

えへへっと微笑む相手の思いは、私の予想の斜め上を行っていた。

 

「それに、キミって何か悩み抱えてるよね?あたし、そうやって悩みを抱えてる人の手助けとかして、誰かの役に立てれる人間になりたいの」

 

「...」

 

彼女の言葉で、どこか懐かしさが感じられた。

 

今は亡き、あの救世主...あの人はちゃんと天国にいるだろうか。

 

「成る程。変な事聞いて申し訳ない...悩みというより、私の過去を聞いて欲しい」

 

「それ凄く聞きたい!あ、そういえば自己紹介まだだったね。私はクリス!キミの名前は?」

 

「私は.........」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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浄化を始めてから四時間が経過。

 

ついにブルータルアリゲーターが襲いかかってきた。

 

本来のワニとは一味違い、群れで襲いかかるようだ。

 

最初は、水に浸かって女神の身体に備わった浄化能力だけを使っていたアクアだったが、早く終わらせて帰りたいのか、今は一心不乱に浄化魔法を唱えまくってる。

 

「『ピュリフィケーション』!『ピュリフィケーション』!『ピュリフィケーション』!」

 

アクアが入っている鋼鉄製の檻を大量のワニ達が囲み、檻をガジガジと齧っている。

 

「...流石に助けた方が良いんじゃないのか?このままじゃアクアのメンタルが持たないぞ...?」

 

「アクアー!ギブアップなら、そう言えよー!そしたら鎖引っ張って檻ごと引きずって逃げてやるからー!」

 

しかし、アクアは怯えながらも頑なにクエストのリタイアを拒んでいた。

 

「イ、イヤよ!ここで諦めちゃ今までの時間が無駄になるし、何より報酬が貰えないじゃないのよ!『ピュリフィケーション』!『ピュリフィケーション』ッッ!...わ、わああああーっ!メキッていった!今オリから、鳴っちゃいけない音が鳴った!!」

 

その光景を見て、ダクネスが呟く。

 

「...あのオリの中、ちょっとだけ楽しそうだな...」

 

「「...行くなよ?」」

 

 

 

 

 

浄化を始めてから七時間が経過。

 

「...おいアクア、無事か?ブルータルアリゲーター達は、もう全部、どっか行ったぞ」

 

俺達はオリへ近づき、檻の中のアクアを窺った。

 

「...ぐす...ひっく...えっく...」

 

「膝抱えてまで泣くくらいならリタイアすれば良かったんじゃないか...?」

 

まあ、あの状況では無理もないか...。

 

「ほら、浄化が終わったのなら帰るぞ。あと、今回の報酬はお前が全部持ってっていいから」

 

体育座りで顔を埋めたアクアの肩がぴくりと動いたが、檻から出てくる気配はない。

 

「はぁ...歩けないのなら俺が背負うから。ほら、乗れ」

 

俺がアクアを背負う体勢になると、アクアが小さな声で呟くのが聞こえた。

 

「......まま連れてって......」

 

「......え?」

 

「...檻の外の世界は怖いから、このまま街まで連れてって」

 

...今回のクエストは修行というより、アクアの新たなトラウマを植え付けた様だ。

 




ペルディア戦は後の方へと回させていただきました。

次回はミツルギ戦。長門があれをお見舞いするかも...?

それでは!

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