鎮守府は今日も改装工事に明け暮れていた、
タイラントがやってきて一週間、
外装が以前とは見違えるように綺麗になった、
内装も各部屋の傷んだところすべて補修を行い綺麗になった、
艦娘の使う日常品も補充されてここに来た当初よりかはマシになった、
また、
俺が気絶している間にジルとセバスチャンがタイラントに襲われた街に行き住民の治療を行った、
死者の弔いを行う事も忘れずに、
そして今、
クリス「これでいいだろう、」
俺は金槌を置いて一息つく、
日常品で大工の真似事なんてしたこと無いがこれはこれでいいだろう、
ジル「お疲れ、クリス、」
ジルが俺にコーヒーを渡してくる、
クリス「助かる、」
俺はそのコーヒーを一気に飲み干した、
結構苦いな、
まぁ今から書類整理をしないといけないからこれくらいの苦さでいいだろう、
ジル「クリス、明日スティーブのところからロドリゴと暁ちゃんと雷ちゃんが来るみたいよ、」
クリス「何でだ?」
ジル「タイラントに襲われた事伝えたら物資と一時的な援軍として向かわせると書いてあったわ、それにここに来てから出撃していないから練度の高い駆逐艦の2人と一緒にここの艦娘達の戦闘のブランク解消してほしいと書いてあったわ、」
たしかに、
前の提督が消えてから今日まで出撃なんてしていないだろう、
どれくらいブランクがあるか分からないがスティーブの所の艦娘がメンバーにいたら心強いだろう、
クリス「わかった、書類整理は後回しにして客室を今から整理するぞ、」
ジル「クリスは書類整理をしてなさい、私とセバスチャンで整理しておくわ、」
クリス「だが、」
霧島「クリス、資材の確認してきました、」
ジル「霧島、いいところに来たわ、クリスを執務室に縛り付けてきて、」
霧島「はい?」
ジル「私はセバスチャンを探した後客室の整理を行うわ、」
霧島は首を傾げている、
クリス「明日スティーブ、元師のところから艦娘が一時的にこっちに来るんだ、この前の件で物資と出撃のサポートのためだと言っていた、」
霧島「元師様のところからですか、」
ジル「でも書類整理は大切よ、だから霧島、任せたわ、」
ジルはそう言い走っていった、
残された俺と霧島、
霧島「どうしますか?」
クリス「今ここで俺を野放しにすると後で霧島がジルに何か言われそうだな、ここはおとなしく執務室で縛られて来る、霧島、サポート頼んでいいか?」
霧島「わかりました、」
俺らは執務室に向かった、
執務室で書類整理をする俺と霧島、
前の提督の不正は出て来る出て来る、
それにこの一週間改築に回っていたから溜まっている、
初めて見たな、
机を合わせて俺より高い紙の束を、
霧島「クリス、こちらに判子をお願いします、」
霧島が俺に書類を渡して来る、
俺はそれを受け取り印を押す、
前の提督の不正で得た金は街の建物の復興の金にするか、
正直腐った金は俺は使いたくない、
俺は書類を見ながらそう思い作業し続ける、
しばらくそれが続き、
クリス「霧島、聞きたいことがある、」
前から気になっていた事を聞こうと思う、
霧島「何ですか?」
クリス「お前の姉についてだ、」
霧島の書類整理の手が止まった、
クリス「辛い事を聞くかもしれない、だが事前に渡された個々の現状を知る書類にそのことが書かれていなかったから話したくなかったものだとわかる、もし話したくないなら話さなくてもいい、」
霧島が俺を見て来る、
その目は悲しみか、
それとも憎しみなのか分からない、
そんな目をしている、
霧島「・・・わたしには3人の姉がいました、」
霧島が話し出した、
霧島「わたしは金剛型高速戦艦の4番艦、つまり末っ子です、金剛お姉様、比叡お姉様、榛名お姉様、ここの主力艦でした、」
3人も姉がいたのか、
それに主力艦、
かなり活躍していたんだな、
霧島「私達は唯一あの提督に意見を言い対立していました、もともと高雄さんや愛宕さんのやっている事や駆逐艦の事をやめるようにあの時は何度も言っていました、」
かなりのものだな、
意見を言えるなんて、
霧島「ですが4年前、わたしは他の艦娘達と遠征に行っている間に事件が起きました、」
霧島の手が震えている、
何があった、
霧島「鎮守府に残っていた艦娘に聞きました、前の提督がお姉様達に拷問に近いことを行なったと、殴り蹴り、指を切ったり髪を引っ張り抜いたり、艦装もボロボロになりアザなどもできていたと、クリスは知っていますよね、あの提督服を着ると私達艦娘は抵抗も反撃もできないことも、前の提督はそれを利用して暴挙に出ました、周りも止めようとしたらしいですが意味がありませんでした、そしてそのあと強制的に出撃命令をしてそのまま帰ることがありませんでした、」
ひどいな、
まさかそんなクズ男だと思わなかった、
霧島「わたしが帰ってきたときには残っていたのは切断された指と抜けた髪と壊れた艦装の一部でした、わたしは前の提督に詰め寄りました、ですが周りのみんなに止められました、その時の事を目の当たりにしていた皆さんです、わたしも同じようになることが目に見えていたようです、」
霧島が一息ついて、
霧島「元師様が来られたときにその事を言えなかったのはわたしがそれを言うと元師様に掴みかかり無理難題を言うと思ったからです、みんなもそれを感じ取ってくれました、」
クリス「すまない、まさかそんなことになっていたなんて、」
霧島「謝らないでください、謝られてもお姉様達は帰ってきません、」
霧島が書類整理に戻る、
あんな話を聞かされたらあれをやらないといけなくなる、
俺は立ち上がりクローゼットの中に入っている物を取り出した、
霧島「クリス?」
霧島が俺の名を言うが俺はそれを取り出して霧島の腕を掴み執務室から出た、
霧島が何か言っているが気にしないで歩き外に出る、
俺らの目の前には焼却炉がある、
霧島「クリス、どうしたんですか?こんなところに連れてきて、」
何か警戒されているが俺は焼却炉の中にあるものを投げ入れた、
霧島「っ!?クリス!それは!」
霧島が驚くのは無理はない、
俺が投げ入れたのは白い提督服とその予備だ、
霧島「クリス!なんで・・・」
クリス「この服は霧島の・・・いや、この鎮守府に住む艦娘にとって不要なものだ、」
俺はライターを取り出して火を点火する、
クリス「こいつを燃やしたところで死んだやつらが帰ってくることはない、だがこれがある限り皆がこれに怯えるだろう、だから燃やす、」
俺は焼却炉に火を入れる、
火は燃え上がり煙が出る、
俺は焼却炉の蓋を閉める、
煙突から煙が出てくる、
霧島「クリス、」
俺と霧島は空に上がる煙を見続ける、
その煙は前の提督の犯した罪のように黒かった、
焼却炉の火が消えるのを見届け執務室に戻るとジルの説教を食らったのは言うまでもない、