東方魂恋録 The Second Existed   作:狼々

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どうも、狼々です!

二話目です。
早速、戦闘の要素が入ります。

一期の作品、私の処女作なんですよ。
描写の仕方が、それはもうひどいひどい。
今でこそ少しマシになったものの……ねぇ。

章分けなのですが、章だけ、第○章と書きたいと思います。
以前は第○話まで付けていましたが、さすがにあれはなかった。
見る分にはいいけど、毎回確認しないといけないし、時々間違うし。
間違うのは自分のせいだけど。

感想が、思ってたより多かった。一話目で七件って……至上の喜び。
すげぇ嬉しい。ありがとうございます!

では、本編どうぞ!


第一章 二代目
風切(かざきり)


「はぁぁぁああ!?」

「パラシュートなしのスカイダイビング、気分はどう、天?」

「良いわけねぇだろ! このままだと死ぬぞ、俺!」

 

 全身にかかる風圧は、肌を叩く。

 そよ風程度ではなく、これはもう「叩く」の範囲だ。

 風を切る音しか聞こえず、口を開くと空気をねじ込まれる。

 

 着々と近付く白雲。

 それを越えた先は、言うまでもなく地面一つ。

 雲を突き抜ける分はいいとして、地を突き抜けるのはいくら俺でも無理がある。

 

「霊力で飛べばいいじゃない」

「二年も使ってない以上、昔取った杵柄(きねづか)と言えるかどうか!」

 

 一応、霊力による飛行は学習及び習得済み。

 しかしながら、現実世界で使う機会などあるはずもなく。

 そもそも、現場を見られたら何と言えばいいのやら。

 追求されることを怖れた俺は、結局今の今まで一度も飛翔することはなかったのだ。

 

「やってみなきゃわからないわ。それとほら、これ無しじゃ『英雄』らしくないわよ」

 

 ようやく笑顔が戻った紫が、スキマから取り出したもの。

 柄は赤、青、黄の三色で色分けされている。

 対し刀身は、鞘と同じく、覗いた奥さえも閉じ込めてしまいそうな黒。

 漆黒の上から、淡桃の波が鮮やかに走っていた。

 

「またこれを握る時がきたとはな。妖刀 神憑(かみがかり)――じゃなくて、信刀(しんとう) 夜桜(よざくら)だったか」

 

 俺が英雄として、ずっと側を歩いてくれた刀だった。

 最後の最後で、連戦による消耗が許容限界に達し、折れてしまったのだが。

 柄をそのままに、新しい刃が付いた。折れる前の名が神憑、後の今持っている方の名が夜桜だ。

 

「幻想郷の未来、また貴方に救ってもらうわよ、英雄 新藤 天!」

「当たり前だ!」

 

 飛行の要領で、落下にさらにスピードを乗せて急降下。

 音の領域の扉を前にして、白霧を思い切り突き抜けた先に見えたものは。

 

 黒々しい色の雷を発生させる黒霧を纏った、獣。

 それは確かに異端の、禍々しい、『幻獣』に他ならなかった。

 

 貪欲に蠢くオーラを纏った、同じく冥い紫色の毛を持ったイタチ。

 その目は血走ってるというよりも、赤色で塗り潰されたようだ。

 ヤツの正体がどんなものか、それは一目で判断はできない。

 が、揺るがない事実は、確実に人里の方向へ向かっているということ。

 ならば、俺の為すべきことは一つだ。

 

「さぁて、二回も幻想郷に来たこと、後悔させてやるよッ!」

 

 不敵に笑いながら、刀を全力で振り抜き、一閃。

 

 二年も流れていなかった血が、ドクドクと体中を駆け巡る感覚。

 絶対に捉えてみせるという姿勢と意志、それらが懐かしい。

 渾身の一太刀は、正に閃光の如く、亜音速を乗せて獣へと振り下ろされた。

 

 ―*―*―*―*―*―*―

 

 悪夢が、蘇ったのだという。

 抗うべく、私は二振りの刀を携え、現場へ急行する。

 

 勿論、一人ではない。幻獣に一人で対抗するなど、命を投げ出すに等しいのだから。

 

「もうすぐ着くわ。魔理沙(まりさ)妖夢(ようむ)、準備をしててちょうだい」

 

 私達の先頭で飛行するのは、博麗(はくれい) 霊夢(れいむ)

 幻想郷の異変を解決するときには、大抵彼女は動く。

 それだけに戦闘の腕は確かなもので、長い歴史を持つ現代博麗は伊達ではないらしい。

 

 今回、対幻獣メンバーは少ない。

 私、霊夢と魔理沙の三人だけなのだから。

 いつしかの戦いでは、さらにもう三人加わっていたものなのだが。

 

 二年越しの襲来ということで、防衛に割り当てる人数を多くした模様。

 その中で、刀を用いた接近戦を得意とする私、圧倒的な火力で押す魔理沙が選ばれたというわけだ。

 

 そして、悪夢の権化は視界に入る。

 と同時に、私と二人は不思議を覚えた。

 

 どうして、既に戦闘が始まっているのか、と。

 一人で背の低い四足歩行の幻獣を、日本刀を振り回して相手をしている。

 私にはすぐに見当がついた。だが、確信が持てない。

 本当に、この背中は彼のものなのだろうか。

 二度と会えないと、遠い過去に諦めた姿ではなかっただろうか。

 

「全く、何であいつがいるのよ……全速力で向かうわよ。死なれちゃ困るわ!」

 

 それだけ告げて、加速する赤白の巫女。

 目に捉えられた彼女の顔は、明らかに笑みが浮かんでいた。

 

「本当だよ。この状況じゃ、素直に喜べないけどね!」

 

 箒に載った魔法少女も、不敵な笑みを見せてから飛んでいった。

 私だって、負けていられない。

 彼を――天君を一番始めに迎えに行くのは、私でありたい。

 

 ほんの僅かだけ微笑んで、すぐに。

 空気を切り裂く音が聞こえるほどに、加速。

 魔理沙も、そして霊夢さえもあっという間に抜き去った。

 

 ようやく会える。

 そう思った矢先、英雄の刀が大きく弾かれ、隙ができた。

 私はそれを視認した瞬間に、両の刀を引き抜いた。

 

 絶好の機会だと言わんばかりに、幻獣は英雄へと爪で凪ごうとする。

 彼自身では、もう防ぎきれない。このままだと、お腹に大きな傷ができることだろう。

 ――()()()()()()()、の話ではあるが。

 

 いつの日か、私をこんな風に救ってくれた場面を思い出す。

 今のこの状況と、酷く似ている。

 恩返しをするように、彼を切り裂くはずだった鉤爪に、思い切り刀を当てて弾き返した。

 

 ―*―*―*―*―*―*―

 

 放った一太刀は、獣の右前足を容赦なく切り飛ばした。

 摂理に従ってバランスが崩れ、派手に横転する。

 

 

 

 ――()()()()()

 大きな体は揺れ、肩から転倒しようとした瞬間に。

 つい先程切断した右前足は、黒煙を静かに巻き上げた後に()()()()()()

 

「やっぱり、か」

 

 幻獣は実体を持っているが、持っていない。

 攻撃が当たらないわけではない。が、部位に損傷があってもすぐに再生される。

 こういう風に、自身のオーラを圧縮し、再錬成する。

 

 ダメージは通るが、それによる動きの退化は見込みがない。

 その事実が俺に牙を向いたのは、なにも今に始まった話ではない。

 以前、幻獣の一つ「フェンリル」と戦った時だって、再生に苦戦した。

 

 何が苦労するかというと、隙ができないところだ。

 詰める前に再生されるので、迂闊に飛び込むと再生した箇所の攻撃が返される。

 基本的に、ラッシュを生むには弾く他に方法がない。

 

 現在、一対一。正直な話、()()()()()()()()()()()

 今の俺が、「ブランクがない全盛期の俺」だとしてもソロで勝利することは不可能だ。

 少なくとも、相打ちが限界だろう。

 

 しかし、それは俺が全盛期だったらの話。

 隣には、()()()相棒も、()()()相棒もいないのだから。

 

「せめて、(しおり)がいてくれたらなぁ……」

 

 最高の相棒である彼女の能力には、何度も救いの手を差し伸べられた。

 むしろ、俺の刀を用いた戦闘は彼女ありきと言っても過言ではなかった。

 技が、彼女なしではできないものばかりなのだから。

 

 ないものねだりをしても、仕方がない。

 紫の前で大きな啖呵を切ったはいいものの、「再生しない」という極小の希望が打ち砕かれた今、できることは時間稼ぎだ。

 仲間の応援を待って、人数で押し切る。これが一番現実的な作戦だろうか。

 

 幻獣の一撃は、俺達の一撃と比にならないくらいに重く、殺傷力もある。

 ならば、攻撃と回避を交互に行うヒット・アンド・アウェイがベスト。

 そう判断し、一気に距離を詰める。

 

 鋭刃を振っては退く。

 連続しているとさすがに気付いたのか、空けた距離を瞬時に詰めてきた。

 落ち着いて確実に受け流し、後退。

 

 今度こそ距離が開いた、その時。

 目前の獣が、俺ではなく、空間を切り裂いた。

 勿論、爪はそこまで長いわけではないので、空を切る。

 

「いっつ……!」

 

 予期しない小さな電撃が左頬に走り、反射的に手で抑えた。

 次に、右手の甲、そして左足。

 三回も続いた小電流に、驚くしかなかった。

 

 見ると、その箇所には鋭い切り傷。

 しかしながら、出血量も痛みも不相応に小さい。

 痛みや出血が殆ど無いとはいえ、物理的な攻撃は仕掛けられていない。

 では、何故。

 

「……鎌鼬(かまいたち)、か」

 

 俺がほんの少し呟くと、目の前の鼬は呼応するように、口角をつり上げた。

 

 妖怪の怪異が、不可視となって俺を斬りつける。

 その存在の威圧は大きい。

 迂闊に近寄れず、退いても逆に遠距離から鎌鼬で不意打ちされる。

 全距離対応(オールレンジ)の攻撃手段を見せられると、動く体も動かない。

 

 次第に傷口からの出血量は多くなり、痛みも強くなってきた。

 決着をつけるのは、不可能であることに変わりはない。

 結局のところ、作戦変更はしたくてもできないのだ。

 

 以前に増して警戒を強めながら、切っては下がる。

 時折飛んでくる空気の刃を可能な限り刀で弾いて、距離を取る。

 

 やがて、じわじわとにじり寄る疲労が影響してきた。

 斬撃にキレがなくなり、刻まれる鎌鼬の跡は増える一方。

 対してこちらは、決定打になりえるものもなし。

 

 ついに、積み込まれたものは、一気に崩れ去る。

 最初こそ拮抗に見えた透明な鍔迫り合いは、大きく動きを見せた。

 

 刀を振りかざし、幻獣を捉え、下ろした直後。

 勢いが弱くなったことを好機と悟られたかのように、鎌鼬は刀を弾く。

 弾かれた勢いを殺す力も入らず、無抵抗に、そして無残に体が後方へとぐらついた。

 

「しまっ――!」

 

 今度こそ、大打撃を受ける。

 直感が全力で警鐘を打ち鳴らそうとも、もう遅い。

 

 鉤爪が、俺の腹をしっかりと捉える。

 

 

 

 ――その瞬間。その直前に。

 

 腹を思い切り破くはずだった爪は、不思議にも引き戻された。

 鼬も驚いたような顔を見せ、俺から少し横へと視線が逸れる。

 その先にいたのは。

 

 刀を納め、堂々と佇むのは。

 

「久しぶりですね、天君。助けに来ました。随分、手ひどくやられてるじゃないですか」

 

 俺が一番会いたかった恋人の――魂魄(こんぱく) 妖夢の姿だった。




ありがとうございました!

私、学生です。ご存知の方が多いでしょうが。
私のいるクラスはまだいませんが、インフルエンザが流行っています。
皆さんも、病気には気を付けてくださいね。

さて、ここまでで書いておいた分が尽きました。早い。
次話を投稿するのが、もしかしたら一ヶ月以上空くかもしれません。
できるだけ早くに出したいとは思っているのですが……いつになるのか。

ではでは!

追記:2月06日

初見さんの方には、わからない要素は当然あるでしょう。
実際、リベレーションやアンリミテッドなど、詳しい説明をしていないものもあります。

ですが、大丈夫です。
不明瞭なところは、順を追って後に解説が入ると思っていただいて大丈夫です。
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