吉良吉影は潮流へ 〜Another One Bites the Past(過去に食らいつけ)〜 作:Mr.アップルパイ
「なるほど……………今まで私は、姿を隠してただ貴様を狙い続けることだけが一番確実な方法だと思っていた………
だが今、理解したぞ、JOJO!
自分を安全な状況に置くことは即ち安心・油断を意味する!
今からは姿を見せて戦うこととしよう………
JOJOォォ───────────たった今からはこのストレイツォ、容赦せん!!」
徐々に人間の形を取り戻しつつある炭のような……いや、実際に炭である黒い塊がジョセフに話しかける。
ベルはうえぇ、と言いながら一歩後ろに下がった。
(あの指輪……………指輪だけが燃えずに残っている。
ということは、おそらくあれがヤツのスタンド────!)
「シュウウウウウウ」
不気味な呼吸音を立てながらストレイツォが立ち上がる。
どこからか彼に赤黒い血がまとわりつき、そして吸収され、不死身の体を循環する。
いつの間にか人型の炭塊に血管が通り、筋肉と骨が作られ、皮膚が張られていた。
「このストレイツォ、自分の身を守ることを捨てるッッッ!!
私にはまだあと一回、バラバラになっても蘇生する体力が残っている………
この攻撃は、反撃覚悟で、エサに食らいつく犬のように、貴様を確実に仕留めるためのものだァァァ────!」
ストレイツォが腕を前に突き出す。
その動きで、彼の目の前に五つの球ができる。
───それは光だった。
彼によって集められた光が球状に圧縮されながら琥珀色に輝いていた。
その直径、見るに約50cm。
太陽を縮小したかのような光の球が、五つともジョセフ目掛けて打ち出された。
「ハッ!当たったらどうなるか知らねえが、そんなでかいだけのノロい球、何個撃たれようが避け切る自信はあるぜッッッ!」
ジョセフの言うとおり光の球はカタツムリよりも少し速い程度の速さで迫って来ており、常人でも躱すのはいとも簡単に思える。
ジョセフが少し先行していた一つ目の球をゆっくり歩いて避ける。
「─────10秒経過。
一つ目の爆発だ」
ジョセフははっきりと、ストレイツォのその呟きを聞いた。
それについて考える暇もなく、彼の頬を光が掠める。
それは確かに線。
決して彼が遅いと油断していた光弾ではない。
「ストレイツォ、てめー、なにを」
ジョセフの目には、スローモーション映像のようにしっかりと見えていた。
噴水のように噴き出す光の雨が。
ストレイツォのいる前からではなく、後ろから飛び出す黄光線を見ていた。
「ううう、ぐあああ!?」
踊る。
宙を舞い踊る光の雨に打たれ、彼の身体も踊る。
大きな音は鳴らない。
ただ光が体を掠める鋭い音とくぐもった悲鳴だけが響く。
四方八方に光が飛び出すその光景は、まさに花火のようだった。
───────そして、全ての光が散り、血まみれのジョセフが残った。
「ただ真っ直ぐに光を撃つと跳ね返されるからな………
防御も出来ないほど多くの光線を放てば、必ず当たるッ!
さて、JOJO…………………5秒毎に破裂するよう設定したこの光の嵐に耐えることができるか?
いいや!できないな!!
今は200%の自信を持って言える!!
既に攻撃は終わったのだぁぁぁぁ!!!」
ジョセフは動かない。
ただ立つ。
そして、少しずつ迫る光球を見て、彼はまたもやリュックへと手を伸ばした。
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「シュトロハイム少佐!!一つ、報告が!」
ドイツの軍服を身につけた兵士が報告をする。
彼の見つめる先には金髪の、ギラリとした目を持つ男がいる。
「………なんだね?」
シュトロハイムと呼ばれたその軍官は少し不機嫌そうに、会話中の老人から兵士へと視線を逸らした。
彼が話していた老人の名はスピードワゴン。
シュトロハイム率いるドイツ軍に拉致・監禁され、今から柱の男が蘇るところを見せられようという老人である。
「その……………私自身、よく分からないのですが…………………捕虜がいません!
いいや、いたことにはいましたが─────血を搾り取るための捕虜が、一人だけを残して殺されていました!!」
「なにぃぃぃぃぃっ!?」
シュトロハイムが勢いよく兵士に近づく。
「殺された!?ぬぁにを言っている!
我らがドイツ軍基地の、厳重な警備下に置かれた捕虜達が、殺されただとっ!?
見間違いではないのか!」
彼の問いかけに兵士は首を振る。
「いいえ、確実です!
この目で見ました!!
ただ、血は現場に撒き散らされているのでそれを柱の男に与えれば問題は………」
兵士が言いかけたところでシュトロハイムは指を左右に振った。
「ほう、貴様。
貴様貴様貴様きさまきさまきさまきさまァァ!!
………………ここまで我らの威厳を踏みにじられておいて、柱の男だと?
最優先事項は、潜り込んだネズミの始末だ!
あの柱は今は放っておけぇ!!」
「了解!!」
彼が部下達に命令を知らせる。
しかし、その命令は無意味であったことを直後に悟った。
「───ッッッ!!」
立っていた。
明らかに日本人の顔立ちをしている、自分の知らない人間が立っていた。
ガラスの向こうで。
堂々と。
「………………今からそのガラスを割ってそちらに行くよ。
─────なにぶん、高所恐怖症なものでね。
なるべく早く地面を踏みたい」