吉良吉影は潮流へ 〜Another One Bites the Past(過去に食らいつけ)〜 作:Mr.アップルパイ
投稿は不定期です
見てくださってくれていた方もおそらく去ってしまい、1からのスタートとなりますが、完結までどうか茶番にお付き合い下さい
評価や感想などをくれるととてもモチベーションが上がります
「てなけで…モグ…俺はこれから…ゴクッ…ローマに行こうと思う」
「…もう一度言ってくれ。私の聞き間違いかもしれない」
「あ?だから…」
砂漠を抜けた街にあった小さな病院内。
ベッドに座り、全身を包帯で巻きながらジョセフは飯を食べている。
二人はこれからの動きについて話し合っていた。
インドにいるジョニーの家族へ手紙を届けること。
ストレイツォの生死を確認すること。
そして、謎の男が残した3つの名前について。
しかし、それらを解決する前に重大な問題が、起きている。
それをたった今、ジョセフが告げたのである。
「波紋を練れなくなった、だって─────ッッッッ!?」
「な、なんだよ大きい声出して!
お前らしくな……」
「は、ははははははははははははははは」
吉良が狂ったように笑う。
「バカバカしいな。
私はここで、生きていく。
君さえいなければ目立った危険も無さそうだしな」
吉良はもはや全てがどうでも良くなっていた。
日本に帰らなくたっていいじゃないか、ここなら戸籍もないし、
彼がここでジョセフについていく理由はないのだ。
「じゃあな、JOJO。
傷の療養、頑張ってくれ」
「お、おい!ちょっと待ちやがれ!…いてっ!」
傷が開いたジョセフを尻目に、吉良は病室を出た。
「ん?クイーン?どこへ行くの?」
丁度病室に入ってきたベルが話しかけるが、吉良はまるで聞こえていないかのように通り過ぎる。
「……そうだ、最初からそれで良かったじゃあないか。
私は……この世界に留まらせてもらう」
吉良は、病院を、去った。
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「くそっ、なんだってんだ……」
病院ではジョセフが独り言ちっていた。
「ジョジョ、さっきクイーンが通り過ぎていったけど何かあったの?」
「俺もよくわからねえよ、1人でブツブツ言いながら出ていきやがった」
ジョセフがイラついたように水をグイッと飲んだ。
「出ていったですって!?私、連れ戻してくるわ!」
ベルが走って病室を出ていく。
(そんなことよりも、この身体だ……
なぜ波紋を練れなくなっちまったんだ?
……考えてたら喉が渇くな……)
彼は少し乱暴にナースコールを押した。
すると間もなく若い男性が入ってくる。
「どうされましたか?」
「あーちょっと、お水のおかわりもらえる?」
「分かりました、すぐお持ちしますね」
男性はくるりと向きを変え、扉に手をかけた。
しかしその瞬間、ジョセフが止めるように話しかけた。
「おい、待て」
男性の動きが止まった。
「よく見たらお前…………」
男性は、ゆっくりと、振り向く。
「なんでしょうか」
「いやあ、よく見たら背が高いと思ってな。
何cmあんの?」
「はは、よく言われます。
2mを超えてからは測った事はありません……」
彼は少し強ばった笑みを浮かべ、部屋から出た。
(さて……知り合いの医者を頼るためにローマに行くとは言ったが…
おそらく医者じゃあ治らんだろうな)
ジョセフは窓の外を見つめながら暑そうに水を飲んだ。
「夏だからか喉が渇くな……
もう一度あのお兄さんを呼ぶってのもな……
……ン?」
ジョセフは机に置かれていた瓶を手に取った。
「へへ、あの兄ちゃん、なかなか粋なことしてくれるじゃあないのん!
遠慮なくいただきますよっと……」
満面の笑みを浮かべているのは、コーラが彼の大好物だからだろうか。
瓶を開けるやいなや、ジョセフは喉を鳴らしながらコーラを飲み始めた。
しかし途中で、ハッと瓶を机に置く。
(……待て。さっきから喉が渇きすぎやしねえか?
このコーラだってもう半分は飲んだのに、むしろさっきより喉が渇いてきやがる!
これは、まさか!)
「どこの誰かは知らねえが、確実にスタンド攻撃を受けているんだッッッッッッッ!!」
ズルズル…
「なんだッ!?」
病室にこれといった異変は起きていない。
強いて言うならば、ジョセフが徐々にベッドから滑り落ちるようにして不自然に動いていることだ。
しかしそれこそが、1番の異変であった。
「くそっ!このベッドか!
ハーミッド・パープル!」
ベッドから飛び起きたジョセフがスタンドでベッドをぐるぐる巻きにして破壊した。
しかし、飛び散ったのは木片のみだ。
「いいや、違う!?
ここじゃあ分が悪い!
外に逃げ…」
外に出ようと窓をみたジョセフは顔をしかめた。
そこには不自然なほどの黒。
窓枠の内側だけが、周りの世界とは違うように思えるほどの純粋な黒を見せていた。
「ならドアは!」
ジョセフがドアに走り込みドアノブを握ろうとするが、うまく握れない。
「なぜだ!ドアノブを何度も握ろうとしているのに、握ることができねえッッッッ!!」
手で握ろうとしても、スタンドで握ろうとしても、握ることは叶わない。
ジョセフが悪戦苦闘しているうちに、壁には不自然な穴が1つ、できていた。
「な、なんだ!?人が通れるくらいの穴が突然…」
ジョセフは言葉を失った。
その穴から出てきたのは先ほど水を渡した男性だった。
彼が手を触れると、壁の穴は跡形もなく消えた。
「てめえは、さっきの!」
「…私に、見覚えはないか」
男は被っていた帽子をとった。
その顔は、ジョセフが砂漠で見たものと同じものだった。
「あの時のッ!……となるとてめえも狙いはエイジャとかいう石か」
「ふん、察しが良くて助かるな。
我が名はサンタナ。赤石を持った娘はどこだ?」
「へっ、今は火星にでも行ってるんじゃあねえか?
宇宙の果てまで探せばいつか見つかるかもな」
「減らず口を────ッッッ!?」
ボトボト、と何かが落ちる音がした。
その先を見れば、またもや手榴弾。
ジョセフの常套手段である。
「爆発の勢いで宇宙まで行っちまったらどうだ?」
ジョセフがニヤリと笑う。
対してサンタナは、逃げるでもなく、防御するでもなく、手榴弾一つ一つを拾っては捨てるという作業を繰り返していた。
(こいつ…何をしていやがる…?
焦っている割には余裕が見える…柱の男とやらの再生力に自信が持てるのか?)
「いいや、関係ねえな!爆発するぜッ!」
ジョセフの叫びと同時に爆音が鳴り響いた。
しかしそれは彼の思っていたものよりは、遥かに小さい爆発だった。
まるでグレネード2,3個分程度のような、小さいものだ。
「…不発か?いいや、そんなはずは…」
ジョセフはサンタナが立っているのを見た。
その姿は、無傷とは言わないまでも致命傷は見られない。
そして足元を見れば、原型を留めたグレネードが何個も転がっていた。
「爆発していない…!?
いいや、ありえねえ!ひとつでも爆発すれば、例え不発弾でも誘爆するはず…
──────なるほど、それがお前のスタンドの秘密ってわけか。
なんだか分かった気がするぜ」
ジョセフは、その時常軌を逸した行動をした。
食べたのだ!
さっきまで食べていた昼食を再び食べ始めた!
そして、満足気に、何かを見つけたように、パズルを解いた子供のような顔で、サンタナに向いた。
「分かったぜ。お前のスタンド…やはり、「反転させる能力」を持っているッッ!」
「…それはどうかな」
「いいや、誤魔化してもムダってもんだぜ。
飲めば飲むほど喉が渇く水、握れないドアノブ、爆発しないグレネード…そして、食うほど腹が減る食事!」
「触ったものの性質を反転させる能力ってところか?
へへ、図星だろ?」
得意気に笑うジョセフに、サンタナもまた笑った。
「ふっ、大正解だ…しかし、ひとつ補足情報があるな。
それは…」
サンタナが指をクイッと動かした。
最初は不思議な顔をしていたジョセフもすぐに異変に気づいた。
「うう…オエッ!」
ジョセフは先程まで食べていたものをすべて吐き出した。
いや、吐き出さざるを得なかった。
「私の能力は『着眼点』によってあらゆる性質を反転させられる。
例えば、「食べても害がない食事」を「食べると身体に害を与える食事」にしたりな」
ジョセフが食べたものは、彼の能力によって毒へと変えられていた。
しかし、それよりも大きな問題に、ジョセフは気づいてしまった。
(てことは……)
「そうだ、私が1度でも貴様に触れれば、「生きている」事を反転させ、即死させることも可能。
これこそ、生物の頂点にふさわしい能力ッ!」
サンタナは大きく手を広げた。
しかしそこへジョセフがあるものを取り出した。
それは拳銃。
「それはすごいこった……だがよォ、触れてから能力を発動する前に殺してしまえばよォ……」
パンッ!
甲高い発砲音とともに、血が舞った。
それは正真正銘サンタナのものだ。
「……なるほど、いい着眼点《・・・》だ。
しかし、そんな武器では私に痛みすら与えられていない……」
そんな言葉を気にもかけず、ジョセフは次々と発砲しては銃を捨て、また新しいもので撃ち続けている。
しかし、不死身のサンタナに対して、全く効いていないようだ。
「効かないと言っているのが分からないのか?
いい加減────」
その口にも銃弾が撃ち込まれる。
それを引き金に、サンタナは顔をしかめた。
「いい加減にしろと言っているだろうッ!
いいだろう、そろそろ私が直接────」
サンタナがジョセフに近づこうとした瞬間、彼の後ろでカチッと音がした。
思わず前に飛び退こうとしたサンタナだが、足に走る鋭い痛みに気づいた。
「これは────」
「人間用のトラバサミだぜ。
あとよ……もう少し周りを見た方がいいんじゃあねえか?」
ジョセフが、サンタナの後ろにあるドアを指さす。
思わずサンタナは振り向いたが、そこには異変はない。
「いや、上か!」
時すでに遅し。
ジョセフは何度も拳銃で、サンタナを狙っていたわけではない。
彼のハーミットパープルで、サンタナの体を貫通した後の弾の軌道を変え、天井の隅に当てていたのだ。
そして、天井からは壊れた木板が降ってくる。しかし───
「───拍子抜けだな」
彼はそれらをうざったるそうに手で弾いた。
普通の人間なら為す術もなく押しつぶされるような木を彼は片手で処理する。
「さて、そろそろ────ッッッッ!?」
「へっ、だからよォ…周りをよく見ろって言ったんだぜ?俺は。
二階建ての建物の2階の天井が崩れ落ちたんだぜ!
てことはよ……」
天井が崩壊した今、サンタナには眩しいほどの日光が降り注いでいた。
逃げようにも足に付いたトラバサミで動くことが出来ない。
「やっぱり光は触れねぇんだな。
着眼点だかなんだか知らねェが、光の性質を変えることはできない。
……さて、お前の能力を拝見といこうじゃねえか。
「波紋を使えない」今の俺を「波紋を使える」ようにしてくれよな?
これだけ頼んでるだからよ……頼むぜ?」
ジョセフが睨みを効かせる。
サンタナも負けじと睨み返す。
しかし、石化しつつある彼に抵抗できる手段は時間が経つほど少なくなっていく。
5秒。
サンタナは、5秒の間に解決策を考えることに決めた。
それを過ぎれば石化が進み、ジョセフの言いなりになるしかなくなってしまうからだ。
双方にとって、悪魔のカウントダウンが始まった。