吉良吉影は潮流へ 〜Another One Bites the Past(過去に食らいつけ)〜   作:Mr.アップルパイ

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18.対決

「な、何が起きているッ!?

さっきまで私は確かにニューヨークにいたはずだッ!!

なぜ私は杜王町に────いいや、それよりもなぜ私の父──吉廣がここにいるんだァァーー!?」

 

「ふん、一体何がおかしい?

ワシに何か用か?」

 

怪訝な顔をしながら、吉良吉影の実の父親である吉良吉廣が尋ねる。

相手は自分の息子の成長した姿であるとも────そして、自分は息子に消されたのだとも知らずに。

 

(何かのスタンド攻撃に違いない…………

だが、一体何が目的だ?

今親父に会ったところで何も感じなければ弱みを見せようと思うこともない。

見たところ時期は私が高校生の頃のようだが何を思ってこんな場面を……)

 

「貴様、あんまり黙っておるようじゃと、警察を呼ぶぞ。

ワシになにか用かと聞いておるんじゃ」

 

────今、吉影にはチャンスがあった。

自分は未来から来たあなたの息子だと言うチャンスがあった。

それがどんな結果を産むか分からないにせよ、それを言うことが彼自身をある程度冷静にすることに貢献しただろう。

 

しかし、彼はそうしなかった。

なぜか。

 

その必要が無いからである。

彼にとって無闇に自分の情報を公開することは損以外の何者でもなかった。

だから、彼は敢えて名乗らずに、何も答えずにその場をあとにした。

 

「ちっ……怪しいヤツめ、次来たら警察に通報してやるわい」

 

そう言うと吉良吉廣は自宅へ戻ったのだった。

 

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 

 

 

「くそッ、災難ばかりだ…………

JOJO達まで敵に回して、これじゃあ骨折り損じゃあないか」

 

ぶつぶつと呟いていた吉良だが、ふと立ち止まった。

 

「ば、ばかな……ありえない……ッ!」

 

彼は気がつけば、とある家の前にいた。

 

吉良吉影の自宅────ではない。

 

「────なるほど。そういうスタンド攻撃ってわけなんだな」

 

『杉本』

 

表札にはそう書いてあった。

 

そして、中からは丁度金色の髪をした青年が、やけにスッキリとした顔で出てくるところだった。

 

「間違いない……ッ!!

ヤツは17歳の頃の私だッッ!!

そしてこのスタンド攻撃は恐らく、私に今までの人生を見せているんだッ!」

 

「…………ここに一体なんの用でしょうか」

 

動揺する吉良に、17歳の吉良が、警戒しながら話しかける。

 

(私自身のことだからわかる……

恐らくヤツはたったいま、殺すこと(・・・・)に躊躇が無くなったッ!

まるで自室にあるエロ本を捨てるみたく、邪魔な人間を殺すことが簡単に選択肢に入るようになったんだッ!

そして、証拠が残るこの家の前にいる私も始末する気だ!)

 

そして、吉良はもうそれ(・・)がスタンド攻撃と気づいていたからこそ、昔の彼自身を殺すことは厭わなかった。

恐らくそれによって過去が改変し、自分の存在が消えることはないのだろう、なぜならこれは幻覚を見せられているだけなのだから、と。

 

「─────君はここで何をしていたのかね?

悪いが……」

 

「─────すな」

 

「ん?なんだね?よく聞こえなかった。

もう一度言ってごらん?」

 

「質問を質問で返すなァァッ!」

 

「なッ────キラークイーンッ!」

 

吉良目掛けて一直線に突き出されたナイフを、キラークイーンが弾き飛ばす。

 

それを見た17歳の吉良は驚きつつも警戒し、吉良と距離をとる。

 

「ちっ、あまり見せたくはなかったのだがね。

それに────抵抗しなければ楽に殺してやった。

今からでも遅くはないぞ?できれば私も楽をしたい」

 

「な、なんだ、今のは……?ナイフが勝手に…………」

 

しかし、17歳の吉良は聞く耳を持たない。

動揺しているだけなのか。なら、今がチャンス。

そう思い、吉良は近づいた。

 

一歩一歩、確実に近づいた。

決して目の前の青年から目を離さなかった。

 

 

 

そして────それが仇となった。

 

 

 

吉良が次の1歩を踏んだ瞬間、足元でなにかが爆発する。

 

「なにィッ!?キラークイーンッ!」

 

吉良は咄嗟にキラークイーンで防御した。

不意は突かれたものの、防御は間に合った────吉良は確かにそう思った。

 

「なにも────起きない?」

 

「─────本当の爆発はこっちさ」

 

足元に気を取られ、青年を一瞬失念していた吉良に、青年が何かの粉を投げつける。

 

 

 

人間の防衛本能というのは、当然ながら理性とはリンクしていない。

 

 

もしたとえ、目の前の粉塵が、とても危険なものであったとしても。

 

もし、青年の持っているライターが自分の死を意味しているとしても。

 

人間の本能にとっては、目の前の粉はせいぜいただの粉塵であり、青年の持つライターも自分とは遠く離れている。

 

だから、吉良は脊髄反射ではなく、たかが知れている、脳との電気信号のやりとり程度の速度でしか反応できなかった。

 

即ち、吉良は目の前の粉塵を少し振り払う程度の反応しかできなかった。

その程度の反応をする時間しかなかった。

なぜなら、青年は既にライターの火をつけていたからだ。

 

 

 

カチッ

 

 

 

「────粉塵…………爆発ッッ!」

 

「ご名答」

 

 

 

瞬間、大きな爆発が巻き起こり、吉良は防御をする時間もなく、爆風で吹き飛んだ。

 

「危なかった。何かの超能力を使えたようだが……

これで今日も安心して……」

 

「眠れるかな?」

 

「なッ!」

 

ほっと息をついた17歳の吉良に1つ、届く声があった。

言うまでもない、吉良吉影である。

 

「君の頭の良さには感心するよ。

いいや、君と言っても私だから自画自賛ということになるのかな?

 

不意をついての足元の花火の爆発音。たしか君は────初めて人を殺したあとの君は、何も気にせず、この後友達と花火に行く予定だったな。覚えているよ。

 

そして、先程香った甘い匂い。恐らく杉本鈴美の家にあったクッキーでも盗んできたのだろう。

それを粉々に握り潰して投げつけた。そして、ライターで着火すれば粉塵爆発の完成って訳だ。

しかし、君にとっちゃあ未知の能力を持つ私に、粉塵爆発程度で仕留めたと思い込むのは、ちょいとばかり不用心じゃあないかね?」

 

「なぜだ……たしかに爆風をくらったはずだ……ッ!

人ひとり確実に死ぬくらいの爆風を……」

 

「だから、君は勘違いしているのだよ。

なにも爆発を使えるのは君だけじゃあない(・・・・・・・・)ってことさ。

キラークイーンは一度に1つしか爆弾に変えられない……

だから、変えたのさ。粉塵全部(・・・・)をね。

君も気にならないか?どこからが1つ(・・)なのか……

元々ひとつのクッキーだった粉塵は、全部で一つとして爆弾に変えられたようだ。

着眼点(・・・)……われながらいい着眼点だった」

 

「いいや、だとしてもッ!

粉塵を爆弾に変えられたからと言ってッ!

貴様が生き残れるはずがない!」

 

「現に生き残ってるじゃあないか。満身創痍ではあるがね。

それに、簡単な事だ。()を作ったのさ。

爆発の壁をね。

自分に最も近い粉塵のみを先に爆破した。

そうすると、後ろの方にいる粉塵の爆発は爆風にさえぎられて私にはあまり届かない。

直接触れて、離れる時間もなく起爆したから、それでもここまでダメージを負ってしまったが……ね」

 

吉良の丁寧な解説、青年は言葉も出ない。

 

「そして────始末はもう終わっている」

 

「──ッ!」

 

青年は肩になにか重みを感じた。

パッと肩を見ても、何も見えなかった。

しかし、何がいるのだと────自分を今から殺す何かがいるのだと、理解した。

 

「コッチヲ見ロ────」

 

「逃げ──」

 

大きな爆発音が鳴った。

 

青年にはもはや逃げる時間は残されていなかった。

ただ、一瞬で自分の死を悟りながら、消えていったのみであった。

 

「さて、これで安心して眠れるな」

 

そう言って吉良は、とりあえずそこから離れようと歩き出した。

 

 

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