吉良吉影は潮流へ 〜Another One Bites the Past(過去に食らいつけ)〜 作:Mr.アップルパイ
スタンドの能力の説明を訂正・追加しました。
同日21:03
誤字・おかしな表現を修正しました。
「遅いな……」
ジョセフがスリを追いかけ、裏路地へ駆け込んでから既に10分が経過していた。
腕時計が壊れているので体感時間だが、吉良にとっては20分は待ったように思えた。
傷だらけの身体でベンチに座る吉良の姿は、周りから見ても相当浮いていた。
「様子を見てくるか」
しびれを切らした吉良が裏路地に向かって歩き出す。
空の天気は、少し曇り気味であった。
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「JOJO、一体何が……ッッ!?」
路地に入った吉良が見たのは異様な光景だった。
自分から財布をとったスリも、それを追いかけたジョセフも、共に腕に小さな傷を付けて倒れていたのだった。
そして、吉良が取られた財布には─────
「これはッッ!!吉廣が持っていた矢だと───!?
いつの間に私のポケットに入っていたんだ!?」
ポール・スミスのロゴが刻まれたその財布に、かつて吉廣が使っていた矢が深々と刺さっていた。
吉良がその財布に手を伸ばす。
「………」
しかし、その手は財布に触れる直前で止まった。
彼の目はスリの少年をキッと睨んでいる。
「おい、そこの君。
起きているのだろう?先ほどから目の動きが不自然だ。
それに……まるで私がこの財布に触れるのを待っているように見えるぞ?」
「………」
少年は依然として地面に倒れた姿勢で動かない。
「立てと言ってるんだ!かまをかけてるんじゃあないぞッ!
君が目覚めているのは確実だって分かって言ってるんだ!」
「………ちっ」
少年がおずおずと立ち上がる。
そしてその少年に、吉良が財布を取るよう首をクイッと動かした。
「分かったよ…………ほら、取ったぜ?
なんか文句あんのかよ」
「よし、じゃあ私が受け取ろう。
いいか、決して妙な動きをするんじゃあないぞ?
ゆっくりだ、そうゆっくり………」
少年がゆっくりと財布を手渡す。
吉良も慎重に手を差し出す。
そして、財布が吉良の手に渡った。
「ふむ、特に異常は………………ないッ!中の金が全てなくなっているぞッ!
おい、君!これはどういう………」
吉良が言い終わる前に少年は走り出した。
吉良は舌打ちをしながら追いかける。
「───ッッ!?」
不意にポンッ、と何かが弾けるような音がした。
その音の音源である右手を見れば、吉良の右手の骨が複雑なオブジェのように折れていた。
もはや起爆スイッチを押すこともできないほどに。
「な、なんだ、これはッ!?
持っていた財布まで無くなっているだとッ!
まさかあの少年、スタンドを…………?……………そうか、腕の傷は矢に触れて…………!」
そこで吉良はジョセフの方を一度チラリと見たが、まずはこっちからだ、と言いたげに少年へと視線を戻した。
「『シアーハートアタック』!」
吉良の左手から戦車が飛び出る。
それは少年の方へと接近していった。
ジョセフも近くにいたのだが、気絶しているジョセフよりも走っていて体温が高い少年の方を先に狙ったのだ。
「な、なんだ、あれはァァァ────!?」
少年が驚きながら路地を駆け抜けて行く。
(
この右手………やつの能力はなんだ?
私の能力と似ている気もするが…………)
シアーハートアタックが少年を追尾し続ける。
少年の足も十分に速いが、戦車のキャタピラーには抵抗虚しく、徐々に距離を詰められていく。
「……ハッ!しまったッッ!?」
少年の目の前には壁のみ。
行き止まりとなり、万事休すだった。
(勝ったッ!どんな能力かは知らないが発動する前に殺すッッ!)
「ふぅ〜〜」
「!?」
少年の頭上、ベランダで一人の男が煙草を吸い始めた。
シアーハートアタックがチラリと男を見る。
煙草の火の温度と少年の体温を比べているのだ。
本来なら火がついている煙草の方が優先度が高いはずなのにである。
そして戦車は、少年と男を交互に見た後、少年を睨みつけた。
(……………ハッ!
そうか!『ギリギリ』だ!
煙草の方が少年の体温より温度が高いとはいえ、シアーハートアタックと煙草との距離が空いているから
温度が高いが距離は遠い煙草と、目の前の少年…………ヤツは『ギリギリ』少年を優先したのだ!
あとベランダが1cm低ければ、あるいは男の手が1cm低ければ、面倒な事になっていた………
やはり、運は私に味方しているッ!)
シアーハートアタックが少年へと迫る。
もはや起爆寸前で、吉良が勝ちを確信した時、
(シアーハートアタックから光が………?)
青戦車から黄色い、いや金色の光が吐き出されるように飛び出す。
そしてその光は少年の背後へと吸い込まれるように動いた。
(………あれが、少年のスタンド能力………!)
少年の背後に現れたのは、全身を茶色を基調としたボロボロの服に覆われ、頭には炎のように赤いバンダナ。
黒いブーツを履き、顔は機械仕掛けの皮膚に縦に長めの輪郭、黒光りする目を持ったスタンドだった。
そしてそのスタンドの一番の特徴はその両手にある。
右手の平にはボールをはめられそうな半円型の穴が空いており、左手の平には星型の魔法陣のような模様が描かれている。
金色の光が、その左手へと移動していた。
(あれはまるで………盗賊だッッ!
短剣を持つシーフのような格好をしているぞ!)
少年のスタンドの口が動く。
[俺の名は『
相手の可能性を奪い─────]
少年のスタンドの左手が黄色い光を掴む。
そして左手の魔法陣が青く光り、気が付けば黄色い光は、実体を持つ黄色いオーブとなっている。
[自分の可能性とするスタンドだッッッ!]
スタンドがそのオーブを右手の空洞へとはめ込む。
不思議なことにそれは空洞にピタリとはまった。
その瞬間、オーブは右手に吸い込まれるようにして消え、スタンドの全身が黄色く光り出した。
その直後、シアーハートアタックが動きを止める。
そして、煙草を吸う男の方向を向いた。
(ま、まさかッ────)
[コッチヲミロオオオオッ]
シアーハートアタックは狙いを煙草へと変え、空を駆けた。
ズガァァァァン、と男の煙草の目の前でひときわ大きな爆発が起こり、煙草を吸っていた男は跡形もなく消え去った。
「今だっ!」
少年は建物の間の人が通れなさそうな小さな隙間を縫って進んでいく。
「しまった!くそ!出て来い、このガキめ!」
吉良が急いで隙間に駆け寄るが、時すでに遅し。
隙間から覗くと、少年は路地を抜けて大通りの人混みに紛れて見えなくなっていた。
………キュルキュル………
吉良は、乱暴に左手を突き出し、シアーハートアタックを収納する。
「ダメだ、やつには私のスタンドを見られた………確実に排除せねばッ!」
吉良が一度来た道を走って戻る。
途中に倒れていたジョセフはまだ放置されたままであった。
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(だがこの人混みでどうやってやつを探せば………
金は爆弾に変えているが、今爆破したところで確実にやつが死ぬところをこの目で見ないと安心して眠れん………
やつを見てないか人に聞くのは印象に残ってしまうしな………おや?)
吉良は視界に入ったとある時計屋に目を付けた。
(あの店、見たことがあるような………
いや、待て!よく見るとこの通り自体、見たことあるぞッ!)
吉良が辺りを見渡す。
(あの果物屋も!あのコーラの出店も!
おそらく………私はおそらくここに来たことがあるぞッッ!
そうだ!思い出した!子供の頃に父と一度ここに来たッ!)
そこで吉良が思いついたような顔をした。
次の瞬間には、とある方向へと走り出していた。
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「ハァ……ハァ……」
少年は大通りへ出た後、少しでも男から離れようと、周りも見ずに走り続けていた。
そして、10分程走った後、とある家の前で立ち止まった。
「ここならバレないはず………」
そこは誰も住んでいない家だった。
さらに言えば、掃除をするのにも手間がかかりそうな大きな屋敷であり、そこならば見つかることはないと踏んだのだ。
大きい庭を通り、玄関へとたどり着く。
少年は住人募集中のポスターを乱暴に引き剥がし、ピッキングで鍵を開けて家へと入った。
「ふぅ………しかし、この家、大きいなぁ………」
少年は感嘆の声をあげた後、リビングにあるソファーに寝転がった。
そして、一仕事終えたかのようにくつろぎ始めた。
「あいつがいなくなるまで寝るか………」
「ふむ、そうしてくれると楽で助かるね」
「──ッッ!?」
少年が慌てて顔を上げるとそこには先ほどのスーツの男───吉良吉影がいた。
(おかしいぞ!この家は周りを庭で囲まれているから外からは家の中までは見えないはず!
な、なんでここが分かったんだァァァ─────!?)
「フハハ、なんで、という顔をしているね。
なに、簡単なことさ。
私、実は子供の頃にここに来たことがあってね。
父に連れて来てもらったんだ。
だからここらへんの地図は脳内にしっかり入っているのさ。
君が大通りに出た後だが、左に曲がると金持ちの家ばかりの通りへ辿り着く。
そこには警備員がたくさんいるからおそらく君みたいな小汚いスリはすぐに捕まってしまうだろう。
だから右に曲がる方向へと来てみたら、この屋敷、やけに真新しいのに門は強引に開けられ、表札にはまるで紙をはがしたような奇妙な跡が付いている。
大方、不動産の貼り紙でも剥がしたのだろう?
そして怪しく思って入ってみれば、大当たりじゃあないか」
吉良が笑いながら説明をする。
その間、少年はずっと震えていた。
それは死への恐怖からか、あるいは男の推理力への驚愕か。
「悪いが、君には能力を使う時間も与えんよ。
キラークイーンは既にその金に触れている」
カチッ
宣告通り、吉良はなんのためらいもなくスイッチを押した。
スイッチ音がやけに響いた。
───────そして刹那の後、外の庭で轟音が鳴り響いた。
「あっ、えっ?」
少年が慌ててポケットをまさぐるが中には何も入っていない。
自分でも驚いている様子だ。
「チッ、庭で金を落としていたか。
だが、追いかけて来てよかったよ。
もし一か八かで爆破してみていたら危うく君を見失うところだった。
やはりこの私の慎重さが安全な生活を守っているのだな」
吉良は一人で納得した後、少年へ向き直る。
その顔は、まるでパチンコで大勝ちしたかのような満足感に溢れている。
「さて、今度こそ、確実に君を殺そうと思う。
出来れば抵抗しないでくれると嬉しいのだが………」
少年は静かに立ち上がり、そして自らのスタンドを出した。
「……なるほど、それが君の答えか。
面倒だがやるしか───」
「おい、待て!」
吉良の後ろから男の声がした。
振り向くと、そこにいたのは腕に茨を巻きつけたジョセフ・ジョースターであった。
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スタンド名 ー 【ミッション・イン・ポッシブル】
本体 ー スモーキー・ブラウン
破壊力:D
スピード:C
射程距離:A (視界に入ったスタンドを能力の対象とできる)
持続力:D
精密操作性:B
成長性:A
能力 ー 〔視界に入ったスタンドから『可能性』を奪う。
視界に入ったスタンドから黄色もしくは赤の光を出させ、出た光を左手でオーブに変換し、右手にはめ込むことで初めて能力が発動する。
黄色のオーブの場合、対象のスタンドの操作を3%奪う(VS吉良戦ではシアーハートアタックの注意を3%煙草へと向けた)。
赤のオーブの場合、対象のスタンドの能力を3%奪う(VS吉良戦では財布にキラークイーンの3%の威力の爆発を起こした)。
赤と黄色、どちらの光を出すかは自分で決められる。
また、光を出させるには視界の端に映るなどではなく、凝視するように相手のスタンドを見なければならない。
新しいオーブがはめられた場合、前回のオーブの効果は消える。
対象となったスタンドは基本的にこの能力への抵抗は不可能である。〕
みなさんお察しの通り、スタンド名は洋画から付けました。
これからのスタンドも洋画から付けて行きます。
長いのでこれからはスタンド名を言うことに特に意味がない時はMiP(エムアイピー)と呼びます。
なんかの組織とかぶってたら怖いな…