吉良吉影は潮流へ 〜Another One Bites the Past(過去に食らいつけ)〜 作:Mr.アップルパイ
とても励みになります!
「JOJOが………倒れた」
「!?………そんなッ!」
吉良の目線の先には倒れたままピクリとも動かないジョセフがいた。
「奴のスタンドは恐らく『五感を奪う能力』………。
そしてベル、君の例を見るに虫ごとに奪う感覚は分けられている………蚊は聴覚、蛭は視覚って風にだ。
ベル、周りによく気を配ってくれ。
近づく虫がいたらすぐに攻撃していい」
吉良が注意を呼びかける。
それにベルは頷くと同時に吉良の上着を剥ぎ取った。
「あなたが破ったんだから貸してよね。
………………ふぅ、まだ危ないけどこれで両手が使えるわ」
ベルは服を着たものの、彼女の言うとおり足がかなり露出していてあと少しで見えるか見えないか、というラインである。
「………なんか、目は見えないけどなんとなく視線を感じるんだけど?」
「?自意識過剰はやめてくれ。私は君の
「もう!それはそれで悲しいじゃ───」
ベルの口が止まる。
不意に消えた声に吉良が後ろを振り向くと、顔が青ざめたベルと、ミミズの大群がいた。
「クイーンッッッ!ヤツのスタンドは数が多いとか、そんな次元を越えているわ!
とてつもない音がきこえてるッ!
あの物量じゃぶつかられただけで窒息死よッ!
ここは一度逃げるしか───」
叫ぶベルを吉良の手が遮る。
彼はあくまで余裕といった表情だ。
「ベル、君は二つ大きな勘違いをしている」
吉良が石ころを拾う。
「一つ。あれはヤツのスタンドではない。本物の虫だ。
周りを見てみろ。一般人もあの虫に反応して逃げ惑っている。
スタンドは一般人には見えないはずなんだ。
そして、私が『物量で押さない=数は多くない』という推測をした途端のこの行動………あれだけの数の野生の虫を統率できる知能………間違いないッ、ヤツは私たちを監視している。
そして、ヤツのスタンドは自動ではなく遠隔操作型だ」
キラークイーンが石ころを拾う。
「二つ目………君にはまだ私のスタンドを見せていなかったな。
悪いが、この状況………」
吉良が石ころを投げる。
その右手は既に起爆スイッチを持つような形に構えている。
「私には日頃のストレス解消にしかならないな」
ドガァァァァァァン
カチッ、という音の後に大きな爆発音が吠える。
蚯蚓の群れは内側から吹き飛ばされ、体液を撒き散らしながらそこら中に爆散する。
通行人にとってはまさに閲覧注意、地獄絵図だった。
その爆発音を聞いてベルはただ唖然としている。
「次はどこから───」
吉良の目の前で、突如地面が盛り上がる。
否、盛り上がったのは地面ではない。
「きゃぁっ!」
もう一度石を拾い爆破しようとする吉良だが、すぐに手を引っ込めた。
「ちぃ、ベルとヤツの距離が近すぎて、爆破すると巻き込んでしまう………」
吉良が悩んでいるところに聞きなれない声が届く。
その声はどこからか響いてくるようだ。
「今なら降参すればお前だけは助けてやるぜ?」
「!?」
ミミズの一匹から声が発されているのだった。
「それは………」
「この娘を見捨てれば、お前だけは助けてやる、って言ってんだ。
本当はお前も始末した方がいいと言われてるんだが………どうやらお前は打算で動いてるようだしよぉ?こいつを見捨てて助かった方がメリットが大きいんじゃあないのかい?」
ミミズが吉良に言い聞かせるように言う。
「なるほど。本当に、今逃げ出せば命は助けてくれるんだな?」
「ああ、約束するぜ?」
ミミズが嬉しそうに言う。
吉良は依然俯いたままだ。
「ほら、今逃げちまえよ?追わねえぜ?」
ミミズの問いかけに吉良は前を向き、胸を張って言った。
「………だが断る」
「なっ!?」
動揺するミミズに吉良が一歩ずつ歩み寄る。
「少しデジャヴだが……………どうやら君も二つ、勘違いをしているようだね?」
ミミズの目の前で吉良が立ち止まる。
「私のキラークイーンを甘く見てもらうと困る。
爆破だけが全て、だなんて酷く危険で単調な考えを持っているなら、私は今ここにいない。
緊急策、と言っちゃあなんだが、爆破が封じられたところで単純なパワーで君に負けるわけが無いのだよ?」
キラークイーンが現れ、五匹でベルを取り囲んでいるミミズの内の一匹を殴る。
それだけでそれは殴られた箇所から辺りに飛び散った。
「それともう一つ。
私の生き方はあくまでも『安心に眠れる生活』を求める生き方だ。
見捨てるだって?とんでもない。
君という脅威を残した挙句ジョジョ達にも恨まれるなんて、無駄にも程がある」
キラークイーンが一発、また一発と拳を叩き込むとミミズも一匹ずつ破裂して死んでいく。
「そして私の生き方を侮辱した君には…………もう選択肢は残されていないのだよ」
最後の一匹を殴り潰した吉良が言い張った。
その顔には、普段と特段変わりはなかった。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「ちぃ、せっかく助けてやるって言ってるのによ?」
とある建物の中、電気も付けずに暗い部屋で一人の男が悪態をついていた。
髪はボサボサに伸び、爪を噛みながら話す姿は陰険な印象を与える。
「仕方ない、クイーンとやらも殺すか。
ヒヒッ、俺を殺したと思い込んでるヤツの驚く顔を見るのが楽しみだ。
俺のスタンド『
どんな虫にでもなれる魂のスタンドなのさ。
魂には実体なんてない………つまりは本体の俺を倒さない限り俺には勝てねえのによ〜」
男が一人で笑う。
溶けかけのアイスをかじった男がふと疑問を顔に出す。
(そういえばあのヤロー、ジョジョに恨まれるだとか言ってたな。
ヤツの五感は全て奪った。あそこで逃げ出したって、ヤローを恨むっていうジョジョはもう既に死んだも同然─────)
「なるほど、じゃあ今からおめーを倒せば良いんだなァ?」
「なっ!?」
気づかぬ間にもう一人の男が後ろに立っていた。
「次にオメーは、「なぜ貴様がここにいる、JOJO!?」と言う」
「なぜ貴様がここにいる、JOJO!?………ハッ!」
「倒れてる間に地面から穴を掘るみてーな音が聞こえてよォ?
おかしいなって思ってその音がどこから来たのか探ってみたらビンゴ、ってわけよ」
ジョセフが得意げに語る。
一方男の方は肩を震わせながら叫ぶ。
「お、俺が聞いてんのはそういうことじゃねェーーーーッ!
俺は確かにオメーの五感を全部潰したんだッ!!
五感を全て消されたお前がどうやって音を聴ける!?
そもそも触覚が無いんだ、話すことも立つこともできねーはずだ!」
男がそう言うと、ジョセフはいきなり笑い出した。
突然の行動に男は口をぽかんと開けている。
「ウヒヒヒヒ、い、いや、すまねえ。おめー、自分のスタンドの事をよく分かってねえみたいだからよ?
てめえのスタンドは五感を消すスタンドってわけじゃあねえ。
神経の伝達を遮るスタンドなんだよ」
「し、神経の伝達を遮る?」
男はまだ理解していない様子だ。
「蚊に刺されると痒くなるのは、蚊が出す分泌液のせいだ、っていうのがあるだろ?
あれと同じさ。
お前のスタンドは噛んだ相手に、神経が信号を流すのを妨害する液体を注入する。
ちょっとずつ液体を注入していくんだから、当然俺の耳も『少しずつ』聞こえなくなったんだよ」
ジョセフの説明を聞くも、男はまだ不満げだ。
「だからなんだ!そんなことが分かったところでお前のスタンドじゃ………ハッ!」
「俺のスタンドだからさ。
俺のハーミット・パープルを脳に直接ブッ刺して体中の神経と繋げた。
おかげで頭には激痛が走ってるが感覚は戻ったぜ?」
男が後ずさりする。
「待て!お、お願いだ!助けてくれ!死にたくないんだ!」
泣きながら懇願する男に、ジョセフは唇を突き出して見下すように言う。
「…………じゃあおめーがさっき言ってた『殺した方がいいと言われた』ってのはどういうことか教えてくれ。
お前に命令したやつがいるんだろ?」
ジョセフが問うと、男はまるで試験紙のようにみるみる顔を青ざめ、カーテンがかかった部屋の窓へと走った。
「お、おい!待ちやがれッ!一体どうし………」
男がカーテンを開けた瞬間、ジョセフは目を疑った。
彼の目の前で、男は服を残して灰になり、完全に消滅した。
カーテンを開け、日差しが差し込んだ瞬間の出来事だった。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「へっくし!」
「大丈夫か?露伴?風邪か?この時期によォ?」
「いいや、なんだが僕の名言を取られた気がするだけだ」
「………?よく分かんねー事言ってねーで真剣に考えて下さいよ」
「あ、ああ………」
スタンド使い「ワーム・クーパー」
死亡
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
スタンド名 ー 【ファイブ・バグズ・パニック】
本体 ー ワーム・クーパー
破壊力:E
スピード:B
射程距離:A
持続力:B
精密操作性:B
成長性:C
能力 ー 〔視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚のそれぞれを司る五つの魂のスタンド。
魂は虫に化けて実体化することができるが、虫を殺しても魂は死なない為、実質スタンドは不死身である〕