この作品には以下の要素があります。苦手な人はバックしてください。
・この作品にはオリジナル設定。オリジナルキャラクターが出てきます。
・クロスオーバーとありますが、うみねこ:8 ポケモン:2くらいです。
一応原作を知らない人向けに説明を軽く入れてますが、細かい説明は省いてます。
・ポケモン側、うみねこ側共に恋愛描写がありますが、どちらも公式ではないカップリング描写があります(例・戦人×真里亞)
・ポケモン側の登場人物の性格や設定は、自己設定です。
中編予定なのでそんなに長くは続かないと思いますが、そこら辺は未定です。
更新遅めですし、今まで書いた事のないタイプの話なので、僕自身もどうなるか分かりません。
かなりの実験作品になりますが、もしよろしければ暇つぶしにでも見ていってください(´・ω・)
・Heads
少年は深くまで被っていた帽子を、少しだけ上げる。
視界が広がり、前方にターゲットを捉えた。
ヤツは――、逃げない。ただジッと、広い岩場に立ち尽くしているだけだ。
少年は無言で、ただゆっくりとその場に近づいていく。いや、それは近づくことを許されたと言うべきか。
「ありがとう。ラプラス」
少年の名は――、"レッド"。
手持ちのモンスターを『モンスターボール』の中に戻すと、一歩前に出た。
『なぜ――、此処に来た』
遺伝子ポケモン・ミュウツーは、ハナダの洞窟、その最深部にて体を起こす。
凄まじい覇気と、そこに混じるドス黒い殺意。今まで戦ってきたどんな相手よりも恐怖を煽られる。
正直、今すぐに踵を返して逃げ出したかった。なんだったら命乞いをしてもいい。それくらいの恐怖をレッドは感じていたのだ。
だが、小さく笑ってみせる。
矛盾しているかもしれない。それでも恐怖を上回る期待が心を滾らせている。
「ミュウツー。あなたを、『捉まえ』に来た」
そう言って、レッドは腰にあるモンスターボールを指でなぞる。
するとピンポン玉ほどの大きさだったボールが、ソフトボールほどに大きくなる。
レッドはボールを強く掴み、同時に地面を蹴った。
『愚かな』
一方でミュウツーは浮遊し、地面をスライドしてくる。
超能力で自身の体を浮かせているのだろう。そして手には闇のエネルギーが宿る。
一瞬だった。シャドーボールが放たれたのは。
黒い弾丸は不規則な動きでレッドを目指す。かつてない緊張がレッドの身にのしかかる。
他のトレーナーとは違う。ロケット団だって、いきなり命を奪おうとはしてこない。
だがミュウツーは違うのだ。まだポケモンを出していないレッドに向かって、高エネルギーの暗黒球を撃てるだけの殺意はあったのだ。
『ほう』
黒い爆発が起こった。レッドは――、無事だ。
彼の前に立っていたのは居眠りポケモン・"カビゴン"。その厚いお腹のお肉が、シャドーボールを受け止め、弾き返したのだ。
本来、霊的なエネルギーは、『無』とされている固体には通用しない。
しかしミュウツーは自身の攻撃の全てに『超』と分類されているエネルギーを纏わせている。
これにより、いかなる攻撃も無効化されることはなく、さらに『半減』されることもない。
「カビゴン! 上だ!」
「!」
レッドが指差した方向は洞窟の天井。そこには尖った岩が見える。
阿吽の呼吸とでも言えばいいのか、カビゴンは瞬時に理解すると、飛び上がり、そのまま巨体を地面に叩きつける。
すると衝撃が走り、岩が天井から分離した。降り注ぐ鋭利な岩の数々。この"岩石封じ"が命中すれば動きを鈍らせることができる。
しかし、ミュウツーは構わず移動を続けた。岩は当然、ミュウツーを覆い隠すように降っていく。
だがそこでレッドは気づいた。いつの間にかミュウツーが球体状のエネルギーに包まれているではないか。
バリアだ。岩は次々に結界に阻まれ、蒸発するように消滅していく。
気づけば距離がどんどん詰まっていく。その時、ミュウツーが『消えた』。
「!?」
文字通り、いなくなったのだ。
テレポートである。ミュウツーはカビゴンを越えてレッドの背後に出現すると、超能力の刃を出現させてそれを躊躇なく振るった。
サイコカッターはレッドの首を跳ね飛ばすつもりで放たれた。しかし結果は、激しい抵抗感。
カビゴンはミュウツーが消えた瞬間、背後を振り返り、レッドの襟首を掴んでいた。
どうやらこのカビゴン、見た目とは裏腹に頭はかなり切れるらしい。瞬時に状況を判断すると、レッドを真上に飛ばして自身が身代わりとなる。
超能力の刃は切れ味バツグンだが、カビゴンの肉を断つまではいかなかった。
「フシギソウ!」
通常、ポケモンは進化させていくのが常識である。
しかしトレーナーの中には初期、もしくは中間の状態で継続させるものもいる。
そうすることで純粋なスペックに縛られない動きが可能なのだ。たとえばスピードだったり、小回りだったり、室内への潜入などなど。
フシギソウも同じだった。植物の蔓を二本伸ばし、天井の岩に括りつける。
一方で背に捕まるレッド。フシギソウをブランコのようにしながら眼下にいるカビゴンを確認した。
カビゴンは自身に闘気のオーラを纏わせてタックルを決める"気合い球"で、ミュウツーを突破しようと試みる。
しかしカビゴン渾身の一撃を、ミュウツーは片手で止めてみせた。サイコキネシスだ。
そのまま腕を振るうと、カビゴンに指一本触れることなく、その巨体を後方に投げ飛ばしてみせた。
ミュウツーはさらに腕を突き出す。すると小さなシャドーボールがマシンガンのように乱射され、空中にいるカビゴンへ次々と命中していく。
しかし飛来していくのはシャドーボールだけではない。
「戻れ!」
モンスターボールがカビゴンに命中すると、一瞬でカビゴンの姿がボールの中に。
さらにボールは自動的にレッドの手元に戻り、入れ替わるようにしてボールが地面に落ちた。
光が、炎が溢れる。現れたのは火炎ポケモン・リザードン。
炎竜は咆哮を上げると、翼をはためかせて威嚇を行う。
しかしミュウツーは目を細めるだけで一切怯まない。そのうち、フシギソウが自らの葉っぱを武器として投擲する。
葉っぱカッター。さらにリザードンは尻尾を思い切り振るう。すると炎のカーテンが出現し、そこを通過した葉っぱカッターが炎に包まれ、炎弾となる。
『……!』
高速で飛び回るカッターは次々にミュウツーへ命中していく。
攻撃を通した。レッドは思わず期待に身を乗り出したが、それが甘い考えであることはすぐに分かった。
ミュウツーの体がモザイクのように消えると、その背後から無傷のミュウツーが地面をスライドしてくる。
"身代わり"だ。ミュウツーは再びテレポートで空間を跳躍すると、リザードンの眼前に現れた。
一方のリザードンも煽るように鼻を鳴らすと、拳を握り締める。
『ハァアア!!』
「グオオオオオオオオ!!」
燃える拳がぶつかり合う。
炎のパンチが互いのエネルギーを衝突させ、爆発を起こした。
洞窟内が激しく揺れる。目を細めるレッド、心臓は激しいリズムを刻んでいるが――、なかなかどうして。
「やっぱり強いな……! ミュウツー!」
額に汗を浮かべながらも、レッドは確かに笑っていた。
「リザードン!」
レッドが叫ぶ。
すると衝撃で吹き飛んでいたリザードンが目を光らせた。
普通ならば炎のパンチのぶつかり合いによって発生した爆発に揉まれ、吹き飛び、何もせずに地面に墜落していただろう。
しかしそこに指示が入る。何もない時間をチャンスに変える。
それが、トレーナーの役割なのだ。
「――ッ!」
リザードンは翼を広げ、空中で体勢を整える。
「ブ――」
驚異的なレスポンスの速さ。
レッドが最初の文字を口にした時点で、リザードンはレッドが何を望んでいるのかを理解し、口の中にエネルギーを溜める。
それは簡単にできるものではない。時間と絆、信頼が育んだ賜物なのだ。
「――ラスト・バァアアアン!!」
ブラストバーンを望んでいる。だから発動する。
リザードンの口から赤いレーザービームが発射され、一瞬でミュウツーの前に到達する。
しかし敵も同時に動いていた。炎のパンチの衝撃で後退していく中で、眉間を指で押さえていた。
未来予知の発動。リザードンが高エネルギーのレーザーを放つ未来がそこにはあった。だからこそ対策のため、両手を前にだし、指を広げていたのだ。
「!?」
レーザービームがミュウツーの前で停止する。
直後ビームに紫色の亀裂が走り、粉々に砕け散った。
光線と言うのは『エネルギー』であり、それは固体ではない不確かなものだ。
しかし、ミュウツーはそれをまるでガラス棒のように砕いて見せたのだ。
「サイコブレイクか……!」
レッドは汗を浮かべ、また笑みを浮かべる。
「一旦戻れリザードン! 頼むゼニガメ!!」
レッドはこの危機的状況を楽しんでいた。
死が見える状況。しかし自分達のポケモンは確かにミュウツーに食らいついている。それがたまらなく嬉しいし、楽しい。
「ミュウツー! 俺はこいつ等と一緒に成長してきた!」
ゼニガメが地面を叩くとミュウツーの周りに間欠泉のように水柱があがる。
同じく出現したラプラスがそこに冷凍ビームを打ち込み、氷の牢獄を作った。
だがミュウツーは炎のパンチを真下に打ち、炎を拡散させる。
一瞬で蒸発する氷。白い湯気を突き破ってミュウツーは前に出た。しかしレッドは叫ぶ。
「でも旅を続ける中で、ポケモンを悪用する奴らにも会ってきた!!」
殻に篭ったゼニガメが地面をすべり、ミュウツーの足を狙う。
しかしテレポートで回避されると、サイコキネシスで投げ飛ばされる。
「アンタもその被害者なんだろ!」
『耳障りだな。言葉など、戦いには不要なものだ』
ミュウツーは手を前に出す。
するとパイロキネシスが発生。レッドを中心として炎が『大』の字を作った。
「俺にとっては必要だ!!」
しかしカビゴンが出現すると、レッドを抱えて盾になる。
厚い脂肪においてもミュウツーの炎は軽減できない。カビゴンは苦痛に表情を歪めながらも、レッドに炎が触れないように必死に守っている。
「俺は確かめたい! ポケモンは! ポケットモンスターは人間にとってどういう存在なのかを!」
レッドは左手をカビゴンに添える。そして右手でボールを放った。
電撃が迸る。ミュウツーの前に飛び出したのは、黄色い電気ネズミであった。
・Tails
六軒島。
薔薇庭園。そこで一人の男が腕を振るいあげた。
「以上の事から――ッ!」
「!」
魔 女 は 存 在 し な い。
人差し指から放たれる青色の螺旋が大鷲を形作り、空を疾走する。
翼を広げた大鷲は、ありとあらゆる赤を切り裂き、前方にいた黄金の魔女の胸を貫いた。
「ガァアアァアアア!!」
青い羽が舞い落ちている。
雪のように輝くそれを見て、黄金の魔女・"ベアトリーチェ"は笑みを浮かべた。
三日月のような口からは、鮮血が滴り、地面を濡らしていく。それでも魔女はキセルを咥え、余裕を見せる。
「――ッ、上出来だぜ右代宮戦人ァ! まさかお前みたいな無能がッ、妾を――ッ! 妾の魔法を打ち破るとは……!!」
ベアトリーチェは自分の胸を確認する。
ポッカリと穴が開いていた。心臓が、無い。
咳き込み、吐血する魔女。それを戦人はジッと見ていた。
「約束どおり、全て『人間』で説明したぜ。ベアトリーチェ!」
「見事! ククッ! クハハ――ッ、グッ! ガフッ!!」
「もう誰も犠牲にしない。命を弄ぶことは許さない――ッ!」
キセルが地面に落ちた。
「ちっくしょうがァァ……! まだもっと殺したかったのだがな――ッ!」
「どんなゲームもいつかは終わる。そう、今日で終わりなんだ。お前の無限はこれまでさ」
「妾の魔法が……、終わる! ヒハッ! ヒハハハ! ヒャーッハハハハ!!」
魔女は高笑いをあげながら爆散し、細胞のひとかけらも残すことなく消え去った。
朝が来た。いつのまにか風は止んでいた。
嵐はもう、島を過ぎ去っていた。