緑谷出久に個性が発現してから10年と少し・・・・
個性を使いこなせるようになった彼は雄英高校の受験を迎えていた。
---出久side---
2月16日
日課である雑木林での朝練を終えた僕は家でシャワーを浴び荷物をまとめ、地下鉄乗り継ぎ40分・・・
「間に合った・・・」
今日僕は「雄英」一般入試実技試験に挑む!!
実技試験の内容は事前に知らされていないので、僕の個性で対応できるかはわからない。
僕以外にも、個性によっては「詰み」になってしまう人もいるだろう。
《ゴキブリを操る》だけの個性だけど、小さい頃から研究してきたんだ。
ヒーロー向きじゃないとか、ヴィランみたいな個性だとか揶揄されたって諦めなかった。
踏み出せ・・・!!目標への第一歩を!!!
踏み出そうとした矢先、段差に足を取られ転ぶ。
やる気出したのに、これだよ!!
地面に熱いキスをする寸前のところで視界は固まり、浮遊感に襲われた。
・・・?
つんのめった体がゆっくりと直立した状態へ戻っていく。
「大丈夫?私の個性!ごめんね、勝手に使っちゃって!でも転んじゃったら縁起悪いもんね!」
声の主へ視線を移動させるとふんわりとした雰囲気の少女がいる。
この子が個性で転倒を防いでくれたらしい。
「緊張するよねぇお互いがんばろ!」
「へ・・・・え・・・・えと・・・・・・」
助けてくれた彼女はそれだけ言い残して駆け足で受験会場へ向かった。
じょ、女子と喋っちゃった!!!!
おっおっおぉおおおおおお
今日はいい1日になりそうだ。
ほかほかした気持ちのまま受験会場へ足を運んだ。
『今日は俺のライヴにようこそー!!!!エヴィバディセイヘイ!!!!』
・・・・・
『こいつぁシヴィー!!受験生のリスナー!実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!Are You Ready!?』
・・・・・
うぉぉ・・・ボイスヒーローのプレゼントマイクだ、毎週ラジオ聞いてるよぉ・・・・
おっといけないいけない。ボソボソ言っていると隣に座っているかっちゃんに爆破されちゃう。
『演習場には仮想敵を三種・多数配置しており、それぞれの「攻略難易度」に応じてポイントを設けてある!!各々なりの“個性”で仮想敵を行動不能にし、ポイントを稼ぐのがリスナーの目的だ!!もちろん他人への攻撃等、アンチヒーローな行為はご法度だぜ!?』
なるほど、仮想敵の破壊でポイントを稼ぐのか・・・
いや、これは『行動不能』にするというのがミソか。
攻撃力特化してる個性はいいけど、そうじゃない人は完全に詰んでしまう。
サポート系の個性が入学できないシステムなんてありえないだろうから、冷静に仮想敵を観察すれば弱点を見つける事ができるかもしれない。
一通り試験の説明を聞いた。
途中で真面目そうな受験番号7111くんが質問していたが、0Pの仮想敵もいるらしい。
これはお邪魔ギミックだそうなので基本的には避けていく形になるだろう。
しかし、ロボット相手の戦闘かぁ。
僕の個性は対人なら(ある意味)最強なんだけどロボット相手だとどう活かせるかが不安だ。
市街地戦闘という事だから、個性発動には問題なさそうだな・・・
必死にロボット対策を考えながら試験会場に向かった。
広っ・・・・・・街じゃん
でも予想通りビルはいくつもある。
電気設備もある程度通っているみたいだ、よし、この条件だったら僕にも勝ち目はある!
『はいスタート!』
え?
『どうしたあ!?実戦じゃカウントなんざねえんだよ!走れ走れ!!!』
やばい!もう始まってるのか!!!!!
どうする、とりあえず前に出ない事には始まらない・・・・?
いやまずは戦闘態勢を整えるべきだ!
訓練の成果を今こそ・・・!!
「《害虫の王》!!集まれゴキブリどもォォォォ!!!!!!!!」
個性を発動し声を張り上げる。
ここはビル群。
充分すぎるほど彼らはいるだろう。
カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ
四方八方から僕の元へ黒い波が押し寄せてくる。
その数はざっとみて1000ほど。
やっぱりビル群だとチャバネが多いんだな。
チャバネゴキブリは比較的体長は小さい。
ゴキブリ特有の高速移動もあまりしない種類だ。
しかしコイツの恐ろしい点はビルなど暖房設備が整っている場所では月に一度ペースで繁殖を行う事だ。
そんな繁殖能力の高い奴らを呼び寄せたんだ、これだけの量になるのも頷ける。
「うああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!」
「ぎゃああああああああああああああああああああ!!!」
「むりむりむりむりむりしぬしぬしぬ」
あちらこちらから受験生の悲鳴が聞こえる。
そんなに仮想敵が強いのかな?
ちがった、ゴキブリの波を見て悲鳴をあげてた。
「みんな本当にごめん!!!」
とりあえず一言お詫びしてから仮想敵を探しに走り出す。
ゴキブリたちは僕の後ろを追いかけてびっしりと付いてくる。
レトロゲームでこんなのあったな。ピク○ンとかいうやつ。
・・・あれはもう少し可愛かったけど。
CRASH!!!!!!!!!
『目標捕捉!ブッコロス!』
爆音とともに壁を破壊してきたのは1P敵だ。
自分の体よりずいぶん大きなロボットへの恐怖心を抑え冷静に観察する。
やっぱり弱点はある!!!
アームの付け根、関節部分に隙間がある!
ロボットは電子制御されている、つまり内部には配線がある!そこさえ破壊できれば!!!
「いけゴキブリ!内部配線をかみちぎれ!!!」
自分の周囲に広がるゴキブリたちに指示を出すと一斉にロボットに群がった。
ガガガガガガガと抵抗するロボット、アームの関節部に挟まれグチャグチャバリバリとゴキブリたちが潰されていく音が聞こえる。
しかし、数は力である。
抵抗も虚しくロボットは活動を停止する。
「とりあえず1点・・・!」
ゴキブリは数十匹減ったようだけど、大丈夫。この間に数百匹は世界でゴキブリが生まれているだろうから。
戦闘シーンって難しいんですね。
なんかキャラがぶれてしまいます。
出久の個性ですが、ゴキブリを無限に操れる訳ではありません。
お茶子の重量制限と同じように出久にも数の制限があります。
たとえば
小さなチャバネゴキブリなら1000匹程度
大きなクロゴキブリなら500匹程度です。
ちなみに今回の話で登場したチャバネゴキブリは飛ぶ事ができません。
クロはしっかり飛びますよ。
また、ゴキブリの性質的に寒さには弱いため、受験シーズンの冬はまだ本領を発揮できていません。
そのへんはヤマトゴキブリが解決してくれるかもしれませんね・・・・フフフ