新田さんなら、例え暴力系ヒロインでも俺は受け入れる。   作:バナハロ

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この主人公がある意味一番まともな気がする。

 翌日、目を覚ますと知らない天井だった。ここが何処だか分からない何だろ、拉致監禁でもされたのかな……。

 とりあえず身体を起こそうとしたが、俺の身体は縛られてるように動かない。本格的に拉致監禁かと思ったら、顔に柔らかい感覚。目だけで移動すると、新田さんの顔面が目の前にあった。

 

「っ⁉︎」

 

 狼狽えたが、俺の身体は下着姿の新田さんにしっかりとロックされていて動かない。そうか、抱き枕にされてるのか。

 

「……おぅふ」

 

 や、柔らかい……。ていうか何してんだよこの人……。生足が俺の足に絡みついて来てる。てかなんで下着なんだよこの人……。服の上よりおっぱい大きくないな……。普段、パッドでも入れてんのか?

 どうしよう……一言で言えば勃ちそうなんだけど。でも、寝落ちした俺を泊めてくれた新田さんで邪な考えは流石にダメだ。

 いや、でも……生理現象が……収まらない……!

 直後、徐々に勃っていく俺の突起物が絡み付いていた新田さんのふくらはぎと太ももに挟まれた。

 

「あら?この固いのはなぁに?」

「っ?に、新田さん……?」

「ふぅん?私に抱き枕にされて興奮しちゃったんだ?」

「ぃ、ぃゃっ……」

 

 ど、どうしたのこの人……?なんでこんな急に、攻めて来て……!

 頬が赤くなる俺を無視して、新田さんは俺の陰部の先端に人差し指を当てて、ついっついっと弄り始めた。

 

「女の子といるのにこーんなに勃たせちゃって。この変態♡」

「〜〜〜ッ!」

 

 耳元で囁かれ、ゾクゾクっと背筋が伸びた。

 

「そんなにエッチなことがしたいなら、わたしが筆下ろししてあげる」

「ぁ、ぁっ……」

「早くしないと、食べちゃうよ?」

「まっ……!待って下さい新田さん‼︎」

「キャアッ⁉︎」

 

 怒鳴りながら身体を起こすと、隣から新田さんの悲鳴が聞こえた。あれ、何だこれ……?ていうか、俺の体がソファーの上にある。新田さんは驚いたのか、腰を抜かして床に座り込んでいた。ちゃんと私服に着替え終えている。

 ……もしかして、夢か……?盛大にホッと一息ついて、新田さんになら案外逆レイプされても良いかもとか思いながら、身体の上の毛布をどかした。

 ていうか、昨日の夜は何も掛けずに寝落ちしたはずだ。毛布、わざわざ掛けてくれたのか?

 

「……ど、どうしたの……?遊歩くん……?朝ご飯、いらなかった……?」

「あっ、い、いえ……おはようございます、新田さん」

「……だ、大丈夫?怖い夢でも見た?」

「は、はい……。……とても怖い夢を」

「そ、そっか……。食欲ある?朝ご飯、作っちゃったんだけど……」

「いただきます」

 

 とりあえず、朝飯にすることにした。

 

 ×××

 

 今日は新田さんは出かける予定があるらしい。それなのに俺の事を泊めてくれて何とも申し訳なかったが、まぁそのことについてのお詫びはまた後にしよう。

 そういえば、今日は俺もエキストラで学校から呼ばれてるんだったか。と、いうのも、この前の撮影でヤンキーが出て来た時、クラスメートが逃げ出す際に芸能人の前でちょっと格好付けたいという若者限定の気取りによって、パルクールを使って逃亡してみたら、それがまた監督にウケてしまい、またエキストラとして出ることになってしまった。

 無論、服装は学生服。確か、多田さんも呼ばれてたな。まあ、あの人はアイドルだし当然と言えば当然か?俺と違って少しセリフがあったりするとは言え、たまたまいたからってアイドルをエキストラに使うなんて大盤振る舞いだな……。

 一度自宅に帰り、それから学校に向かった。しばらく歩いてると、ふと今朝の夢を思い出した。

 

「………」

 

 今朝の夢は強烈だったなぁ。何というか、新田さんがとてもサディスト女王に感じた。SMクラブってあんな感じなのかなって思う程だ。俺ってマゾだったのか……。

 

「………」

 

 いかん、思い出すだけで性欲が……。というか、これ何処かで発散させなきゃダメだな……。それほどまでにドS新田さんは似合っていた。

 うちに帰ったら抜こうかなーなんて思ってると、コンビニを見つけた。……コンビニってエロ本売ってたよな……。

 コンビニに入って、エロ本コーナーに向かった。なるべく新田さんと似てる人にしよう。

 

「………」

 

 好みのエロ本を選びレジに持って行った。「古川」と書かれたネームプレートの人に渡すと、真顔で答えられた。

 

「こちらの商品、18歳未満の方にはお売りできないんですけど」

「………」

「まぁ、気持ちはわかるんで見なかったことにします」

「……話分かるなぁ。ついでなんでスパイシーチキン買っていきます」

「ありがとうございます」

 

 友達になれそうな店員を知った。ここに通おう。コンビニを出て、エロ本を鞄の奥に入れて学校に向かった。

 学校に到着すると、既に監督とかは揃っていた。

 

「おはようございます」

「おお、来たね忍びの者」

「絶対、俺は火影になるってばよ!」

「ノリ良いな……」

「サスケェ……」

「もう分かったから。10分後に撮影開始するから」

 

 しかし、特にすることなんかねーんだけどな。多田さんと恋人っぽく歩いてりゃ良いだけの簡単な仕事。と、いうのも、この監督の作品では、必ずどこかに隠れミ○キー的なキャラが出るらしい。

 で、まだそれは決まってなかったらしいんだが、それが多田さんと俺に決まってしまった。多田さんはともかく、俺が隠れキャラになるのか?と一瞬思ったけど、多田さんが隠れキャラで俺はついでだと思えば納得が行く。

 辺りを見回すと、何人か芸能人さん達が台本を読んでたり、自分なりにリラックスしてたりしている。美波さんも、他の役者さんと微笑みながら何か話していた。微笑んでいるものの、その笑みには少なからず緊張が見え隠れしている。けど俺のことチラチラ見てんのはなんなんだろうな。

 何となく場違い感を感じたので、俺も芸能人っぽく壁にもたれかかり、目を閉じて精神統一のフリをしてると、横から肩を叩かれた。

 

「なに集中するフリしてんの?」

「………」

 

 多田さんだった。

 

「……人の意図を理解するなよ……」

「大丈夫だよ。みんな北山に変に期待してないから。みんなエキストラだってわかってるから、いつもの頭の悪いお兄ちゃんみたいな感じで良いんだよ」

「頭の悪いは余計だ……」

「たし算とかけ算の優先度もわからない人が何言ってんの?」

「………」

 

 誰に聞いたんだよこの野郎。

 

「まぁ、恋人役って事だから。よろしくね」

「こちらこそ」

 

 しかし、アイドルの恋人のエキストラか……。ありがたい反面、少し俺で良いのかなって所はあるけど……。ま、そこは監督の采配ミスって事にしよう。

 しばらく待ってるうちに撮影開始。何だかよくわからないクランクアップとかクリーンアップとか言ってたが、その辺は俺には関係ない。

 俺と多田さんの役割は、カメラのギリギリ映るか映らないかの辺りで腕を組んで歩く事だ。

 監督の声で美波さんが、真面目な生徒会長(裏番)として校庭を歩いてる端の方を、俺と多田さんは歩いた。流石、多田さんはアイドルなだけあってエキストラであっても演技は全力だ。早い話が、彼女っぽく腕を組んで浮かべてるその笑みはメチャクチャ可愛い。

 俺も思わずドキッとしてしまって頬を赤らめてると、ほんの一瞬、轟ッととんでもない殺気を感じた。

 

「っ……」

 

 一瞬、息を飲んだ。誰からの殺気かと思ったら美波さんだった。え、何で急にこっちに殺気向けたの……?一回も話した事ないよね……?

 ……や、にしても、今の美波さんの顔、なんかこう……今朝の夢を思い出しちゃうんだけど……。あ、ヤバい。ムラムラするな、俺。

 誰も美波さんの殺気に気付いていないようで撮影は続いていた。俺と多田さんは早くもカメラの視界から消えて引っ込んだ。と、言うのも今のシーンは廊下の一部で、俺達は階段を下ったので消えざるを得なかった。

 

「……ふぅ」

 

 しばらく下にいないとカメラに映ってしまうため、その辺の教室に入って椅子に座り込んで一息つくと、茶化すように多田さんが聞いてきた。

 

「なに、緊張してたの?」

「あ?あー……まぁね」

 

 主に殺気で。

 

「大丈夫、私達なんてよく見ないとわからないレベルだから」

「そうかよ……」

 

 気を利かせてくれてる多田さんには申し訳ないけど、少しテキトーな相槌を返してしまった。

 考え事をしていたからだ。なんで美波さんは俺にさっきを向けたのか。考えれば考えるほど、俺の答えは一つだった。

 多分、美波さんって恋人できた事ないんだろうな。だから、演技とはいえ嫉妬してしまった、と。ふっ、やれやれ。非リアだからって嫉妬するなんてそりゃモテんわ。俺の知ってる新田さんとは似て非なる存在ということか。

 あまりあの人のことは気にしないようにしよう。

 

 ×××

 

 撮影が終わった。さて、これからいよいよエロ本タイムだ。今日はみんな仕事で来れないらしいし、新田さんも何か用事あるらしいから安全と言えるだろう。

 しかし、なんだったんだろうな、美波さんは。あの後も何度か殺気を向けられたけど、何なの?何かしたかな俺。芸能人に嫌われるとかやってられんのだけど。

 まぁ、多分新田さんとは似て非なる存在なんだろうな。多分、美波さんは嫉妬して来てるのだ。彼氏出来たことないから、演技とはいえカップルをしてる俺と多田さんに。

 その点、新田さんは俺に嫉妬なんてしない。むしろ、アーニャさんと仲良くしてるとアーニャさんを守ろうとするし。

 ま、とにかく気にしないようにしよう。うちに来てから多田さんとよく話すようになったし、多分守ってくれるでしょ。

 そんな事を考えながら、鞄に忍ばせたエロ本を読むのにソワソワしてると、ふと大事なことを思い出した。俺の部屋、女の子超来るじゃん。エロ本隠す場所なんかなくね?

 

「………」

 

 家じゃ読めないな……。ちょっと寄り道して帰ろうかな。確か、この辺りに公園があったはずだ。公園の公衆トイレの裏で読めば或いは……。

 よし、善は急げだ。公園に入り、公衆トイレの裏に隠れた。鞄からエロ本を取り出し、読もうとした所で重要なことに気付いた。……バカか俺は。ここじゃ抜けないわ。公然猥褻でパクられるわ。

 やっぱり帰って家でエロ本読もう。俺の部屋の隣に大学生住んでるし、窓から捨てれば大丈夫だろ。

 エロ本を鞄にしまおうとした直後だった。

 

「遊歩くん、何してるの?」

 

 後ろから一番聞きたくない声が聞こえた。ギギギっと後ろを見ると、新田さんが立っていた。

 

「っ、に、新田さん……!」

「公園に入って行くのが見えたから声かけようと思ったんだけど……トイレの裏で何してるの?」

「あ、い、いや……!」

 

 慌ててエロ本を背中に隠した。が、逆効果だったようだ。純粋に何をしてるのか聞きたがってる顔から問い詰める時の鋭さに変わった。

 

「……何してるの」

「い、いや、その……」

「今隠したもの、見せなさいっ」

「な、何も持ってないですから!」

「さては、また何か小テストあったんでしょ⁉︎点数悪かったから捨てようとしてたんじゃないのっ?」

「っ」

 

 そう間違われたか⁉︎勘弁してくれませんか本当に。どちらにせよダメなんだけど……!

 

「ち、違いますから!」

「じゃあ見せなさい!」

「嫌です!」

「なんで⁉︎やましいことがあるんでしょう!」

「むしろヤラシイ事があるからです!」

「どういう事よ⁉︎いいから見せなさい!」

 

 背中に隠したものを奪い合う取っ組み合いになったが、まぁ取っ組み合いで俺が新田さんに勝てるわけがない。あっさり奪われてしまった。

 

「さぁ、どの教科……」

 

 エロ本を見た直後、ボンッと煙を立てて顔を真っ赤にした。

 おい、どうすんのよこれ……。恥ずかしいなんてもんじゃないんですけど……。

 気まずさと恥ずかしさで目を逸らしてると、新田さんは真っ赤になった顔で俺をジロリと睨んだ。

 

「……遊歩くん」

「……はい」

「うちに来なさい、お説教です」

「……はい」

 

 俺の部屋では誰か来る可能性があるので新田さんの部屋で説教をする辺り、やはり優しい人なんだなと思いました。

 新田さんの部屋に連行され、早速正座させられた。目の前にエロ本を叩きつけ、顔を真っ赤にしたままお説教が始まった。

 

「で、これはどういう事?」

「……いえ、その……」

「遊歩くん、こういうの買うタイプには見えなかったんだけど」

「……それは、まぁ、はい……」

 

 中学の時から何度か買ったことあるけど、それは俺が買ったんじゃなくて仲良い奴が買ってみんなで読んでただけだしな……。俺自身は買う度胸なかった。幸い、男気じゃんけんで勝ち続けてたから買う機会もなかったけど。

 

「まぁ、男の子だし、うちの弟も買ってたの見たことあるから、その……気持ちは分かるんだけど……。でも、こんなの年齢を詐称してまで買っちゃいけません!」

「……はい。すみません」

 

 弟も気の毒に……。

 

「まったく……!男の子って本当にエッチなんだから……!」

「ごめんなさい……」

 

 今になって思ったが、周りにこんなに良い女の人がいるのにエロ本を買うなんて許されざる行為だ。例え小学生一人、中学生二人、猫(笑)一人、ロック(笑)一人、アル中一人だとしても、新田さんとアーニャ様は水着姿まで拝ませてもらっている。

 

「とにかく、この本は私が預かりますっ」

「え、なんで?新田さんも読みたいんですか?」

「……窓から投げ捨てるよ、あなたを」

「俺を⁉︎」

「もし、また買ってるところを見たらこれをアーニャちゃんに提出するためです」

「やめて下さい‼︎」

「なら買わないようにしなさい‼︎」

 

 クッ……!なんて恐ろしい事を……!こればっかりは従うしかない……!いや、実際今回のことで懲りたし200%買う事はないが。

 

「……一応聞くけど、何で買ったの?」

「……いたぶるのはやめてくれませんか」

「ち、違うよ!ただ、何か事情があるならそれを知りたいの。こういうの、買う原因があったとしたらそれを正さなきゃいけないから」

 

 ……むぅ、そんなに徹底的に教育しなくても良いと思うんだけどな……。

 何より、事情なんて絶対に話せない。夢の中のあなたの所為です、なんて言えるはずがない。

 

「遊歩くんがそういうの買うなんて、多分きっかけがあったんでしょ?」

「………」

 

 どうしようかな。なんて答えよう。

 

「魔が差して……」

「嘘」

「なんで⁉︎」

「遊歩くんが嘘つくときは視線が斜め上に行くの」

「俺の事観察し過ぎだろ……。何、俺のこと好きなの?」

「なっ……!そ、そんなわけないでしょバカ⁉︎」

 

 いや冗談なんだしそんな怒らんでも……。

 しかし、嘘が看破されちゃ仕方ないな……。

 

「……言わなきゃダメ?」

「ダメっ」

 

 ……仕方ない、本当に仕方ない……。ほとんど公開処刑だが、今朝見た夢を語る事にした。

 

「……実はですね、今朝の夢なんですけど……」

「あ、ああ……怖い夢、見たんだっけ……?」

「早い話がー……その、新田さんに……ぎ、逆レイプされそうになる夢を……見まして……」

「………は、はいっ⁉︎」

 

 ボンッ、と新田さんの顔が真っ赤になった。

 

「……黒の下着姿で俺の事を抱き枕にしてる新田さんが、硬くなってる俺の陰部を柔らかい太ももとふくらはぎで挟んでコキ始めて……それで抵抗した所で起きてしまって……」

「細かく言わなくて良いから!ていうか、黒の下着なんて一着しか無いよ!………あっ」

 

 思わぬカミングアウトに自爆した新田さんは、そのまま顔を赤らめて俯いてしまう。何をやってんだこの人は。ていうか、持ってんじゃねぇか……。

 

「……聞かなかったことにします」

「……ごめん」

 

 頬を赤らめてしばらく無言になった。このままいても気まずいだけな気がするな……。

 帰ろうかなって思った直後、新田さんがボソッと呟くように聞いて来た。

 

「……抵抗、したんだ……」

「は、はい……。いや、そういう事するなら、その……なるべくお互い合意の上でしたいと思ってたので……」

「……そ、そっか。そうだよね。そういうとこ、遊歩くんしっかりしてるもんね……」

 

 なんだ?なんかホッとしたぞ?自分との性交渉が拒まれたわけじゃなくてホッとしてるみたいじゃん。まぁ、新田さんに限って有り得ないけど。

 やがて、新田さんはエロ本を拾うとまとめるように言った。

 

「……と、とにかく、これは預かります。今後、こういうのは買わないように」

「は、はい……」

「ご飯にしよっか。今日は私がご馳走してあげる」

「えっ?い、いや、そんな良いですよ……!」

「気にしないで。……なんか、申し訳ないし……」

「は、はぁ……」

 

 この後、メチャクチャ気まずかった。

 

 

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