新田さんなら、例え暴力系ヒロインでも俺は受け入れる。   作:バナハロ

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美波の悩み(1)

 遊歩くんを叱りつけて晩御飯をご馳走した後、部屋は私一人になった。えっちな本と遊歩くんの悪夢の話を聞いて、なんだかとても気まずい空気になってしまっていたが、まぁ最後は普通にアーニャちゃんの話で盛り上がったので問題はなかったと言えるだろう。ほんと、可愛い子様々な世の中だ。

 だからか、今は少し静かに感じる。遊歩くんがいる所は、常に騒がしい気がする。特に最近はみんな遊歩くんの部屋に集まるようになったし。

 まぁ、遊歩くんに友達が出来るのは良い事だし、私もそれはそれで嬉しい。東京で骨折して再会した時なんて死んだ目をしてたから、最近はそれが戻りつつあるから尚更だ。

 しかし、そんな現状が少し嫌だと思ってる自分がいた。遊歩くんの目が生き返る事ではなく、遊歩くんに女の子の友達が増える事だ。それが羨ましくて、少し妬ましい。

 これはやはり遊歩くんに対し、私は少なからず好意を抱いているという事なのだろう。

 

「……はぁ」

 

 変な人を好きになってしまったなぁ、とつくづく思う。だってあんな変な高校生、普通いないでしょ。なんかもう……何が変なのか分からないけどとにかく変。変人変態。

 しかし、アレで可愛い所あるし、面倒見も良くて優しい一面もある。女の子にモテる要素はそれなりに揃ってる男の子だ。まぁ、それでも正直納得いかないけど。

 しかし、私が遊歩くんを好きだとすると、とても厄介な気がする。それはアーニャちゃんだ。いや、アーニャちゃん以外のメンバーも同じかな。いや、悪いのはみんなじゃなくて遊歩くんなんだけどね。

 あの中で遊歩くんが好きな子は多分、一人もいないけど、遊歩くんの方から好きになる可能性は0ではない。

 

「……そうなると、私からガンガンいった方が良いのかなぁ」

 

 しかし、それなりに厳しいことを言っておいて、今更好きですと素直になるのもなんだか恥ずかしいし……。……なんだか、問題は山積みだなぁ。

 またまた小さくため息をついて食器を片付け、寝室に戻った。なんだか今日は何もやる気がしない。

 寝室に戻ると、遊歩くんから没収したえっちな本が目に入った。

 

「……」

 

 私の夢の所為とはいえ、アレ一応遊歩くんの好みで買った、って事なんだよね……?

 

「……」

 

 す、少しくらい見ても平気、だよね……?弟も授業中にやって没収されたゲーム返してもらいに行ったら先生が職員室で勝手にブラキ倒してて狩友になったらしいし……。も、もしかしたら私も遊歩くんと仲良くなれたり……。

 表紙を見た感じ、黒い髪を後ろに束ねた物腰柔らかな女性の下着姿が映っている。よくこんなみんなが見る雑誌でこんな格好出来るなぁ……。ご両親が見たらどう思うのかな……。

 にしても、こう……この人なんだか誰かに似てるような……。アレ?そういえば、私とのえっちな夢を見て遊歩くんはこの雑誌買ったんだよね……?それってもしかして……。

 ……いや、考えるのはやめよう。なんだか嫌な思いしそうだし。

 

「………」

 

 ちょっと思考を中断するのが遅かった。あの子、少しでも私に似てる人の雑誌を買ったわね……。あまりの恥ずかしさに頬が赤く染まった。

 ……何より腹立たしいのは、この雑誌の表紙の人は私より胸が大きい所だ。

 

「……」

 

 や、私だって別に小さいわけじゃないし。それなりにあるはずだし。スレンダーとは言われるけど、でもスタイルは良いはずだし。

 なんだか遊歩くんの好みを知るどころか不愉快になって来たので、雑誌はゴミ箱に放り込んだ。

 

「……バカバカしい。お風呂入ろう」

 

 アーニャちゃんに見せると言ったけど、これはアーニャちゃんには見せられないしね。

 洗面所に入って服を脱いでバスルームに入ろうとすると、鏡に私の胸が映った。……やっぱり、それなりにあるよね。82だし……。

 でも、遊歩くんはもっと大きい方が好きなのかな……。

 

「……」

 

 少し自分の胸を揉んでみた。これで大きくなる、のかな……?あまり気持ち良くはないけど……。というか、胸を揉まれて気持ち良く感じるというのは男の妄想だよね。前にプールでアーニャちゃんや蘭子ちゃんに揉まれたことあるけど、こう……マッサージ的な気持ち良さで性的な快感は無かった。

 いや、ていうかそもそも気持ち良くなりたいんじゃなくて大きくしたいだけだし……。自分で揉んで効果あるのかなこれ。

 

「……」

 

 誰かに頼んでみようかな……。遊歩くんは論外として……こういうの頼めるのはやっぱりアーニャちゃんかな。……いや、でも胸大きくしたいなんてお願い出来るのかな……。やっぱやめておいた方が良い気もする……。

 こういうのは、もっとこう……胸の大きな人に頼んだ方が……。あ、文香ちゃんだ。文香ちゃんなら変にからかってこないだろうし、信頼出来る。最近、彼氏できたって話だし、恋愛相談にも乗ってくれるかも。

 

「……明日、相談してみよう。文香ちゃんの本屋さんなら知ってるし」

 

 そう決めて、とりあえず入浴を済ませた。

 

 ×××

 

「……と、いうわけなんだけど……」

 

 本屋さんではなく文香ちゃんの部屋で相談すると、少し難しそうな顔で顎に手を当てた。

 

「……あ、あの……つまり、胸を大きくしたい、と……?」

「……うん。恥ずかしながら」

 

 ふむ、と唸りながら少し顔を赤くした。

 

「……私が、美波さんの胸を揉めば良いのですか?」

「……ま、まぁ、端的に言えば……。ごめんね?変な事お願いして……」

「……い、いえ……。でも、美波さんがその様な事を私に頼むなんて、意外ですね。それほど、その男の子は良い子なのですか?」

「ま、まぁね……」

 

 アホだけど。

 

「それで、その……」

「……わ、私で良ければ、お手伝いします、けど……」

「……あ、ありがと……」

 

 や、やっぱり女の子同士でも恥ずかしいものは恥ずかしいね……!でも、口外はしないと約束したし大丈夫のはず……。

 

「じ、じゃあ、脱ぐねっ……」

「えっ、じ、直で揉むんですか……?」

「えっ、あ、そ、そっか……」

 

 ち、違うんだ……。なんか今、とても恥ずかしい思いをしてしまった気が……。

 私も文香ちゃんも顔を赤くして俯いて、しばらく沈黙が続いた。……やっぱり、迷惑かもしれないな。

 

「ごめん、やっぱり良いや」

「えっ……?」

「文香ちゃんも恥ずかしいよねっ……。私も恥ずかしいし……女の子同士でやる事じゃないから……」

 

 そう言って、私は立ち上がった。ちょっと顔合わせづらくなっちゃったな……。そう思った直後だ。

 

「ま、待ってください!」

 

 文香さんから文香さんとは思えないほどに大きな声が飛んできた。

 

「……だ、大丈夫です。私も、色んな方に私の恋の応援をしていただきましたから……今度は私が協力したいんです……!」

「文香ちゃん……」

 

 そういう所が、文香ちゃんに彼氏が出来た理由なのかもしれない。とにかく律儀で良い子だ。

 

「……では、脱いでください」

「へっ?」

 

 な、なんでそうなるの……?

 

「……美波さんは直で揉んで欲しいんですよね?それなら、私はそれにお応えさせていただきます」

「そ、そう……。じ、じゃあ、お願いしよう、かな……?」

 

 この時、勢いに流された私を誰が攻められよう。

 私は上半身の服を脱いで、下着も外した。鏡に映ってると恥ずかしいので、洗面所はパスとなり、必然的に居間でやる事になった。

 なんか前から揉まれるのは恥ずかしいので後ろから。ソファーの上に座る文香ちゃんの上に座っていよいよ揉み揉み。

 後ろから文香さんの手が伸びて、私の乳首を隠すように覆った。ふにっと胸を控えめにキャッチし、思わず「んっ」と私の口から吐息が漏れる。

 

「っ、す、すみませんっ。痛かった、ですか……?」

「だ、大丈夫よ……。続けて」

「は、はい……」

 

 言われて、再び揉み始める文香ちゃん。声や吐息は抑えないと変に気を使わせちゃうな……。

 

「……」

「ひゃっ、んっ……」

「……」

「ふわっ……んっ、ふぁっ……!」

「……」

「んんっ……ハッ、ハァッ…んはっ……!」

「………」

 

 あ、あれっ……?なんだろう、この感じ……。なんだか、心臓の鼓動が早くなって来てるような……。それに、頭が働かなくなって来て……まるで一人でする時の感覚と同じ気分になってきた。

 お、おかしいな……。アーニャちゃんや蘭子ちゃんに揉まれても何ともなかったはずなのに……。

 

「ふ、文香ちゃんっ……ま、待って……!」

「……美波さん」

「ふえっ……?な、何……?」

「……ごめんなさい。私最近、彼氏出来たんです……」

「う、うん……?その話は、聞いたことっ……んっ、あるけど…!」

 

 ていうか何でまだ揉んでるの?待ってって言わなかったかな。普通に揉みながら話してることに違和感ないのかなこの子。

 

「……それで、その……その子がよく寝泊まりしに来るのですが…」

「えっ、そ、そうなのっ?」

「……その顔を見る度にムラムラする事が多々ありまして……」

「いきなり何言ってるの⁉︎」

「……その、今までは噛んでもらったりで抑えてたのですが……」

「噛む⁉︎」

「……美波さんのえっちな吐息で、私まで……その、嗜虐心?が芽生えて……」

 

 ……あれ?つまり、それってさ……。

 

「……意地悪したくなっちゃいました」

「ちょっ、文香ちゃ……んんっ!」

「……可愛い声をあげますね、美波さん」

「やっ、やめっ……そ、そんなイヤらしくっ……!」

「……声出しても良いんですよ……?その可愛く喘ぐ声を聞かせて下さい」

「ど、どこでそんなセリフ覚え……ひゃん!」

 

 だ、ダメだ!一番頼んじゃいない人に頼んでしまった!文香ちゃんの彼氏、ちゃんと夜のお相手してあげなきゃダメじゃん!恨むからね!なんて心の中で騒いでる場合ではない。何とかして逃げないと……!

 そう思った直後だ。玄関の方から鍵の開けられた音がした。

 

「文香さん、前に言ってた城下町のダンデライオン、全部持って……あっ」

「へっ?」

「ーっ」

 

 居間に聞き覚えのない声と共に男の子が入って来た直後、文香さんの姿が消えた。

 あまりの速さに顔はよく見えなかったが、多分男の子のはず。玄関に男の子を運んで叱りつけてる間に、今更になって男の子に裸を見られたかもと自覚した私は、慌てて下着を着けて服を着た。

 部屋の奥から、

 

「ちょっ、何?なんですか?」

「今日は帰って下さいっ」

「なんでよ、てか二人掛かりで手ブラしてた人誰ですか?」

「は?そんな人いませんでしたよ?」

「え、いや間違いなく……」

「いないって言ってるでしょう?千秋くん?」

「……はい、いません……」

「漫画、ありがとうございます。ではまた後日改めて」

「……は、はい……。あ、でも俺は全然百合も良いと思」

「………」

「……なんでもないです。失礼します……」

 

 と、所々、よく意味のわからない単語が聞こえなかったが、そんな声が聞こえた後、男の子は帰ったのか「お邪魔しました」と去って行った。

 やがて、今更になって自分の行為が恥ずかしくなった文香ちゃんが、顔を真っ赤にして戻ってきた。

 

「……申し訳ありませんでした……」

「……いえ、私こそごめんなさい……」

 

 とにかく謝った。

 

 

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