ソード・メモリーズ──VRMMO復帰勢の戦闘録──   作:流星の瞳

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第十三話

「確かここら辺に……」

 

 第七の街「リーデッタ」の中心地にあるポータルまでやって来た。

 カボチャさんの言う通りなら、ここにパーティを組んでくれるプレイヤーがいるはずだが……。

 

「どこだよ……」

 

 ポータルを使った移動は街から街へ移動する基本手段だ。そのため、当然ながら利用するプレイヤーが非常に多く、街の中心部ということもあり、人でごった返している。

 ここで名前も知らぬ特定のプレイヤーを探せというのはかなりめんどくさい。

 これはやっぱりカボチャさんに連絡し直してもらうほうが──

 

「おっ?」

 

 門を模したポータル近くに立つプレイヤー。あれって確か……。

 

「よっ、タツキ」

「あぁ、ツバサさんですか」

 

 やはりタツキだった。

 既にあの戦闘から四日経つが、相変わらず元気そうである。

 いや、VR世界に元気もへったくれもなさそうだけど。

 

「どうですか? 僕から勝ってヘルヘイムに入りましたが」

「まぁ、楽しくやってるよ。と言ってもギルメンのほとんどと都合がつかなくてソロが多いけどな」

 

 というか、あのギルド人数少なすぎるのだ。

 そのせいで今回こうしてパーティメンバー探しする羽目になったとも言える。

 それに罪歌に決闘を挑みたいが、毎回のらりくらりかわされてるし。とりあえずは黒騎士の件が決着着くまではそれでもいいけど。

 

「そうですか。まぁ、僕から勝ったのですから楽しいなら何よりです」

「意外とあっさりだな」

「別にあのギルドに入る機会がアレだけじゃないでしょうからね。僕は諦めませんよ」

「ふーん、てことはまだどこにも所属せずソロで頑張ってる感じ?」

「ですね」

 

 タツキが頷く。

 なんでヘルヘイムにこだわるのか知らんが、まぁ実際俺も負けかけるくらいの実力はあったしそのうちひょっこり加入してきそうな気がする。

 

「にしても、なんでタツキはここにいるんだ?」

「ここで待ち合わせしてるんですよ」

「そうか、俺もここで待ち合わせだ」

 

 ん?

 他に待ち合わせしてそうなプレイヤーいないよな。

 プレイヤーは多いがみんなすぐ街から出たりしている。

 

「なにやらどこかのダンジョン攻略するのに助っ人がいるとか」

 

 んー?

 どこかで聞き覚えが……。

 

「なぁ、もしかしてなんだが、カボチャさんに言われてここで待ってたりする?」

 

 タツキは一瞬驚いた顔を浮かべた後、すぐ得心がいったと言わんばかりの顔になる。

 

「なんで……ってあなたですか……」

 

 やっぱりか……。

 カボチャさんが笑っていた気がしたが、どうやらこのことらしい。

 というか、もしかしたらあえてタツキの名前を出さなかったのもわざとかもしれない。

 いやまぁ、確かに銃使いで遠距離型だし、実力も俺を追い詰めるくらいあるわけでパーティ組むにはピッタリなんだが。

 

「なら、とりあえずよろしく。タツキ」

「まぁ、カボチャさんの頼みなら仕方ないですね。よろしくお願いします、ツバサさん」

 

 とりあえずフレンド申請と、パーティ申請を行う。

 これで連絡は取れるし、パーティの間、互いのHPが分かるはずだ。

 数秒後、自分のステータス欄の下にタツキのHPバーが表示される。

 

「じゃあ改めてよろしく」

「はい」

 

 俺たちは握手すると、目的地に向かって歩き始めた。

 

 ──☆──

 

「で、どこに向かってるんですか? ダンジョン攻略と聞いていましたが、思いっきり街中を進んでますよね?」

 

 俺達は、リーデッタの街の中心部から少し離れた路地裏を歩いていた。

 路地裏ということもあり、周囲には自分たち以外にプレイヤーはおろか、NPCの姿も見えない。

 タツキの疑問はもっともである。

 ダンジョンなどへ行く場合はとりあえず街から出るのが鉄板だ。

 ただ、例外というものは、結構どこにでもあるのだ。

 

「そういや、まだ言ってなかったな。今回行くダンジョンは『スキュラの海底遺跡』だ」

「そのダンジョンは知りませんが、名前からするに海に潜らないと辿り着けなさそうですね」

「それが意外な道から行けるんだな、これが」

 

 一年前の俺の記憶を頼りに、街中を進んでいたが、どうやらあっていたらしく目的のものを発見する。

 

「これだ」

 

 それを指さす。

 

「マンホール……ですよね?」

 

 そう、マンホールだ。

 別に街中にあってもおかしくはないものだが、それは現実の話だ。

 このリーデッタの街にはマンホールなんてものはここしか存在しない。

 引っ張り動かすと、下に続く道が現れた。

 タツキは少し驚いたらしい。

 

「こんな場所にこんな道が……!!」

「まぁ、隠し要素らしいからな。と言ってもこの街で結構知ってるプレイヤーいるぞ」

 

 というか、攻略サイトのリーデッタの街の項目にも文字反転されて上に透明化されて隠されてはいたが、普通に書かれてたしな。

 中を軽くのぞきこんだが、非常に暗い。

 一寸先は闇だ。

 ……いや、これは言葉の使い方間違ってるか。

 ただ落下ダメージを食らうほどの高さは無いことを知ってるので、俺は颯爽とマンホールの中へと飛び降りた。

 

「──っと。タツキも早く来いよ!!」

 

 タツキを呼びながら、アイテムポーチから松明を取り出す。

 取り出した松明が辺りを照らすのと、タツキが俺の後ろに降り立ったのはほぼ同じだった。

 

「ふむ、当然と言うべきか暗いですね」

「俺が松明持って先行するから、後ろから援護よろしく」

 

 了解とタツキは頷く。

 

「まぁ、ここで出るモンスターはラットマンとかそこまで高位のモンスターは出ないから安心しろ。ただ、攻撃を喰らえば状態異常は間違いなしだから下手な戦闘は控えたいけどな」

「ふむ、まぁ弓矢のような探索系の武装記憶はありませんがラットマン程度ならなんとかなりますよ」

 

 なら安心だ。

 まぁ、タツキの実力は疑う必要もないので、なんとかなると言うのなら、何とかなるのだろう。

 俺を先頭に列になると進み始めた。

 

「意外と平坦で広いですね。もっとダンジョンって何階層にも分かれてる印象がありましたが」

 

 十分ほど歩いただろうか。

 タツキがボソッと言った。

 

「まぁ、ここは特殊だからな。『スキュラの海底遺跡』はちゃんと十階まであるダンジョンだから安心しろ」

「……? ここが海底遺跡じゃ──」

「マンホールを降りただけの街の地下が|海底遺跡のわけないだろ!! ここはただの『リーデッタ下水道』っていうフィールド扱いだ」

 

 てか、マンホールといいほんとに知らかったんだな。

 ここまで強いとガチ勢というか結構やり込んでいるはずなので意外だ。

 

「あー、もしかして一年前は第七エリアまで到達してなかったりする?」

「一年前……だと、まだ僕は第五エリアくらいでしたかね」

 

 やっぱりか。

 当時の攻略最前線を走るプレイヤー達にはわりとここは常識だった。

 これを知らないとなるとその当時は最前線ではなく、第八、第九エリアが解放された辺りで今のレベルに到達したと言ったところか。

 

「……」

「……」

 

 会話のネタがなくなり二人共無言になる。

 気まずい。

 けど会話になるような話題……思いつかない。

 

「何も出ませんね」

 

 無言を打ち破ったのはツバサだった。

 

「あぁ、そうだな」

 

 本来ならラットマンを中心にネズミ型やらコウモリ型モンスター辺りが湧き出るはずなのだが恐ろしいほど出ない。

 せいぜい最初に少し見かけただけだ。

 かえって不気味である。

 

「でここから、『スキュラの海底遺跡』って──」

「静かに!!」

 

 耳に後ろの遠くから響く何か音が聞こえた。

 聴覚アップのピアスのおかげか、聞こえたのは自分だけらしい。

 そう、この音は何か走っているような……。

 そしてだんだんこちらに近づいてきて──

 

「ツバサさん!!」

「お前も聞こえたか!!」

 

 二人とも声の方向へ振り向くと武器を構える。

 タツキは両手に拳銃。どうやら二丁拳銃を使えるらしい。

 俺はナイフだ。刀は両手でないとまともに使えないため松明で片手が塞がれている現状仕方ない。

 

「助けてぇぇぇ──!!」

 

 音の方向から声が聞こえた。

 かなり近くなってきたらしく声ははっきりと聞こえる。

 この声はプレイヤーか?

 けど、ここでプレイヤーが押されるほど強力なモンスターなど出ただろうか?

 それにずっとドタドタ聞こえる音は一体……?

 

「ツバサさん。照明弾撃ちますよ」

「頼む」

 

 タツキが、右手の拳銃を構える。

 

「解放レベルⅠ 『ライトバレット』」

 

 光属性を纏い、松明以上に光る弾がまっすぐと飛ぶ。

 そして、その先にあったのはこちらへ向かって逃げてくる二人のプレイヤー。

 

 ──と、その後ろを追いかけるように付いてくる無数のモンスターだった。

 

 あまりの数にまるで一つのモンスターのようになってこの下水道事プレイヤーを飲み込まんと言わんばかりだ。

 

「ヤバっ」

「ツバサさん!!」

「逃げるぞ!!」

「はい!!」

 

 何かと思ったらあの二人のプレイヤー、トレインしやがった!!

 トレイン。モンスターをタゲ取りしたまま引き連れ動く行為だ。

 基本的にMMOでMPK(モンスタープレイヤーキル)が発生することもあるため迷惑行為の一種である。

 ここのモンスターは弱いが、あくまで個で対応した場合だ。

 数の暴力は絶対。

 恐らくこのままあの波のようなモンスター郡に飲み込まれたら、状態異常を喰らった挙句、回復アイテムを使う暇を与えられず嬲り殺される未来が見える。

 

「俺に付いてこい!! このままダンジョンまで突っ切る!!」

「了解です!!」

 

 タツキが走りながら頷く。

 時折後方へ威嚇射撃をしているが、効果は薄そうだ。

 

「お前らもこっちだ!!」

 

 後ろのプレイヤーにも声をかける。

 正直、ほかの方向へ行ってもらった方が楽な気はするが、ここまで来たらこちらにも一部モンスターがタゲ取っているだろう。

 ならば一緒に助けても変わらないはずだ。

 

「そこを右!! で、その次は左に曲がれ!!」

 

 思い出せ!!

 ここで迷ったら後ろに殺られる。

 俺も右に曲がる。

 そこには黒い塊が現れ──

 

「!!」

 

 咄嗟にナイフで刺す。

 どうやらバスケットボールサイズのプレイグスパイダーだったらしく、死んで消えた。

 邪魔だ!!

 どうやら今までモンスターに会わなかったのは、あの後ろの二人がトレイン行為によってモンスターを引き連れていたかららしい。

 走る。

 どれくらい走ったかはもう覚えてないが、先行して走っていたタツキが止まった。

 

「ツバサさん!! 行き止まりです!!」

 

 そこは、下水が滝のように落ちる場所だった。

 道はよく侵入不可能を示す柵に阻まれている。

 

「いや、あってる!! そっから水に飛び込んで滝から落ちろ!!」

 

 控えめに言っても汚い水にタツキは一瞬躊躇したが、すぐに飛び込んだ。

 パーティ欄のタツキの表示が消える。

 これでエリア移動したはずだ。

 つまり場所はここであってる。

 

「お前らもこっから飛び降りろ!! モンスターは違うエリアには行けねえ!!」

 

 後ろにそう声をかけると、返事も確認せずに俺も飛び込んだ。




「ソード・メモリーズ」の武器カテゴリについて
ソード・メモリーズではジョブは存在しないが、主に装備する武器によってタンク等の役割が決まる。
武器によって要求される筋力値やMPなど最適なステータスがあるため、必然的にその武器を使おうとするとそういう役割になる。

てなわけで後書きに次回から適当に武器カテゴリ紹介します
なんとなくの思いつきだよ
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