ソード・メモリーズ──VRMMO復帰勢の戦闘録──   作:流星の瞳

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第七話

 アカネに連れられてきた第七の街「リーデッタ」は、ギリシャ等地中海に面している街をイメージした港町だ。雰囲気はいいし、ちょうど俺が辞めた一年前は攻略の最前線の街というわけで人気が高かった。

 実際、今でも人気が高いらしく、ポータルで移動した俺の目の前には、一年前と変わらない並ぶ屋台と賑わう人でかなり活気が溢れていた。

 

「懐かしいな。やっぱり活気があっていい」

「もーう、また懐かしいって言ってる。けど、いい雰囲気だよね、この街」

「あぁ」

 

 第六の街は地底都市って感じで薄暗いし、第五の街はホラーテイストな感じだったからか、初めての「リーデッタ」を見た時は感動したものだ。

 

「で? ギルドホールは?」

「こっちだよ!!」

 

 そう言うと俺の手を取り案内し始める。

 また周囲の目が多少冷たい気が……。

 うん、まぁ、前からアカネはこんな奴だしこちらが慣れた方がいいか。周囲の目は無視するとしよう、うん。

 街の中心のポータルから、歩いて十分くらいだろうか。

 俺達はヘルヘイムのギルドホールと思われる場所に着いた。

 ギルドホールはマイホーム等と同じく、街にある購入可能な建物を購入して設定することでギルドホールとできる。ただマイホームと違い大きな建物を選んだりすることが多い。

 ヘルヘイムは、港町である「リーデッタ」らしい海沿いに面した大きな石造りの倉庫の一つをギルドホールとしたらしかった。

 恐らく外見は倉庫だが、中はそれなりに改造されていて過ごしやすいはずだ。

 ちなみにsymphonyは第五の街にある城を一つまるまるギルドホールにしていた。

 ……うん、まぁsymphonyは例外だな。あんな馬鹿高い城が維持できてたとか未だに元ギルメンの俺にも信じられねぇ。

 アカネはギルドホールへの扉を開けた。

 

「罪歌ちゃーん!! 帰ったよー!!」

 

 罪歌ちゃんというのは、このギルドのギルドマスターをしているプレイヤーらしい。あらかじめ来る道でアカネからそう聞かされていた。

 罪歌は不在なのだろうか。

 この間にゆっくりと部屋を見渡す。

 ギルドホールの内部は、予想通り倉庫とはかけ離れた姿をしていた。

 どちらかと言えば洋館を彷彿させるレイアウトだ。実際にこの様な例はよくある事なので驚くに値しないが。

 

「そんなに大きな声あげなくても、聞こえてるよ、アカネ」

「!!」

 

 いつの間にか、壁に寄りかかるように長髪の女性プレイヤーが立っていた。

 ……隠密系の武装記憶解放だろうか。

 聴覚アップのピアス等不意打ち対策を怠らない俺が気づかないということは相当やり手らしい。

 恐らくアサシンかアーチャー系。

 装備は、現在の兵士が着ていそうな迷彩柄の戦闘服。

 

 ん?

 

 そんな近代っぽい服装「ソード・メモリーズ」にあったか……?

 中世ファンタジー風のこのゲームで実装されたとは考えづらいので、生産職系の人にオーダーメイドでそれっぽいの作ったと言ったところだろうか?

 

「アカネおかえり。あと君が「狂戦士」のツバサだね」

「その名で呼ばれるのも久しぶりだな。ツバサです。よろしく、罪歌さん」

 

 罪歌はいやいやと手を振った。

 

「まだよろしくと呼ばれるのは早いよ」

 

 ん?

 なんか、嫌な予感がする。同時にワクワクもするが。

 

「えっ罪歌ちゃん、どういう事?」

「アカネ。うちのギルドの理念は知ってるだろう? 少数精鋭、メンバーは掲示板等では集わず我々で気に入った人のみを加入させる。ただし、もちろん加入を強要させるつもりもないし、嫌になって出るものも拒まないがな」

 

 あぁ、エリート気質なギルドかぁ。

 別にそういうギルドを毛嫌いしている訳では無いが、アカネがこういうギルドに入っていることが意外だった。

 

「もちろん知ってるけど、ツバサは私というギルドメンバーが招待したわけだし、強さだって過去の実績を考えたら満たしてるんじゃ……」

 

 過去の実績ってあれだろうか。

 PVP(ケンカ)売って、毎日誰かとバトってた事だろうか。

 今でもPVPは好きだし、明日からまたやってもいいなとは思うが、周囲から見て誇れる事ではないと思う。うん。

 

「そう、そこだよ。過去の実績はあくまで過去の実績。今でもほんとに強いか分からないだろう? だから、少し試そうと思ってね」

「いや、今でも──!!」

「なら、今から俺がお前を倒したら認めてくれるのか?」

 

 すまん、アカネ。

 この恐ろしい隠密できた女性プレイヤーとバトれると思うと自分を抑えれそうにない。

 

「いや、戦うのは私じゃないよ。最近ヘルヘイムに入りたいとしつこいプレイヤーがいてね。見たところ弱くもないみたいだから加入させてやろうと思ったのだよ。条件付きでね」

「俺とそのプレイヤーで戦わせ勝った方を入れると?」

「話が早くて助かるよ」

 

 罪歌と戦えないのは残念だが、このギルドに入ったらバトルすることも出来るだろう。

 なら、そのプレイヤーとやらをさっさとぶちのめす方が早い。

 

「ちょっと!!」

 

 まだ何か言いたそうなアカネを手で制する。

 

「だから今回もささっと勝つって。心配すんな」

 

 これはどうやら今日という一日で、二度もPVPが出来るらしい。

 まったくもって楽しくなってきた。

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