魔法少女まどかマフィア(まどマギ×リボーン) 作:junior
10日ぶりの投稿となりますが、今回も書いていくうちにアイデアが膨らんでいった結果2話に分けて投稿することにします。どうぞお付き合い下さい。
<022>
バァン!!
サイレンサー機能のないベレッタM92FSの銃声が静寂の中を乱暴に響き渡る。しかし人の出入りが殆どない建設途中の施設内ではそれに対する心配もないし、もとより時間停止の魔法を有している事を考えればそれこそ人目に付く事など万が一の確立もない。
バンバンバァン!!
2発3発とさらに鉛玉を銃口から弾き出す。
決して目標を外したわけではなく、しっかり頭と胴体に風穴を空けている。
それでも私が引き金から指を離さないのはそいつが幾ら殺しても沸いて出てくるからだ。
「君は一体何者なんだい? いい加減僕らを殺しても意味がないと分かって」
バァン!
最初は目の前に現れた魔法少女に反応すら出来ず撃ち殺されていたが、さすがに3回目ともなると無駄口を叩く余裕も生まれてくるようだ。
「はあ…君には何を言っても無駄なようだね、それに新しい個体を見ても冷静に対処する所を見るに君は僕らの事を知っているようだね」
「…インキュベーター」
腸が煮え繰り返るような憎しみを込めて低い声で奴の名を口にすると同時に逃げるそれをまた1つ殺す。
引き金を引く事に感情はいらない。相手の存在を否定する静かで明確な殺意があればいい。後は何も考えなくていい、後は道具と化した己が肉体がその殺意に従って動くだけなのだから。
こちらが問答無用に発砲し、奴もそれが理解出来たのか癪に障る言葉を言うことなく必死に逃げ回っている。こうなれば両者の関係は強者と弱者、狩る者と狩られる者、ただ純粋な暴力が繰り返される。
すると奴は逃げ切るのが困難だと理解したのか光りが遮られている暗がりへと走って行った。体の小ささと機動性を生かしこちらを巻く算段なのだろう。
でも、それも今の私にはあまり意味を成さない。
「逃がさない!!」
追尾の足を一端止め意識を左手に集める。ここ最近は修業の成果か何となくコツを掴んできたような気がする。この力は引き金を引く時のそれとは勝手が違う。
今までは道具としての身体を動かすために体中にまんべんなく気を流していた。それを左手に集める。 身体を巡っていた流れは一点に集中させると流れる量も圧も増えだんだんと熱を帯びてくる、例えるならば電気のような物だ。
そして集めた電力をスパークさせ光りを灯すイメージをする。そのためには電球も蛍光灯も要らない、必要なのはぶれない気持ち。一言で言えば『覚悟』だ。
次の瞬間には左手の甲のソウルジェムから紫色の炎が発現し周辺をほのかに照らす。
もっと炎を大きく出来るけれど、なにもこの炎で視界を広げようとは思っていないのでこの程度で十分。左手のバックラーから今度は使い慣れたデザートイーグルを取り出し目の前に広がる暗闇へと構える。
暗いといっても全くの暗闇という訳ではなく非常灯や防火装置などのランプが点々とあるし、音を殺しても生き物がタイルの上を走っていれば気配は感じられる。『炎』の力で今の私にはその些細な情報も手に取るように感じ取れる。
「……そこ…」
パァン!!
乾いた破裂音が暗黒に吸い込まれていく。
その闇の中を歩いていけば見事に眉間を打ち抜かれた奴の抜け殻が転がっていた。動かなくなった姿だけを見れば人形にも見えなくない。
「驚いた、まさか本当にこの暗闇で逃げ回る僕を確実に狙撃するなんて」
「君が僕に対してどんな恨みを持っているのかは知らないけれど、その労力を少しでも魔女退治に向けるべきなんじゃないかい? 僕に弾を撃つだけ無駄だという事は君が一番把握しているはずだ」
今度は2方向から同時に声が聞こえてきた。
「私を惑わすつもりなのだろうけど、それこそ無駄。お前の抜け殻が倍に増えるだけよ」
もとより魔法少女の戦闘は基本的に多対一、望む所だ! 両手に持った銃を構える振りをしてバックラーに手を触れる、その次の瞬間には声を発した2体は動かぬ生ごみ化した。
「!!!」
ほぼノータイムで殺された事でようやく私の異常性に気が付いたのか物陰に隠れていた一体が飛び出し、必死に逃げ始める。そして本来の目的を思い出したかのように逃げ回りながらテレパシーで助けを呼びだした。
「助けて…まどか…助けて」
「クッ!!」
そう、こいつらは初めからまどかの膨大な因果律に目を付け、契約をせまるべくわざと魔女に自身を襲わせるつもりだったのだ。
そこに計画の邪魔になるであろう、しかし感情がないと言う奴らだからこそ目の前に自分達の契約した覚えのないイレギュラーである魔法少女の私がいれば奴はこっちの正体を知ろうと必ず探りを入れてくる。その隙を付いて奴らを駆除するつもりだったが少し遊びが過ぎてしまったようだ。
「助けて…まどか」
奴は傷つきながらもわざとらしく、か弱い生き物を装いテレパシーを飛ばし続ける。まずい、今までの統計ではこの日の彼女は放課後に美樹さやかに誘われてこの近くのショッピングモールに来ている可能性が高い。
とにかく早くこいつを黙らせないと、今までの経験上魔法少女の存在を知ったまどかは必ず興味を持ってしまう。そうなれば芋づる式に美樹さやかも魔法少女の世界へと足を踏み入れる事になる。
そうならないためにも手遅れにならない内にコイツらを殺る、もう出し惜しみはなしだ。
炎と魔法、その両方の力を駆使して奴らに鉛玉を撃ち込む。が、奴らもこちらの動きに慣れてきたのか少しずつ急所を外されてきた。
手負いになりながらも仕留めきれない、その焦りと苛立ちからなのか私は目の前の暗がりから掛けられた声にひどくビックリしてしまった。
「おい! 誰か! そこにいるのか!!?」
しかもその声からして声の主は容易に想像できた。
「沢田綱吉、またあなたなのね…関係者以外立ち入り禁止の札は見えなかったのかしら?」
「暁美さん!? なんでここに? いや、そんなことよりここは危ない! すぐに離れよう!! さっきの銃声聞こえたでしょ?」
「その必要はないわ、それに今私は敵と交戦中なの。あなた一人で帰りなさい」
「それってまたあの魔女? なら俺も戦うよ! てか、さっきから助けを呼ぶような声もどこからか聞こえてくるし。これも魔女の仕業なの?」
!! 今彼は何と言った!? まさかとは思ったけどやはり彼にもインキュベーターのテレパシーが聞こえるのか。…となると多分奴の姿も見えるだろう、面倒なことになった…。
「うわ!! え?!何これ?猫、ウサギ?」
「助けて…まどか…」
「喋った!! リボーーン! コイツ喋ったよ」
会話に気を取られている間にインキュベーターは自分を認知出来るらしい沢田綱吉の元へと近寄って行った。
「ああ俺にも聞こえたぞ。こいつがこの前嬢ちゃんが言ってたインなんとかって奴か。…それにしてもボロボロだな、コイツもこの前のバケモンの仲間か何かなのか嬢ちゃん?」
沢田綱吉に限らずあの赤ん坊にまでコイツが見えるのね、正直驚きだわ。
「今は詳しく説明している時間はないの。とにかくそいつから離れなさい! そいつは魔法少女の敵なのよ!」
「敵って…」
「そいつのその容姿に騙されてはダメよ! そいつをこちらに渡しなさい」
「渡したら…殺すんでしょ」
「さっきも言ったでしょ。そいつは普通の生物ではないの、強いて言えば不死身の小動物型宇宙人なのよ」
「そんな…」
彼の足元に倒れているインキュベーター、そいつに銃を向ける私、その両者を交互に見る彼。沢田綱吉は迷っているだろう、私の言葉とインキュベーターの言葉、どちらを信じるのか。
2人の視線が絡み合いながらそれぞれの首をじわじわと這っていく様な、互いが互いに動きたいけど動けない時間が流れる。
どのくらい経ったか。引き金に掛けている指が汗で湿ってきたと感じた、その刹那! その場を照らしていた非常口のランプが一瞬暗転した。
「「!!」」
そのチャンスを奴が逃すはずはなく視界が回復した時には足元にインキュベーターの姿は消え、奥の通路へ走っている影が見えた。
「クッ!! これだから!!」
もう沢田綱吉に構っている暇はない! 私は時間停止を発動し確実に仕留めるべくバックラーに手を掛けようとする。
「ツナ!!」
「分かってる!!」
がその行動の意味が知っているのか否か沢田綱吉はいつの間にか距離を詰め私の右手首を掴んできた。
「んな! 」
「やっぱりな、嬢ちゃんの不思議な魔法とやら。どうやらその円盤がタネらしいな」
「だったら…どうだと言うのよ!」
赤ん坊の入れ知恵で私に魔法の発動条件に気付いたようだけど、そんなのこっちも慣れっこなのよ。
「自らやられに来たようなものね」
掴んできた左手を逆に掴み返し、体ごと時計回りの捻りを加える。一見社交ダンスのターンのように見えるこれは護身術の一種で相手の腕は関節の可動域を超えた運動により手首を破壊するものなのだ。
しかし沢田綱吉は勘が良いのか自分の体を回転させ手首への負担を減らしてきた。その結果私が一回転し終わった時には沢田綱吉は空中で逆さまになっていた。
そのままこちらが手を離せば重力加速度に従い私の視界から消えていく。
その隙を付き魔法で強化した脚力でインキュベーターが走って行った先に飛躍すると暗闇でも奴の白は目立ち、すぐに視認出来た。
そのまま左手に持っている銃を両手で構え、狙いを定める。
「(消えなさい!! インキュベーター!!)」
カチッ
引き金を引くが響いたのは乾いた鉄の音と
「そこまでよアナタ達!!」
リボンを片手に凛々しく響く女性の声だった。
はい、後書きです。いきなりですが、劇場版まどかマギカ叛逆の物語も140万人導入おめでとうございます!! 皆さんも魔女図鑑をゲットしましたか?
もはや社会現象と言っても過言ではないですね。
こうなってくるとどうしても続編が気になってしまいます。