魔法少女まどかマフィア(まどマギ×リボーン) 作:junior
<029>
巴マミ。私にとって彼女は魔法の師匠であり、頼れる先輩であり、一人の女性として憧れであった。
しかし完璧を求めるが故に、周りに弱みを見せることを極端に怖がり、頼ることをせず、一人で抱え込み、そして壊れていった。
幾つも時間を繰り返す中で私は悟った。本当に「叶えたい」願いのためには「失う」覚悟が必要だと。
「全ては『まどか』を救うため」
そう頭では理解していたはずなのに、自身の撃ったRPG7を投げ返されて足止めを喰らっていた私は爆煙越しに見えた景色に目を疑った。
「そんな…今度こそって…思ってたのに……」
変だ。巴マミはまどかを魔法少女に導く強い要因の一つ。それが排除された今、なんで私は俯いているんだろう。
「きゃああああ!!」 「そんな!マ、マミさああああああん!!」
そうだ、今は2人を守らなくては。あの怪物からまどかを守らなくては。そう自分に言い聞かせて足に力を入れる。
「まどか、守らなくちゃ………私が守らなくちゃ」
ゆっくりと立ち上がる。
「私が…まどかを守らなくちゃ。…だって私はそのために」
拳を強く握り締める。
「そのために、魔法少女になったんだから!!」
「ええ、その通りよ。暁美さん!」
「え?!」
声の聞こえた方を向くとそこには巴マミの姿があった。思わず足を見てしまったが、ちゃんとあった。
「もう何? 人をお化けでも見るような目で」
「だ、だって!私は確かにこの目でそこに倒れている貴女を ……!!」
言いながらゆっくりと指をさしながら前方を確認する。するとそこにはやはり胸に大きな爪の刺さった痛々しい巴マミの姿があった。しかしそれはお化けでも幻覚でもない。目を凝らせばその種を理解する事が出来た。
「まるほど、これが貴女の奥の手という訳ね」
「ええそうよ。でも実戦でこれを使うのは始めてで、正直不安だったのだけれど、上手くいったみたいね」
もう一人の巴マミのタネ。それは何を隠そう、やはり魔法であった。
巴マミの固有魔法である「リボン」を応用した、本人とそっくりなリボンの人形だった。
いや、人形というのは相応しくない。何故ならもう一人の巴マミは今まさに自ら動き、目の前の敵と戦っているのだ。
「リボンで自分の身代わりを作って、敵を罠に嵌めたわけね」
「身代わりと言うより分身って言ったほうが近いかしらね」
「分身?」
「ええそうよ。私がイメージをするだけで彼女はその通りに動いてくれるのよ。まあ、その分魔法の発動条件も幾つかあるんだけど、…敵もそんなに待ってはくれないみたいね!沢田君!一旦下がってくれるかしら!」
「あ、ああ!」
彼女の指示に従い沢田綱吉は敵と戦っている巴マミの分身を残してこちらまで後退する。
「あの、これはいったい?」
「詳しくは暁美さんから聞いてちょうだい。二人は鹿目さん達をお願い!敵は『私達二人』で片付けるから」
「ちょ、ちょっと!!」
それだけ言うと巴マミは行ってしまった。
「大丈夫なのか?」
「…分からないわ。………でも彼女が何の根拠も無しに単独で突っ込むとも思えないわ。少し様子を伺って危なくなったらすぐに私たちも援護に行きましょう」
「分かった。暁美さんがそう言うならそうしよう」
と、言ったもののその後の彼女の戦いはまさに凄かった。
まず、彼女は無数の銃を召喚し敵めがけて一斉に放ったのだ。しかし「分身」と言うだけありどちらの撃った弾もお互いに当たるようなことはない。
「速さに自信があるようだけど、封じさせてもらうわよ!」
掛け声と共に地面に埋まった銃弾からリボンが伸び、敵と巴マミを半円状のリボンの檻が囲った。
「これでもう逃げられないわよ。名付けて咎人(クリーミナレ)の庭(ジャルディーノ)ってところかしら」
「ガアアアアア!!」
半円状の檻から抜け出そうと力任せに抵抗するがリボンは切れない。
「おあいにくさま。そのリボンは特別製でね、簡単には切れないわよ」
「ガアアア!! ガアアア!!! ガアアアアア!!!」
何回も切りつけるがリボンはゴムのような柔らかさと鋼鉄のような頑丈さを備え持っていて、檻に穴が開くことはなかった。
「グガアアアア」
脱出は無理だと判断すると攻撃対象を檻から巴マミに変更し、突っ込んでいく。
「ふん!!」
その攻撃を一人の巴マミが召喚したマスケット銃を5本束にしてギリギリ回避、そして後ろに控えていたもう一人が小筒程の大砲を両手に召喚し至近距離で放った。その火力は今までのマスケット銃の比ではなく、爆炎が三者を覆い尽くす。
ドガガーーーン!!
「ウウゥゥゥゥ」
「こればかりは効いたみたいね」
煙の中からは外骨格に傷が入った敵とリボンでミイラ状態になった巴マミ二人が姿を現す。撃った直後に発動したのだろうか、正しく目にも止まらぬ早技だ。
「な、何て無茶な戦い方をするんだ…」
「自分の分身とだからこそ出来るコンビネーションね…」
「ウウウウ……ガアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァ!!!!!!」
傷を付けたことが敵の逆鱗に触れたらしく、今までで一番大きく吠えると化物のたてがみと爪に薔薇の魔女を葬った時のオレンジ色の炎が発現した。
「怒っちゃった?でもそんなに怖い顔しても無駄よ。よく見てみなさい」
見ると敵の爪にはいつの間にか無数の細い繊維の様なものが絡み付き、その一本一本が檻のリボンと繋がっていてさらに拘束力が上がっている。
「ウガアアア」
敵はそんな事もお構いなしに巴マミ目掛けて突っ込んでくる…が、やはりその攻撃は先程までと比べると明らかに遅く、巴マミにカウンターの蹴りを入れられ檻の壁まで蹴り飛ばされると今度はその蹴りを入れられた腹部にもリボンが巻き付けられていた。
「グラアアアアアアア!!」
が、特製のリボンも敵の炎に触れてしまうと強度が下がってしまうらしく、爪に巻き付けられたリボンは既にほつれ気味である。
「なるほどね。常に魔力で強化してないとすぐに切られちゃうんじゃ、魔力がどんなにあっても足りないし、あまり時間も掛けられないわね。…なら!こうするまでよ!!」
そう言うと魔法で生成したらしい何かを足元に投げ付けた。
「ここに来て煙幕?」
「また何か仕掛けるつもりなのね」
辺り一面を煙が覆い視界が奪われた。しかしそれは巴マミも同じ事であり、煙の向こうから獣の雄叫びが響いた。
「グオオオオオオオ!!!」
その直後にブチブチと繊維が千切れる音と共に敵の咆哮が煙幕をかき消す。
「あら、結構リボン似合ってたのに取っちゃったのね。でもこれでチェックメイトよ」
視界が晴れるとリボンの代わりに一人の巴マミ自信が怪物を至近距離で羽交い絞めにし、さらにもう一人が特大の大砲を構えていた。
「可愛い後輩も見てる手前あんまり手こずる訳にも行かないのよね。」
狙いを定めながら今までで一番大きな魔力がチャージされていく。その間もう一人は逃げようとする敵を全力で何重ものリボンと自身の体で拘束している。
「ウガアアアアアアア!!!!」
再度雄叫びと共に敵の全身をオレンジ色の炎が覆い火柱となった。
「クッ!!」
さすがに拘束している人形も苦しげな声を上げた。
「有り難うもう一人の私、いくわよ!!!」
「ティロ・フィナーレ!!!!!」
「ウガアアアアアアア !!!!!」
巴マミと放った砲撃と敵の吐く豪炎がぶつかり合い衝撃波と共に再び煙が一面を覆った。
「い、一体どっちが!!」
徐々に土煙が去って行くとそこにはボロボロで腰を落としながらも確かに生きている巴マミがいた。
「(い、生きてる…巴マミが…確かに生きてるわ)」
「な、な、何だか凄すぎて良く分かんないけど…マミさんが勝ったーーーー!!」
「そ、そうだよね。やったーーー!」
美樹さやかとまどかの声に我に返り急いで駆け寄る。
「と、巴マミ!!しっかりしなさい!そ、そうだ、早くソウルジェムを浄化しないと!!」
もう力が入らないらしく変身が解けた彼女の手に握られたソウルジェムはやはりかなり濁っていた。
「も、もう何よ。そんなに血相変えて、平気よ自分でやるわ」
「いいからこれを使いなさい!今回の貴女の報酬分よ!!」
少し抵抗する彼女をおしきり、半ば強引にストックのグリーフシードでソウルジェムを浄化していると背後から聞き慣れない声が聞こえてきた。
「へえー、僕のおもちゃをやっつけるんて、お嬢ちゃんやるねえ」
「「「「え?」」」」
私達四人がすっとんきょうな声を上げて驚く中、ただ一人沢田綱吉だけが苦虫を噛み潰した様な顔をしていた。
「白蘭!!なぜお前が!!」
久しぶりにマイページ見たら何と二件も感想を書いてくださってるじゃないですか!!
いやはや、恥ずかしながら貯めといた十九話を投稿します。
まどかさん、エモさん、感想有り難うございます。