魔法少女まどかマフィア(まどマギ×リボーン) 作:junior
<sideツナ>
「危ないところだったな、怪我はないか?」
「・・・・・・・。え?は、はい・・」
命に別状はないようだが、彼女の様子を間近で見るともはや一人では立ち上がれない程の怪我を負っているのが分かった。必死で逃げていたのか玉のような汗をかき呼吸も荒く、軽く過呼吸を起こしているようだった。
「あ・・・・あの・・・・う・・・」
「無理に喋らなくていい」 ビリビリビリビリ
一応意識はあるが額からの出血が止まらなかったので、応急手当としてツナは自分のYシャツの裾をちぎり包帯のように額に巻く。
「・・・・!!」
「大丈夫だ、今日おろしたばかりの新品だ」
衛生面と女子への気遣いのつもりで最後に付け加えたつもりだったが彼女は尚も訴えかけてくる
「う・・・しろ」
だが少女が伝えたかったのは違ったらしく、彼の後ろを指差した
「ん?!」
「ガルルルルル」
「くっ!まだ来るのか・・・」
「ウウウウ!!グヮ!!」
土煙の中からは未だに闘争心満々の獣がオレめがけ襲いかかってきた。
だがそれも反応出来ないスピードでは無いが、今オレの後ろには未だに一人では逃げられない彼女がいる。
となればやるべき事は限られていたし、その覚悟も最初から出来ている。
「逃げ・・・て」
「いや、迎え打つ!!」
と、カッコはつけてみたものの。この場を動けない以上出来る事は彼女の盾になる事だった。
「グアッ!!」
カウンターを狙ってはみたが爪による斬撃は初見では見切れず攻撃を喰らってしまった。
すぐに反撃を試みるが獣は動物の勘なのか、一撃離脱でまた距離を取り、こちらから来ないのを確認するとまた襲いかかってきた。
「ナメるな!」
オレも再びカウンターを狙い右回し蹴りを見舞う、すると獣は直前で重心を低くく伏せ蹴りをかわし、頭突きをかましてきた。
「グハッ!!」
アバラが折れる衝撃と押し寄せる吐き気を気合でこらえ、再び反撃を試みるが、それすら既に見切られたようで、またすぐにバックステップで距離を取られた。
「コイツは厄介だな」
それからは一方的だった、後手に回ってしまうツナは基本カウンターと反撃しか出来ないうえにそれする当たらないので、ツナはダメージを蓄積し制服は見る見るうちに赤く染まっていった。
「もう、いいから、逃げて、死んじゃう」
後ろから少女が語りかけ、這いずりながら動こうとしていた。
「ダメだあぁ!そこから動くなあぁぁ!!」
ついムキになってしまい、大声をあげ彼女を威圧してしまった。
彼女の顔を見ると予想以上に驚いたようでちょっと悪く感じてしまう、なので。
「やっと・・・・溜まった」
微笑みながらそう付け加えた。
実際笑ってられるほど余裕が有る訳でなかったが、安心させるために嘘を言ったわけじゃない。
はなから盾になる為につっ立ってた訳じゃない、相手のサンドバックとなってる間もオレは両手に炎を貯めていたのだ。
「さっきのパワーじゃあピンピンしてるからな、・・・チャージに手間った」
視界が狭くなるのでコンタクトは使用してないが、ゆうに40万は超えているだろう。
「これで、決めてやr」
両手を構え、体勢を整えようとすると、獣はこちらの変化に気付いたのか先ほど以上のスピードで攻撃してきた。
「よし、かかった!!」
結果相手の攻撃は全く見えなかったが、それでよかった。狙いはカウンターでも反撃でもなく相手が直線的に突っ込んで来てくれる事にあったのだから。
そしてこれまでの攻撃パターンから頭部への攻撃は読めていた、どんなに速くとも真っ直ぐに分かった所に来てくれれば対処のしようもある。
だからオレはあらかじめ右手を顔の前で構えていた。
瞬間、右手を激痛が走ると同時にめいっぱいそれを掴み、そして。
「やっと、捕まえた!!」
やっと相手を捕え、こちらの間合いに持ち込めた。がいくらグローブで保護してるからといっても獣の鋭利な爪はグローブを貫通し肉を深くえぐっているので血も結構な量出てしまっているので、もうそれほど時間はかけられない。
体力も気力もあと一撃が最後、その一撃で絶対決める!!
そう三度(みたび)強く覚悟をし最初で最後の、そして最高の一撃を放った。
「X(イクス) BURNER(バーナー) ZERO(ゼロ)」
初めての「柔の炎」のみでのイクスバーナーを、それも文字通りゼロ距離で決めてみせた
ギュオオオオォォォォォォン
凄まじい衝撃波と衝撃音が結界中に響き渡った。
<sideほむら>
「う、う〜ん」
風が頬を撫でる感覚がくすぐったく私は目を覚ました。
時刻は夕暮れ過ぎ、もうすぐ日が完全に沈む。場所は何処かの草むららしいが、見覚えのある工場の煙突が見えるから見滝原のどこかなのだろう。
魔女結界はもう存在せず、見慣れた景色が広がりやっと気持ちが落ち着いてくると、今度は体中を激しい痛みが襲った。
「イッタァァァァ」
足、腹、背、肩と順に傷を確認していき最後に頭に巻かれている布のようなものにやっと気付く。
「これって・・・・・あっ!彼は?!」
そこでようやくあの学生服の少年を思い出す。きしむ体を動かし周囲を見渡すと10メートル程先にその少年を発見し、右足を引きずり左肩を抑えながら近くに歩み寄った。
「ねえ、ちょっとあなた」
声をかけるが反応は返ってこなかった。そのはずだ、彼は全身傷だらけで制服を真っ赤に染めており特に右手の傷は深く、地面に血だまりを作っていた。
「ねえ!ちょっと、しっかりしなさいよ!!」
力を入れて頬を叩くが依然として無反応だったので、急に嫌な予感がし今度は彼を仰向けにして心音を確認する。
『ドクン、ドクン、ドクン』
「(よかった、まだ生きてる。・・・でも体温も下がっていてかなり弱ってる、このままじゃあもたない。早く救急車を呼ばなきゃ)」
そう思い携帯を取り出そうと慣れた手先で左手付近をまさぐってしまい、思い出す。
「そうだ・・・あたし今ソウルジェム無くしてたんだ」
「(どうしよう、ここで大声をだしても誰かがいる気配もないし、私はジェムを見つけるまでこの場所から動けないし・・・)」
「あ!そうだ、あなた!携帯ぐらいもってるでしょ!?」
意識がないと分かっていながらつい声に出してしまった。
別に夢見る乙女を意識している訳ではないが、男の子の体に触れるのはどこか気が引けてしまい、普通ならズボンのポケットから探すのだろうが、私はまず彼の胸ポケットをまさぐった。
「ん?え?・・・・・・これって!!!!」
しかし、この時ばかりは幸運の女神がほむらに微笑んだ。綱吉少年の胸ポケットからは思いもよらぬ代物が出てきた。
それまさにお探し中のほむらの指輪型のソウルジェムだったのだ。
「探し物は探している時には出てこない」とは多分アダムとイブ、イエスや釈迦、孔子から毛沢東まで経験した「人類あるある」なのだろう。
その指輪には見たことも無い鎖がジャラジャラと巻きつけられていた。
「何故あなたがこれを...」
地獄に仏とはまさにこの事だが、あまりにも予想外で血を流す彼の顔を凝視する。
「とにかくこれさえあれば助かるわね」
止めどなく湧く疑問を棚上げし、ようやくほむらはその手に己が魂を掴んだ。
しかしそれだけではまだ何の変化もない。
「もしかして、これのせいなの?」
疑いながらも括り付けてある鎖を傷たらけの手で解くと、身体中に力が湧いてきた。
やっと、魔法の力を取り戻した彼女はまず自分のボロボロの体を癒す、そして夕陽と大量の血で真紅に染まる少年へとその手を伸ばした。