魔法少女まどかマフィア(まどマギ×リボーン)   作:junior

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七話「始動」

<009>

 

「…………」

 

気まずい空気が流れ、時計の時を刻む音が部屋に響き渡り、ほむらと名乗った少女の顔が赤くなるのが分かった。そのあたりやっぱり同い年の女の子なんだと少し安心しつつ、ツナはこの空気を変えるべく話しをつなげる。

 

 

「え、え〜と違う世界から来たっていうのは、その…住んでる場所とか育ってきた環境がが違うとか言う…」

 

 

「いいえ、そういう比喩的意味じゃなくて、文字通りに別次元の、並行世界とかパラレルワールドという意味よ」

 

 

最初は突拍子もない内容でリアクション出来なかったが、二回目はもう限界だった。

 

 

「っっっっ、………プッ!!」

 

 

笑ってしまった。

 

 

「んな! 今笑った、笑ったわね沢田綱吉!! 誓いを破ったその報い、神が許してもこの私が許さないわ!!」

 

 

「ヒイイイィィィィ、違うんだって、ごめんて!」

 

 

「問答無用よ」

 

 

彼女は状況反射で逃げ出すオレ目掛け近くにあったお玉を手首のスナップを効かせ投げつけてきた。そしてそれはポカーンと見事な音でオレの頭にクリーンヒットした。

 

 

「何もそこまで本気で投げなくても」

 

 

患部をさすりながらせめての愚痴をこぼしていると、彼女が以外そうな顔をして近づいて来た。

 

 

「ごめんなさい、てっきり受け止められるか避けられるものだと思って。あなた本当にあの魔女を倒した本人?」

 

 

「だから本人だって、詳しく言うと今のオレとはちょっと違うけど。……って、え?

なに魔女って?」

 

 

「そう、やはり何も知らないようね。いいわ、ちょうどいいから見てなさい」

 

 

彼女はそう言うと左薬指にはめていた指輪が卵のような物に変形し、それを持って赤くなっているオレの頭に手をかざすと紫色に優しく光り、あっという間に痛みが無くなった。

 

 

「え!? スゲエ治ってる! 君も死ぬ気の炎を!! …いやでも色的に霧の炎なのに何で晴れの治癒を…」

 

 

「はいはい、気になるワードが出てきてるけどまずは私から説明するから最後まで黙って聞いてなさい、いいわね」

 

「う、うん、わかった」

 

 

落ち着きを取り直したらしく彼女に諭されながら説明を聞く。

 

 

「まず今傷を直したのはホ・ン・モ・ノ・の魔法よ。それでその魔法の源がこのソウルジェムよ、普段は無くさないように指輪の形にしてるの。あなたが持ってたのがそれよ」

 

 

「因みにこれが手元にないと変身も魔法も使えないの、だからあの時は非常にピンチだったのよ」

 

 

「次に魔女について。あの怪物この世に沢山いて私たちは『魔女』と呼んでいるわ、奴らは普段は結界を張ってその中に隠れているから一般人からは気づかれずに人々を襲っているの。理由のない投身自殺とか行方不明事件なんかは大抵魔女の仕業よ」

 

 

「魔女は人間の負の感情を元に生まれるからいなくなるという事はないの。だから素質ある少女達がスカウトされて一度の奇跡を代償に契約し魔女を狩る『魔法少女』となって人知れず日々戦っているのよ。ここまでで質問はあるかしら?と言うか信じられるかしら?」

 

 

「ん〜俄かには信じられないけど、実際にその魔女と戦って、目の前で魔法みたいに傷治っちゃってるし。君が嘘をついてるとも思えないから…うん信じるよ。」

 

 

「それで質問なんだけど『契約』とか『スカウト』とか、魔法少女の他にも誰かいるの?」

 

 

「ええ、次にそこね。魔法少女になるには仲介人が必要なの。ウサギと犬のハイブリッドのような姿をしていて「キュウべえ」と呼ばれているわ。キュウべえ(以下QB)は魔法少女の素質がある子じゃないと見えないからあなたに見えるか分からないけどね。こんな奴よ」

 

 

彼女はそのQBを紙に絵を描いてくれた

 

「私からは今のところはこんな感じかしら、何か質問は?」

 

 

「その…変な質問かもしれないけど、その魔女って生きてるの?」

 

 

「本当に変な質問ね、考えたことも無かったわ。そうね、魔女に理性があるかは分からないけど一応人間を襲うという本能のようなものはあるわね。でもだからって動物と魔女が一緒とか思わないでちょうだい。さっきも言ったけど奴らは人間の『恨み』や『辛み』や『憎しみ』が具現化した言わば幽霊や悪魔のような存在、そもそも生死で定義できるものではないわ」

 

 

「でもこれだけは言える、魔女には善意や罪悪感などはないわ。ただただ人を殺すことを楽しみ、罪の無い人々を不幸のドン底に引きずり込む、この世に本来いてはならない存在よ」

 

 

「そうか、じゃあ痛みも感じないんだね」

 

 

「確かな事は言えないけど今までそんな素振りをみせた奴はいないわ。でも何故?」

 

 

「だって魔女なんて言うからもしかしたらあの中に人がいるのかと思っちゃってさ、いくら悪い人でも殺せないでしょ?」

 

 

「そう、………優しいのね」

 

 

「あはは、言葉を選んでくれてありがとう。でもよく仲間からも甘いって言われるんだ」

 

 

「じゃあ次はそのお仲間についてあなたから色々聞かせてもらえるかしら?」

 

 

「うん、え〜とまず何から説明すればいいのかな? オレの生い立ちからとか?」

 

 

「こんな所で昔話されても私が困るだけよ。煮え切らないようならその『ボンゴレ』とやらについて教えてちょうだい」

 

 

「そうしてくれるとこっちもやり易いよ。かい摘んで説明するけど、オレのいた世界のイタリアには1000近い組織を束ねる国内最大級のマフィアグループがあって、そのグループの名前が『ボンゴレファミリー』なんだ」

 

「さっきは言葉の綾で10代目なんて言っちゃったけど、正式には勝手に10代目候補ってされてるだけなんだ」

 

 

「10代目って事はあなたの家系は代々そのファミリーの党首を世襲しているの?

でもその割には日本人の血が強いように見えるわね」

 

 

「別に世襲制度はないよ、でもオレの父さんが9代目と深い関わりがあるらしくてオレを10代目に推したんだ」

 

 

改めて振り返ってみるとハチャメチャな経緯を経て来たものだと感慨に浸りながら話しを進める。

 

 

「まあ端折り過ぎた気もするけど何か質問ある?」

 

 

「真実は小説よりも奇なりとはよく言ったものね。じゃあ一番気になるあの不思議な炎について話して」

 

彼女は一層真剣な眼差しをこちらに向けてくる。

 

 

「分かった、オレも上手く説明出来る自身はないんだけど、まず実際にもう一度見せるよ。オレの指輪どこにある?」

 

 

「そこに制服とまとめてあなたの物を置いてあるわ」

 

 

制服が丁寧に畳まれて置いてあり、死ぬ気丸、リング、壊れたヘッドフォンも脇にある

 

 

「不思議な服ねあれだけの戦いをしたのにホツレ1つ無いし、一度の洗濯で殆ど汚れも取れたわ。まるで魔法ね」

 

 

「まあ、特別製だからね。よしじゃあ見ててね」

 

 

指輪をはめると意識を集中し、気合をいれ覚悟を炎に変えるイメージをする、と…

 

            ボワッ!!

 

指輪からオレンジ色の綺麗な炎が発火した。

 

 

「これがマフィアの世界にだけ伝わる超圧縮エネルギー、通称『死ぬ気の炎』…であってたかな?」

 

 

「間近で見ると本当に手品じゃないのね。不思議な炎ね、触っても熱くないなんて。そっちのマフィアさんは皆この炎を使ってドンパチやってるの?」

 

 

「皆が皆死ぬ気の炎を使える訳じゃないけど、この死ぬ気丸を飲めば大抵の人は死ぬ気の炎の力を一時的に使えるようになるんだ」

 

 

「この青い丸薬ね。私も軽く成分を分析たんだけど、さっぱり分からなかったわ」

 

そう言いながら死ぬ気丸を興味深そうに観察する自称魔法少女の暁美さん、魔法少女って言う割には拳銃とか分析とか不釣り合いな言葉が出てくる。

 

 

「まあ、その炎に関してはこれ以上考えても仕方ないから次の質問よ。個人的には最初に聞いておきたかった事なのだけど、私の指輪に巻かれていたこの鎖はなに?」

 

 

机の上に小さな鎖が出される。

 

 

「これが巻きつけられた状態であなたの胸ポケットから私の指輪が出てきたのよ、もちろんあなたの仕業よね?」

 

 

「うん、結界の中で見つけて…それでこれが普通の指輪じゃないって分かったから、力を封印する効果のあるこのマーモンチェーンを……」

 

そこまで話してオレがやらかした最大のミスに気付き、彼女が向ける鋭い視線の意味を理解した。

 

 

「すいませんでしたーーーーー!!」

 

机に両手をついて暁美さんに頭を下げる。

 

 

「気付いてくれたみたいね、理解が早くて助かるわ。そう…この鎖によって私の、正確には魔法の源のソウルジェムの力が封印され、結果私は死にかけた」

 

 

「申し訳ありませんでしたーーーー!!」

 

重ねて平謝り。

 

 

「でもそのあなたに命を救われたのだからチャラって事にするわ」

 

 

「ありがとうございます!!」

 

そして深く感謝

 

 

「随分腰が低いのね、あなた本当にマフィアのボスなの?」

 

 

「だからボス候補に勝手になってるだけで」

 

 

「そんな事より!!これでお互いの置かれている状況は分かった訳だし、次はこれからの事を話し合いましょう」

 

 

「(完全に暁美さんにペースを掴まれちゃったな)」

 

 

「なに固まってるのよ、あなたの今後について考えるのよ!」

 

 

「え!? ああ、うん。オレの今後だよね。それについては1つ考えがあるんだ」

 

 

「ゴソゴソと自分の持ち物の中から壊れたヘッドフォンを取り出す。

 

 

「考えって言っても結局君に頼っちゃうんだけど。暁美さんこのヘッドフォン直せないかな?」

 

 

「見せなさい………やっぱり普通のヘッドフォンじゃないようね」

 

さすがと言うべきか、少し外見を見ただけで勘づいたようだ。

 

 

「このヘッドフォンは主に基地との連絡をする機能があるんだ。でもなんかの拍子に壊れたみたいなんだ」

 

 

「なるほど…中を見ない事には何とも言えないけど…やるしかないわね」

 

 

「ありがとう!!恩に着るよ」

 

 

「じゃあ方針も定まったって事であなたには起きたばかり悪いけど、そろそろ寝るわよ。正直もう限界なの」

 

 

「ああそうかごめん、すぐおいとまするよ」

 

 

「待ちなさい沢田綱吉。住所不定、未成年、学生の今のあなたがどこに行くというの?どこも当てなんてないんでしょ?警察に補導されるのがオチよ。暫くはここに泊まりなさい」

 

 

「ええ! そんな……なんてごめんなさい、実はそう言って貰えるのを待ってました。お金も無いし……ごめん」

 

 

 

改めて現状におけるオレの無力さを思い知り、暁美さんの家に泊まることになった。

 

 

 

 

こうして暁美ほむらと沢田綱吉の関係はやっとスタートラインに立ったのだった。

 

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