東方朱衛録   作:まほ労

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あ、僕一週間前に夏休み終わってるんで。





こいついつも戦闘描写から始めてんな


第8話 ドゥ・マイ・ベスト

 

 

 

 

 

 

 

別に、勝算がある訳ではない。

 

自分が最大限出来ることをやろう、そう思って買った喧嘩だ。

 

なら、あっさり死んじゃいけない。

逃げても状況は良くならない。

 

 

 

生き残るためには、ひたすらに無茶をするしかない。

 

 

 

 

「はぁぁぁっ!」

 

ナイフを作り出す。今度は1秒もかからない。

まぁその分消耗するが、今はそれどころじゃない。

 

間髪入れずスペルを唱えようとす...

 

 

「っッ...!!」

 

するよりも早く、藍さんの爪は俺の心臓を狙った。

 

「チッ...」

 

俺が死ぬより早く、俺の体は動いていた。

 

 

...速すぎる。

俺に近づくまでの一瞬たりとも、目で追えなかった。

 

たった今回避できたのは、ただの偶然ってことか...

 

 

「悲観するなら勝手だ。その間に殺すからな。」

 

「何言ってやが...ぐぁっ!」

 

次の瞬間、衝撃波とともに数十メートル程吹っ飛ばされる。

 

「ぬぅっ...痛っつ...」

 

今のが、藍さんの妖力。それも放出しただけでこの威力。

今さっきといい、化け物かよ...

 

 

しかし、藍さんの攻撃は終わらない。

追撃と言わんばかりの弾幕が、俺を襲う。

 

 

「間に合えっ!霊璧『紫重結界』っっ!!」

 

 

辛うじて張った結界が、俺を妖力弾から護った。

 

「ぐっ...」

 

ひび割れた結界越しから来る、痛みを感じるほどの衝撃。

 

 

防いでも威力殺せないかよ、クソがっ!!

 

 

 

 

焦りか、絶望か、息が荒くなる。

 

相手は、人間の上位互換。真っ向勝負は論外。

 

 

 

考えろ。

考えろ。殺すまでの手段を。

到底、敵う相手じゃないのだから。

 

 

 

 

 

...一か八か、賭けるしかないだろ。

 

 

 

 

 

 

「はぁぁぁっ!」

 

今ある霊力のおよそ半分を、全身に纏う。

 

左手にナイフを、右手にスペルカードを。

持つ手は少し震えている。

 

 

...覚悟を決めろ。

 

 

そう言い聞かせ、俺は結界の横から全速力で飛び出す。

 

「...」

 

藍さんは動じない。すぐさま弾幕の嵐が俺を襲う。

 

「...ぬぅっ!!」

 

...まだ足りない。出来るギリギリまで間合いをっ...!

 

 

 

 

「仕掛けさせるとでも?」

 

さっきまで無造作に放たれていた弾幕全てが、俺に矛先を向ける。

 

...狙い通りだ。

(ーー今っっ!)

 

地面を飛び上がって弾幕を躱し、スペルを唱える。

 

「千刃『レギオンレイド』っっ!」

 

 

...せいぜい俺程度の威力じゃ、藍さん相手には相殺すらままならない。

ならば、単純に量を増やすまでだ。

どれだけ消滅してもなお、相手に届くほどに。

 

 

 

俺の背後に、さながら壁のように、桁違いの量のナイフが現れる。

 

「行っ、けぇぇぇ!!」

 

弾幕一つ一つが着弾し、無慈悲に地面を抉り取る。

 

これが恐らく、俺ができる最大限の手数。

 

 

 

 

...だが。

 

 

 

 

「話にならんな。」

...冷徹なその声だけが、単純な力の差を告げていた。

 

 

「数を増やしたのはいいが、私にとってお前の弾幕は玩具のそれだ。万が一にも、私に傷一つつける事すらできん。」

 

「......」

 

「このスペルで仕留めるつもりだったか?それとも視界を封じる算段か?どちらにせよ...」

 

先程見せた妖力の衝撃波が、土煙を吹き飛ばす。

 

「無意...っ⁈」

 

 

 

 

 

開けた視界の先に、少年の姿はなかった。

 

 

 

 

...無意味?話にならない? そうかよ。

元々そういう弾幕だからな。

けれど、アンタは気づかなかった。最後まで。

 

 

 

「上かッ!」

 

「いいや、下だね。」

 

 

 

 

地面には、先程の攻撃で散らばった刃の残骸。

役目を失い、ただ消えゆくだけのそれらは、

 

 

 

「輝ッ!!」

 

 

散り際に、まばゆい程の光を放った。

 

 

 

 

「っ!小癪なぁッ!」

 

 

藍さんがその場から動く様子もない。

攻撃も飛んでこない。

 

 

 

...一応何とかなった、か。

 

 

 

 

辺りが暗い中、それも戦闘が始まってすぐ、藍さんは正確に俺を目掛け攻撃を仕掛けてきた。

 

 

...()()()()()()()()()()()

 

 

恐らく、アンタは人間よりも夜目が利いているんだろう?

だったらこれだけの光、もう何も見えないはずだ。

 

 

 

「行くぞッ!」

 

構え直し、残った霊力を手元のナイフに纏わせる。

 

たった一撃。致命傷さえ負わせれば、俺の勝ちだ。

 

「ふッ!」

空を蹴り、全速力で光の中へ突っ込む。

 

 

...位置は上から見た時に大体把握した。

そして眩しい中でも辛うじて、その無駄に大きい九本の尾が見える。

 

 

...狙うは一点、その首を掻っ切るのみ!

 

「そこだぁぁぁあっ!」

 

踏み込み、手を伸ばす。

 

 

ナイフは確実に、藍さんを捉えた...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フン。中々惜しいじゃないか。」

 

 

 

ーーそのはずだった。

 

「...なっ!!?」

 

 

...紙一重。

しかし、俺の身体はどれだけ足掻いても動かない。

 

「これは...?」

 

庭にあった箒。物干し竿。フォーク、ナイフなどの食器。筆。

様々な物が、俺を阻んでいた。

 

 

「...『空式神(からしきがみ)』」

俺の目の前で一歩も動かず、藍さんは立っている。

 

 

「橙とは違って自我のない物なら、扱いは容易いさ。術を掛け、『式神』として使役すれば、身の回りの物全てが武器になる。」

 

「分かるな。この家の全てが、八雲家(げんそうきょう)が、お前を殺すんだよ。」

 

 

「...っ!」

 

 

「戦いが始まってすぐにお前を殺すこともできた。その上で遊んでやったんだ。」

 

冷徹、そして軽蔑の声が、そう語る。

 

「大した力の無いお前が状況をひっくり返すとすれば、近接の不意打ちのみ。私がこの技を使える時点で、負けは決まってたんだよ。」

 

 

「...ふざけんなよ!まだッ...!」

 

「いいや、戯言は地獄で言うといい。」

 

 

突如、纏わりつく物達が俺とともに上昇を始める。

 

それと同時に、先程より数倍大きな妖力弾が周りを囲い始めた。

 

 

「折角だ。断末魔すら聞こえぬ程、醜く散るといい。」

 

 

弾幕が、俺の四方八方全てを覆い尽くす。

 

「...ぁ...」

声が出ない。

 

完全に行動不能。

避けるすべも、防ぐすべもなし。

...本当に、終わりだ。

 

「...く......そぉぉぉっ!...」

 

 

 

 

「ではな、害虫。」

 

 

 

 

 

 

 

ーー最後に隙間から見えた景色は、やたら遠く見えた。

 




(タイトルだったり武器を出したり結界だったり髪が朱色だったりだけど、この小説はstay/nightとは関係)ないです。




あれ、主人公死んだ...?
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