東方朱衛録   作:まほ労

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今回の話、めちゃくちゃ長いし読みづらい説。


いつか修正します。いつか。


第11話 主人からの教訓 後

あれから数十分後。紫さんと幽々子さんと俺は白玉楼の一室にいた。

 

というのも幽々子さんが俺たちに泣きついた直後、あろうことか空腹でダウンしてしまったからである。

そういうわけで、幽々子さんに適当な量の飯をパクつかせて事情を聞こう、ということになったのだ。

 

 

「てか紫さん、それなら別に八雲家でご馳走した方が早かったじゃないんですか?」

 

「馬鹿ね、節約よ。」

 

いや、たった二言で主人の威厳が台無しだけど。

 

 

 

「ふぅーっ、ごちそうさまでした。生き返った気分だわー、普通の味の普通の料理だったけど。」

 

「いや、作った本人ここにいるんスけど。あれっスよ?Twitterなら炎上してますよ?」

 

「あら、それはごめんなさい。...それで、何でわざわざ紫に助けを求めに来たか、よね?」

 

「そうね。貴女がわざわざ直接私を頼りに来るってことは、それすなわち一大事ってことだわ。 ...何があったの?」

 

 

そう聞かれると、幽々子さんは悲しげな表情で、少し俯いた。

 

 

「...妖夢がね、調子を落としてしまっているの。」

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「あーーーーーー。あーーーーー!もーやだ。全部ヤダ。なんか適当な理由で死ねたりしないかなーーーー交通事故とかで。どーーせこの先良いことの方が少ないし。社会なんてカスだし。背は伸びないし。というかもう最初っからいなかったことにならないかなー。タイムマシンで昔の自分を殺しに行けたら逆にラクなんだけどなーぁーああーあー。あーーーー

 

..............死にたい。」

 

 

 

「ほらね?」

 

 

———ほらねじゃないが。

 

 

「いや調子落ちすぎでしょうが!!!明らかに後で戻ってこられないキャラの壊れ方してるけど?」

 

「流石にこれはちょっと驚いた...というより引いたわ...。全部声に出るタイプなのね...妖夢。」

 

「大変だったわ...押しても引いてもいじけたままだったから...。」

 

「して、本当に何があったんです?正直、理由が気になって仕方ないんですけど...。」

 

 

「それがね、その...落としちゃったみたいなのよ。楼観剣と白楼剣を...。」

 

「あー...なるほど、そっかぁ、刀かぁ...。」

 

 

——楼観剣と白楼剣。俺との立ち合いでも見せたあのかっちょいい刀だ。

真っ正面から鋼を叩き割り、振れば大気が切れる程の業物にして相棒。さらに格好つけて表すなら、「剣士の魂」と呼べるもの。「魂」がすっぽりと抜けてしまったのだ、そりゃ辛いだろう。

 

 

「『落とした』ね...。チッ、かなり厄介なことになってきたわね。」

 

「紫さん...?」

 

「幽々子、少しだけ話す時間をもらってもいいかしら?」

 

「いいけど...もしかして、刀の行方が分かったの?」

 

「そういうことにもなるわ。幽々子、手っ取り早く話すからちょっとスキマの中まで来てもらえる?」

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

あの後、結局妖夢さんの調子は戻らなかった。

 

紫さんと俺も家へと帰って、そのまま一日を終えようとしていた。

まぁ、帰ってきたらまた修行が始まった時にはすこし萎えたけど。

 

今は夜の11時。

橙も寝たし風呂も入ってきた。やることといえば眠くなるまで紫さんと多少の雑談をするくらいしかない。

 

「ふぅ、いい湯だった。今日もお疲れ様でした。お茶、淹れますか?」

 

「あら残念、もう淹れちゃってるわ...って失礼ね、何よそのビックリ顔は。私だってたまには部下をねぎらったりするんだから。ほれ、飲みなさい。」

 

「あ、ありがとうございます。 そういや、藍さんを一度も見なかったんですよね、今日。なんかしてるんですか?」

 

「ああ、あの子なら夕方から居酒屋にいるわ。もうすぐ帰って来るんじゃない?」

 

「ふーん。」

 

「嫌なことがあるとね、たまに飲みに行くのよ。」

 

それで夕方から酒って...。だいぶ嫌がられてるじゃん、俺の続投。

 

 

「それで?聞きたいことは、それだけ?」

 

紫さんがにやけをすこし引かせて、俺の方を見つめる。

 

一瞬の沈黙。

聞きたいことなんて、色々ありすぎて困るくらいだ。昼間の幽々子さんとの会話だって、聞けなくてもどかしかったし。

 

お茶を一気に飲み干す。

 

「異変のこと全部です。だって俺、それをどうにかするためにここにいるんでしょ?」

 

 

「そうなるわよね。でもね、今からする話を聞いた後でも、貴方には落ち着いていてほしいの。」

 

「...了解です。」

 

「うん。それじゃ、順を追って話すわね...

 

 

 

 

 

 

もともと起こっていたのはね、『何者かによって妖精が倒されている』という異変だったの。『妖精なんて多少減っても問題は起こらないし、もし出会ったら灸を据えよう』なんてその頃は考えていたわ。

 

 

でも、ある日からその対象は人間に変わった。幻想郷の各地から人間の死体が見つかるようになったの。私達もようやく本格的に調査を始めたけれど、なかなか足取りが掴めなかった。その最大の原因はね...

 

 

 

 

 

 

 

その死体がすべて、外来人のものだったから。」

 

「それじゃあ...」

 

 

「あなたも見たあのフードの男が、異変の主謀者で間違いないわね。

 

 

 

妖夢の一件で固まりつつあるけど、私達はヤツの能力について仮説を立てているわ。

 

それは『盗む能力』。

 

最初は力が足りず、妖精から生命力を奪った。人間を圧倒できる程になったので、今度は足がつきづらい外来人を標的にした。貴方の記憶と生命力もそこで盗まれた、と考えるのが妥当ね。」

 

 

 

「...そして今、その対象は幻想郷の実力者にまで及んでいる、と」

 

「ええ。このままいけば奴は、最悪私や神ですら手が出せない力を持って、幻想郷を害し続けるでしょうね。もう解決に時間はかけていられる状況じゃないわ。私達にとっても、そして...」

 

 

 

「俺にとっても、ですか...」

 

 

「...。」

紫さんは何も言わない。

 

「話の途中でなんとなく分かりましたよ。あの野郎に命を吸われた奴が、ピンピンしてるわけがないってことでしょう?俺、ただの人間だし。多分、近いうちに寿命が尽きて...」

 

分かっていても、言葉にできない。

すぐ近くに死がある恐怖は、どうやっても消せない。

 

 

 

「本当にごめんなさい。こういうことはもっと早く告げるべきだったわね。

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、そんなにしょんぼりする話じゃないわよ?」

 

 

「えっ?」

 

「まず、貴方の修行の調子を見る限り、これからの1ヶ月でぽっくり逝ってしまうことは無いことが分かったわ。だからさっき、こちらから仕掛けることに決めたわ。だいたい1週間後にね。」

 

 

「ん?『だから』って何?まさか仕掛けるの俺ですか?」

 

「そのまさかよ。朱にも異変解決に協力してもらう。アイツの能力を受けてなお戦える人員、あなただけだもの。上手くいけばカウンターとなりうるわ。」

 

 

ああ、幽々子さんと話してたことって、そういう...

 

 

「あの、どっちにしろしょんぼりする話なんですが。」

 

 

 

「あら良かった。落ち着いて聞いてもらえて。」

 

 

 

 

————夜逃げしようかな。

再びにやけ顔に戻った紫さんを見て、ふとそう思うのであった。

 




仮称「奪う程度の能力」
触れた相手から所有物と、多少の概念を奪うことができる。

朱さんは寿命奪われたし、ガンバレ!ってのが今回のお話の内容
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