もう春です。春って良いですよね。空気がうまくて。
物語の中でも今は春です。春が終わらない異変。
「ふぅぁあぁ...」
障子の隙間から日が差している。
朝だ。
...そっか、
幻想郷に来てからというもの、クソ早朝に起こされてばっかりだったな。
まともな時間に起きたのは数週間ぶりだ。
二度寝すっか。
そう決意し、顔をうずめる。
嗚呼、布団が気持ちいい。
肌を優しく撫でる様なこの感覚、適度な暖かさ。
率直に表現するなら「天国」とでも言うべきか。
蕩ける様な感覚の中、ふと目を開けるとそこには寝返りをうってこちらを向いた藍さんの寝顔。
俺と対面する時はいっつもしかめっ面だったから、こうして無警戒な顔を拝めるのは割と新鮮...
...違うわ、なんかいたな。いや何でいるのコイツ。
途端に目が覚めてしまった。
寝ぼけそこなったのはいいが、冷静になるとまた嫌なことがわかってくる。
まず、俺の格好がパンツ一丁。藍さんは...多分全裸。
そして、ここは何故か俺の部屋、俺の布団。
「はぁ...」
逃げるか。
バレなきゃいいんだろ、うん。
絶対に紫さんのせいだしコレ。
あれだろ?どんなに仲悪くても、既成事実さえ作ってしまえばなんとかなると思ってやったんだろ?
最悪すぎない?誰も幸せにならないけど。
...いや、悪態をついている暇はあまりない。
すぐに布団から出る。
そしてそこらに引っ掛けてある適当な服を羽織る。
あとは忍び足で部屋から出れば...
「あ痛ッ!!」
ん?
足もとにコリっとした感触がしたと同時に、藍さんが跳ね起きる。
...おそらく本当に目の前が真っ白になった。
どうやら俺が布団だと思って今踏みつけているブツは、藍さんの尻尾だったらしい。
藍さんのボディブローによって、俺はまた死にかけた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
朝七時、朝食。
いつもと変わらない、八雲家の風景だ。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
約2名、死んだ目で黙々と飯を食っている所以外は。
「...ねぇ朱、今朝何かあったの?さっきから...藍さまも様子が変だし...」
この空気に耐えかねたのか、橙が俺に聞いてくる。
「こら、橙。食事中だぞ。」
藍さんがたしなめる。
「そうそう。ちょっと今回の一件は朝っぱらから出来るような話じゃないからぉぁっ!ちょっと藍さん!箸で目を抉ろうとしないでくれません⁈」
「ええぃ黙れ!橙が駄目だからって私にまで煩悩の矛先を向けるとは!もうこのまま脳まで貫いてしまいましょう紫様ぁ!許可を!」
「ガチで殺す気満々じゃないかクソォ!」
だが、そんな様子を見て、なぜか紫さんはニヤニヤしている。
「まぁ〜そこまでするのは勝手だけど?私が事の一部始終を話したらそんな事言ってられないんじゃない?藍。」
「それはどういうことですか死ねェェ!」
「死ぬかァァ!」
「まぁそんな事はもうどーでもいいわね。続けて二人にはやって貰いたい事があるのよ。」
ごちゃごちゃした喧嘩の手が一旦止まる。
紫さんの声が一層ワクワクしてるからだ。やな予感。
「藍にね、朱の幻想郷案内をやってもらおうと思うの。」
やっと東方の2次創作小説っぽいことが出来るッ!