詳しくは活動報告をご覧ください。
早めに戻ってこられるといいなぁ……。
僕の愚痴はここまでにして本編をどうぞ。
今回はデート会(笑)です。
日曜日。
今日は南らと買い物に出かける日だ。
ファッションに興味がなかった俺はろくな服を持っていないことに今更ながら気が付き、結局制服を着ることにした。
母親に今日のことを説明すると喜んでお小遣いをくれた。ついに息子にも春が!?って感じだ。残念ながらアンタの期待していることではない。
今日はお赤飯だと騒ぐ母親を半目で見つつ家を出た。
あれだな。
昨日までは美少女と出かけるからちょっと楽しみだったけど、実際行くとなると面倒でしょうがない。
きっとファッションショーが開催されて俺は永遠に感想を求められんだろ?
何それ地獄じゃん。
~★~★~★~
「おいっす。」
「あ、先輩!おはようございま、す?」
「お、おはようございます……。」
「……。」
待ち合わせ場所には既に3人とも揃っていた。
女子を待たせるなという偉い人の教えを守って30分前に来たのに既にいたのだ。
俺に気がついた高坂と園田は何故か微妙な顔をして挨拶をして来た。黙っている南に至っては俯いてぷるぷる震えているから表情も分からない。
え?なにこの変な空気?
「あー、先輩。私達そこのカフェで待ってますね。」
「え?どゆこと?」
「では、後ほど。」
「あ、おい!」
何か気まずそうにしていた二人は何故か近くの喫茶店に入っていってしまった。
取り残されたのは俺と南だ。
「…………か?」
「なんだって?」
「どーして制服なんですかぁ!!」
「うぉ!?」
黙っていた南が何か言っていたようなので聞き返すといきなり耳元で叫ばれた。
南にはあまり大きな声を出すイメージがないからめちゃくちゃ驚いた。
そんな詰め寄んなよ。
「……南雲さん。どうして制服なんですかぁ?」
今度は小声で同じことを聞いてきた。
肩をがっちりと掴まれて動けない。南の力がそんなに強いはずないのに何故だ?南の後ろに漂ってる黒いモヤみたいやつのせいか?
高坂たちはこうなることを察して逃げたのか。
助けろよ。
「南雲さん、聞いてますかぁ?」
「聞いてる。めっちゃ聞いてる。」
「じゃあ、答えてください。」
「い、いやー。俺って服とかあまり持ってないんだ。女子とこうして出かけるのも初めてだし何をどう着たらいいか分からなくって……。」
「本当は?」
「めんどいから制服でいいやと思いました。」
「ばかぁーーー!!」
「おっ!?ま、待てッ!そんな揺らすなバカ!!」
両肩をゆっさゆさ揺らす南をどうにか落ち着かせようとしたが上手くいかないし、結構な力で掴まれていて逃げることも出来ない。
なんで中一女子がこんな力あんだよ!?
「どーしてですかぁー!?」
「いや、それは、さっき、言ったじゃんっ!」
「ばかばかばかー!!」
結局、南を落ち着かせるのに10分もかかった。落ち着かせたのは俺ではなくて見かねた高坂と園田だ。初めからそうやってくれたら良かったのに。
どうやら、二人も過去に適当な服装をして南に怒られた経験があるらしい。その時に見た黒いオーラがトラウマなんだとか。
二人とも一部始終は見ていたらしく、すぐにアレが消え去った俺は幸運らしい。
ちなみに、俺と南のやり取りは非常に目立っていたらしく、周囲の視線に気づいた時はかなり恥ずかしかった。
「ほんとに有り得ないです!」
「悪かったって。でも、何着たらいいのか分からなかったのは本当なんだよ。」
「つーん。」
「いや、つーんって言われても……。」
「南雲先輩。手古摺ってますね。」
「ことりちゃん。拗ねると長いもんねー。」
目的地のショッピングモールに向かう途中はずっとこんな感じだった。高坂と園田の「あくどうにかしろよ?」っていう視線が見に刺さるようで辛い。
お前らのが付き合い長いんだからどうにか出来んだろ。
「いい加減機嫌直してくれ。ほら、せっかく遊びに来たわけだしさ?」
「そのせっかくで制服とかありえないです。」
「あ、それは穂乃果も思ったよ?」
「その点に関して言えば、先輩の擁護はできませんね。」
「ぐっ!」
南はまだいいとして他二人は敵なのか味方なのかさっぱり分からん。
なんの罰ゲームだこれ?つーか、中1でも女の子はオシャレとか気にするのな。クラスの女子とかあまり話さないからわっかんね。
どうしたものかと考えていたら南が独り言のように呟き始めた。
「ことり、チーズケーキが食べたいなぁ……。」
「おう。」
「新しく入った喫茶店にセットのやつがあったかも……。」
「はいはい奢らせて頂きます!それで手を打ってください!」
「んー、それなら許してあげようかなー?」
「お願いします。」
「仕方ないですね。次にこんな事があったらことりのおやつにしちゃいますからね?」
「心得た!」
新しいカフェのチーズケーキセットで手を打ってもらい、ようやく機嫌が直った南。ことりのおやつ、というワードに他二人がガタガタ震えていたけどそこまでヤバいものなのか?次からは南を怒らせないように気をつけよう。
とりあえず、ショッピングモールに着く頃には南もいつも通りに戻ってくれてホッとした。
「それじゃあ、まずは南雲さんの洋服から見ましょう!」
「賛成!」
「私も賛成です。」
制服は3人とも不満だったらしく、ここで買った服にそのまま着替えることになった。さらに何着か追加で買うようにとの命令も受けた。
メンズの服売り場に行ってどんなものがいいかと見てみるがさっぱり分からないな。
もうマネキンでいいかな……、て呟いたら南がまたダークサイドに落ちそうだったからそれは止めた。
1つも手に取らないまま半ば諦めムードになっていると、3人が俺に合いそうな洋服をそれぞれ持ってきてくれた。
高坂は白のTシャツにグレーのパーカー、紺のジーンズ。
園田は黒シャツとジャケット、黒のスラックス。
南は橙色のビッグニットセーター、黒のスキニーパンツ。
試着室でそれぞれ着てみると後輩達はさらにテンションが上がったのか次々と洋服を持ってきた。途中から店員さんも楽しそうに混ざっていた。バスケをしているからか、中二にしては高身長な俺はモデルにピッタリらしい。そんなお世辞で喜んだりはしないが、まぁ、悪い気分ではなかった。
完全に着せ替え人形として遊ばれたあとに、3人が最初に持ってきてくれたのをそれぞれ購入した。
最初はそのうちの1着にしようと思ってたが、母親からの軍資金を確認してみると3万円ほどあったので全部買ってしまうことにした。惜しみなく使えと言われていたし怒られないと思う。
購入したうち、南先生のコーディネートに着替え、残りと制服は邪魔だからコインロッカーに預けておいた。
「おぉー、やっぱりかっこいい!」
「そうですね。流石ことりです。」
「えへへ。南雲さん、似合ってますよ?」
「そりゃどうも……。」
褒めてくれるのは嬉しいけど、着せ替え人形させられて気力がない。
もう昼過ぎだったから、南の言っていた新しいカフェで昼食を摂ることにした。
こういうとこの飯って男子的には量が少ないんだよなぁ……。
なんて言えるはずもなく無難にパスタを注文。これが終わったらラーメンでも食べに行こう。
南は朝の宣言通りにケーキ付のセット、高坂と園田もそれにつられて同じものを頼んでいた。
きっちり南の分だけを奢って午後の部に突入。今度はレディースの服を見るらしい。ここからが本当の戦いというわけか。
「あ、これ可愛い!」
「ホントだ!穂乃果ちゃんきっと似合うよ!」
「ふむ。これなら動きやすそうですね。」
「ことりはこれにしようかなー?」
「そっちも可愛いなー!」
もう帰っていいかな。
三人とも盛り上がってるから気づかれないと思う。そう思ってた矢先に彼女らに捕まって試着室前まで連れてこられた。
このあとの展開はもう察した。頑張れ俺。
「先輩!どうですか!?」
「うん、似合ってるぞ。」
「そうかな?えへへ!」
「あの、どうでしょうか?」
「おう。園田らしくていいんじゃないか?」
「南雲さん、ことりはどうですか?」
「ミナミもニアッテルゾー。」
「じゃーん!どうどう?」
「カワイイゾー。」
「あのーー、」
「グッド!」
ーーー
ーー
ー
「あ"ぁ"~、女子の買い物ってホント長いよなぁ……。」
3人のファッションショーは店を変えたりもして2時間ほどかかった。もう途中から同じ感想しか言ってなかったと思う。似合う似合う?って聞かれてもお前ら元が良いんだから似合うに決まってんだろ。そんな気の利いた感想言えるか!
あれだけ時間をかけて、買ったのは1着か2着ほど。女子の買い物はよく分からん。
「おっ、これ新刊出てたのか。」
今は園田の希望で本屋にいる。
高坂は漫画、南はファッション雑誌、園田は文学を主に見て回っているようだ。俺は小難しい小説とか読まないから漫画コーナーにいる。そうすると俺にちょこまかついてくるのが高坂だ。
お前は犬か?
「この漫画面白いんですか?」
「まぁ、そこそこ。他のやつに勧めてもあんまり受けはよくないけどな。」
「へぇ~、じゃあ今度穂乃果に貸してください!」
「いいけど……。あんまり期待するなよ?」
「楽しみにしてます!!」
きらきらした笑顔でそういう高坂。そんな期待されても困るんだが……。
「あ、穂乃果のおすすめもお貸しします!」
「それはマジで遠慮しとく。」
「えぇ~?どうしてー?」
「だあぁ~!引っ付くな!」
お前のおすすめとかどうせ少女漫画だろ?興味ないわ!
割と本気で断ったら不満そうに腕にぶら下がるようにして文句を言ってきた。だから、男子相手にそういうことするんじゃないよ。
これ以上本屋で騒ぐわけにも行かず、高坂を引き摺ったまま一旦店の外に出た。無理に剥がそうとして本の山倒したりしたら困るし。
「は、な、れ、ろ!」
「あーれー!」
「……楽しんでんだろ?」
「はい!」
周りの迷惑にならないように高坂を引っペがす。
その瞬間に楽しそうなセリフをあげていたが、何が楽しいのかさっぱり分からん。
聞いたら即答してきたけど、今の流れで楽しいことあった?
「すみません。お待たせしました。」
「別にいいって。園田は欲しいの買えたのか?」
「はい!」
「海未ちゃん良かったね!」
しばらく高坂の相手をしていたら園田と南が一緒に本屋から出てきた。
二人とも何かを買ったらしくビニール袋を下げていた。
「ほれ。」
「ありがとうございます♪。」
「あの、これくらいはーー、」
「園田後輩。」
「……それはずるいです。」
二人から持っていた袋を預かる。
こいつらの買った洋服たちもさりげなく俺が持っている。最初に持ってやろうとしたら全員きょとんとしていたのはちょっと面白かった。
園田とかは今みたいに渋々だけどな。
「むぅ。」
「高坂、なにか不満か?」
「先輩って私たちのこと名前で呼ばないですよね?」
「「……そういえば。」」
「別にいいだろ。」
「名前がいいです!」
俺と園田たちのやり取りを見た高坂が不満そうに頬をふくらませていた。「むぅ。」って実際に言う奴っていたんだな、なんて適当なことを考えながら返事をしたらいきなり怒鳴られた。
何?精神的に不安定な時期なの?
「まあまあ。そんなことより次どこ行くか決めようぜ?南とか行きたい場所ないのか?」
「私は南雲さんに名前で呼んでほしいなぁ。」
「……南さん話聞いてる?」
「私も名前のほうが、その、嬉しいです。」
「聞いてないぞ、園田。」
「なーまーえー!」
「いや、別に名前で呼ぶ必要ないし。」
「先輩のケチ!」
君たち何でそんな名前呼びに拘わるわけ?
付き合ってるとかならまだ分かるが、先輩後輩の関係でそこまで拘わる必要なくない?
「よし!穂乃果は名前で呼んでくれるまで動きません!」
「園田、南。このバカはほっといて行こう。……あれ?」
馬鹿なことを言い出した高坂に呆れ、園田たちを連れて移動しようとしたが彼女たちも動く気配がなかった。
どうやら高坂の意見を取り入れたららしい。
3人とも無言でこちらを見つめている。一歩離れてみるとどうだ!って顔が不安げに代わり、もう一歩離れると捨てられた子犬のような目になった。
反則だろ。審判、レッドカードを。
え?俺に出されちゃうの?
周りの奴らも俺を避難するように見ている、気がする。
「はぁ~……。穂乃果。」
「はい!」
名前で呼んだ途端に、ぱあっ!と笑顔を咲かせてこちらに寄ってきた。犬か。
残された二人は未だに無言で俺のことを見ている。
「……ことり。」
「えへへ。」
「……海未。」
「ふふっ。」
「お前ら全員犬か!!」
何だこの茶番!?
なんで名前呼んだだけで嬉しそうに寄ってくんだよ!
あー、なんか3人に耳と尻尾がついた幻覚まで見えるようになってきた……。
鬱陶しいから尻尾をパタパタ振るんじゃない。無駄に似合ってて可愛いからしまいなさい。
マジで俺の頭がヤバくなってる。
「もう、なんでもいいか。」
思考を放棄し、上機嫌になった犬系後輩女子を引き連れて色々な店を回った。そうしていくうちに段々犬の散歩に付き合う感覚になってきた。というより、そう捉えた方が楽なことに気がついた。
満足した3人を家に送ってやっと解散。
かなり疲れたけど、全員送った後に食べたラーメン大盛りがめちゃくちゃ美味かったから良しとする。
隣で俺と同じ量を食べてる年下っぽい女子が二人いたのに驚いたのは別の話。
ついに耳と尻尾の幻覚が見えるようになった南雲太一君でした。
μ'sはみんな可愛いからケモ耳も似合っちゃうね!!
最後に一言、
やああああああぁぁぁだあああぁぁぁぁぁ!!
就活したくないよおおおぉぉぉぉぉ!!!