なんか犬みたいな後輩に懐かれた話   作:アゲキツネ

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皆さん、お久しぶりです。

ただ駄べるだけの回かな?
※軽度のイチャつき有


ある日の昼下がり、放課後

「南雲先輩はいますか!?」

「えーっと、うん。少し待ってね。」

 

高坂らと出かけた日からから数日経った。その次の登校日以来、彼女らは昼休みにこんな感じで教室を訪ねてくるようになった。

周りの人達、というか俺も未だにこの環境には慣れない。

なんか俺の恋愛発覚!?みたいな感じのものが流れているようだ。想定していた最低の場合より遥かにマシである。この噂が流れてるのはこないだ出かけていたところを多数の生徒に見られていたためである。

休み明けは質目攻めにあった。女子がかなり執拗くて、弁明するのは超面倒だった。

 

高坂に対応していた英二に呼ばれたので弁当箱を持って教室を出る。女子のキャーキャーいう声と男子の嫉妬の視線に晒されてテンションダダ下がりである。英二は俺の考えを理解してるらしく肩を軽く叩いて激励してくれた。

廊下には尻尾を振っている3人の姿があった。この幻覚がここ数日続いているのも最近の悩みの種だ。

 

「こんにちは!」

「はいはい。今日も中庭か?」

「天気がいいのでそうしようかと。」

「じゃ、行くか。」

 

教室を出る時も、廊下を歩いてる今も興味の視線が突き刺さる。こんなので注目を集めたくはない。どんどん下がるテンションに自然と歩くスピードも落ちる。

 

「先輩、遅いですよ。」

「あ、引っ張んなバカ。」

 

少しだけ三人の後ろを歩いていたんだが、それに気がついた高坂が俺の腕を引っ張る。高坂の勢いが強いからか、傍から見たら腕を抱き寄せている様に見えてるかもしれない。

周りがさっきより盛り上がってるから多分そうだ。

 

「穂乃果。離れなさい。」

「え、なんで?」

「距離が近すぎます!」

「園田の言う通りだ。」

「そうかなー?ことりちゃんはどう思う?」

「私もちょっと近すぎると思うかなぁ?」

「むぅ。」

 

自分以外が否定的であったため高坂はむくれながらも掴んでいた腕を離した。

こいつはもう少し男子との距離感を覚えるべきだと思う。

中庭で空いてるベンチを探しながらそんなことを考える。

丁度良く4人がけのところを南が見つけてそこへ並んで腰をかける。順番は俺、園田、高坂、南だ。俺が端っこなこと以外は特に決まっていないが今日はこんな感じ。

 

「なぁ、高坂ってほかの男子にもこんなことしてんのか?」

「いえ、そこまでは……。」

「南雲さんだけだと思います。」

「……それはそれで困るんだがな。」

「えー、何でですか?」

「お前、俺のことどう認識してんの?」

「先輩!」

「……あぁ、うん。そうね。」

「「穂乃果(ちゃん)……。」」

 

高坂の即答によって暫し固まってしまった。

幼馴染み二人は呆れたようなため息をついてから視線をこちらに移す。

高坂のこれにわざわざ相手にするのが面倒になってきたな。本来ならしっかりと諭さなきゃいけないんだろうけどそれは園田に任せるとしよう。

「なんでこんな質問したんですか?」

「もういい。無駄だって分かってきたから。」

「むっ。なんかバカにされてる気がします。あと名前ですよ?」

「はいはい。いやー、今日もパンがうまい!」

「あー!私のチョココロネ!」

 

高坂が抱えていたパンの中から一番上にあったものをかっさらって食べる。よく見ていなかったが、口に広がる特有の甘味からチョココロネなのだと判明した。

完全に油断していた高坂は固まっていた俺から食べかけのそれを取り返してバクバク食べていく。

 

「むぐむぐ。……いきなり何するんです、か?」

「あれ?南雲さん?」

「ど、どうかしましたか?」

 

パンを盗られた高坂はものすごい怒っているが、固まったままの俺を見てその勢いは無くなってしまった。

そんな俺を南と園田が心配したように聞いてくる。

 

「……俺、チョコ苦手なんだ。」

「バカなのですか?」

「あはは……。」

 

チョコが苦手だと伝えるも返ってきたのは呆れたような視線。これには南も苦笑い。

自分の昼飯の中で残っていたサンドイッチとミルクティーで味を消し去って一息つく。

 

「苦手ならなんで盗ったんですか!?穂乃果のお昼ご飯!」

「そうですね。穂乃果のことは置いておくとして、人の物を盗るのは感心しませんね?」

「……反省してる。次からはちゃんと見てから盗る。」

「そうじゃありません!」

 

そこからは園田のお説教で昼休みは終わってしまった。

初めて彼女からの説教を受けたが結構ガチで怒られた。高坂のパンを盗ったのもそうだが、それまで男子に対する距離感云々の話をしていたのに間接キスの原因を作り出したことも怒られた。

そう言われて初めて気がついたが、たしかに間接キスだった。

高坂もそれは同じようだが、あまり気にした様子は無く未だにパンを盗ったことを怒っていた。それについては今度好きなものを買ってやると物で釣ってどうにか収めてもらった。

 

ちょろいな。

 

 

 

ーーー

ーー

 

午後の授業はいつの間にか寝てしまったらしく、起きた時には放課後になっていた。

目が覚めてまず視界に入ったのはマジックを手にしてこちらに近づける高坂。次いでそれを止めずに見守る園田と南。

三人は俺の目が覚めていることに気づいて気まずそうに視線を逸らす。

 

「話を聞こうじゃないか?」

「いや、えーっと。お昼のパンの恨みと言いますか……。てへ!」

「全く怒る気は無かったんだが、今のでイラッときた。」

「え!?あ、嘘!嘘です!!ごめんなさい!!」

 

可愛らしく謝る高坂にイラッと来たため、持っていたペンを没収して高坂のデコを出す。

これからされることを理解したのか顔が青くなっていく高坂を無視してペン先を額につける。

 

「いやぁーー!!」

「さて、」

 

額に『アホのか』と書かれた高坂は泣きながら机に伏した。

それを見届けてから少し離れたところにいた二人に視線を移すと明らかに体をビクつかせてさらに距離をとる。

 

「いや、そんな怒ってないって。」

「本当ですか……?」

「高坂が犠牲になったからお前らには何もしない。」

「ひどい!!」

「ふはっ!」

 

二人は恐る恐る、と言った様子でこちらに戻ってくる。

俺の言葉を聞いた高坂が顔を上げて抗議してくるが、その額を見た瞬間に吹き出してしまった。

 

「え、なんて書いたんですか!?海未ちゃん、ことりちゃん!なんて書いてあるの!?」

「ふっ……!」

「ぷぷっ。」

 

高坂のおでこを見せられて笑うのを耐える二人。

それを見た高坂はダメだと感じたのか走り出して行った。おそらくトイレの鏡で確認しにでも行ったんだろう。

数分もしないうちに顔を真っ赤にした高坂が戻ってきた。

 

「ひどい!!女の子のおでこにこんなこと書くなんて信じられません!!」

「どうどう。今日はよく怒るな?」

「先輩のせいです!」

「まぁまぁ、元はと言えば穂乃果ちゃんが、ふふ。」

「何!?ことりちゃん何!?」

「ほ、穂乃果が、先輩に落書きしようとするから、いけないんです。 よ?」

「そんな笑うの我慢して言わなくてもいいじゃん!うぅ、先輩のバカー!!」

「あ!待ってよ穂乃果ちゃ〜ん!」

「はぁ……。南雲先輩も行きますよ。」

「はいはい。」

「元はと言えばアナタのせいなのですが……?」

 

園田の責めるような視線を受け流しながら走って高坂を追う。

仮にもバスケ部だった俺が走力で負けるはずもなくすぐに追いついた。

 

「これ使ーー、」

 

額を隠せるようにフード付きパーカーを差出そうとした瞬間に高坂に取られてしまった。

(男子)が普段から来ているパーカーだから嫌がると思ったんだけどな……。

高坂はブレザーの下にそのパーカーを着てフードを深めにかぶった。俺と身長差のせいでぶかぶかなそれはうまい具合に落書きを隠していた。

 

「二人ともどう?」

「うん。見えないよ?」

「はい。しかし、そのパーカーは……、」

「あ、先輩の匂いがする。」

 

そういうこと言うなよ。

嫌がってる素振りは見せていないのが救いだ。これでそんな対応されたら一人の男子中学生の心に深い傷か残るところだったぞ。

半分以上俺が悪いけど。

 

「ホントだ。」

「でしょー?」

 

南はなんでわざわざ嗅いでるんだろうか?

やっぱり犬なのだろうか?

園田は顔を赤くして顔を逸らしている。男性慣れしていない彼女にあんなことはできないらしい。いや、普通の人でもやらないと思う。

相手するのも面倒だからこの変態たちは置いて帰ろう。

 

「南雲さん、何で帰ろうとしてるんですか?」

「南、離せよ。」

「あ!ことりちゃんナイス!」

 

家への1歩を踏み出した途端に南に腕を掴まれた。さっきまで高坂と変態じみた行為をしていたはずなのに素早いやつだ。

今回もそうだが、俺が逃げようとすると大体こいつに捕まってる気がするな。

そんな南に高坂はサムズアップしていた。

 

「ちゃんと呼んでくれたら話してあげます。」

「南さんいでっ!」

「ふふふ、聞こえなかったなぁ。」

「……ことり。」

 

こいつ、ほんわかしてるようでかなり良い性格してるよな。

名前で呼んだらちゃんと離してくれたから良かったけどさ。

結局、こいつらと帰ることになった。高坂の額がアレなこともあって寄り道はなし。俺的にもそっちの方が嬉しい。

 

「そういえば、来月は体育祭ですね。南雲先輩はどちらの組なのですか?」

「赤。」

「じゃあ穂乃果たちの敵だ!倒せーー!」

「ええい!じゃれつくな!」

「穂乃果の言う通り私たちは白です。そして、これは先輩を倒すいい機会……!」

「あ、海未ちゃんがやる気になってる。」

「ことりちゃん、私達も頑張って先輩を倒そう!」

「うん!」

 

こいつらは相変わらず仲が良いな。

園田は初めて一緒にランニングして以来、打倒!南雲先輩!を掲げているらしい。てっきり体力でかと思ったけど、運動の括りに入っていれば何でもいいらしい。

その熱に当てられて高坂と南もやる気を出している。

 

「先輩はなんの競技に出るつもりですか?」

「腕の怪我もあるからあんまり出ないぞ。クラス競技と借り物競走だけだ。」

「……そうですか。長距離走ではないのですか。」

「園田はどんだけ俺と対決したいんだよ……。」

「穂乃果はクラス競技とパン食い競走と100m走、あと玉入れ!」

「私はクラス競技と借り物競走と玉入れです。」

 

南は俺と同じ競技に出るらしい。借り物競走は学年ごちゃ混ぜで行うからもしかしたら一緒にやることになるかもしれない。

ちなみに、玉入れや大綱引きも学年混合でやる種目だ。

一年のクラス競技はたしか九人十脚だったかな?

九人十脚から段々人が減って行って、最終的に二人三脚まで繋ぐ変則的なリレーだ。基本男女混合でもOKらしいがそこは思春期の中学生、大体男女に分かれる。たまにリア充グループが男女混合でやってる。

こいつらは仲良く三人四脚をやるらしい。

 

「二年生のクラス競技ってなんですか?」

「加算式大縄跳び。」

 

これは0人から大縄跳びを初めて、曲に合わせた審判の合図で1人ずつ入って行き、全員入っても続く場合はサドンデスとなる。縄を回す人と前半の人はかなりの体力が要求される競技だ。

人数が増えていくと密着しなきゃいけないから男女の壁を上手く埋めないと一位は取れない競技でもある。

 

「なんか地味ですね。」

「1,2年はクラス全体をより団結させるための種目にしてるらしい。特に男女。」

「上手くいかないとより溝が深まるんじゃあ……?」

「南の言う通りだな。まぁ、俺も教師陣の思惑なんて分かんねえよ。」

 

勝ちたかったら男女仲良くしろって事なんだろう。何故そうなったかは知らん。

 

「しかし、南は借り物競走か。大変だな……。」

「えっ……?」

「外れると一見、絶対無理だろ!ってやつが来るぞ。」

「へー。例えばどんなのですか?」

「かわとか。」

「「「……。」」」

 

まぁ、そんな反応になるよな。

去年これを引いた人が紙を地面に叩きつけてた。結果、その人はリタイヤしていたのは可哀想だったな。

 

「ネタばらしをすると、革製の物を持ってくれば良かったらしい。鞄とか。」

「同じ音でも違うものを探せということでしょうか?」

「そう。その人は川の方に行き着いちゃったんだろうな。」

「えー、穂乃果には無理そう……。」

「で、でもそれくらいなら頑張ればできそうです。」

「ところがどっこい。もっと難しいのがある。」

「ふぇ?」

 

発想の転換は少し難しいが気がつけばどうということは無い。南もそう思ってた出来ると口にしたんだろう。

しかし、この学校の借り物競走にはもっと難易度の高い問題がある。そう告げた瞬間に南は少し怯えた表情になった。

 

「そ、それは一体……?」

 

 

 

「アラサーの独身女性。」

「「「……。」」」

「去年、俺が引いたのがそれだった。」

「南雲先輩……。」

 

そんなん諦めるに決まってるよな。

去年の俺の悲惨な状況を想像した3人が同情するような視線を向けてくる。それは、あの時俺の周りにいた人達と同じ視線だった。

あの時は俺も同じく紙を地面に叩きつけてリタイヤした。「どなたか、アラサーの独身女性はいませんか!?」って言って回ったり、該当する教師にお願いする勇気は当時の俺にはなかった。

 

「南、借り物競走をやるなら覚悟しておくんだな。」

「はい……。」

「だ、大丈夫!ことりちゃんは日頃の行いがいいから当たりを引くって!」

「そうですよことり!始まる前からそんな調子ではダメです!」

「穂乃果ちゃん、海未ちゃん。」

 

借り物競走の話を聞いて不安の表情を浮かべる南。可哀想だが、現実は厳しいものだと教えるのも先輩の役目だ。

そんな南を励ます高坂と園田。南もそのおかげで何とかやる気を取り戻したようだ。

 

それ、フラグじゃね?なんてことは言えなかった。

 

 

 




就活が、終わらねぇ!!
好きなだけじゃダメですとか無理ィ!
皆、好きじゃないことを仕事にしてるんですか??

それは、ボクにはとても難しい。。。
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