なんか犬みたいな後輩に懐かれた話   作:アゲキツネ

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お久しぶりです。何とか生きてます。
前半はことりちゃん視点、地の文がことりちゃんぽくないとかキャラ崩壊とかあるかと思いますがスルーしていただければ……。
後半は新キャラ登場です。
オリキャラ、というか登場人物増えると動かすのが大変だって気付きました笑笑。


「後輩談義」「部長」

『ずるい!ずるいよ、ことりちゃん!』

 

南雲さんに送ってもらった後、部屋で今日あったことを思い出していたら穂乃果ちゃんと海未ちゃんからグループ通話の通知が飛んできた。

予想通り、今日の帰りについての質問を沢山された。

南雲さんとのやりとりを一通り話したら、いきなり穂乃果ちゃんから文句を言われちゃった。

 

「ず、ずるくないよー?」

 

穂乃果ちゃんは私たちが楽しく雑談をしていたと思ってるみたい。実際は、間違いなく良い雰囲気ではなかったし、話を振った私もよく分からないまま話してたもん。男の人と二人っきりって初めてだったから緊張してたの……。

 

そ、それに、いきなり泣き出しちゃったし……。

ふぇ~ん、絶対変な子だと思われちゃったよぉ……。泣き顔も見られちゃってすごく恥ずかしかった……。

これは南雲さんには責任を取ってもらわないといけないかも。

休日に出かけて何か奢ってもらおうかなー?

 

あ、でも、頭を撫でてもらえた時はちょっとうれしかったなぁ……。

えへへ……。

 

『あぁ!ことりちゃんから楽しそうな雰囲気を感じるよ!見なくても分かる!』

「え、えぇ!?そんなことないよ!?」

 

穂乃果ちゃんが何かを察知しちゃったみたい。昔から穂乃果ちゃんの直感はよく当たるから気をつけなきゃ。

 

「と、ところで海未ちゃんは?」

『あれ?そういえば、さっきから何も話してないよね?海未ちゃーん?』

『は、はい!?なんでしょうか!?』

『え?どうしてそんなに慌ててるの~?』

「海未ちゃん、どうしたの?」

『い、いえ。話を聞いてると、その、で、でででーと、みたいだと。』

「え、えええぇ!?」

 

【ことり、うるさいわよー?】

 

「ご、ごめん!お母さん!……海未ちゃん、なんてこと言うの!?」

『で、ですから!放課後に二人きりで公園だなんて……。で、でーとの定番じゃないですか?はう……。』

『あ、海未ちゃん落ちた?』

 

で、デートなんかじゃなかったよ!

話の内容も空気もそんな風じゃなかったし。あれ?でも、海未ちゃんの言う通り形はデートみたいかも……。

南雲さんと私がデート……?

 

「やんやん。」

『あぁ!?ことりちゃんも壊れた!?』

『で、でーと……。も、もしかして!ことりと南雲先輩はつつつつ付き合って……!?きゅぅ。』

「っ!……きゅぅ。」

『え、何この状況!?もぉー!穂乃果はツッコミじゃないから無理だよぉーー!!』

 

おかしな3人の通話はそれぞれが親に怒られるまで続きました。

 

 

 

ーーー

ーー

 

「『『ふぅ……。』』」

 

恋愛トークが苦手な海未ちゃんが暴走したけど、何とか皆落ち着くことが出来た。

海未ちゃんも苦手なら妄想しなければいいのに……。そんな海未ちゃんも可愛いから止めないけど♪

 

『それにしても、南雲先輩が大会に……。』

「うん。」

 

聞いた瞬間に泣いちゃったんだけど、また南雲さんのバスケをする姿が見られる思うと嬉しい気持ちが湧き上がってくる。

以前の試合でその姿を見た時は私も熱くなってきて、それを応援に乗せて楽しむことが出来た。多分、穂乃果ちゃんと海未ちゃんもそうだったんだと思うな。海未ちゃんなんて珍しく大きな声出てたし。

 

『怪我は大丈夫なのかな?』

「けっこうギリギリだって。」

『そうなんだ……。穂乃果たちにも出来ること無いかなぁ?』

『それは難しいでしょう。』

「そうだね。早く治るように祈るくらいだと思うな。」

 

一中学生の私たちが南雲さんの肘をどうこうできる筈もなく、やってあげられるのはそれくらい。仲良くなった先輩に何もしてあげられないのはちょっと悔しいなぁ……。

 

『そうですね。ことりの言う通りですよ、穂乃果。』

『うーん……。』

 

穂乃果ちゃんも同じ気持ちみたい。

私が何か南雲先輩にしてあげられること、考えてみようかな……?

 

 

 

~★~★~★~

 

 

 

「はぁ……はぁ……。」

 

南を送った後、辺りが暗くなるまでとある公園のバスケットコートで練習をしていた。

バスケの話をしていたら無性にやりたくなってきてしまったのだ。

最優先は怪我の完治だが、それまで何もやらない訳にはいかない。今、練習の中心となっているのは右手のボールの扱いに慣れる練習だ。後は鈍らないように左手を使ったシュート練習とかも少し。

 

どちらも成果は芳しくない。

 

右手を中心としたドリブルやパスはイメージとズレる。左手はあの時の激痛を無意識のうちに思い出してしまうのか、それを避けようと変な癖がつきそうになっていた。

慣れない右手はともかく、左手の癖に自分で気がつくのが難しい。

 

「あーあー、無理しちゃって。」

「っ!……黒澤、部長?」

 

1人での練習に行き詰まり始めていた矢先に声をかけられた。

声がするまで全く気が付かなかった大げさに振り向くと、ニヤニヤ笑いながらこちらに歩いてきた。

顔がライトに照らされてようやく、その人がバスケ部の先輩だということに気がついた。

黒澤先輩は今年の大会が終わるまで部長を務めていた3年生で、最上級生の中では群を抜いて上手い人だ。

 

「もう部長じゃねえよ。」

「そうでしたね。受験勉強は良いんですか?」

「推薦だから。」

「あぁ、そっすか……。」

 

俺の嫌味な質問に、バスケで推薦を貰ったとドヤ顔で返してきた。言われてみれば、この人だけ引退した後も後輩に混じって練習に参加してたな。たまに顔を出しに来る先輩は他にもいるけど、この人はほぼ毎回出ていた気がしなくもない。

先輩は足下に転がっていた俺のボールを拾うと、綺麗なフォームでシュートを放った。放物線を描くボールはそのままゴールに収まる。

 

「投げづら。皮すり減ってんじゃん。」

「そんなボールでも部長は普通に決めてますけどね。」

「そこはほら、実力?」

「相変わらず自信満々ですね。」

「お前だって少し前まではそうだったろ?」

「……その通りっすね。」

 

俺を言いくるめて満足したのかまたドヤ顔をしてきた。

多少のイラつきはあるが、何故かこの人を嫌うことはない。俺をバカにすることはよくあったし、性格も英二みたいに良いわけじゃないが、バスケについての実力は本物だし先輩として尊敬もしている。

これがカリスマと言うやつなのだろうか?

 

「で、お前のほうこそ何してんだよ?」

「……練習ですよ。」

「その腕で?」

「…………まぁ、はい。」

 

ややあって先輩の問に答えると呆れた視線を返された。それと同時にボールも俺に向けて投げられる。

 

「みんな勉強してて暇なんだ。少し付き合え後輩。」

「っ!」

 

どうやら1on1をやろうということらしい。

この人は後輩の面倒見が良かったが、現役中に俺はそれを受けることがなかった。後輩としてではなく、同じレギュラーとして対等に見てくれていたんだと思う。

それを今になって体感することになるとは思わなかった。

 

「いつでもいいぜ?」

 

挑発するような物言いに少々カチンときた。

バスケ部の練習で1on1をやった時はほとんど負けたことは無い。その中で負けることが多かったうちの1人がこの人だ。

そのリベンジをしようとフェイント2つで攻め込もうとするが、あっさりボールを取られてしまった。

そして、つまらなさそうに俺のことを見つめる先輩。失望したような、同情するような意味が込められている気がした。

その眼を見て悔しさが急に湧き上がってくる。

 

「やっぱ、前のようにはいかないな。」

「はい。」

「身体の動きにドリブルが追いついていない。さっきまでやっていたシュート練習もそうだが、無意識に左腕を守ってるな。」

「……よく分かりますね。」

「ま、結構な試合をお前とやってきたつもりだからな。違和感はすぐに分かる。今はただでさえ分かりやすいお前のプレイが、今までの速さと技術を失ってフェイントに釣られもしねえ。」

 

っ、けっこーキツい言葉を浴びせてくるな……。

自覚はしていたが、改めてこうバッサリ切られると流石に堪えるものがある。

 

「そっすか……。」

「で?そんな腕でもお前は来年の大会に出るつもりなのか?」

「っ!?ど、どうしてわか、」

「ふん、お前ほどバスケ好きな奴がそんな簡単に諦める訳ないだろ?」

「……俺ってそんなに分かりやすいですかね?」

「俺からしたらな。お前、目線のフェイント入れたりできないから眼を見てれば動く先とかすぐ分かるし。1on1でお前が俺に勝てないのはそれが理由。じゃなきゃ、身体能力で負けてる俺があんな変態な動き止められねえよ。」

 

そ、そうだったのか……。

俺の動きを読んでたからこの人との勝負は負け続きだったのか。

バカ正直は良いとして、変態とまで言われるとは思わなかったけど。

 

「話を戻すぞ?お前は来年の大会出んのか?」

「一応、そのつもりです。覚悟は色々と出来てます。」

「ふーん?色々、ね。」

 

訳知り顔で納得する先輩を見て、要らないことまで知られてしまった気がした。

向けられた眼には呆れの色がさっきよりも強くなっている。

 

「まぁ、お前がいいならそれでいいんじゃねえの?」

「あれ?てっきり止められるかと……。」

「俺がソレについて小言言っても聞かないっしょ?」

「まぁ……。」

「ほんと、バスケバカだな……。」

「それは後輩にも言われました。」

「そうかよ。とにかく、そういうことなら協力するぜ。」

「は?」

「だって、今のお前バスケ部辞めてんだろ?練習できんのここぐらいだろ?だから、俺がたまに付き合ってやるよ。」

 

グッと親指を立ててそんな提案をしてくる先輩。普通にイケメンだわ。なんで彼女出来ないんだろうか?

それは置いといて、俺としては願ったり叶ったりなステキな提案だった。

 

「いいんすか?」

「いいんだよ。言ったろ?暇つぶしに付き合えって。」

 

……この人の面倒見の良さは話で聞いていたし、実際に見ていたから知っていたつもりだ。だが、実際にこうして体感して分かったことがある。

 

この人、カッコよすぎるだろ。

 

 

 

「なのにどうして、彼女できないんすかね?」

「おっと、それは今言う必要あったか?最近可愛い後輩3人組に付きまとわれてるからって調子乗んなよ!ちなみに、俺は南さん推しだ!!」

 

思わず漏れてしまった言葉を運悪く拾われてしまった。

実はこの人、顔も整ってるし、バスケ部主将で人望も厚く、運動神経抜群、頭はちょっと弱いが……、とにかく優良物件なのに彼女が出来たことがない。

そういうのに関心が無い訳ではなく本当に出来ないのだ。

そっち関係の愚痴に付き合わされたことも何回かある。

 

「なんで知ってんすか……。」

「あんだけ校内で目立ってて知らないわけないだろ!毎日のように中庭で昼飯食ってイチャイチャと!」

「イチャイチャはしてないです。」

「うるせえ!青春を俺に見せびらかすな!」

 

さっきまでのかっこよさはどこかに行ってしまったらしい。

今の黒澤先輩は高坂ら関連で俺に嫉妬するクラスメイト達と同じ存在になってしまっている。

こういう所がモテない要因のひとつなのかもしれない。

残念なイケメン、黙ってればイケメンと女子の中で話題になっていることは黙っておいた方がいいかもしれない。

 

「あの、練習の件はお願いしていいすか?」

「おう。バスケ部の練習も見てるから偶にだけどな。」

 

時間がだいぶ遅くなってきたからそろそろ切り上げたく、話の流れをぶった切ってお願いすると、一瞬でかっこいい方の黒澤先輩に戻って了承してくれた。

こうして、俺に頼れる先輩コーチがつくことになった。




就活はなんとかギリギリニート1歩手前で終わりました!!
気ままにやるので更新頻度は多くないですが、一応、復活しました!
後輩とは別に花丸ちゃんメインのサンシャインを書きたい気もします。
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