The World of us   作:君下俊樹

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サボって……そして亡びたよ。翻弄されし旧き自我がリユニオンしていたと決めつけるのは早計じゃねェかな。
譚は変革の時、名もなき預言者が残した予言書だったり絵だったりのTwitterを始めた…それが世界の選択だからイマジナリーフレンドの代わりにでも使役するといいよ。これ程”子猫”を愛する変な光速の異名を持つユーザーは他には居ないと幻想(おも)うから名前でアカシックレコードへ接続かけたり、我が記録せし大いなる(アーカイブ)のリンク…たとえば預言書の記述から虚空の其の先へ飛翔んだりしてお初にお目にかかるといいよ。


ツイストセカイ

「────馬鹿か、キミは」

 

 二宮がふわりと、俺の目の前に降り立った。その顔は呆れが多分に含まれた疲れた表情で、彼女にしては珍しいものだった。

 

「馬鹿? 俺がか、そりゃ気のせいじゃないか」

「そんな顔してよく言うね。自分に聞いてみるといい。何を迷っているのか」

 

 ボクにはそれが何か分からないからね、と軽いドヤ顔でそう言う。とはいえども、俺は別に何かを迷っているわけでは無いのだ。言い訳がましく聞こえるかもしれないが、俺のこれは迷いではなく今一度、自分を見つめ直しているに過ぎない。結果だけを見れば同じ停滞であったとしても、今の俺は意志を持って後ろを振り返っているのであって。

 

 という、ただの言い訳である。だが考えてもみてほしい。こんな幼稚だか保育だかも分からない園児のような承認欲求を、あまつさえ本人に相談とか出来るはずがない。大凡のことはなんでも出来る俺だが、そんな恥も恐れも知らない勇者(タンスを漁る方)の様な行為は出来やしない。

 

 二宮から聞き取れる心情は小さな自信で、その本心は分からない。そもそもこうして人間関係で悩んでしまうのも何もかも、自分の気持ちも捉えられない、真意も知れない、うるさい、と無い無い尽くしなこの中途半端な読心能力が悪いのではないかという気さえしてくる今、二宮の心情を推理する気にはならなかった。

 

「────俺はうじうじと、なんぞ悩んでる様に見えたかな」

「ん、そうだね。君にしては珍しく、分かりやすかったよ」

 

 二宮は少し間を開けてそう言った。時間停止をする事で心を落ち着ける一連の流れが意味をなさない程に、俺は悩んでいたのかもしれない。

 彼女の特別でありたいという、口にすれば2秒で完結する様な悩みをこんなにも頭を抱えて、しかもはたから見ても分かりやすく悩んでいるのは確かに馬鹿らしいと言えるだろう。

 

「…………そうか」

 

 これは前述した中途半端な読心能力と俺の勝手な想像からなる予想だが、二宮も多少戸惑っているのだと思う。口を利く奴らの中での俺は──こう言ってしまうのも癪だが──ズケズケと悪口ではないが、ベラベラと回る口と重箱の隅をつつく様な観察眼とで皮肉屋の様に捉えられているようだ。二宮からの評価もそう変わらないだろう、それ自体数える程度にしか居ないのだが。

 

「まあ、何でもないってことはないだろうってだけさ」

 

 それがこうして、チェリーの様に図星を突かれて何度時間を止めても素数を数えても落ち着けないほどに慌ててしまっている。

 

「情けないね、涙が出そうだ」

 

 ハン、と自嘲気味に笑う。それが案外本心に近いものだと自覚した途端、我ながら傷付いた。息を吐き出す。

 

「話してみるかい? 解決にはならないとしても、何か掴めるのなら」

「…………いや、遠慮しとくよ」

 

 そうか、と二宮は呟いた。俺は思い出したかの様に袋からおにぎりを取り出して、少し遅れた昼食を取る。二宮も残り少ない水を口に含み、ペットボトルを空にした。

 

「────俺たちも、変わらなきゃいけないのかね」

「…………それがキミの悩み?」

「いや。そうかもしれないけど、直接的なものではないよ」

 

 ふぅん、と掠れて聞こえる様な小声を空に溶かしてそれきり、二宮は黙りこくった。

 俺も続きの言葉を探して黙り込む、そうして普段とは違う、少し居心地の悪い沈黙が降り注ぐ。

 視線が混じり合わない、音がない。まるで俺ごと時が止まってしまった様な不気味な感覚。

 

 昼休み終了の鐘が鳴り、俺たち2人は会話のないまま屋上を後にした。俺が先行して階段を降りる。

 このままでいいのか、自問する。ダメに決まってるだろ、自答する。踊り場に片足だけをつけて振り返った。二宮は急に止まったにも関わらず驚くそぶりを見せずに俺をじっと見つめた。

 

 

 

 

 

 

「俺は」「ボクは」

 

 互いに弾かれたように顔を見合わせた。じっと見つめ合い、相手の出方を探りながらわやわやと口を動かす。

 

「────フッ」

 

 思わず、笑う。一瞬だけ面食らった二宮も次に動き始める頃には微笑んでいた。

 腹を抱えて大笑い────というわけにもいかず、俺たちは息を殺す様に小さく笑い続けた。もう、5時間目が始まった。

 

「確かに、馬鹿だったな。俺は」

「ああ」

「結論が出たかもしれない。たぶん、こうでいいんだと思う」

「ああ」

 

 きっと俺たちの世界はここ(屋上)限りのもので、それ以外は二宮飛鳥だけのセカイと寺田遊馬だけのセカイでできていた。けど、もう違うだろう。この世界全部、俺たちのセカイでいい。時をずっと止められたなら、彼女と一緒に止められたならと常々思う。本当に使えない能力だ、有用なのは認めるが応用力のかけらもない。

 

 けど、今は必要ない。

 

「俺は二宮のことが好きだ」

「ああ────えっ」

「ずっと好きだった」

「え」

「好きだ、付き合ってほしい」

 

 二宮の困惑が大きくなる。ザーザーと二宮の心情を表すノイズの音も大きくなり、普段なら煩わしくなる様な音になるが、俺は今に限っては気にすることはなかった。少し待って、もう少しだけ待って。二宮は蚊の鳴くような声を絞り出した。

 

「────ごめん」

「謝るなよ」

 

 俺はそれを受け止めて、いつもの様に笑った。二宮の羞恥に取って代わった心情が耳を劈いたが、それも気にはならなかった。

 

「個性と共に、好みも違うんだろう? なら俺が、お前の好みになるだけだ」

「…………!」

 

 是非、そうしてみなよと二宮も笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう、二宮」

「おはよう、遊馬」

 

 ばったりと廊下で出くわした。俺は小脇に音楽の教科書を抱えて、彼女は筆箱だけをその手に持っている。俺たちは当然のように足を止める。ポツポツと、何気ない会話をしていると、周囲からは珍しいものを見たとでも言うような奇異の視線を向けられる。

 

「じゃあ、俺はこれで」

「うん、また」

 

 また昼休みに、と俺は音楽室に向かう。彼女はこれから理科室だろう。廊下の逆方向へと向かう彼女に手を振り、彼女もまた、手を振った。俺は掲げた右手をポケットに突っ込んで、歩き始める。

 音楽室はそれなりに遠い。俺は白黒の廊下をのんびりと歩いた。




要はサボってないけどTwitter始めたからフォローしてねって話。質問とかリクエストも気が向けば受け付けるけどだいたい進捗ダメですbotだよ。今回ノムリッシュ語が一番時間かかったよ。あとモンハンワールドはやってないよ。
あ、個人的には第一部完結したので次回からは飛鳥を主人公に惚れさせる話になります。正直とっととくっついてイチャイチャしてほしいので二つほどイベントすっ飛ばしました。

こいつらの会話高度な読み合いをしているようでほとんど中身ないってマ?
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