その便意が物語を変えた   作:ざんじばる

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今回で惨劇が起きると予告で言ったな!あれは嘘だ!



すいません。そこまで行き着きませんでした。
計画性のない作者ですまない……

あと、この回よりR-15のタグを入れてみました。
遅きに失した気がしなくもないですが。


15.暗転、渇望する力

『もっと先へ────《加速》したくはないか、少年』

 

 

 

 YES!!

 

 俺は(体感では)光以上の速さで駆け、ドアノブへ飛びついた!

 今は───今だけは、姉弟子に部屋に入られるわけにはいかない!

 

 湯上がりの時のまま、ほぼ肌着だけに近しい状態の俺とバスタイムを満喫中のJS二名。

 いかがわしいことはしていないし、考えてもいないが字面だけを捉えれば有罪(ギルティ)であることは理解している。

 

「いっ! いかがなさいました姉弟子!? ど、どどどっ、どのような御用向きで!?」

 

『将棋会館に用事があったから帰りに寄っただけよ。っていうか何、その変な言葉使い。何焦ってんの?』

 

「ッいえ! 決してそのようなことは! にゃ、にゃにも焦ってなんかないですよ……?」

 

『……? まあ、いいわ。暑い。早く開けて』

 

「いや、その……今はちょっと……都合が悪いといいますか……」

 

『は?』

 

「その……そう! お腹が痛くて!」

 

『だから何? さっさとトイレに行って大でも小でも好きにすればいいじゃない? 私も勝手に部屋で待ってるから』

 

「え!? ……いや、その、部屋の中に人がいると落ち着いて用を足せないといいますか……分かるでしょう!?」

 

『分かんないわよ。馬鹿じゃないの?』

 

 はい、馬鹿です。俺はなぜそんな意味不明のいいわけをしたのか。なんもかんもこの間の師匠(清滝九段の乱)が悪い。

 

『……私のことなんか、相手にしたくなくなった?』

 

「へ?」

 

『八一、竜王になったし…… 連敗も止めたから、今更奨励会員の私の相手なんかしたくないのかなって……』

 

 いかん。なぜか姉弟子がしおらしい。罪悪感がもりもり沸いてくる。

 でも『JSがお風呂に入ってるから出るまで待って』なんて言えないし……

 言った瞬間に惨劇の幕が開けることは間違いない。Nice boat.は嫌だぁぁ──────

 そんな葛藤に俺が苦しんでいるとき。

 

「くじゅりゅーせんせー。タオルとってくださいー」

 

 とんでもないタイミングで風呂場からあいちゃんが顔を出した。全裸で。

 

「おぃぃ! なんで裸で出てきてんの!?」

 

 やめろぉぉ!(建前)ないすぅぅ!(本音)

 大変惜しくはあるが人としての倫理観から俺は目を逸らす。

 

「ちょっと! 何やってんのよ!?」

 

 あいちゃんを引き戻すため天衣も風呂場から出てくる。天衣はさすがにタオルを巻いてた。

 先ほど俺が使って干していたタオルだろう。

 

 ────濡れた黒髪は柔らかな頬や肌に張り付き、JSにあるまじき色気を感じさせる。タオルから露出した肩は暖められて鮮やかなピンクに色づいており血色の良さを表していた。タオルをキツく巻き付けられた境目の肌はぷにっと反発し、その弾力と触感の良さをアピールしてくる。そして伸びるその手足は細くすらっとしており、彼女の豊かな将来性を予感させた。きゅっと内側に絞められたつま先の小さな指も愛らしく────

 

 上から下までガン見していた俺だが、裸ではないのだから倫理上問題はない。……ないよね?

 

『……今、女の声がしなかった? それも複数』

 

「してませんよ!? あるわけないでしょ!? と、となりの声じゃないですかぁ?」

 

 女はいない。女”の子”はいるが。俺は嘘は言ってない!

 天衣ー! 早くあいちゃんを連れて戻って! これ以上はいけない!

 

『……自分の目で確かめるから早くそこを開けなさい』

 

「せんせー?誰かいらしてるんですかー?」

 

 天衣も一旦あいちゃんを引き戻すのを止め、訝しげに俺を見てくる。

 

『八一! やっぱり誰かいるんでしょ!! さっさと開けろっ!!』

 

 確信を持ってしまったのかついに姉弟子は全力でドアノブを回し、ドゴンッとドアを蹴飛ばし始める。そして、

 

「………………また、女の人が来てるんですか?」

 

 あいちゃんの声が急に底冷えするようなものに変わる。

 やだ? なにこれ、こわい? ……でも何か既視感(デジャビュ)

 それに、またって……天衣のこと? 天衣のことも怒ってんの? なんで?

 

「また女ですか!? また女の人が来てるんですか!? ちゃんと私の目を見て説明してくださいっ!!」

 

「見れないよ!? きみ全裸じゃん!!」

 

『全裸!? 全裸の女がそこにいるの!?』

 

 だから、女じゃ────

 

 

 そして、終末を告げる笛の音(ギャラルホルン)が鳴らされた。

 

 

 起きたことは非常に単純である。

 ①あいちゃんが俺を振り返らせようと引っ張り

 ②その力にバランス崩して、俺が倒れ

 ③俺に密着していたあいちゃんを巻き込み

 ④延長線上にいた天衣に頭から突っ込んだ

 以上である。

 

 

 だが、それがもたらした結果は少々破滅的だった。

 俺の押さえがなくなったドアノブを回し、部屋に踏み込んできた姉弟子の目の前に広がるのは、

 ──あいちゃんを『これ絶対挿入ってるよね』という体勢で押しつぶし、尻餅をついている天衣の股間に(タオルの上からではあるが)顔を突っ込んだ俺の姿だった──

 

 

 以前、俺はリトさんではないと自分の不遇(第9話参照)を嘆いていたが、すまない。どうやら本当はリトさんの生まれ変わりだったらしい。この小説にも転生か憑依のタグを付けるべきだろうか?

 

 

 

 だが俺が今、切実に欲しい力はそんなもの(ラッキースケベ)じゃないんだ。

 俺が今欲しいのは、電話レンジ(仮)(タイムマシン)運命探知の魔眼(リーディングシュタイナー)なんだ──────

 

 

 

 




■原作との違い
・八一は全裸より半裸派?
・八一はリトさんの転成体だった?
・八一、オカリンになりたい
・JS二人で銀子の怒りも2倍

なお、VSの約束がないのに銀子が八一の家に来た理由は連敗を止めたお祝いのためです。
作者の脳内設定(後付け)では。
なんていじらしい姉弟子……

というわけで、次回こそ惨劇の幕開けです。
お楽しみに。
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