その便意が物語を変えた   作:ざんじばる

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20.幻想、幼精達の宴

 二人の弟子を持って数日。朝はあいと詰め将棋の速解き。昼はあいを将棋会館の道場に送り出して、天衣と合流。新世界にて修行。夕方はあいを迎えに行って夜にあいと対局および自分の研究といった生活のルーチンができていた。たまにあいのお手製金沢カレーを食べてはトリップする。そんな毎日だ。

 こうまとめるとまるで俺が、女二人をうまく掛け持ちしている二股野郎に聞こえるが、そうではないことをご理解いただきたい。俺はあくまで弟子二人を精力的に指導する熱意ある師匠なのだ。

 残念ながら連盟では理解されず、俺に対する『ロリ王』や『ソムリエ』などの風評被害が広まっているのを感じるが、事実無根である。

 

 そんなある日、日中の天衣の修行を終えた後、あいと練習対局してはどうだと誘い、家に連れ込むことに成功した。

 やらしい意味ではない。実は先日あいから、

 

「ししょー、道場で仲良くなった子達と家で研究会をやってもいいですか?」

 

との相談を受けて快諾していた。どうせなら天衣とも仲良くしてもらおうと本人には内緒で誘ったのだ。天衣には同年代の将棋仲間といえる存在がいないようなのでいい機会だ。

 

 

「ししょー、ただいまですー」

 

「「「お邪魔しまーす!」」」

 

 あいと一緒に入ってきたのは3人のJS。

 スポーティーな女の子、水越澪ちゃん。

 背の高いお嬢様風の女の子、貞任綾野ちゃん。

 そして────

 

「しゃうおっとぃずぁーうだよー」

 

 金色の天使、シャルロット・イゾアールちゃん(6)だった。

 柔らかそうな金髪に緑の瞳。小さくてふわふわで舌っ足らずなしゃべり方の次元を越えてかわいらしい女の子だった。

 外国の文化ゆえか、その幼さゆえか、俺に抱きついてきたり、膝の上に座ったりとスキンシップ過剰気味で俺もうロリコンでいいや。いやダメだ。

 

 心なしか天衣とあいの視線が痛い気がする。というか明らかにあいはこちらを睨みながらなにか呟いている。『だらぶち?』

 意識を保つため、心の中で般若心経を唱える。

 

 そして気持ちを切り替えるため彼女達と面識のない天衣を紹介することにした。

 

「こっちの女の子は夜叉神天衣。あいと同じで俺の弟子だよ。良ければ仲良くしてあげてくれ」

 

 天衣は一応ペコリと頭を下げる。

 

「うん。なかよぉくすぅよー」

 

「「……」」

 

 シャルちゃんは愛らしく返事をしてくれたが、澪ちゃん、綾乃ちゃんの二人は驚いたように顔を見合わせ何かを囁き合っている。

 ……天衣とは合わなかっただろうか?

 そう不安に思っていると意を決したように澪ちゃんがおそるおそる聞いてきた。

 

「あの、くじゅりゅう先生……ひとつ質問してもいいですか?」

 

「なんだい?」

 

「くじゅりゅう先生は……そむりえさんなんですか?」

 

「は!?……え!? なに!? どういうこと!? そんな話どっから聞いたの!?」

 

「あの……将棋会館で今日くじゅりゅう先生のお家で研究会だっていう話をしていたら、職員さんが先生はろり王さまだから、やめたほうがいいって」

 

ぉぉぉぉぉお!?

 

「そしたら別の職員さんが先生はそむりえさんで『あい』って名前の9歳の子にしか興味がないから問題ないって」

 

おいぃぃぃっ!? 浸透しすぎぃぃ!?

 

「ち、違うよ? 俺のところに弟子入りしたいって話があって、将棋の才能もあったのがこの二人だっただけで、二人が『あい』で9歳だったのは偶然だよ?」

 

JSに対して必死に弁明をはかる男の姿がそこにはあった。

 

 

 

 俺だった。

 

「そうなんですかー?」

 

「そ、そうだよ。ほら、あいの強さは君たちも知ってるだろ? それにソムリエっていうのはワインに詳しい人のことで俺はまだ16歳だからお酒は飲めないんだ」

 

 スマホでソムリエの項目について検索し、彼女たちに見せる。当然『ソムリエ=極めて特殊なロリコン』なんていう記載はない。

 

「ほんとです。じゃあじゃあ天衣ちゃんもすごく強いんですかー?」

 

 さすがWikipedia。いい仕事をしてくれる。そしてJS達の興味が別のところに逸れた。この好機を逃すな!!

 

「勿論! あいと同等以上には強いよ。ほら実際に対局してみるといい」

 

「わー! やってみたいですー!」

 

「わたしも、わたしも」

 

「しゃうもすうよー」

 

 これでよし。これで今後ソムリエって話がだれかから出ても彼女たちが否定してくれるだろう。

 

「はぁ? なんで私が!? 勝手に巻き込まないでちょうだい!!」

 

「まあまあ。そう言わず。同年代の子と将棋を指すのもいい経験だ」

 

 天衣を彼女たちの前に押しやり、半ば強制的に対局を始めさせる。一度始まってしまえばそこは将棋大好きガール達。対局しては感想戦をし、また対局とわいわい盛り上がっていく。天衣もぎゃあぎゃあ抗議しながらもすっかり打ち解けていた。良きかな良きかな。

 途中みんなお泊まり前提で来ていたことが発覚し、天衣も巻き込んだ(当然夜叉神氏には一報した。天衣が同年代の子達と仲良くしているということで快く許可された)。将棋大好きJS達(と)の宴は続く。

 

 

 

「ん……」

 

 どうやら寝落ちしていたらしい。

 昨晩は、みんなに指導対局をするうちに熱が入り止まらなくなっていた。

 俺の胸にもたれかかるように黄金天使が無垢な顔で寝ている。

 俺はそのやわらかな頬に触ろうとして手をだれかに掴まれていることに気づいた。

 そちらに目を向けると天衣が俺の指先を握って寝ている。

 

 俺はなんとなくその手を握り返し、そのままもう一眠りするのだった。

 

 

 

 その日、俺の家を本拠地として後に神話となるJS研究会が発足した。

 また、将棋会館ではJS研メンバーより『九頭竜竜王は未成年の16歳だからソムリエではないらしい』という趣旨の発言がなされ、なぜかそれが『九頭竜竜王は7歳差ならロリコンではないし、自分も未成年だから逮捕されることはないと主張している』と取られ、俺への風当たりが増した。解せぬ。

 そしてどこからかJS研発足の噂を聞きつけた姉弟子より俺は言葉にもできない凄惨な制裁を受けるのだった。

 

 

 




■原作との違い
・JSが5人
・八一の悪評広がる
・ロリ道に落ちている八一、桂香さんの気を惹くためのメールを発信しない
・桂香さんからのリークがないため、姉弟子の乱入発生せず
・天ちゃん、八一のシャルちゃんへの頬プニキャンセルに成功

竜王、一旦は姉弟子の突入を回避するも、後日しっかりと制裁をうけてしまう。
世界線は越えられなかった模様です。オカリンじゃないからね。仕方ないね。


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