その便意が物語を変えた   作:ざんじばる

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ぬるりと始まりました、第二章。記念すべきファーストエピソードは鬼沢家訪問です。天衣 meets ONISAWA's furniture 楽しみですね~
今回からタイトル形式もネタg ……一新しました。

ん? 前話で完結したんじゃないか? いえ? 全然そんなことないですけど?

やりたいことは全部詰め込んだって書いてたじゃないか? そうですね。あの話を考えてた時点で思いついたネタは全て詰め込みました。
ここまで応援いただいた皆様ありがとうございましたって書いてた? はい。引き続きこれからも応援お願いします。

……
……
……
……

君は知るだろう 
作者に担がれただけだということを
やつにあの時点で完結させるつもりなど全くなかった
思わせぶりな後書きも この話の投稿時間を少し遅らせたことも 
全て計算だった
それどころかこの話も昨晩の時点で完成していたということを 





第二章.麗しの悪魔の選択
01.天衣とインモラルな家具達


 

 季節は巡る。

 春休みが終わり俺の弟子のひとり、あいは金沢から大阪へと転校して本格的に拠点をこちらへ移した。結局内弟子生活も継続中だ。

 一番弟子の天衣も小学校が始まってはいるが、放課後や休日は度々俺の家に顔を出している。

 

 

 ところが今日は俺とあいが神戸にきて天衣と合流していた。

 なぜ俺たちが俺の家や将棋会館がある大阪を離れ神戸に来ているのか。それは出張指導の依頼が舞い込んだからだ。

 長年の馴染みからの依頼で、まあ実際には俺の弟子達が見てみたいということなのだろうが。その証拠に弟子達を連れてこいという条件が含まれていた。ということで、九頭竜一門総出での訪問と相成ったわけだ。

 

「おぉぉぉ……おっきなお屋敷ですー……」

 

「なかなかのものね。さすが鬼沢先生」

 

 神戸は異人館街の丘の上に建つ、大きなレンガの館に二人の弟子達が関心している。

 

「師匠、今日指導する人はどんな方なんですか?」

 

「鬼沢先生は小説家のはずよ。どんな作品を書いているのかは知らないけど」

 

「小説家さんですかー。どんな作品を書かれてるんですか?」

 

「SM小説」

 

「S……M?」

 

「何かの略かしら?」

 

 いっけね。思わず普通に答えてた。

 

 だが幸い二人ともSMとは何か知らなかったらしい。

 俺は慌てて誤魔化す。

 

「Special Marriage つまり、特別な結婚生活を題材とした……いってみれば恋愛小説の一種だな」

 

「そうなんですか! 素敵です! 女王様とかそういうやつじゃないんですね。」

 

「へー、そうなの?私も地元の名士としてお爺さま経由で紹介されていたけど、どんな小説を書いているのかまではしらなかったわね。お爺さまも仰らなかったし」

 

 そりゃそうだろうな。教えていたら大問題だ。

 というかあい、SMも一応知ってるのね。小説とは紐付かなかったみたいだけど。

 ともかくなんとか誤魔化すことに成功した。それにあまり嘘でもない気がする。

 

 鬼沢先生の名前は鬼沢談。SM小説の大家だ。代表作は『花とへ、じゃない『縄と肉』。なお、俺は先生の本を読んだことがないことはここで言及しておく。

 

「鬼沢先生には俺が奨励会の頃からお世話になっているんだ。俺だけじゃなく清滝一門はずっと良くしてもらってる」

 

「そうなんですか!」

 

「鬼沢先生が愛棋家とは知っていたけどそんな経緯があったのね」

 

「俺が弟子を取ったってのを聞きつけたらしくてね。二人を連れてこいってさ。というわけで今日は二人が主役みたいなもんだ」

 

「そーなんですかー!?」

 

「そう」

 

 弟子達は初仕事に対照的な反応だ。

 

 

 そんな二人を横目に見つつ俺は扉をあける。そうすると正面には──

 

 木馬だとッ!?

 

「師匠! 木のお馬さんが置いてありますよ!」

 

「何で玄関に木馬……?」

 

 連邦のではなく、三角なやつである。

 良かった。俺の弟子達はこれが何なのかわかっていないらしい。小学生だもんね。

 

「でもこれ、どうして乗るところが三角なんだろう? お尻が痛くなっちゃうよね? 天ちゃん?」

 

「そうね。…………ってこれ!?」

 

 知っているのか、雷電じゃない天衣!?

 天衣は顔を真っ赤にして、木馬から離れる。

 この反応、どう見ても知っている。しかしそれにしては最初の反応が薄かったような?

 

「わぁ、こっちにはすっごく黒くて太くて硬い鞭が飾ってある。さっきのお馬さんとあわせてごっこに使うのかな、天ちゃん?」

 

「鞭?……それってまさか……」

 

 やはり顔を赤くするまでにタイムラグがある。これはもしや。

 

「こっちにはボコボコしたバナナ」

 

「……触るのは止めておきなさい」

 

 事態を理解した俺はむくむくといたずら心が湧いてくるのを止められない。

 

「ほら、二人ともこっちにはキノコの置物があるぞー」

 

「わ、ほんとですね。おっきい! 何でキノコなんでしょー?」

 

「はぁ? キノコ? ……ってちょっと!? それ!!」

 

「ん? どうしたんだ天衣? そんなに顔を赤くして」

 

 どうやら天衣の才能は将棋以外でも発揮されてしまうらしい。

 天衣は確かにこの淫、……遊具のことを最初知らなかった。だが、これら遊具が生まれた背景に共感し、創造の理念を吸収することで、遂にはこれらが何かを知ってしまったらしい。

 

「ただのキノコだぞ? なあ、あい?」

 

「そうですね? どうしたの天ちゃん」

 

「ちょっと!? そんなもの私に近づけるのは止めなさい!!」

 

「う~ん? これキノコじゃないのか? 天衣?」

 

「そうなんですか? 天ちゃん?」

 

「はぁ!? そんなの私が知るはずないじゃない!!」

 

 俺は楽しくて仕方がなくなってくる。

 

「そうなのか~? 何か知ってそうなんだけどな~? 師匠に教えてくれないかな~?」

 

「ちょっと!? ふざけるのも大概に──」

 

「それにこのキノコ、スイッチを押したら動くんだぞ?」

 

 ヴィィイン

 

「きゃあああぁぁぁ!?」

 

「すごいですー」

 

 動き出すバイ、キノコに悲鳴を上げる天衣。歓声を上げるあい。

 

 そこには無知なJSを巻き込み、恥ずかしがるJSに実に楽しげにセクハラする男がいた。

 

 

 というか俺だった。

 

 ひとしきり天衣へのセクハラを楽しんだ後、俺たちは対局室で待っている鬼沢先生の元へ向かった。

 

 

「鬼沢先生! ありゃ何ですか!?」

 

「何のことや」

 

「玄関にあったおもちゃのことですよ!」

 

「師匠? あれっておもちゃだったんですか?」

 

「楽しかったやろ?」

 

「そんなわけっ……」

 

「八一先生はとても楽しそうだったわ」

 

 一番弟子の恨みがましい声に途中で黙ってしまう。

 ……正直言うとスゲー楽しかった。

 

「なんや竜王も好き者やな?」

 

「その言い方は語弊があります」

 

「まあええ。それよりせっかくきてもろたんや。早速指そうや」

 

 そういって鬼沢さんはあいと天衣を将棋に誘い、対局を始めた。

 

「いやー。強い強い。天衣ちゃんが強いとは聞いとったけど、もうひとりのあいちゃんもえろう強い」

 

「そうですね。二人ともとても才能があります」

 

 鬼沢さんはふたりと平手・駒落ちと4局ほど指し、抜けてきた。今は二人が対局している。

 

「それに二人というんがええ。ライバルがいればよう伸びる。あんたと銀子ちゃんみたいにな」

 

「ええ。そうですね。……同年代の好敵手というのは得がたいものです」

姉弟子といい、歩夢といい……な。

 

「……これなら天衣ちゃんも大丈夫やな」

 

「鬼沢さんは天衣の事情を?」

 

「ああ、多少は聞いとるよ」

 

「それは……どんな?」

 

「それは他人が勝手に話してええことではないな。本人か弘天さんに聞くとええ」

 

「……そうですね。そうします」

 

 

 その後、俺たちは夕食をごちそうになり一晩泊めてもらうこととなった。

屋敷の中には、トイレにア○ルビーズ、浴室にマット&スケ○いすなど玄関同様ヤバいもの目白押しだった。

 よく分からずに喜ぶあいと一々顔を真っ赤にする天衣。そしてほっこりする俺。鬼沢屋敷での一晩はエンターテインメントに満ちていたのだった。

 

 

 




■原作との違い
・Wあいで訪問
・天ちゃん骨子解明してしまう
・八一楽しむ
・あいちゃん既にライバル有り

ということで始まりました。第2章。
2章は原作でいうところの2巻ですが、既に前倒してほとんどのエピソードを第1章で消化済みのため非常に短くなると思います。

次回、再動のJS研。お楽しみに

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